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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

神尾真由子 ヴァイオリンリサイタル

2009-07-19 12:46:12 | MUSIC
~高度な技術と深い音楽性~
神尾真由子 ヴァイオリン・リサイタル
 (Pf) 佐藤卓史



6月30日(火)19:00~
東京オペラシティコンサートホール

J. ブラームス: スケルツォ(F.A.E.ソナタ)
J.Brahms: Scherzo(Sonata F.A.E.)

C.サンサーンス:ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ニ短調 Op.75
C.Saint-Saens(eの上、ウムラート):Violin Sonata No.1 in D minor Op.75

Ⅰ-Ⅰ Allegro agitato
  Ⅱ Adagio
Ⅱ-Ⅰ Allegretto moderato
Ⅱ Allegro molto

~intermission~

F. ブゾーニ: ヴァイオリン・ソナタ 第2番 ホ短調 Op.36a
F.Busoni: Violin Sonata No.2 in E minor Op.36a

Ⅰ La ngsam
Ⅱ Presto
Ⅲ Andante,piuttosto grave-Andante con moto-VariationⅠ~Ⅵ、coda

F.ワックスマン: カルメン幻想曲
F.Waxman: Carmen Fantasy

<アンコール>

パガニーニ: 24のカプリースより 第24番エルガー
マスネ: タイースの瞑想曲

2007年6月、チャイコフスキー国際コンクールのヴァイオリン部門で優勝、
一躍時の人となった神尾真由子。
直後のサントリーホールでの凱旋コンサートには行けませんでしたが、
TV番組などで見せる日本人離れした押し出しの強さ、堂々とした物腰、
体力勝負だからとジョギングを欠かさない、クラシックの音楽家のイメージを打ち破る個性に
興味を惹かれておりました。

今回のコンサートはクラシック通のA氏のお誘いで。(いつもありがとうございます)
演目も玄人好みの感じで楽しみです。

スケルツォはブラームス(1833~97)20歳の作品。
「自由にしかし孤独に Frei aber Einsam」をテーマとして、
友人である名ヴァイオリン奏者ヨーゼフ・ヨアヒムのために、
第1楽章をディートリヒ、第2・3楽章をシューマン、第4楽章をブラームスが作曲。
テーマに沿ってF(へ)A(イ)E(ホ)音を動機として各楽章の統一を図ったという
恩人、友人とのコラボ。
若書きながら、ブラームスらしい熱い歌心が感じられる作品。
神尾さんのストレートなパッションが伝わってきて思わず身を乗り出したくなる良い演奏。

サン=サーンス(1835~1921)の円熟期に書かれたソナタ(1885)も
構成が変化に富んでいて面白い。

ブゾー二(1866~1924)は 30分超の大作。
イタリア人名なのにドイツ的な厳格さを感じさせる作風ですが、ブゾーニは
イタリア人クラリネット奏者の父、ドイツ人ピアニストの母のもと、
生まれこそイタリアですが、活動拠点はドイツだったとか・・・。
切れ目なく演奏される重厚感溢れる曲想。
インタビューで「体力を」と語っていたのが今となってはよくわかるかも・・・(^^;)

神尾さんの演奏にはヴァイオリンの様々な音色をキッチリと響かせて
その潜在能力を極限まで引き出して見せようとするある種求道的な部分と
楽曲とがっぷり四つに組んで取り組む誠実さを強く感じました。
艶やかなビリジアングリーンのロングドレスに身を包んだ若々しい容姿とは裏腹に、
感情や情緒に流されずに真摯に取り組もうとする姿と強い視線には、
これからの伸び代を期待させる器の大きさを見たようにも思います。

そして、コンクールの予選でも演奏し、センセーショナルな話題になったという
「カルメン幻想曲」
これはハリウッドの映画音楽にも手腕を発揮したと言うワックスマン(1906~67)が
ハイフェッツに献呈したといういかにも派手やかな曲でもありますし、
尊敬するヴァイオリニストがハイフェッツという神尾さんにとっても
思い入れのある曲なのでしょう。
豊穣華麗な音色をたっぷりと聴かせてくれました。

アンコールのパガニーニのカプリースは技巧を凝らしたパッセージを
え?と思うほどのスピード感で疾走。
コンサートの最初から只ならぬテクニックでピタリと神尾さんに拮抗したピアノを聴かせてくれた
佐藤さんも素晴らしい。
ラストのタイースはゆったりと。

大満足のコンサート。
弱冠23歳の神尾さん(1986年生)はこのまま大きく成長して
そのうち女性らしいふくらみを音にこめることが出来るようになると更に大物になりそうです。
佐藤さんは1983年生で東京芸大卒後ドイツ留学中
(2001年日本音楽コンクールピアノ部門一位)という若手の日本人アーティストの実力と
ポテンシャルを嬉しく思います。
佐藤さん、世界バレフェスで弾いてくれないかしら(爆)

次の彼女のコンサートは11月のサントリーホールですが、
曲目がヴィバルディの「四季」メインとはあまり食指が動きませんxxx
個人的にはプロコフィエフやストラヴィンスキーを聴いてみたい気がします・・・

上に上げた画像が2作目のCD。
これを購入してのサイン会が終演後ロビーで開かれていましたが驚くばかりの長蛇の列。
クラシックコンサートでは異例の人気ぶり、ですね。
ちなみに下はファーストアルバムです。















 


ウィーン・フィル ニューイヤーコンサート2009

2009-01-05 02:35:45 | MUSIC
明けましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願い致します。

年末、仕事が押して連日深夜残業。
大晦日、元旦は年賀状書き・・・と準備がずれ込み、ちょっと疲労気味のお正月休み。



無理をせず、静かに過ごすことにしましたが、はずせないのが毎年恒例の元旦、ウィーン・フィルのニュー・イヤー・コンサート。
都度テーマを決めたアレンジメントが美しい、今回は朱赤系の花で一杯のウィーン楽友協会の大ホールで、今年は初登場のダニエル・バレンボイムの指揮。
ウィ-ン・フィルとの共演は数あれど、彼ほどの世界的指揮者がこのニュー・イヤーコンサート初登場とはちょっと驚きですが、バレンボイムと言えば、ワーグナーかマーラー、というイメージがあるわたくしにとって、軽妙洒脱なヨハン・シュトラウスのワルツを重厚でドラマチックな作品を多く指揮する彼がどう料理するか・・・そしてウィーンフィルの面々がどう受け止めて反応するかが大いなる見所。

演目は以下の通り。

- 第1部 -                      
                              
「喜歌劇“ベネチアの一夜”序曲(ベルリン版)」       
「ワルツ“東洋のおとぎ話”作品444」           
「アンネン・ポルカ 作品117」              
「速達ポルカ 作品159」                 
「ワルツ“南国のばら”作品388」             
「ポルカ“百発百中”作品326」              
                  ヨハン・シュトラウス作曲
                              
 - 第2部 -                      
                              
「喜歌劇“ジプシー男爵”序曲」               
「喜歌劇“ジプシー男爵”入場行進曲」            
「宝のワルツ 作品418」                 
                  ヨハン・シュトラウス作曲
                              
「スペイン風ワルツ」          ヘルメスベルガー作曲
                              
「ザンパのギャロップ」     ヨハン・シュトラウス父・作曲
                              
「アレクサンドリーネ・ポルカ 作品198」         
「ポルカ“雷鳴と電光”作品324」             
                  ヨハン・シュトラウス作曲
                              
「ワルツ“天体の音楽”作品235」ヨーゼフ・シュトラウス作曲
                              
「ポルカ“ハンガリー万歳”作品332」           
                  ヨハン・シュトラウス作曲
                              
「交響曲 第45番“告別”から 第4楽章」   ハイドン作曲
                              
         (演奏)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
               (指揮)ダニエル・バレンボイム
                              
  ~オーストリア・ウィーン楽友協会から中継~ 

ヨハン・シュトラウスでもワルツやポルカだけでなく、歌劇からの抜粋を入れている辺りに指揮者の個性が?
ハイドンの「告別」は没後200年ということで。
領主の都合で家族と別れて仕事をさせられている楽団員の不満を上手く伝えるために楽団長ハイドンが考えた演出・・・ということで、楽曲の最後になると一人また一人と演奏家が去っていき、最後に指揮者一人になる、という趣向。
そのオリジナルに乗っ取っているものの、いたずらっぽく、淡々と、こそこそと、乾杯しながら、と一人ひとり芝居っ気たっぷりに消えていくのはご愛嬌。最後コンマスとヴィオラの二人になったところでバレンボイムが君はまさか行かないよね、といわんばかりにヴィオラ奏者の隣に腰掛け、頭をなでたりするが、うつむいて指揮をしている間に彼にも逃げられ。
だれもいないと情けない表情をする辺りがなんとも憎めません。

注目のバレエは3曲。
マラーホフの振付・主演による「宝のワルツ」



ピンクのシャツにシルバーグレイのスーツ姿のマラーホフが白いふわっとしたドレスにサーモンピンクのアクセントが動きをきれいに見せて効果的な衣装のウィーンのソリストエレナ・ピュリスと踊ります。
それにしてもマラーホフの動きは指の先まで神経が行き届いていて本当にきれい。
8日からのマラーホフ版「眠れる森の美女」を彼が主役の初日に観に行く予定ですが、一層楽しみになって参りました。



こちらは「ハンガリー万歳」のときに挿入されたバレエシーンから。
ちょっとエキゾチックなハンガリー風の旋律を取り入れたでも軽快なポルカに合わせて男女とも美しいダンサーが踊ります。
男性は鮮やかなブルーサテンがちょっと中国服っぽい軍服風デザインのスーツ、女性は白いブラウス、エプロンにブルーのスカートとベストのチロル調。
女性が一瞬、男性をリフトしようとしたりするコミカルな振りが楽しい一幕。



ラスト近くの「美しき青きドナウ」は今回は趣向を変えてバレエ学校の生徒さん男女3人ずつによる踊り。
男の子は金の筋肉つき(?)半袖Tシャツに天使の羽。ブルーサテンのハーフ丈パンツ。
女の子はブルーサテンの襟ぐりとヒップにフリル飾りのあるユニタードで子鬼(天使?)と妖精たち、といった風情。お城から会場へ、という演出で最後はホールの通路で観客の目の前で踊るのですが、優雅に落ち着いた風情の中に茶目っ気もありなかなか。

音楽的に気に入ったのはヘルメスベルガーの「スペイン風舞曲」。
カスタネット、ハープなどを効果的に使った優美な音色に心惹かれました。
そしてヨハンの弟、ヨーゼフ・シュトラウスの「天体の音楽」。
透明感溢れるゆったりとした音色にうっとり。オーストリアの山岳地方のダイヤモンドダストなど映像も美しかったです。

プログラムの最後はアンコール曲として「美しき青きドナウ」に続いて「ラデツキー行進曲」
バレンボイムが楽団そっちのけで観客の方を向いて手拍子を入れるタイミングをピシッと指示していたのが面白い。

恒例の指揮者と楽団員による新年の挨拶は簡潔なものでしたが、イスラエル国籍でパレスチナ和平に特別の思いのあるバレンボイムにとって今の情勢はどんなに苦しい心持でいらっしゃるのかと思わずにはいられませんが、やはり、挨拶の言葉に「正義が中東において実現されますように」と一言。

後一回再放送の予定があるそう・・・
見逃された方は是非!

2009年 1月24日 (土)  21:00 ~ 24:00 NHK BS2



      
              





ミッシャ・マイスキー バッハ無伴奏全曲演奏

2007-11-02 04:26:05 | MUSIC
昨夜、11月1日、木曜日、19:00開演。
東京OPERA CITYコンサートホールにて、20世紀の3大チェリストの一人と言われる、ミッシャ・マイスキーの60歳記念プロジェクト、2夜完結の企画「バッハ無伴奏組曲 全曲演奏」の第一夜に行って参りました。



J.S.Bach
無伴奏チェロ組曲第1番 ト長調 BWV1007
Suite for Solo Violoncello No.1 in G major,BWV1009
無伴奏チェロ組曲第4番 ホ長調 BWV1010
―intermission―
無伴奏チェロ組曲第5番 ハ短調BWV1011
 
アンコール曲
・無伴奏チェロ組曲第3番 ブーレ
・無伴奏チェロ組曲第2番 サラバンド

Mischa Maisky

ラトビア出身のユダヤ人、叙情的で深い人間の肉声をそのまま音色にしたような独特の演奏と雰囲気のある風貌、アルゲリッチとの競演でも知られる名チェリスト。
伝説のチェリスト、ロストロポーヴィチとピアティゴルスキーに師事した唯一のチェリストである彼自身、伝説のチェリストへの道をあゆんでいるとも言えましょう。

この日、19:00から、ということで余裕を持って到着できると思っていた初台のオペラシティ、帰り際に発生した仕事上のトラブル処理でやや余裕がなくなってきたところに都営新宿線の人身事故によるダイヤの乱れで、初台着が19:00!改札からオペラシティ3Fのコンサートホールまで文字通り駆け抜けてギリギリ着席とともにマイスキー登場・・・という綱渡りを演じて息も絶え絶えのわたくし。
第一音から、別世界に連れて行かれました。

チェロの音色そのものの響きがこんなにも美しいなんて・・。
深山の峡谷から立ち上る霧の彼方から吹く風のような香気を孕んだ音色は爽やかで陰影に富み、軽やかに歌うようでいて深いメランコリーも感じさせ、テンポも自在。

人間の肉声にもっとも近い楽器といわれるチェロを語るかのように奏でる姿は前半はアイボリーベージュの光沢のある細やかなプリーツの素材で作られたルパシカのようなチュニック、後半は身体につかず離れずのスキッパータイプの衿の墨黒のマットサテンのプルオーバー(ともにイッセイミヤケと思われる・・・)に豊かな白髪が映えるステージ姿も、1974年にファンから贈られ以降愛用の艶やかな1720年製のモンタニアーナのチェロに似合って眼福。

高い天井から空がオブジェの隙間から漏れ見える構造のコンサートホールと、舞台に置かれた金色のヴァイオリンをかたどった背もたれの椅子がリリカルな舞台そのものも、シンプルながら美しく、心地よい時空を堪能した夜でした。






マリオ・ブルネロ 無伴奏チェロリサイタル

2007-10-16 05:33:15 | MUSIC
10月9日(火)19:00開演、すみだトリフォ二ーホール 大ホールにて。
Mario Brunello Cello Recital

B.A.ツィンマーマン:ソロ・チェロのための4つの短い練習曲
Bernd Alois Zimmermann:4Short Studies for Cello Solo

J.S.バッハ: 無伴奏チェロ組曲 第2番 ニ短調BWV1008
Johan Sebastian Bach: Suite for Cello Solo in D-minor BWV 1008

G.ソッリマ: ラメンタチオ
Giovanni Sollima: Lamentatio

J.S. バッハ:無伴奏チェロ組曲 第5番 ハ短調BWV1011
Johan Sebastian Bach: Suite fot Cello Solo in C-minor BWV1011



1960年生まれ、1986年イタリア人として初めてチャイコフスキー国際コンクール優勝、批評家特別賞、観客賞を受賞、その後アバド、チョン・ミュンフン、ゲルギエフ、ジュリーニ、ムーティ、小澤征爾、メータら一流指揮者と共演、インターナショナルに活躍・・・7年ほど前からは指揮者としても才能を発揮しているという世界的チェリスト。

チェリストのソロリサイタルは、ヨーヨー・マ以外初めてなので、とても興味深く聴きました。
20世紀の作曲家、ツィンマーマンが完成後ピストル自殺を遂げたことでも知られる1曲目は、チェロの技法をピチカート、グリッサンド、重音などそれぞれ特色を持たせた極短い4曲に収斂させた現代音楽的な面白いもの。
1962年生まれの作曲家ソッリマの3曲目は、コラール的な序奏から始まる、ヘブライ音楽に想を得たと言うエキゾチックな楽曲。ヨーヨー・マが「シルクロード」で弾いていたような・・・と思ったら、ソッリマはヨーヨー・マ、バシュメットにも曲を提供しているとか・・。ソッリマがシチリア出身のイタリア人で同世代ということもあってか、ブルネロは活動初期から彼の作品を取り上げており、音楽上の同志といっていい存在だそう・・・。
かなりエモーショナルでジプシー的な鼓動を感じる熱い演奏。

チェリストのリサイタルにははずせない、バッハの無伴奏組曲はともに短調を選択。
端正な音を聴かせてくれました。・・・が、これほど有名な曲ともなると、自分の中のデフォルト(わたくしの場合はヨーヨー・マ)とつい比較しながら聴いてしまうのが人情というもの・・。
最近の流行なのか、淡々と、あまり装飾的・情動的なアクセントをつけず、最後の思い入れナシにスッと終わるのがやや物足りなく思えてしまったのは前述の理由によるものかと思われます。

トリフォ二ーホールは今回初めて。
錦糸町という滅多に行かない(というか今回初めて)エリアにあって、なかなかしっかりとしたコンサートホールで、音は良かったと思います。
前から3列目の演奏者のテクニックをあますところなく目にすることの出来る席で鑑賞できたのはA氏のおかげ。いつもながら感謝です!

ところで「チャイコフスキー国際コンクール」と言えば、6月29日、諏訪内晶子に次ぐ17年ぶりのン日本人優勝者と話題になった神尾真由子、14日(日)の朝10時から2時間モノのドキュメンタリー「バイオリニスト神尾真由子・21歳の素顔」がNHK BSで放映されていましたね!ハイビジョンで一度放映されたものの再放送のようですが・・・。
強い意志とパワー。はっきりとモノを言うことのできる性格が印象的でした。
ソリストとして、世界の中で埋没せずに頭角を現していかなくてはならない条件のもと、形成されたものなのか・・・個性的で力強く明確な演奏(多分ご本人も)が面白く、良く出来たドキュメンタリーだったと思います