ギター仲間に、「認知症と闘うギタリスト」を自称する人がいる。
「老いを笑い飛ばす」というのは、なかなか元気の出るコンセプトであろう。
若者がやったらひんしゅくを買うだろうから、年寄りの特権とも言える。
ギター歴50年にもなると、そろそろ「引退公演」も考えなければならない。
努力をしなくても勝手に手が震えるので、速いフレーズやトレモロなどが上手になり、視力が衰えて楽譜が見えなくなるから、否応なく暗譜するようになる年代である。
もちろん記憶力も衰えているので、弾きながら適当に曲をアレンジするという芸当もできる。
その辺のところを考慮しながら、一つコンサートの企画を立ててみた。
キャッチフレーズは「老人ボケを吹き飛ばせ」。
最初はまず開演の挨拶から。
「本日はようこそ認知症と闘うギタリストのコンサートにおいでくださいました。さっそく最初の曲をお贈りしましょう。えーっと...、なんでしたっけ。」
プログラムはスタンダードなものとして、「忘れもぐさをあなたに」「君の名は(忘却とは忘れ去ることなり)」「花はどこへ行ったの」「あなたはたあれ」「明日があるか」といったところだろうか。
オリジナル曲としては次のようなもの用意しよう。
「忘却のソナタ」「徘徊のバラード」「永遠の別れのブルース」「朝ごはんはまだ食べてない」「昨日と明日の間の時間」「お迎えは白装束で」「男は読経(どきょう)」。
ある病院の認知症専門病棟で、患者の服の背中に「太郎」とか「花子」などの名前が書いてあるのを見た。「背中に名前を書かないで」という曲もインパクトがあって良いかも知れない。
ちょっと洒落たショートミュージカルも考えている。
映画「カサブランカ」のハンフリー・ボガードを真似て、
「昨夜(ゆうべ)はどこに行ってたんですか?」
「そんな昔のことは憶えちゃいないな。」
「今夜は病院に行きましょうね。」
「そんな先のことは分からないね。」などというセリフを入れよう。
フィナーレは演奏が終わった後、みんなで「よいしょっと」などと言いながらよろよろと立ち上がり、拍手喝采の中でお辞儀をするというのでどうだろうか。
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