良い子、悪い子、こまりん子

幼児教育20余年。多くの子ども達を育て、ママ達の悩みに耳を傾けてきました。辛口アドバイスも含め、子育ママ達にエールを!

勘違いの「読み聞かせ」

2008-10-27 18:27:36 | こまりん子、こまりんパパママ
今日は歯科受診の帰りに、久しぶりに駅に隣接している本屋さんに立ち寄りました
 この書店は大きく、さすがに某有名私立大学のお膝元だけあり、専門書からマンガまで品揃えは豊富です。夕方近くだったせいもあり、本屋さんの中は学生の数が多く、熱心に立ち読みをしているようでした
 奥のマンガのスペースと、普通の書籍のスペース、ほぼ同数の学生がいて、これまたほぼ同じ熱心さで立ち読みしているところが、とってもおもしろいな、と思って眺めたものです

 そんな中、今日も、絵本や幼児向けの本のコーナーで、熱心に本を手に取っているママ達の姿がありました
 私は、どんな本屋さんに行っても、必ず幼児向けの本売り場をのぞいて、本ではなく、ママ達の様子に興味を持ち、ながめてしまいます
  お母様達が、どんなふうに本を手に取っているのか?
  どんな本を見ているのか?
  どれくらいの時間、その本をチェックしているのか?
とても興味があります。

 活字離れが叫ばれて久しい現代。
しかし、幼い子どもを持つママ達の「絵本熱」は、むしろ昔以上に高くなっているのではないか?と思えてなりません
 幼児向けの本売り場には、所狭しとカラフルな絵本が平積みにされ、書棚にもたーくさんの本が並んでいます
 私が幼い頃には、せいぜい日本の昔話やイソップ、グリム、アンデルセン童話くらいが関の山、でした。それを思えば、今は、本当にたくさん幼児向けの本が、世界中のさまざまな国からやってきています
 そのすべてを一日一冊読んであげたとしても、義務教育が始まるまでには読み終えないのではないか?と思うほどの数ですねえ
 
 こういう時代になるとともに、幼い子どもとの日課の中に「読み聞かせ」という親子の時間が浸透してきています。
 私がお目にかかる多くのお母様方は、子どもに必ずしている事として「読み聞かせ」をあげられます。
 きっと今では、この「読み聞かせ」は、教育レベルの高いご家庭の「子育ての定番」になっているのでしょう
 確かに、この習慣は、お子様とママ(パパ)との大切なあたたかいふれ合いの時間でしょうし、子どもの想像力や言葉の理解、言葉の発達のためには、本当に価値のある、効果的なものだと思います

 しかし
そういうお題目のような、表面的な?読み聞かせ効果ではなく、あらためて「果たして、私とこの子の読み聞かせは、本当のところは、子どもにとってのどんな時間になっているのだろう??」と、見直してみることも大切だと思うのですが・・・いかがでしょう。
 
 小学校受験のテストの中には、必ずと言ってよいほど、「お話しの記憶」「お話しの理解」という問題が出題されます
 学校側が、わざわざこの傾倒の問題を出題するには、どうしても知りたい「子どもの力」があるからでしょう。
 たとえば、その力とは、子どもの「聞く力」「理解をする力」です。
 しっかりと聞けているかどうか?
  聞いた内容を、理解できているのだろうか?
 先生が本の読んでいる間(テープでお話しが流れている間)、お話しを真剣に聞き、そして理解が出来ているからこそ、その内容を「記憶」することができるのですね。

 ところが・・・です。
私が、年長児になった子ども達に対して、試験のための学習の一環として、ではなく、もっともっと幼い段階、たとえば、年少児や、年中児の春あたりに、「記憶」してもらうためではなく、たんにお話しを聞いて楽しむ・・・という目的のために「読み聞かせ」をしてみると・・・
 きゃーーーーというような反応が常、なんですねえ
 きゃーーーー!という反応。それは、子どもが、普段から、よく耳にしているであろう日本の昔話を聞かせても、予想をはるかに超える「わかっていない」という返事が戻ってきて、愕然とします
 
 この反応には、大きく分けて、2つの原因が考えられます。
  ひとつは、子ども達が、毎日読み聞かせの時に読んでもらっているお話しは、とても幼い頃には「ノンたん」、その次には「ぐりとぐら」、その次には「はじめてのおつかい」、「エルマーのぼうけん」・・・のように、良い!と言われる幼児向け絵本ばかりで、昭和の30年代、40年代前半に育った子ども達のように、日本の昔話などはあまり耳にしたことがない・・・という場合。
  二つめは、とてもよく知っているお話しで、ママ(パパ)にもよく読んでもらっているけれど、聞いているだけで、わからないことがあってもそのママで素通り。だから、内容を聞かれても、よくわからない・・・でも、ぼく、そのお話しは空で言えるよ!みたいなもので・・・という場合、です。

 前者の場合には、私が本を読み終え、子ども達にいろいろとたずねたところで、チンプンカンプンだったとしても、確かに頷けます。初めて聞くような話しであれば、日本の昔話は、時代も違うために、シチュエーションそのものが理解できないから、だからわからない・・・ということは十分に理解できます
 しかし、後者の場合には、そんなに頻繁に聞いてきていたお話なのに、どうしてほとんどと言って良いほど、詳しいことに言及すると、理解できていないのでしょうか?

 それはね。
「読み聞かせ」は、子どもにとって大変有意義なものである!と信じて疑わないご家庭が、気づいていない意外な「落とし穴」なんです・・・
 この落とし穴は、前者のご家庭にも起こりうること、です。なぜなら、私が子ども達に読み聞かせる本を「日本の昔話」ではなく、「はじめておつかい」のようなものにしたとしても・・・読み聞かせた後で、詳しく内容について聞いてみると、???のことが多いものです
 
 要するに。
読み聞かせる本が、すばらしいと評価の高い幼児書でも、絵本でも、昔からある日本のお話しでも、どんな種類の本であったとしても、子どもが聞いている「お母さんの読み聞かせ」が意味、内容の理解できる物語ではなく、単なる音の羅列の『呪文』としてしか聞こえていなかったとしたら???

 昔、私は「ふるさと」という歌を聞くのが、とても嫌いでした どうして大人は、こんなに酷い、怖い歌を歌うんだろう・・・と思っていました。
 はっ???と思われますか?
私は、「うーさーぎーおーいし・・・」という歌詞を聴いて、「ウサギを追う」とは思えず、「ウサギはおいしい・・・あの山のウサギはおいしい・・・」と理解していたのです

 「読み聞かせ」でも、じつは全く同じことが起こっているのですよ。
たとえば、桃太郎のお話。「おじいさんは、シバカリに・・・」これを、子ども達にたずねてみると・・・ 
 「おじいさんは、ぶーんって音のなる機械みたいなもので、芝刈りをしているんでしょ?」
 と言う子がたくさんいます。
 「おばあさんは、川へ洗濯に・・・」これは。
  「おばあさんは貧乏で、洗濯機がお家になかったんでしょう?」という具合。
 おばあさんが作ってくれた「きびだんご」に至っては、全く意味がわからない呪文、です。ですから、「きみだんご」と覚えている子もいますし、「きっびだんご」と言う子もいます(どうも、この子の場合は、歌の歌詞から、このリズムを覚えたようです)

 いかがでしょう?
おじいさんが、どこかの山で、わざわざなぜか芝刈り機で芝刈りをし、貧乏なために洗濯機が買えないおばあさんが、川で洗濯をしていると、川上(先生、「カワカミ」って、どこ?どこにあるところ?とよくたずねられます)から中に赤ちゃんの入った大きな桃が流れてきた・・・・
 ああー、支離滅裂なお話しです

 「読み聞かせ」は・・・子どもの想像力や言葉の理解、言葉の発達のために大変価値のあるもの
 どうでしょう?あなたのご家庭では、実際に、そうなっていますか?
 
 我が家では、子どもが幼い頃から、毎日欠かさずに「読み聞かせ」をしている!という親としての満足感ですっかり有頂天になり、豊かな家庭教育をしている「つもり」になっていませんか?

 子どもを育てていく上では、「読み聞かせ」に限らず、どんなことでもそうなのですが。
 言われたことだけを深い理解もないままに実行し、それをやっているというだけで、自分が教育レベルの高い親だと自負している・・・これは大きな誤解であり、単なる自己満足に過ぎません
 
 中には、「我が家の読み聞かせ」の行為は、「親子の大切な時間」というところだけに価値を置き、それ以上のものを望んでいないですよ!と、おっしゃっるご家庭もあるかもしれませんが、やはりそれは言い訳でしょう 「親子の大切な時間」を望まれるのであれば、もっともっと、価値の高い、楽しい時間があるはずですからね。

 読み聞かせは、字の通り、読んで聞かせる、という行為だけでは、子どもにとっては呪文に過ぎないものです。
 それが、ベッドやお布団に入ってからの習慣であれば、本当に睡眠への導入剤であり、一つの儀式、の意味しかないでしょう
 
 おじいさんが柴刈りに・・・と何度か読んであげたあとで・・・
 「ねえ、ママが言っている『おじいさんはシバカリにって、どんな意味だと思う?』
 と話しを始め・・・
 『昔はね、今みたいに、お台所には便利なガスがなくってね。みーんな、小さな枝に火を点けて、大きな火になってから、もう少し大きな枝を持ってきて・・・』
 と教えてあげると、きっと子ども達は驚くでしょうねえ

 そして、次の日、お台所を覗きにきた時に、言ってあげればどうでしょうか。 「ママは、こうしてお湯を沸かせるけれど、桃太郎のおじいさんは、お湯をわかずだけでも、柴に火をつけないといけなかったのよね。ママは、山に柴刈りに行かなくてもいいから、うれしいわ。昔の人は大変!」・・・・
 
 これで、やっと、子どもの「想像力」が育っていき、語彙も増え、お台所や火、昔の暮らしなどもにも興味が広がっていくかもしれないですね これも、親のリードしだい、です
 さあ、あなたの「読み聞かせ」は大丈夫ですか?


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