mapio's STREETS OF MOVIE

観た映画の感想とそれから連想したアレコレ(ネタバレ有)。

リクルート THE RECRUIT

2007年09月17日 | Weblog
監督: ロジャー・ドナルドソン
製作: ジェフ・アップル
   ゲイリー・バーバー
   ロジャー・バーンバウム
製作総指揮: ジョナサン・グリックマン
   リック・キドニー
脚本: ロジャー・タウン
   カート・ウィマー
   ミッチ・グレイザー
撮影: スチュアート・ドライバーグ
編集: デヴィッド・ローゼンブルーム
音楽: クラウス・バデルト

出演: アル・パチーノ:ウォルター・バーク
   コリン・ファレル:ジェイムズ・クレイトン
   ブリジット・モイナハン:レイラ・ムーア
   ガブリエル・マクト:ザック
   ユージン・リピンスキ:ハスキー
   ケン・ミッチェル:アラン
   クリス・オーウェンズ
2003/米/115mins.    ☆☆☆★

 CIAのリクルート活動とスパイ養成を題材にしたサスペンス。CIAにスカウトされたエリート学生が、過酷な訓練の過程で張り巡らされた数々の罠と、背後に蠢く陰謀に悩み、翻弄されていく姿をスリリングかつトリッキーに描いています。実際にCIAスポークスマンの協力を得て、複雑な新人採用のプロセスや育成の方法といったCIAの知られざる内幕をリアルに描写してます。主演は、名優アル・パチーノと、注目の若手「マイノリティ・リポート」「フォーン・ブース」のコリン・ファレル。監督は「カクテル」「13デイズ」のロジャー・ドナルドソン。
 マサチューセッツ工科大学の学生ジェームズ・クレイトン(コリン・ファレル)は、その優秀な成績から、卒業後の進路もPCメーカーから特別に誘いを受けるなどエリート街道を約束されていた。ジェームズはある日、アルバイト先のバーでCIAの首席教官であるウォルター・バーク(アル・パチーノ)にリクルートされる。バークはジェイムズに関する情報を全て調べ上げたうえ、その能力を見込んで採用するために訪れたのだった。ジェームズは、父の死の謎がCIAにあることを知り、この申し出を受ける。特別施設に集められたジェームズたちは、過酷な現場訓練と心理操作を叩き込まれていく。やがて彼は、訓練生のレイラと心を通わせるが、バークの仕組んだ拷問に屈したため訓練から外される。これは、ジェームズを秘密工作員に仕立てるための偽装。そして最初の任務は、二重スパイの容疑がかかるレイラの監視だった…。
 興奮するスパイ映画は数あれど、本作はスパイ養成の時点というよりスパイへの勧誘の時点からハラハラさせられる、徹底的なサスペンスです。秀才のジェームズとベテラン教官バークの出会いから、何を信じていいのかわからないスリルに満ちています。果たして、CIAの新人採用はどのように行われているのか? 秘密工作員はどんな風に育てられるのか? 現実には、映画の中に登場する特別訓練所「ファーム」の存在も、その中身も明確にされていないが、『リクルート』では、これまでベールに隠されてきたエージェントの訓練施設を、CIAの全面的な協力のもとリアルに映し出しています。
 幾重にも仕掛けられたトリックを潜り抜けるのは誰か? 役者たちの間にも緊張感が張り詰めています。特に、ベテランの風格で隙なく行動していくアル・パチーノ、惑わされながらも鋭い勘を発揮していくコリン・ファレルという図式は、ストーリーの上でも演技の上でも効果的に表されていたようです。
 前半は、CIA(だけではないと思いますが)がどうやって新入社員を採用し、育てるのか、その過程をじっくり見せてくれます。よく考えると絶対あり得ないような…いえ、きっとスパイたちはこんなにも厳しいOJTをやっているのだ! 何せ本物のCIA広報部が、「映画史上、もっとも正確にわが組織を描いた作品だ」とまで語ったそうだから、ここは彼らを信じきって見ましょう。
 サスペンスとしての出来は平凡ですが、二転三転する意外な結末はなかなか。なにより題材選びが秀逸です。CIAに興味がある方なら、より楽しめるでしょう。