
祇園甲部の芸妓さん・舞妓さんたちによる舞の会「温習会」を見に行きました。
祇園甲部では、井上流の京舞を舞うことが決まりとなっています。
昔はいろいろな流派の舞が舞われていたのですが、「都をどり」が始まる時、祇園甲部では井上流の京舞のみと定められたのだそうです。
井上流の京舞は能楽の流れを汲んでおり、曲目の中にも能を題材にしたものが多くあります。
舞う時も表情を作らず、能面のようにして舞います。能の「仕舞」と似ています。
ただ、能とちがい花街の舞なので、格調高さの中にもどこか艶やかな感じがあり、曲目もバラエティーに富んでいます。
祇園甲部では、毎年4月に「都をどり」が行われますが、都をどりがどちらかというと観光用のイベント的要素が強いのに対して、温習会は、日ごろの研鑽の成果を発表する会といった意味合いが強いようです。そのため公演時間も「都をどり」に比べて長く、演目も多岐に渡っています。舞や邦楽が好きな人にとっては見どころの多い会と言えるでしょう。
都をどりは何度か見に行ったことがありますが、温習会は今回が初めてです。客席にはお茶屋さんの常連さんも多いと聞いていたので、ちょっと緊張しながら、祇園の歌舞練場へ向かいました。
温習会は10月1日から6日まで行われますが、その間、花見小路は「温習会モード」になります。
花見小路の入口には、温習会の看板が掲げられます。

通りの両脇には温習会の行灯が立てられています。

お店の軒先には温習会の提灯が下げられています(冒頭写真)。
少し早めに祇園に着いて花見小路を歩いていると、温習会へ向かう舞妓さんを見かけました。

温習会に出演する時には、舞妓さんは正装の黒紋付を着ます。
夏の正装は絽の黒紋付ですが、今は夏ではないので、お正月に着る黒紋付と同じ、裾に綿が入った着物を2枚重ねた「2つぶき」になります。
正装の時の帯は、金糸をふんだんに使った錦の丸帯で、帯締めや帯留めは使いません。
裾に綿が入った2枚重ねの着物、錦の丸帯を合わせると、10kgくらいの重さになるそうです。これを着て舞を舞うのですから、舞妓さんには体力も必要なのです。
会場へ向かう時から温習会の雰囲気を満喫し、歌舞練場へ到着。
座席は、何と最前列です。舞妓さんや芸妓さんの舞を近くで見られるのはうれしいのですが、さすがにこちらも緊張します。
最初に、舞妓さんたちによる舞が披露されました。黒紋付の舞妓さんたちがずらりと並ぶ様子は圧巻でした。
前日の夜お座敷に来てくださった舞妓さんも出演していました。どの舞妓さんも一生懸命に堂々と舞っていましたが、そのなかでもとりわけ堂々として見えました。
その後は、芸妓さんたちによる舞がいろいろと披露されます。
京舞井上流の伝統的な舞から、長唄舞踊の「娘道成寺」や「元禄花見踊」を京舞にアレンジしたものまで、演目は多岐に渡っていました。
約2時間半の公演で、なかなか見応えがありました。
欲を言えば、井上流京舞の伝統的な曲をもっと多くしてもらいたいなあ……と思いました。
長唄や常磐津の舞踊をアレンジしたものが多くなってしまうと、「都をどりの長いバージョン」という感じで、ちょっと残念な気がします。
せっかくの会なのですから、井上流ならではの舞をもっとたくさん見たかったな、と思いました。
客席には、舞妓さんや芸妓さんのほか、お茶屋や置屋の女将さんらしき人もたくさんいらっしゃいました。舞台を見ても客席を見ても「目の保養」という感じでした。
休憩時間になると、出番を終えた舞妓さんや芸妓さんが客席に来て、顔見知りのお客さんに挨拶をしていました。
前日の夜にお会いした舞妓さんが、黒紋付のまま、私たちのところへも挨拶に来てくれました。「おねえさん、おおきに」と言われると、面はゆいですがうれしいものです。
舞妓さんは高校生くらいの年齢なのに、みなさんしっかりしていて感心することしきりです。
温習会の終演後も普通にお座敷があるので、舞妓さんや芸妓さんは大変です。本当にえらいなあ……と思います。
<本日のキモノ>

旅行で歩き回るので、軽くて汚れが目立たない着物にしました。写真だとわかりにくいですが、白地に黒の細かい子持ち縞の小紋です。
あまりふだん着っぽくならないよう、帯や帯揚げ、帯締めをはんなりとした雰囲気のものにして、よそゆき感を出してみました。
帯は、エンジ色のちりめん地に、丸窓とお茶屋さんが描かれているものです。お茶屋さんの入口にある提灯が、祇園の「つなぎ団子」と同じ柄になっています。
江戸風の縞の着物に、京都をイメージさせる帯。対照的な組み合わせですが、合わせてみると意外にしっくりするので不思議です。
帯揚げと帯締めは、白地に赤が入ったものです。
草履は黒で、鼻緒に赤が入っています。
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祇園甲部では、井上流の京舞を舞うことが決まりとなっています。
昔はいろいろな流派の舞が舞われていたのですが、「都をどり」が始まる時、祇園甲部では井上流の京舞のみと定められたのだそうです。
井上流の京舞は能楽の流れを汲んでおり、曲目の中にも能を題材にしたものが多くあります。
舞う時も表情を作らず、能面のようにして舞います。能の「仕舞」と似ています。
ただ、能とちがい花街の舞なので、格調高さの中にもどこか艶やかな感じがあり、曲目もバラエティーに富んでいます。
祇園甲部では、毎年4月に「都をどり」が行われますが、都をどりがどちらかというと観光用のイベント的要素が強いのに対して、温習会は、日ごろの研鑽の成果を発表する会といった意味合いが強いようです。そのため公演時間も「都をどり」に比べて長く、演目も多岐に渡っています。舞や邦楽が好きな人にとっては見どころの多い会と言えるでしょう。
都をどりは何度か見に行ったことがありますが、温習会は今回が初めてです。客席にはお茶屋さんの常連さんも多いと聞いていたので、ちょっと緊張しながら、祇園の歌舞練場へ向かいました。
温習会は10月1日から6日まで行われますが、その間、花見小路は「温習会モード」になります。
花見小路の入口には、温習会の看板が掲げられます。

通りの両脇には温習会の行灯が立てられています。

お店の軒先には温習会の提灯が下げられています(冒頭写真)。
少し早めに祇園に着いて花見小路を歩いていると、温習会へ向かう舞妓さんを見かけました。

温習会に出演する時には、舞妓さんは正装の黒紋付を着ます。
夏の正装は絽の黒紋付ですが、今は夏ではないので、お正月に着る黒紋付と同じ、裾に綿が入った着物を2枚重ねた「2つぶき」になります。
正装の時の帯は、金糸をふんだんに使った錦の丸帯で、帯締めや帯留めは使いません。
裾に綿が入った2枚重ねの着物、錦の丸帯を合わせると、10kgくらいの重さになるそうです。これを着て舞を舞うのですから、舞妓さんには体力も必要なのです。
会場へ向かう時から温習会の雰囲気を満喫し、歌舞練場へ到着。
座席は、何と最前列です。舞妓さんや芸妓さんの舞を近くで見られるのはうれしいのですが、さすがにこちらも緊張します。
最初に、舞妓さんたちによる舞が披露されました。黒紋付の舞妓さんたちがずらりと並ぶ様子は圧巻でした。
前日の夜お座敷に来てくださった舞妓さんも出演していました。どの舞妓さんも一生懸命に堂々と舞っていましたが、そのなかでもとりわけ堂々として見えました。
その後は、芸妓さんたちによる舞がいろいろと披露されます。
京舞井上流の伝統的な舞から、長唄舞踊の「娘道成寺」や「元禄花見踊」を京舞にアレンジしたものまで、演目は多岐に渡っていました。
約2時間半の公演で、なかなか見応えがありました。
欲を言えば、井上流京舞の伝統的な曲をもっと多くしてもらいたいなあ……と思いました。
長唄や常磐津の舞踊をアレンジしたものが多くなってしまうと、「都をどりの長いバージョン」という感じで、ちょっと残念な気がします。
せっかくの会なのですから、井上流ならではの舞をもっとたくさん見たかったな、と思いました。
客席には、舞妓さんや芸妓さんのほか、お茶屋や置屋の女将さんらしき人もたくさんいらっしゃいました。舞台を見ても客席を見ても「目の保養」という感じでした。
休憩時間になると、出番を終えた舞妓さんや芸妓さんが客席に来て、顔見知りのお客さんに挨拶をしていました。
前日の夜にお会いした舞妓さんが、黒紋付のまま、私たちのところへも挨拶に来てくれました。「おねえさん、おおきに」と言われると、面はゆいですがうれしいものです。
舞妓さんは高校生くらいの年齢なのに、みなさんしっかりしていて感心することしきりです。
温習会の終演後も普通にお座敷があるので、舞妓さんや芸妓さんは大変です。本当にえらいなあ……と思います。
<本日のキモノ>


旅行で歩き回るので、軽くて汚れが目立たない着物にしました。写真だとわかりにくいですが、白地に黒の細かい子持ち縞の小紋です。
あまりふだん着っぽくならないよう、帯や帯揚げ、帯締めをはんなりとした雰囲気のものにして、よそゆき感を出してみました。
帯は、エンジ色のちりめん地に、丸窓とお茶屋さんが描かれているものです。お茶屋さんの入口にある提灯が、祇園の「つなぎ団子」と同じ柄になっています。
江戸風の縞の着物に、京都をイメージさせる帯。対照的な組み合わせですが、合わせてみると意外にしっくりするので不思議です。
帯揚げと帯締めは、白地に赤が入ったものです。
草履は黒で、鼻緒に赤が入っています。

