◆僕らが(僕が)大江健三郎に引かれる理由は、前にも書いたが、あからさまに欧米の詩人、思想家、作家からの引用を作品の中で開示され、それに魂が鼓舞されて、読者にその動機を同期させてしまうようなところがあるからである。「読書には時期がある」と彼は書くが、まさに若くなければ読めない。内容については、彼自身フィクションであると書いてあり(八章「虚構の仕掛けとなる私」)、思考実験のようなところもあるからそのまま信じれば危ないし、そもそもノンフィクションはそうなのだが、これはあまりに恣意的、技巧的ありえないと吐き気があるところがある(僕が歳をとったせいだ)が、有機的な人という生き物が思考により言葉で技巧的に魂が肉体から引き裂かれるような思いにさせられるところがある。◆結局、人という生き物は救済の方向に向かわざるを得ないである。あの批評家は、本来、娯楽小説ではなく、真に文学を目指す者は、そういう人と言う生き物の深い次元の永遠普遍の魂のありようを表すように研鑽を積まねばならないものであると語っているのだ。師である、渡部一夫教授でさえ、大江が読んで強くひきつけられていた「ガルガンチャとパンタグリゥエル」の翻訳し、当然のことながらその精神的土台になっている2000年前に死んだ、大戦を経験し、あの男のことのその死の意味を深く思いつつあったのだから。◆結局、彼も社会運動に触れ、第一に光君が生まれ、魂の救済に向かうのではなかったか。(九章「甦るローマン主義」)
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