本朝徒然噺

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末廣亭7月上席

2005年07月03日 | 落語
新宿末廣亭へ行った。

「上席(かみせき)」とは、毎月1日~10日の興行のこと。
11日~20日を中席(なかせき)、21日~30日を下席(しもせき)という。
1月だけは、1日~10日を初席(はつせき)、11日~20日を二之席(にのせき)という。

7月上席の末廣亭は、落語芸術協会(芸協)による興行。

東京には、落語協会落語芸術協会という2つの団体があり、東京の落語家の多くはこのどちらかに属している。東京の寄席では、鈴本演芸場を除いて、落語協会と落語芸術協会の興行が10日間ずつ交互に行われる。
このほか、立川流(たてかわりゅう)や円楽党などがあるが、こちらは寄席の通常の興行には出ない。

芸協の興行を見たのは久々だが、見た後にとても充足感のある興行だった。
見ている途中も、不思議と飽きない。
芸協は、ベテランの落語家と若手の落語家がほどよい配分で出演するうえ、かけられるネタもバラエティーに富んでいるからかもしれない。

落語協会の興行だと、見ている途中でちょっと飽きてしまうことがある。
若手や中堅の落語家ばかりで大ベテランの落語家が出ていなかったり、噺に個性が感じられなかったり……。それなりにうまく、きれいにまとまっているのだろうけれど、客席で聴いていると「噺を追ってるだけ」にしか聞こえないときも……。
(落語協会の噺家さん、もしもこれを読んでいたらゴメンナサイ……)
ベテランと若手、新作の人と古典の人、いろんな一門の人を、もっとバランスよく編成してくれるといいのになあ……。

芸協の興行だと、ベテランも若手も、噺に個性が出ている感じがして、不思議と飽きない。
寄席でよくかかる噺をしていても、「聞き飽きた噺」という感じがしないのだ。
そんなにうまくない人でも、不思議と飽きなかったりする(うまくない人だと、聴いててツライときももちろんあるけれど……)。

寄席へ行くとたいてい、途中で1、2度はウツラウツラしてしまう私なのだが、今日の芸協の興行は、まったくそんなことがなかった。
お客さんもよく笑っていたし、とても楽しい雰囲気であっというまに時間が過ぎた感じだった。
正直言って、「行こうかな~、やめとこうかな~」とちょっと迷いながら末廣亭へ行ったのだが、出るときには「来てヨカッタ」と思った。

そういえば、私が「寄席っておもしろいな」と思って足しげく寄席に通いはじめた時期は、ほとんど芸協の興行を見ていた気がする。その当時は、落語協会・落語芸術協会の区別など意識していなかったけれど。

芸協も、ここ数年で桂文治、桂枝助、春風亭柳昇、春風亭柳橋といった大ベテランが次々と鬼籍に入ってしまったうえ、体調不良で寄席に出ていない人もいるので、どうなることやら……と心配していたのだが、今日の興行を見てちょっと安心した。
あとは、若手の人をもっとうまく登用して、後進の育成に力を入れてくれるといいなあ……。
ビバ、芸協!

ちなみに、今回の興行のトリは、上方落語の笑福亭鶴光師匠。
「紀州」という噺を、上方風ににぎやかに演じていて、面白かった。

ところで、「鶴光」は「つるこう」とは読まないということを、ご存じですか?
正しくは、「つるこ」と読みます。アクセントは「る」の部分につきます。
先日、「トリビアの泉」という番組で、このことがトリビアとして紹介されていて、「60へえ」くらいついていました。
これで6000円ももらえるなら、早くに自分が送っておけばよかったと、ちょっと悔しい……。
関西では常識だと思っていたのだけれど、今の若い人は意外と知らないのかな!?

ちなみに鶴瓶師匠も「つるべい」ではなく「つるべ」。


<本日のキモノ>
6月26日のコーディネートと同じ、麻の葉模様の綿麻の浴衣+半衿、襦袢に、博多織の献上八寸名古屋帯。
今回は、忘れずに金平糖の根付のアップを撮影。

金平糖の根付