今朝、我が家のわがまま娘が、登校前の時間、なぜか今日に限ってのんびりとソファに座って話してくれたのですが・・・
昨夜、サークルの先輩達と、ひと盛り上がりをして帰る時、自転車だった同級生の男の子と話をしながら、地下鉄一駅分を歩いていると、前から、風体怪しいご老人が歩いてくる・・・
結構遅い時間とは言え、人通りもある道なので、まさかとんでもないことは起こらないだろう、とは思ったものの、さすがに娘もお友達も、歩を進めながらも体を硬くしたと言います
何も問題なくすれ違うか?!と思いきや、その瞬間、ご老人は声をかけました
「なあ、ねーちゃん!」娘は一瞬、体が冷たくなったものの、ここで無視をするほうが怖く・・・ 振り返って、ニコリ
「おじさん、こんばんは 夜になっても暑いですねえ」
それから、話すこと15分・・・
ご老人は、先日打ち上げられたテポドンやスカッドミサイルの話、中国の胡錦涛主席の話・・・と、次から次へと持論を展開
社会の動きに疎い娘は、すっかりおじさんの話に魅せられたのだそうです ちょこちょこと相づちを打ちながら話を聞いていると、今度は、おじさんの話題は中国の石炭の話に進み・・・ 話の様子から、ご老人は、元は北海道の夕張炭坑で働いていたらしい・・・
娘にとっても石炭は、父親の長年の仕事として馴染みがあり、父親からよく聞いていた炭坑の町、赤平市の話をすると、おじさんは大感激
さすがに、もういいかな?と思った娘は、「おじさん、そろそろ私、帰るね お母さんが心配するから」と言うと、おじさんは「おー、親と住んでるんか。そりゃあ、心配かけちゃいけねーな」と言って、「元気でな」と声をかけてくれたそうです
おじさんと別れた後、一緒にいた男の子に「おまえ、すげーな」と、妙に感動され、娘はどっと疲れを感じながらも、ほんの少し、心があたたかくなった・・・と話しました
もう10年以上前のことですが・・・
海外出張から久しぶりに帰国する主人に、ビールを買い忘れたことを思い出した私は、深夜、近所の自動販売機まで、車で缶ビールを買いに行ったことがありました
エンジンをかけたまま、自動販売機でビールを買っていると、突然、ふらりとその裏から浮浪者風の老人が出てきて、声をかけられました
「奥さん、ビールかい?」
その時も私は、全く娘と同じ気持ちで、さっと車に逃げ込む?ことができず、「こんばんは」と声をかけたのでした。
「奥さんが飲むビールかい?」とたずねられたので、私は「ううん 主人がね、長い出張から帰ってくるのに、慌て者の私は、昼間の買い物の時に買い忘れてしまってね それで買いにきたんですよ」と話しました。
「幸せもんのダンナだねえ、俺もビール飲みたいけど、金がちょっと足りなくて 今夜はおあずけさ!」と言われ・・・
私は思わず、買った2本のビールのうちの1本を渡して、「おじさん、無事に帰国した主人に乾杯してよ これ、お裾分け!おやすみなさい」と言って、走って車に戻りました
私は、娘の話を聞きながら、長い間忘れていた、その夜の話を思い出し、娘に話してやって、ふたりで笑いました
世の中、本当に殺伐としてきました
こんにちは などと声をかけられて、我が子がにこやかに「こんにちは」とあいさつを返すのが、果たして安全面で良いことなのか?親としては躊躇してしまうような悲しい時代です
とは言え・・・ 今朝の私は、思わず「そうなんだあ、いい事したわね おじさん、きっと誰かと話したかったんでしょう 社会派のぷーたろーさんって、案外たくさんいるのかもしれないわねえ・・・」などと娘との会話を楽しみました。
でもきっと、まったく違うコメントをするお母様もおいでになるだろうなあ、とも思いました。
我が家の娘は、すでに大学生。1から10まで、細々と親が指示をする年齢ではなくなっていますが、これが小学生だったとしたら?
声をかけられて、気軽に反応した、と言われたら、親としては複雑な心境でしょうね。私も、今の子供達に、どのように教えればよいのか?
「善行とは何か?」「安全とは何か?」本当にむずかしいですね・・・
けれど・・・やっぱり、ほんの少し、今朝は娘が登校した後で、ひとりでちょっぴり「ふふふ」と、あたたかい気持ちになれた私でした。
男の私でも、娘さんのような対応出来るかどうか‥‥‥。
物騒な世の中ですし、危ないと言えば危ないのかもしれませんが、
私もこの話しを読んで、ちょっぴり嬉しいというか、あたたかな気持ちになりました。
おそらく相手の方も、話しを聞いてもらって嬉しく思ったに違いありません。
母親としては、娘の優しさ?たくましさ?に「ふふふ」の思いではありましたが、やっぱり、もう二度とこんなことには遭遇しませんようにと祈るばかりです
もしその社会派のご老人に会う機会があるのであれば、今度は娘ではなく、「私」が会えればいいなあ、と思っています
やっぱりダメ母でしょうか・・・