英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団2011年日本公演
5月27日(金) 東京文化会館
「真夏の夜の夢」
音楽: フェリックス・メンデルスゾーン
振付: フレデリック・アシュトン
衣裳・装置: ピーター・ファーマー
照明: ジョン・B. リード
オベロン: セザール・モラレス
タイターニア: 吉田 都
インドからさらってきた男の子:小林 巧 (東京バレエ学校)
パック: アレクサンダー・キャンベル
ボトム: ロバート・パーカー
村人:
ジョナサン・カグイオア、キット・ホールダ-、ロリー・マッケイ、
ヴァレンティン・オロヴィヤンニコフ、クリストファー・ロジャース=ウィルソン
ハーミア: アンドレア・トレディニック
ライサンダー: トム・ロジャース
ヘレナ: キャロル=アン・ミラー
デミトリアス: マシュー・ローレンス
蜘蛛の精: アランチャ・バゼルガ
エンドウの花の精: レティシア・ロ・サルド
蛾の精: ローラ・パーキス
カラシナの精: ジャオ・レイ
妖精たち: 英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団
指揮: ポール・マーフィー
演奏: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
合唱: 江東少年少女合唱団
◆上演時間◆
「ダフニスとクロエ」 18:30 ― 19:30
【休憩】 25分
「真夏の夜の夢」 19:55 ― 20:50

幻想的な森の中、妖精たちの住む世界。
それを統べる王、オベロンと女王タイタ―ニアが何やら可愛らしいインドからさらって来た少年をめぐって争っています。
タイタ―ニアのお小姓をオベロンが気に入ったのですが、タイタ―ニアはツンと拒絶。
オベロンは、お気に入りのいたずらな妖精パックを使って、タイタ―ニアにひと泡吹かせようと思いつきます。
このパックのアレクサンダー・キャンベルって、さっき海賊の首領を踊ったばかり・・・なのに、めまぐるしく飛び跳ねるパックを続けて踊り切るって、一体どういう体力?
と思いつつも、いや、体力的には問題ないかも・・と即納得のみっちりと弾力のある筋肉が張り詰めた感じの体型と音もなく弾み続けるそのパのパワーを秘めた軽やかさは、比類なきものがあります。
ジャンプ、ピルエット、シェネ・・・どれをとっても質が高い。ピルエット6回転を眉ひとつ動かさずにやってのけ、超高速シェネで舞台を端から端まで横切った時には息を呑みました。
一般的なパックのイメージ・・・いたずらっ子のような少年ぽさ、ほっそりとした妖精のような肢体・・とは全く違った、どうみても髭の濃そうな(笑)中年男性で大変マッチョな彼ですが、演技とパの確かさで、こういうパックも面白いかも・・と見ているうちに納得させられてしまいました^^
彼はそのうち、どこかに移籍してしまうかも^^;
一方森に迷い込んだ2カップル。愛し合うハ―ミアとライサンダ―は、紫のキチンとしたスーツに帽子もコーディネートしたドレス姿。時を忘れてロマンチックな散歩を楽しみ、一休み。ストールを敷いて寄り添おうとするライサンダ―を、優しく戒め、反対側を示すハ―ミア。結婚するまでは・・・という感じで、互いに投げキスをして眠ります。
ヘレナ役のキャロル・アン・ミラ―はこの役が当たり役、というのが納得の火の玉娘。金髪で薄口の顔立ちながら、情熱的にデミトリアスを追いかけますが彼は全く気がないそぶりで彼女から逃げ惑い・・・。ヘレナの淡い桃色のシフォンのドレスが行動と裏腹にロマンティックでかわいい^^
デミトリアス役のマシュー・ローレンス、見覚えが・・と思ったら、もとオーストラリアバレエ団のプリンシパル。移籍したのですね。そつのない踊り。演技も上手い。
この二人も疲れて木にもたれて眠ります。
そこにご機嫌な学生集団。ふざけたボトムが馬の首をかぶせられたのを見た皆は、おばけかと思って逃げ去ります。
そこに惚れ薬の香りを持つ花を手にしたパック登場。
木の室の寝所で休むタイタ―ニアに、そして恋人たちの男性に、香りを振りかけます。目覚めて最初に観た人に夢中になる・・・という寸法。
ボトムのロバート・パーカーが上手くて・・・トウシューズでロバの蹄での動きを表す様や、戸惑いながらも喜ぶとことなど、マスクをつけているのに踊りで表情が伝わります。彼もプリンシパル。結構層が厚いかも、バーミンガム。
とはいえ、吉田都さんはまるで別格・・・。
ボトムを見て目がキラキラ・・・なんて可愛くて素敵な方!(ロバですが^^;)
可愛らしい笑顔の頬に艶があって、目がハートになっていて・・・。踊りの軽やかさは絶品。
おつきの4人の妖精を呼びますが、呼ばれた4人はあまりに思いがけない状況にそれぞれ驚いたり眉をひそめたりこっそり吹き出したり・・・で、陰でクスクス笑いながらも澄ましてお世話をする当たり、皆芝居心がありますね。
赤ずきんちゃんで可愛かったジャオ・レイが妖精の1人で入っていましたが、この妖精たち、一人ずつに役名があるので、パ・ド・カトルとかソロとか、目立った踊りが入るのかな?と思ったら、ただ、妖精たちの中で目立つポジ、というだけ、でした^^;

ロバに夢中のタイタ―ニアの狂態を見て溜飲を下げたオベロン。と いたずらが成功して満足のパック。
一方目覚めた恋人たちは・・・。ライサンダ―が目にしたのはヘレナ。起こされていきなり手にキス、愛の告白をライサンダーから受けて????なヘレナ。ハ―ミアの恋人からの突然のアタックに戸惑う彼女。更に騒ぎに目覚めたデミトリアスもヘレナをみて恋に落ち・・・二人に追いかけられて取りあえずこの変な状況から逃げようとするヘレナを追いかける二人。
目覚めると・・・あら、ライサンダ―がいないわ?
彼を捜したハ―ミアが目にしたのは二人の男がヘレナを挟んで争う姿。
ヘレナ、あなたったら、この泥棒猫!!何よ!知らないわよ!言いがかりつけないで!!と今度は女性通しのバトルが・・・。
パック・・・。お前、何かやらかしおったか。
オベロン様、申し訳ありません・・・と眼と眼で会話。
眠り薬をまいて、上手と下手で正しいカップルに戻す魔法をかけるパック。でも、デミトリアスだけはそのままに^^
このとき、眠くなって朦朧としている恋人たちを、正しい場所で眠らせるためにパントマイムで操るパックの動きが楽しい♪
目覚めたハ―ミアとライサンダ―、ヘレナとデミトリアスがお互いを見つめ、そして4人で仲良く踊りながら掃けていきます。
このときの音楽が有名な「結婚行進曲」。
一方、タイタ―ニアの寝所からボトムは追い出されます。
何か、変な夢を見たみたいなの・・・不思議そうなタイタ―ニアに侍女である4人の妖精がクスッと笑いあう・・・。
オベロンの挨拶に、良かったらこの子を・・・わたくしも意地を張っておりましたわ・・と和解。
仲直りした森の王と女王のグラン・パ・ド・ドゥ。
アシュトンの振り付けは、ほのぼのとした作風とは裏腹に超・アクロバティック。
完全に前屈した姿勢からホールドされた脇を潜り抜けつつアラベスク・・・という髪飾りがすっかり落ちてしまっても不思議はないような振りが連続しても、顔色一つ変えずに優雅に笑顔で、そして、どんなパのときにも音楽とピッタリ寄り添う都さんの踊りの優雅さ正確さは素晴らしいですね。
終演後、偶然お会いしたバレエ友達と語り合ったときに彼女が言ったのは、「都さんの踊りには せーの、がないのよ!」。
そう、どんな振りにもプレパレ―ションの力みがないんです。
なので、どんな激しい振りや難しいこともそれと気づかずに、ひたすらうっとりと音楽と踊りと作品世界に観客は漂っていられるのでしょうね・・・
セザール・モラレスはちょっと東洋系かと想わせる(違いますが)シャープでエキゾチックな顔立ちと長身でヴィジュアル的にはオベロンに合っていましたが、踊りはやや詰めが甘いかな?
とはいえ、美術、主役の輝き、全体のキャストの演技力などが相まって、しばし、パンダのいる上野の森から、妖精が笑いさざめくイングランドの深い森へと誘われ、心を遊ばせたひととき、でした
この日はお昼は夏日、夜は篠突く雨・・・という寒暖差の激しい日でした。。
ダンサーの皆さま、体調を崩されませぬように・・

5月27日(金) 東京文化会館
「真夏の夜の夢」
音楽: フェリックス・メンデルスゾーン
振付: フレデリック・アシュトン
衣裳・装置: ピーター・ファーマー
照明: ジョン・B. リード
オベロン: セザール・モラレス
タイターニア: 吉田 都
インドからさらってきた男の子:小林 巧 (東京バレエ学校)
パック: アレクサンダー・キャンベル
ボトム: ロバート・パーカー
村人:
ジョナサン・カグイオア、キット・ホールダ-、ロリー・マッケイ、
ヴァレンティン・オロヴィヤンニコフ、クリストファー・ロジャース=ウィルソン
ハーミア: アンドレア・トレディニック
ライサンダー: トム・ロジャース
ヘレナ: キャロル=アン・ミラー
デミトリアス: マシュー・ローレンス
蜘蛛の精: アランチャ・バゼルガ
エンドウの花の精: レティシア・ロ・サルド
蛾の精: ローラ・パーキス
カラシナの精: ジャオ・レイ
妖精たち: 英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団
指揮: ポール・マーフィー
演奏: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
合唱: 江東少年少女合唱団
◆上演時間◆
「ダフニスとクロエ」 18:30 ― 19:30
【休憩】 25分
「真夏の夜の夢」 19:55 ― 20:50

幻想的な森の中、妖精たちの住む世界。
それを統べる王、オベロンと女王タイタ―ニアが何やら可愛らしいインドからさらって来た少年をめぐって争っています。
タイタ―ニアのお小姓をオベロンが気に入ったのですが、タイタ―ニアはツンと拒絶。
オベロンは、お気に入りのいたずらな妖精パックを使って、タイタ―ニアにひと泡吹かせようと思いつきます。
このパックのアレクサンダー・キャンベルって、さっき海賊の首領を踊ったばかり・・・なのに、めまぐるしく飛び跳ねるパックを続けて踊り切るって、一体どういう体力?
と思いつつも、いや、体力的には問題ないかも・・と即納得のみっちりと弾力のある筋肉が張り詰めた感じの体型と音もなく弾み続けるそのパのパワーを秘めた軽やかさは、比類なきものがあります。
ジャンプ、ピルエット、シェネ・・・どれをとっても質が高い。ピルエット6回転を眉ひとつ動かさずにやってのけ、超高速シェネで舞台を端から端まで横切った時には息を呑みました。
一般的なパックのイメージ・・・いたずらっ子のような少年ぽさ、ほっそりとした妖精のような肢体・・とは全く違った、どうみても髭の濃そうな(笑)中年男性で大変マッチョな彼ですが、演技とパの確かさで、こういうパックも面白いかも・・と見ているうちに納得させられてしまいました^^
彼はそのうち、どこかに移籍してしまうかも^^;
一方森に迷い込んだ2カップル。愛し合うハ―ミアとライサンダ―は、紫のキチンとしたスーツに帽子もコーディネートしたドレス姿。時を忘れてロマンチックな散歩を楽しみ、一休み。ストールを敷いて寄り添おうとするライサンダ―を、優しく戒め、反対側を示すハ―ミア。結婚するまでは・・・という感じで、互いに投げキスをして眠ります。
ヘレナ役のキャロル・アン・ミラ―はこの役が当たり役、というのが納得の火の玉娘。金髪で薄口の顔立ちながら、情熱的にデミトリアスを追いかけますが彼は全く気がないそぶりで彼女から逃げ惑い・・・。ヘレナの淡い桃色のシフォンのドレスが行動と裏腹にロマンティックでかわいい^^
デミトリアス役のマシュー・ローレンス、見覚えが・・と思ったら、もとオーストラリアバレエ団のプリンシパル。移籍したのですね。そつのない踊り。演技も上手い。
この二人も疲れて木にもたれて眠ります。
そこにご機嫌な学生集団。ふざけたボトムが馬の首をかぶせられたのを見た皆は、おばけかと思って逃げ去ります。
そこに惚れ薬の香りを持つ花を手にしたパック登場。
木の室の寝所で休むタイタ―ニアに、そして恋人たちの男性に、香りを振りかけます。目覚めて最初に観た人に夢中になる・・・という寸法。
ボトムのロバート・パーカーが上手くて・・・トウシューズでロバの蹄での動きを表す様や、戸惑いながらも喜ぶとことなど、マスクをつけているのに踊りで表情が伝わります。彼もプリンシパル。結構層が厚いかも、バーミンガム。
とはいえ、吉田都さんはまるで別格・・・。
ボトムを見て目がキラキラ・・・なんて可愛くて素敵な方!(ロバですが^^;)
可愛らしい笑顔の頬に艶があって、目がハートになっていて・・・。踊りの軽やかさは絶品。
おつきの4人の妖精を呼びますが、呼ばれた4人はあまりに思いがけない状況にそれぞれ驚いたり眉をひそめたりこっそり吹き出したり・・・で、陰でクスクス笑いながらも澄ましてお世話をする当たり、皆芝居心がありますね。
赤ずきんちゃんで可愛かったジャオ・レイが妖精の1人で入っていましたが、この妖精たち、一人ずつに役名があるので、パ・ド・カトルとかソロとか、目立った踊りが入るのかな?と思ったら、ただ、妖精たちの中で目立つポジ、というだけ、でした^^;

ロバに夢中のタイタ―ニアの狂態を見て溜飲を下げたオベロン。と いたずらが成功して満足のパック。
一方目覚めた恋人たちは・・・。ライサンダ―が目にしたのはヘレナ。起こされていきなり手にキス、愛の告白をライサンダーから受けて????なヘレナ。ハ―ミアの恋人からの突然のアタックに戸惑う彼女。更に騒ぎに目覚めたデミトリアスもヘレナをみて恋に落ち・・・二人に追いかけられて取りあえずこの変な状況から逃げようとするヘレナを追いかける二人。
目覚めると・・・あら、ライサンダ―がいないわ?
彼を捜したハ―ミアが目にしたのは二人の男がヘレナを挟んで争う姿。
ヘレナ、あなたったら、この泥棒猫!!何よ!知らないわよ!言いがかりつけないで!!と今度は女性通しのバトルが・・・。
パック・・・。お前、何かやらかしおったか。
オベロン様、申し訳ありません・・・と眼と眼で会話。
眠り薬をまいて、上手と下手で正しいカップルに戻す魔法をかけるパック。でも、デミトリアスだけはそのままに^^
このとき、眠くなって朦朧としている恋人たちを、正しい場所で眠らせるためにパントマイムで操るパックの動きが楽しい♪
目覚めたハ―ミアとライサンダ―、ヘレナとデミトリアスがお互いを見つめ、そして4人で仲良く踊りながら掃けていきます。
このときの音楽が有名な「結婚行進曲」。
一方、タイタ―ニアの寝所からボトムは追い出されます。
何か、変な夢を見たみたいなの・・・不思議そうなタイタ―ニアに侍女である4人の妖精がクスッと笑いあう・・・。
オベロンの挨拶に、良かったらこの子を・・・わたくしも意地を張っておりましたわ・・と和解。
仲直りした森の王と女王のグラン・パ・ド・ドゥ。
アシュトンの振り付けは、ほのぼのとした作風とは裏腹に超・アクロバティック。
完全に前屈した姿勢からホールドされた脇を潜り抜けつつアラベスク・・・という髪飾りがすっかり落ちてしまっても不思議はないような振りが連続しても、顔色一つ変えずに優雅に笑顔で、そして、どんなパのときにも音楽とピッタリ寄り添う都さんの踊りの優雅さ正確さは素晴らしいですね。
終演後、偶然お会いしたバレエ友達と語り合ったときに彼女が言ったのは、「都さんの踊りには せーの、がないのよ!」。
そう、どんな振りにもプレパレ―ションの力みがないんです。
なので、どんな激しい振りや難しいこともそれと気づかずに、ひたすらうっとりと音楽と踊りと作品世界に観客は漂っていられるのでしょうね・・・
セザール・モラレスはちょっと東洋系かと想わせる(違いますが)シャープでエキゾチックな顔立ちと長身でヴィジュアル的にはオベロンに合っていましたが、踊りはやや詰めが甘いかな?
とはいえ、美術、主役の輝き、全体のキャストの演技力などが相まって、しばし、パンダのいる上野の森から、妖精が笑いさざめくイングランドの深い森へと誘われ、心を遊ばせたひととき、でした

この日はお昼は夏日、夜は篠突く雨・・・という寒暖差の激しい日でした。。
ダンサーの皆さま、体調を崩されませぬように・・

