良い子、悪い子、こまりん子

幼児教育20余年。多くの子ども達を育て、ママ達の悩みに耳を傾けてきました。辛口アドバイスも含め、子育ママ達にエールを!

母国語を大切にする

2012-10-28 11:39:08 | こまりん子、こまりんパパママ
 私達が普段使っている母国語である「日本語」。
その当たり前に使っている・・・話せて当然、と思っている日本語・・・その日本語で「たくさんの言葉」をあやつれるようになるといいですね、というお話です

 じつは、こんなお話があります。
入社2年目のA君。やる気もあり、真面目で、とても好感の持てる青年です そのA君、普段はなかなかお目にかかれない、会社の役員との会食の機会に恵まれました。A君も、A君の直属の上司も、大変喜び
 A君は、滅多にない機会を良い時間にしたい と強く望み、A君の上司は、将来を嘱望される立派な部下をアピールする良いチャンスだと嬉しく思っていました。

 いよいよ会食の日。いつも以上に装いにも気を配り、準備万端。
緊張しながらも、和やかな雰囲気の中で食事は進み、デザートの時間になって、ゆっくりと役員とA君が直接、話す機会がやってきました。
 その役員は、外国語も堪能で、育ちもよく、しっかりとした教育を受けてこられた、ということを聞いているA君。言葉遣いにも気を付けよう、ときっと思っていたでしょうね。

 「A君はとてもがんばっているそうだねえ。どう、仕事は?」
 「はい、学ぶことばかりです。」
 「そうだね、1年、2年は、いろいろと大変だよねえ。社会人となれば、学生の頃と違い、業務以外のことでもたくさん学ぶことはあるからねえ。ところで、A君は大学では何を専攻していたのかな?」
 「はい、一応、経済学を勉強していました。」
 「?そう、一応、経済学をね・・・」

 急に不穏な空気になり、役員の最後の言葉を境に、会話が弾まなくなったことに、残念ながら緊張の中のA君は気づきませんでした

 私は、A君の言葉の意味が理解できる気がします。
彼は、本当はきっとこう言いたかったのだと思います。
 「はい、経済学を勉強しました。しなしながら、しっかりと勉強できたか、となると、大変恥ずかしいことですが、何とも疑問です。」というふうに。
 A君が敢えて付け足した「一応」には、そんな意味があったのだと思いました。

 けれど、役員の耳には、この「一応」は甚だ耳障りな言葉で、本来の「一応」の意味である、「とりあえず、ひととおり」と受け取られ、A君の学びへの姿勢の不誠実さ、不真面目さとして、感じてしまわれたのでしょう。

 世間では、「話しの上手い人」「口下手な人」という言い方があります。確かに、私などは「話しの上手い人」と分類されるでしょう。
 しかし、話しが上手いと言われる人でも、その会話の中に心のこもらないものを感じさせたとしたら?単に話しが上手なだけで、そこに何か深みのなさを感じてしまわれるような言葉であれば、たとえ話しが上手でも、人としては上等とは言えませんね
 また、口下手な人と言われる人で、会話が流れるようにはいかなくても、そこに人間味があり、あたたかさがあれば、その人の人柄は評価され、愛される人となるに違いありません

 A君と役員の会話。
緊張や、何や、いろいろな要素はありますが、やっぱり、話の上手下手ではなく、A君にもっとたくさんのボキャブラリーがあれば・・・

 今では頻繁に使われ、多種な意味を含む「一応」ではありますが、役員の年齢や、対役員との会話、というシチュエーションで、A君が思わず口にしてしまったのは、やはり、日頃から使いこなす語彙に広がりと深さがなかったから、とも言えるでしょう

 国際化の進む中、外国語の習得は必須と思われていますし、実際にこの社会の中で、外国語を堪能に操れることは、社会人としては大きな武器になりますし、人としての豊かさになることは間違いありません
 でも、やっぱり、母国語である日本語の重要性を認識し、しっかりと習得していく中で語彙や表現力を磨いていくこと・・・これは、とてもとても大事なこと、です 母国語の幅が狭ければ、外国語の幅は、もっともっと狭くなる・・・

 A君が、やる気もあり、真面目で、とても好感の持てる立派な青年であるからこそ、残念ですよね
 きっと、A君のような若者が増えているはず、です。その責任の一端は、母国語の大切さを認識していない親にもあるのではないか、と常々感じている私です



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