母は１９８５年に膵臓癌で他界した。 母は前年８月に出産したばかりの私が子供を連れて母のいる病院へ行くのを極力嫌がった。 「幼い子供をこんな病院へ連れてきてはいけない。 どんな病気が悪い影響を与えることになるか知れないから・・・」と。 とっても辛かった・・・。 それでも主人に娘を任せておける時間には、付き添った。 当時は今ほどに医学も進歩しておらず、痛み止めの注射や点滴がほとんど効果がない状態であった。 「この世の地獄」だと思うような苦しみようにそばにいる私はオロオロするばかり。 何とかしてあげたい・・・痛みをとる方法はないのか・・・。 担当の医師は「心臓が強いから」まだ死なないのだと言うような説明をされた。 本当に苦しみ苦しみ痛がって亡くなった。父は２０００年に心臓梗塞で亡くなった。 救急車で病院に搬送され意識の戻らないまま２５日間生きたが、いや生きたと言えるんだろうかと今になっては思う。 当時、本人に意識はあると聞いた。 だからこちらが話していることは聞こえているのだと・・・。 でも何も意思表示もできない。 ただただタンをのどに詰まらせては苦しんでいる状態であった。そのたびに看護士を呼び吸引してもらう。 そしてついに胃ろうした。 何の情報もなく・・・受け入れた。 今のようにさまざまな情報はなく、ただただ医師の言うままに・・・。 それが良かったのか悪かったのかさえ全く判断する術はなかった。 「植物人間と同じ」と言う言葉が頭にあっただけ・・・。
両親を看取り、私自身も年を重ね、身体の随所に悪い所もでてきて、先行きを考えることがある。 安らかに死にたい！誰もが考えるであろうように私もそう思う。 親の苦しむ姿を見て、もっと楽に死ねないのかと思った。 よく眠るように亡くなったという人の話を聞く。 そんな死に方をさせてあげたかった・・・などと思う。
尊厳死と言うことが話題になるが、一体自身についてはどうなのだろうかと思う。 楽にこの世を去りたい、でももしも大切な家族が今、目の前で・・・と思うとさて・・・。 でも自身については「母さんに何かあったら延命治療は要らない」と言っている。 生老病死（生まれること、老いること、病気になること、死ぬこと）この四苦は誰も避けられない。 ならば今を現在をひたすら生きること・・・。 そう、ひたすら・・・。
今まで生きてきて後悔することばかり悔やむことばかり多い中、「過ぎ去ったことはもうどうしようもない。 今をきちんと生きることだ。」と言い聞かせながら・・・。
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