良い子、悪い子、こまりん子

幼児教育20余年。多くの子ども達を育て、ママ達の悩みに耳を傾けてきました。辛口アドバイスも含め、子育ママ達にエールを!

たくさんの「語彙」を身につける

2006-06-14 10:00:12 | すてきパパママにご提案
 
 私の母は昭和6年生まれ。
典型的な大阪のおばちゃんですが、それでも一つの救いは、ずっと仕事をしていたため、とんでもないトンチンカンなことは言ったりしたりはしない・・・そう思っていました
 しかし、最近とみに思うのは、残念ながらここ1年、母が「普通のおばちゃん(年齢的にはおばあちゃん、ですよね)」になってしまっていることです まあ、どんな人も、年齢には勝てないのでしょうねえ、はっはっは
 
 先日、母は行きつけのデパートで、父のスーツ用のベルトを購入しました。
父はまだ現役で、週に数回会社に出社していますが、父には現在持病があり、すでに自分でパジャマからスーツに着替える、という行為は自力では出来ません。当然、母が着替えの手伝いをしますから、スーツ用のベルトは父のベルトでありながら、「母が扱い易いもの」ということが、品物選びのポイントだったんですね
 しかし、母はあまり吟味せず、今まで使っていたものと同様に見えるものを買いました。
 すると、実際にはとても使いにくく、金具からベルトを抜くためには、ぎゅーぎゅーと爪で押さえたり引っ張ったりしないと外すことが出来ず、爪の先が割れてしまった、と言うのです

 母はお掃除やお料理など、主婦業だけでいえば器用な人ですが、巧緻性や要領の面で言えば、かなり「トロい人」であることは否めません
 結局、デパートに持って行き、事情を話して、交換をしていただけるのであれば、是非交換をしておらおう、ということになりました
 幸い、カード精算をしていたこともあり、タグははずしてしまっていたものの、レシート等は手元にありました。

 さあ、いざいざデパートへ
ということで、私も一緒について行きました。
 母は紳士用品のフロアを確かめ、男性の店員さんを見つけて、購入したベルトを箱から出して話し始めました

 「あのね、これなんですけどね、私、ここをぎゅっとしないと外れなくて・・・そしたらほら、爪がこんなでしょう?この間も主人は同じようなものをしてたので、いけるわーと思って買って帰ったら、ちょっと違うみたいで・・・ほらあ、主人は自分で出来ないから、私がしないといけないでしょう。そうなったら、ここんところが固くて、うまいこと出来ないと・・・ほら、ね、なかなか外れないでしょ・・・」
 私は、この様子を見ていて、卒倒しそうになりました
私のクラスの年少児でも、しっかりとした生徒さんであれば、もっともっと上手に話します
 もし、目の前で話しているのが母でなかったら、きっと私は、このおばあさん、いったい、何が言いたいの?何をしたいの?デパートの方に何をしてほしいの?わけわからーんと思ったでしょう。

 ふん、ふん、とうなずき、母の相手をにこやかにしてくださっていた店員さんがあまりにお気の毒で、私はとうとう後ろから近づき、話しました

 「いやいや、長い話で申し訳ございません じつは、先日こちらで母がいただいて帰ったこのベルト、すでにタグはとってしまっているのですが、交換していただけるのであればありがたいのです。父が使うものではあるのですが、事情があって母にとって使い勝手の良いものを探していたのですが、少し、これは扱いにくかったらしくて。レシートはもってきているのですが、いかがでしょうか?もし、交換が無理なようでしたらこれはこれで頂戴して、新しい、母が扱い易いものをいただこうと思っています・・・

 「そういうことでございますか。どうぞどうぞこちらに 奥様の扱い易いものを一緒にお探しいたします。交換もさせていただきますし、金額に差が出ましても、きちんと問題なく処理できますので」とお応えくださいました。

 母は、なぜか呆気にとられている様子。いかにそのベルトが外すのが難しく、そしてそのせいで爪が割れたこともまだ言ってないし、父ではなく、自分が上手に使う必要がある、ということも話していない 大事なことは、まだ何も言っていないのに・・・
 それなのに、どうしてこんなにあっさりと、話が終わってしまったのかしら?もしかしたら、私がきちんと小綺麗な身なりをしているからかしら、ふふふ・・・

 おわかりいただけるでしょうか?
話し方って、大切ですね ましてや、それが「説明する」ことであると、たんに「話す」以上に、大変な作業です

 「話す、おしゃべりをする」は、あくまで自分が勝手に話すわけですから、万が一、相手が何も理解出来なかったとしても、誰にも迷惑はかかりません。
 よくありますよね。お年寄りが二人、にこやかに話しているから、さぞかし楽しい話題で盛り上がっているのだろうと思いきや、実際には自分の孫の自慢話で、それぞれがたんに自分の言いたいことを話しているだけ・・・「まあ」「それはそれは」などと相づちは打っていても、それはあくまで合いの手のようなもので、相手の言ったことに同意をしたわけでも、理解したわけでもない・・・敢えて言えば、はい、次は私が話す番ね!という意志表示のようなもの・・・

 しかし、「説明する」は全く意味が違います
話している相手が理解できなければ、その会話は意味がありません。
 要するに、私の母がデパートの店員さんを相手にしていたのは、「勝手な自分の話」であって、「伝えるべきことを伝えようとしていない」「何をして欲しいのかを、相手にわかるようには話していない」ということなのでした

 私はここ数年、最近の子供達は、「言語の分野で遅れている」ということをよく指摘します。まさに、私の母状態、です。
 自分の勝手なことは話せても(たくさんの流行語を使って、です)、伝えようとすると、いっこうに先に進まない・・・あのね、そのー、とか、こんなふうに、とか、擬音や擬態語はたくさん登場しても、大切な要点は全く説明しきれない・・・

 「あのね、ここがね、ぎゅーってなってね、ちょっとほらあ、あの、あのね、ちょっとぼくのね、あの、ほら・・・」
みたいな言葉では、何も伝えられません。

 じつは、説明をするためには、「たくさんの語彙」が必要なのですが、その語彙が極端に少ないのも問題なのです
 
 たとえば、体調の不良を伝えるにも、実際にはたくさんの言葉が必要です。
痛い、痒い、だるい、重い、etc. そして、痛いには、ずきずき痛い、ぎゅーっと痛い、きりきり痛い、など、痛さを表すための多くの言葉も必要になってきます
 ここでは、この私の考えがいかに生活の上で大切なことなのかをご理解いただくために、敢えて「体調不良について」を例に出しましたが、実際には、子供達の世界でも、説明は重要な位置を占めているのですよ
 幼稚園や保育園生活でも、いかに自分の意志を伝えるかによって、相手に理解を得られるかどうかが決まってきます。それは自分のポジション、自分の居場所を決める行為でもありますから

 「○○ちゃんってね、ママ、何言ってるかわかんないんだよ!」
などと家で言ったりしませんか?こんなふうに言われている○○ちゃんは、きっと子供の世界の中でも「こまったちゃん」の扱いを受けているに違いないのです 
 子供の世界では、子供なりの力は必要なのであって、決して「子供なんだから・・・」ということはあり得ません。だって、まわりは全員子供なのですから

 さあ、しっかり、要領よく、相手に伝え、理解してもらう重要性をまずは意識させ、幼い頃から、自分の意志や物事を表現するために、一つでも多くの語彙を学ばせてあげましょうね



  本日の「アンキッズクラブ」

サッカーのワールドカップ、始まりましたね
初戦のオーストラリア戦、残念でした

 ということで、世界中のたくさんの国々が参戦しているこのワールドカップ。せっかくの機会です。ぼんやりと見る?子供だから関係ない?
 いえいえ、世界中のいろんな国を知るのは、じつはとっても楽しいものです
 是非、子供でもみられる世界地図をどうぞ




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