良い子、悪い子、こまりん子

幼児教育20余年。多くの子ども達を育て、ママ達の悩みに耳を傾けてきました。辛口アドバイスも含め、子育ママ達にエールを!

子どもの世界も苦労あり

2009-07-21 17:15:29 | こまりん子、こまりんパパママ
 すっかりご無沙汰してしまいました

 さてさて。私が日頃お母様方とお話をする時、小学校受験のことばかり、お話をしているわけではありません それに、私が子育てに関係する仕事をしている、と聞くやいなや、教室以外のところでは、お母様方の質問攻めに合うこともしばしばです

 そんな質問の中でも、意外と多いのがこういう質問
 『うちの子はとても優しい子で・・・お友達と遊んでいる時、遊んでいる相手にイヤな事をされても、はっきりイヤだ、とか、やめて!とか言えないんです。わが子の不甲斐なさにもイライラしますし・・・正直、相手の子どもには腹が立ちます。どうしたら良いのでしょうねえ?』
 『先生、うちの子ったら、幼稚園でも近所の公園でも、お友達と遊んでいる時、いつも自分の思ったことが言えずに、やられっぱなし、言われっぱなしになってるんです。相手の子を怒鳴りつけたい気持ちになります!』
 そうでしょうねえ。私も二児の母親ですから、お母様方のこういうお気持ちは、よくよくわかります。見ているだけ・・・という親は、本当に辛いですよね

 でもね、私はそんなお母様方のお話を聞いていて、よく思うのです。
そういうわが子の様子を、とても歯がゆく感じて見ていらっしゃるお母様は、きっとご自分が子どもの頃には、はっきりと「イヤ」とか、「止めて」を言えるお子さんだったのだろうなあって。
 もしくは・・・ご自分も子どもの頃には「やられっぱなし、言われっぱなし」のわが子と同じタイプの子どもで、イヤな思いや辛い思い、損な思いをたくさん経験し、何とかわが子には、自分と同じ思いをさせたくないと切に願ってしまう、とか
 いずれにしても、一番大事なことは、「親がそういうわが子にどうさせたいか?」ではなく、子ども本人が「本当は、自分はどうしたいのか?」という思いをきちんと整理して、自らの「本当の思い」を、しっかりと知ることでしょうね

 たとえば、4歳のAちゃんの場合。
 「あのね、先生。私はお友達に~~~されるのはとってもイヤだけど・・・ここでイヤって言っちゃったら、大好きな○○ちゃんは怒っちゃうかもしれないでしょう?私はね、○○ちゃんが好きだから・・・嫌われたくないから・・・何も言わないの・・・」
 私は、このAちゃんの気持ちを聞き、ぐっときてしまいました。
こういう考えを持っている子は多いものですよ。たまたま、例に挙げたAちゃんは4歳ですが、私の娘は4歳どころか、小学校3、4年生の頃も、中高生になってからも、多少、似たような気持ちを持って自分の思いを内に閉じこめ、自家中毒のような症状になったことが何度もありました

 5歳、Bくんの場合。
「ぼくは、泣くほど~~されるのはイヤ ~~されると、すっごく悲しいし、なんで○○くんは、そんなことをするのかあ・・・また明日幼稚園で会ったら、きっと○○くんはぼくに~~するのかなあって思う・・・そう思ったら、幼稚園に行きたくなくなるんだ
 この子の場合は、まさにお母様の心配が的中、ですね。なすがまま、されるがままになっていることに、何の意味も理由もなく、ただひたすら辛い思いをしているだけ、というわけです

 ・・・という具合に。
状況としては、同じように見える「されるがままになっている子ども」でも、実際には「それぞれの思い」があるものです。
 だからこそ親は、「自分の感情」としての思いを押し付けず、ますは・・・

  途中で口をはさみ、親としての意見を言わず、子どもの思いをしっかりと聞いて、最後まで話させてあげること。
  状況がわかったら、「あなたは、○○ちゃん(○○くん)にそうされることを、どのように思っているの?」とたずねてみて、子どもが落ち着いて気持ちを整理し、自分の本心を言葉で表せるような、穏やかな気分にさせてあげること。この2点がとても大切です

 そして、その子どもの思いによっては・・・
 「そっかあ。あなたの大好きな○○ちゃん、なんだもんねえ。確かに、嫌われちゃうのは悲しいかもしれないよねえ。でも、一度、きちんとあなたが、『そんなふうにされることはイヤなのよ!』ってことを伝えてみたらどうかな?そして、『○○ちゃんが大好きだから、我慢をしてたのよ・・・』って、正直に言ってみるのも良いかもしれないわよ。」
 「幼稚園に行くのがイヤになるほどなのねえ・・・今はまだ我慢できても、ずっとこのままだったら、きっとあなたが辛くなってくると思うよ。だから、お母さんは、あなたが辛くなってしまう前に、○○くんに言ったほうが良いと思うよ。『○○くん、ぼく、本当は~~されるのがイヤなんだよ・・・』ってね。あなたがどんなふうに思っているか?どんなふうに感じているかを、まずは○○くんにときちんと伝えるほうが良いと思うわよ。黙っていては、何も通じないもの・・・」
 と、穏やかに話してあげると良いでしょう。

 ただ、中には、「ぼく(わたし)は、ぜんぜん気にならないよ。別にイヤじゃないもん。」
 というような子もいるものです
少々の意地悪をされても、「暖簾に腕押し」状態で、一向に気にならない・・・という子
 こんな子の場合には、わざわざ大人の思いを持って、事を荒立てる必要はないでしょうね そして、もし近い将来、わが子が「気になり始めたら」、その時に「やっぱり、イヤだって伝えるほうがいいわよ。」と教えてあげれば良いでしょう。

 4歳児、5歳児ともなれば・・・親からみると、ただただ無邪気で、普段はあまり何にも考えていないように見える子ども達でも、じつはいろいろと考えているものです
 1歳の世界では1歳なりに、4歳の世界では4歳なりに、6歳は6歳なりに、子ども達は「感じ」「考えて」います。
 その「考えていること」を、きちんと引き出してあげることは、お母様方が思っていらっしゃる以上に重要なことなんですね

 「考える」という行為は、頭の中で行われるものですが、それを表現する時には、「言葉」を使います。自分の感情を整理し、親に伝えるという行為は、言語力の向上、という意味でも、有意義なことなんですね。
 そして、言語力の向上が、子どもと言えども、「上手に世界を生きていく上での大事な手段」となります なぜなら、人が生きていくということは「人と関わり、人付き合いをしていく」ということですからね。

 ここからは、このお話の中では余談ですが・・・
私は、しばしば、クラスが始まる前や、ちょっとした雑談中に、子ども達から「相談を受ける?!」ことがあります。時には、相談というよりも、切実なつぶやき・・・の場合もあります

 「○○ちゃんは、この頃は私と遊ばずに、△△ちゃんと遊ぶようになったの。私、何も意地悪もしていないのに・・・△△ちゃんは意地悪な子で、私が「入れて!」って言ったら、○○ちゃんと二人で遊ぶからダーメ、なんて言うんだよ。○○ちゃんは好きだけど、△△ちゃんはあんまり好きじゃないから・・・どうしたらいいと思う、先生?」とか・・・
 「Aくんは強くて怖い子なんだ。いつもお砂場で砂をかけるんだ。先生に言ったら、Aくんは叱られたの。でも、Aくんは、ぼくが先生に言ったせいで叱られたんだって、すごくぼくに意地悪するんだよ。意地悪すること、先生にいったらダメかなあ?」
 こういう話しをする時には、私はすこぶる真剣に、そこ子達の言い分を聞き、その状況に応じた策を一緒に考えます
 すると、一様に子ども達は、「なるほど・・・」とか「わかった」などと、晴れた顔をしてくれるんですね。

 そして、私はちょっぴり興味があって私があって・・・
「ねえ、今、話してくれたあなたのお話・・・ママにも話したの?」
と聞くと、「話した」という子もいれば「話してない」という子もいます。

 おもしろいことに
大抵、アグレッシブなパパやママのお子さんは、「話していない」というグループの場合が多いのですよ
 子どもはね、とっても自分の親をよく観察しているものです。
だから。アグレッシブな親、批判的な親には、自分のお友達の「マイナス」を話したとたん、すっかり話しが大きくなるに違いないということを、何となく感覚として理解しているのですね
 そして、イヤだなあ・・・と思う事があった場合も「今は、きっとママには言わないほうが良いだろうな・・・」などと判断しているのでしょうね。

 まっ いずれにしても、です。
是非、親がわかっているべきことは・・・
 「子どもにも子どもなりの世界があり、彼らは日々その中で、幼いなりにいろいろと考えて生きているのだ」という事です。
 
 親は、ついついわが子を中心に考え、当然のことながら、わが子がイヤな思い、痛い思い、辛い思いをしないように!という観点から、最善と思われるアドバイスをします。
 けれど、すでに4歳児以降は、子ども達も「大人の世界とさほど違わない問題」等を抱えて暮らしているものですね。
 単純に「善悪」だけでは判断できない場合があったり、善悪だけで判断してしまうと、みながギクシャクしたり、みなが不幸になる場合もある・・・大人社会と同じ・・・まさに大人社会の縮図ですよ

 子どもも、保育園や幼稚園のような集団生活が始まると、わが子の「公園デビュー」のことで悩んでいた頃とはもう違うのです。
 子どもは、すでに「母と子」「親と子」という世界の外で、確かに「自分の世界」を持って暮らしています。
 何でもかんでも親が「すべてを」知りたがり・・・知ることによって何にでも首を突っ込みたくなり、「わが子を中心にして考える」クセは、そろそろ終わりにしなければ・・・わが子が不幸になりますよ、お母さん


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