良い子、悪い子、こまりん子

幼児教育20余年。多くの子ども達を育て、ママ達の悩みに耳を傾けてきました。辛口アドバイスも含め、子育ママ達にエールを!

品格・・・母から娘へ

2007-07-07 19:13:40 | つぶやき
最近、頻繁に「品格」という言葉を聞くようになりました
ここ数年は、大学の授業や、お作法の教室のような特殊なところでしか使われなくなり、一般人の普段の生活の中では、すでに死語と化してしまったのではないか?と、大変憂いていた私でしたが・・・
 
 少し前に、数学者である藤原正彦さんがお書きになった「国家の品格」という本が出版され、マスコミでもよく取り上げられたものでしたが、今度は「女性の品格」です
 著者は、坂東眞理子さん。東京大学卒業後、総理府に入省。長年、官僚として従事し、女性初の総領事となられたことでも有名で、現在は昭和女子大の学長を務める優秀な女性です
 今はどんな本屋さんでも平積みになっていますので、すでに、手にとられたことがある、という方も多いのではないでしょうか。
 板東さんは・・・「礼状が書ける」「約束を守る」「型どおりの挨拶ができる」といったふだんの言動に、女性の生き方と品位はおのずと表われる、とおっしゃいます。本当にその通りだと思いますね
 中に書かれた多くのことは、決して「特別なこと」ではありません。どれもこれも、かつては「あたりまえ」として意識もされずに、日本人女性がやってきたことだったのだと思うのです

 先日、ある夕方の番組で、この「女性の品格」を特集で取り上げていました そして、インタビュアーが、町を行く女子大生を中心とする若い女性に「あなたのまわりの、品格のある女性は誰ですか?」という質問をしたところ、多くの人が「松島菜々子さん」と答えていたのが印象的でした
 確かに、美しい女優さんですね 控えめに見えますし、そんな面から奥ゆかしさを感じ、若い女性達が「面識もないのに」、迷うことなくあの女優さんを「自分の身のまわりの、品格のある女性」としてイチオシした意味は理解できます
 
 しかし、その一方で、会ったこともない女優さんを、「自分の身のまわりの、品格のある女性」として推挙する若い女性達に、少し残念な思いがしたものです。
 あくまで、今の女性達にとっての「品格」とは、「目に見えるイメージのようなもの」なんですねえ
 おしとやかそう!きれいだけど、嫌みさがない、押しの強さが感じられない、清潔感がある、等々・・・彼女達は次々に「自分のイメージ」を話します

 もし私が、「あなたのまわりの品格のある女性は誰ですか?」と尋ねられれば、迷わず、私の母と主人の母、この二人を思い浮かべます
 義母は本当に優秀な女性ですが、私の母は不器用で慌て者、頼りなく、父の付属品、のような人です
 しかしその実、私にとっては女性としては非常に存在感があり、とてつもなく大きな人です(身長は146センチ、体重38キロ、という小さな人ですが)。
 私はこの母の「後ろ姿」を見て育ちました。
25歳まで、毎日、母とともに暮らしましたが、さまざまな女性としての、妻としての「いろは」を、母から口述された思い出は一度もありません ひたすら私は、幼い頃から、こっそりと母を眺め、見よう見まねで母の「真似をしてきた」のでした
 結婚後は、とても豪快で明るく、博学な義母から、多くを学びました 義母にはその時、その時で教えを乞い、詳しく教えてもらったものです

 女性の品格・・・それは、その女性の毎日の生活の中で静かに息づく、その人そのもの、だと思います
 そして本来は、娘が母から受け継いでいく「無言の日々の学習」ではないでしょうか
 そして、そのプラスαとして、学校という環境、職場という環境から、女性は学び、身につけていく・・・

 私は、自分の母親の自慢をしたかったのではありません
むしろ私は、敢えて母のことを思い出し、やはり「娘の母」という立場である私自身を顧みて、大きな反省と後悔、娘への懺悔の思いを感じています
 私の娘は19年間、母親である私の後ろ姿を見て、きっと私自身が母から19年間で学んだことの半分も「品格」を学んではいないでしょう

 私は、何とかこの「品格ブーム」がブームに終わらずに、いつまでも女性の心の中に残り、畏敬の念のような思いをもって扱われる「重い言葉」となってくれればいいなあ、と思っています
 そして、世の中の「娘を持つお母様方」が、「品格とか何とか、いろいろ言ったところで、『私』なんだから・・・仕方がないでしょう」というような、一見豪快だけれども、実際にはとてもがさつでいい加減な思いを持たず、あらためて母と娘という人間関係を見直してもらえたら良いなあ、と、心から考えています
 私も、まさにその必要のある母親の一人として・・・


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