このプロダクションは同じマリア・アイシュヴァルトのタチアーナで、前回のシュツットガルト・バレエの来日公演でも観ています。
2005年、オネーギン役はこの役を踊りたいと切望していたOPERA座バレエ団のマニュエル・ルグリ。
完璧なオネーギン、に拮抗する深い感情表現のアイシュヴァルトの2人のドラマ、という印象が強かった前回に比べて、今回ゲスト抜き、生え抜きの団員のみで構成されたCASTで観ると更に周囲の脇役の演技の絡みも含めて、重層的に物語が紡ぎあげられていることがわかります。
ルグリのスターオーラに只々見入っていた前回に比べて細部にわたってこのバレエ作品が如何にドラマとしてよく出来ているか・・・と感心しきり。
今回の配役はかなりイメージにぴったりで一人ひとりの存在感に説得力がありました。
出のシーンで、舞踏会のためのドレスを吟味している妹と母、乳母?を背に寝そべって読書に没頭しているマリア・アイシュバルト、タチアナは、しかし自分の世界に閉じこもって夢ばかり観ているフワフワした女の子、ではありません。
ちょっと内気で、でもとても人にはやさしく振舞う柔らかな物腰からは、自分の内面をとても大切にしているけれども他人への愛情もしっかりとはぐくんでいける豊かな感情を持った聡明な少女、がそこにいます。
幕が進むにつれ、成長して大人の女性になっていくタチアナ、その女性としての大きなドラマの中心になるにふさわしいポテンシャルを始めから感じさせます。
鏡を覗くとその中に将来の恋人が見えるのよ、と少女たち。
タチアナが鏡の前に座ると後に男性が!
妹オリガの婚約者レンスキーが連れてきた、都会から遊びに来た友人、オネーギン。
柔らかで穏やかなベージュ・アイボリー基調のパステルカラーの衣装に身を包んだ登場人物の中、一人スマートな黒のスーツを着こなしたオネーギンは全てに退屈しきったニヒルな知識人。
三つ編みを長く垂らした10代の少女にはなんの感興も催さないでしょう。
礼儀上散歩に誘って、彼女が手にした本を開けると一瞬哄笑を見せます。
ロマンス小説はくだらないものとしか彼には見えていません。
その夜、タチアナは自室で彼を想います。
眠れない夜。つのる恋心。
等身大の鏡に自身を映す彼女のその姿(同じ衣装のバレリーナが鏡の演技をします)の向こうにオネーギンが!
タチアナの夢の中、鏡の中から現れた彼との愛のPDD.
高まる音楽、回転しながらのリフトの連続が高揚感を表す素晴らしい振付。
ここでのタチアナは、内気な少女から恋する女性に変貌を遂げ、内なる情熱を踊りに込めて、魅惑的な女性としてのポテンシャルの高さを発揮。
美しい愛の成就・・・彼は鏡の中に消え、幻想に力を得た彼女は熱烈な恋文を書き始め乳母に託します。
そしてタチアナの誕生日、田舎貴族が集い、舞踏会が開かれます。
手紙を読んでくれたかしら?
期待に顔を輝かせているタチアナと対照的な、無関心なオネーギンの様子。
彼はこの舞踏会を田舎じみたものとはなから馬鹿にしているので年長者が挨拶しても完全にスルーしてしまいます。
一応礼儀にのっとって、人目のないところで手紙を返そうとするオネーギン。
いいえ、それは差し上げたものですから・・・と受け取らないタチアナ。
えぇい察しの悪い娘だ、とばかり彼女の背後に回り、肩越しに破り捨てた手紙を彼女の手に押し込むオネーギン。
これほど残酷なラブレターの返答はないのではないでしょうか。
彼女に思いを寄せる遠縁のグレーミン公爵。
見る目のある大人の男性。彼はタチアナの聡明な美しさ、内に秘めた情感に気付いているのでしょう。
「眠り」で白塗りのカラボスを鮮やかに演じたジェイソン・レイリーがここではロマンスグレーの渋い男性として華を添えます。
この人は背が高くて筋肉のつきかたがとてもきれいな大人っぽい体型をしていて、とても舞台で映えますね。
2005年、オネーギン役はこの役を踊りたいと切望していたOPERA座バレエ団のマニュエル・ルグリ。
完璧なオネーギン、に拮抗する深い感情表現のアイシュヴァルトの2人のドラマ、という印象が強かった前回に比べて、今回ゲスト抜き、生え抜きの団員のみで構成されたCASTで観ると更に周囲の脇役の演技の絡みも含めて、重層的に物語が紡ぎあげられていることがわかります。
ルグリのスターオーラに只々見入っていた前回に比べて細部にわたってこのバレエ作品が如何にドラマとしてよく出来ているか・・・と感心しきり。
今回の配役はかなりイメージにぴったりで一人ひとりの存在感に説得力がありました。
出のシーンで、舞踏会のためのドレスを吟味している妹と母、乳母?を背に寝そべって読書に没頭しているマリア・アイシュバルト、タチアナは、しかし自分の世界に閉じこもって夢ばかり観ているフワフワした女の子、ではありません。
ちょっと内気で、でもとても人にはやさしく振舞う柔らかな物腰からは、自分の内面をとても大切にしているけれども他人への愛情もしっかりとはぐくんでいける豊かな感情を持った聡明な少女、がそこにいます。
幕が進むにつれ、成長して大人の女性になっていくタチアナ、その女性としての大きなドラマの中心になるにふさわしいポテンシャルを始めから感じさせます。
鏡を覗くとその中に将来の恋人が見えるのよ、と少女たち。
タチアナが鏡の前に座ると後に男性が!
妹オリガの婚約者レンスキーが連れてきた、都会から遊びに来た友人、オネーギン。
柔らかで穏やかなベージュ・アイボリー基調のパステルカラーの衣装に身を包んだ登場人物の中、一人スマートな黒のスーツを着こなしたオネーギンは全てに退屈しきったニヒルな知識人。
三つ編みを長く垂らした10代の少女にはなんの感興も催さないでしょう。
礼儀上散歩に誘って、彼女が手にした本を開けると一瞬哄笑を見せます。
ロマンス小説はくだらないものとしか彼には見えていません。
その夜、タチアナは自室で彼を想います。
眠れない夜。つのる恋心。
等身大の鏡に自身を映す彼女のその姿(同じ衣装のバレリーナが鏡の演技をします)の向こうにオネーギンが!
タチアナの夢の中、鏡の中から現れた彼との愛のPDD.
高まる音楽、回転しながらのリフトの連続が高揚感を表す素晴らしい振付。
ここでのタチアナは、内気な少女から恋する女性に変貌を遂げ、内なる情熱を踊りに込めて、魅惑的な女性としてのポテンシャルの高さを発揮。
美しい愛の成就・・・彼は鏡の中に消え、幻想に力を得た彼女は熱烈な恋文を書き始め乳母に託します。
そしてタチアナの誕生日、田舎貴族が集い、舞踏会が開かれます。
手紙を読んでくれたかしら?
期待に顔を輝かせているタチアナと対照的な、無関心なオネーギンの様子。
彼はこの舞踏会を田舎じみたものとはなから馬鹿にしているので年長者が挨拶しても完全にスルーしてしまいます。
一応礼儀にのっとって、人目のないところで手紙を返そうとするオネーギン。
いいえ、それは差し上げたものですから・・・と受け取らないタチアナ。
えぇい察しの悪い娘だ、とばかり彼女の背後に回り、肩越しに破り捨てた手紙を彼女の手に押し込むオネーギン。
これほど残酷なラブレターの返答はないのではないでしょうか。
彼女に思いを寄せる遠縁のグレーミン公爵。
見る目のある大人の男性。彼はタチアナの聡明な美しさ、内に秘めた情感に気付いているのでしょう。
「眠り」で白塗りのカラボスを鮮やかに演じたジェイソン・レイリーがここではロマンスグレーの渋い男性として華を添えます。
この人は背が高くて筋肉のつきかたがとてもきれいな大人っぽい体型をしていて、とても舞台で映えますね。
私までその場にいるような気分になれました{ラブ}{ラブラブ}
続きが楽しみです{虹}
「オネーギン」レポはルグリ先生の時にも読ませて頂いたのにね・・
キャスティングが変わると、随分雰囲気が変わるものなのでしょうね。
励ましのお言葉、ありがとうございます{ラブ}
自分の感動を整理するという目的から書いてはいるものの、どなさんのようなかたから、楽しんでお読みになっていると伺うとやっぱり嬉しいものですわ{ラブラブ}
ルグリ先生のときはとにかくルグリ先生が際立って見えて、見るほうも彼に集中してしまったキライがありましたが、今回はバランキエヴィッチも素晴らしいものの、2度目と言うこともあって、脇のソリストの演技や全体の構成なども色々と楽しむ余裕(?)があり、より堪能できたかもしれません・・・。
今回は主役も脇もガラリと変えて3日間公演があったのですが、見なかった日をご覧になった方も口をそろえてそれぞれの日の素晴らしさを語られるので、他の日も見たかったかも・・・とあとから(笑)。
いや、どなさんも、今度シュツットガルト・バレエ団の来日公演がありましたら是非ご覧になることをおすすめいたしますわ~{アップ}