ピレネーの山の犬 Zion♪シオン

シオンとともに歩く道、ともに見る風景、暮らしと庭の花たち。

聖夜のピレネー

2014-12-25 | おうち
聖夜、静けき真夜中・・・
ショパンのバラード第一番が聞こえる部屋で
Zionは夢を見ているようだった。

その穏やかな眠りに溶け込むように
私は先日のことを思い出していた。

散歩の途中に時々、Zionがご機嫌伺いに立ち寄る店がある。
「Zionちゃんを見てると何故だか涙が出て来る・・・
何でだろう・・・」
お店の方がそう言って、涙を拭った。



犬らしい甘え方はしない。
人で言うなら無口、無愛想。
でも、ふと気づけば、何気なく近くで寝ていたり、
何気なく後を追いかけて来たりする。
何も出来なくていい。
ただ、山のようにどかっといてくれるだけで、
幸せな気持ちになるのだから。
いつも当たり前過ぎて、忘れている気持ち。

きっと、同じように感じて下さったのだ。

Zionはその涙を拭う指、顔をじっと見ていた。
そして、ゆっくりと左の前足を差し出した。
右の前足も差し出した。

Zionの気持ち、伝える言葉・・・

ちゃんと届いたと思うよ。



ピアノの音が青白く凍る湖面を跳ねながら闇に消えていく。

Zionが2階の自分のベッドルームに上がって行った。
私は取り残された気持ちになりながら、
伝える言葉を探している。

静かに更けていくクリスマスの夜。


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!




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