良い子、悪い子、こまりん子

幼児教育20余年。多くの子ども達を育て、ママ達の悩みに耳を傾けてきました。辛口アドバイスも含め、子育ママ達にエールを!

第1回川崎港トライアスロン

2008-10-06 12:43:18 | 良い子、良い親!
 会場に大きく響きわたるアナウンス。
「たった今、小学校1年生の○○○○くんがゴールしました。よくがんばりました
 ○○くんは、拳を握りしめ、大きく開いた両手を空に向かって掲げ、笑顔でゴールテープを切りました
 小学校1年生の彼は、1位ではありませんでした。「小学校1年~3年」という分類のグループでは、さすがに、1年生は体も小さく、技術も未熟でしたから。
 でも、彼の笑顔、彼のガッツポーズは、彼にとっては1位にも勝る喜びの表現だったのだとよくよく理解できました

 第1回、川崎港トライアスロン。
昨日は、東扇島で開催されたトライアスロンレースの応援に行きました。観戦の目的は、夫や私のトライアスロンチームの専属コーチ。ワールドカップの日本代表として活躍した後は、トライアスロンや、ランニングなどの指導者として長年活動してこられたのですが、昨日、久しぶりにレースに出場することになったのでした

 私は今まで、東京マラソンのように、夫の出場するマラソンレースを観戦をしたことはあるものの、トライアスロンのレースを観戦した経験がありません。
 実際に、私は、来年の春、石垣島でのレースデビューを目標にしてはいますが、北京五輪をテレビの前で大騒ぎをして観戦した経験しかなく、夫が出たロタでのDVDを観たり、話しを聞いたりはするものの、選手の泳ぎ、自転車、トランジット(トライアスロンでは3種目あります。一つ一つの種目の間にある準備時間や準備ゾーンのことをトランジット、と言います)を観たことはなかったのです 幸い、東扇島までは車で30分程度。これは行くしかありません

 一昨日、場所や時間の確認をしていて、私はふっとあることに気づいたのでした。レースのタイムテーブルを見ていると、「ジュニアの部・キッズの部」とあり、下記の記載がありました。
  小学校1~3年 スイム50m、バイク1Km、ラン500m  小学校4~6年 スイム100m、バイク2Km、ラン1Km  中学生    スイム200m、バイク3Km、ラン2Km  
 ひゃーーー 第1回川崎港トライアスロンには、小学生や中学生の部もあったんだあ
 私は、コーチの応援をする楽しみにプラスして、子ども達のレースを観戦し、是非、多くを感じ、学んでみたい!と心から思いました。

 昨日は、幸いにも晴天 特に午前中は気温も上がり、スイムにはありがたい晴れ、でした。
 でも、小学校1年~3年の部の集合のアナウンスがあり、子ども達が砂浜に集合し、海に少し入ると、「冷てー」の声。
 大人は、スイム用のウエットスーツを着用しますが、子ども達は水着のまま、です。
 砂浜には、選手の父兄達も集まってこられ、思い思いのことを子ども達に叫びます。
 「ちょっと水に浸かってごらん。そしたら、すぐに冷たさに慣れるから!」
 「何言ってんだよ。水はいつも冷たいの!」
 「根性足りない!ほら、ピョンピョン跳んでみて!」etc.
 
 子どものレースは、大人のレースよりも先に行われました。ですから、この子どものレースに出る子ども達は、トライアスリートのパパはママの子ども達がほとんどで、きっと、彼らのスタートを見に来るご両親は、そのどちらかが、ご自分のレースの出で立ちをなさっているに違いない、と思っていました  なぜなら、トライアスロンは、日本では決して大人にもポピュラーなスポーツではないので、子どもがそれをする場合には、必ず親が「トライアスロンを趣味にしていう人」であり、自動的に我が子にもそれを勧める(強いる?!)親だと思っていたからでした。
 しかし、意外にも、半数以上は、親は普通の格好をした人、でした

 子ども達は、総じて興奮気味で、「冷てー」と口々に言いながらも、キャッキャと楽しそうで、すでに意気込んで泳いでいる子もいたほどです
 いやいや、子ども達の泳ぎは上手でしたねえ。「水、しょっぱい」と口々に叫んでいましたから、きっと、彼らは普段、スイミングスクールに通い、プールで泳いでいる子達だったのでしょう。
  
 そんな中で、一人、泣いている女の子がいました 2年生くらいでしょうか。彼女のお父さんは、すでにウエットスーツを着ていらしたので、あきらかにその後の、レースに出られる方でした。
 お父さんは彼女に向かって、何もおっしゃいませんでした。女の子は泣きながらも、何を言うでもなく、スタートする方向を見ながら、それでも、肩を震わせて泣いていました
 私は思わず心の中で「がんばれ!きっとあなたはずっとずっと後になって、パパに感謝する日が来るから」と。

 すでに、かなり以前になりますが、私がブログに書いたことがありましたが、私の両親は、本格的な登山が趣味で、山岳会に所属していました。
 そんなことで、当然のこととして、私は幼稚園の頃から親の登山(高尾山や六甲山のレベルではありません)の趣味を押しつけられ、週末は本格的な山行の練習のため、小さい頃は3キロ、少し大きくなったからは5キロのリュックを背負ってトレーニングの山行をしていました
 
 けれど、小学校3年生の夏、槍ヶ岳山頂から見た雄大な景色や、小学校4年生のGW、北穂高岳山頂からの真っ白な北アルプスの峰々は忘れられません
 まあ、どんな経験も、貴重な財産になるわけで・・・その女の子も、今はイヤイヤでも、テレビの前にごろりと寝そべり、鼻くそをほじほじしているよりは、どんなに価値のあることかしれませんからねえ。
 
 さあ、いよいよスタートです
なかなか彼らの泳ぎは見事なものです。夫と二人、ワクワクして声援を送りました。日頃、スイミングスクールで泳いでいるであろう彼らにとって、50メータは決して長い距離ではないでしょうが、慣れない海でのスイムは、それなりに難しかったようですね
 何よりも、コースロープがないために、まっすぐに泳げないとコースアウトをしてしまいます。ボードに乗って、スイムのコース整備や万が一のために陣取るライフセーバーのお兄さんやお姉さんに、何度も何度も、「ほらー、もっと右、右」と声をかけられながらも、全員が無事に完泳。
 
 次は自転車です。
砂浜に上がった彼らは、一目散にトランジットの場所まで走っていき、靴を履き、ヘルメットをかぶって、自転車を押して走ります。決められた場所までは、自転車に乗ってはいけないのです
 さあ、自転車に飛び乗り、スタート。
このトランジットの時間も、タイムの中ですから、ぐずぐずとやっている暇はありません
 彼らの自転車は、思い思いの自転車です。ヒーローの絵の描いてある子供用の自転車の子、お買い物かごがついた自転車、ちょっと気取ったマウンテンバイク・・・
 大勢の人達(父兄、レースに出る人達、公園に遊びに来ている人達など)の声援を受けて、自転車をこぐ!先導者のおじさんの自転車のあとを、1キロ必死に進んでいきます
 さあ、1キロが終わると、決められた場所で自転車を降り、またトランジットの場所に戻って自転車を置き、ヘルメットを脱いで、今度はランのスタートです。
 ランは500メーター。元気な小学生にとれば、500メーターは長くはありまえんが、緊張の元、彼らはすでに海を泳ぎ、自転車で走った後です。
 でも、果敢に走っていましたねえ・・・ すごいです。顔を歪めて、走る!走る!そして、全員が、手をあげてゴールです
 例の、泣いていた女の子も、結構、良いタイムでゴールをしました。やっぱり泣いていましたけれど・・・

 その中でも、ひときわ嬉しそうにガッツポーズでゴールした1年生の男の子とお父様に、私は思わず声をかけました 彼のお父様は、トライアスリートではありません。
 「おめでとう!とってもステキだったわよ!あなたは1年生なのよね。」
 「そう。1年生。川崎市立○○小学校の1年生。」
 「あなたの、一番好きな種目は何?」
 「むー・・・やっぱり、バイクかな。」
 「そっか。じゃあ、なんでバイクが一番好きなのかな?」
 「だって、速いでしょ。それに、スイムからバイクへのトランジットがおもしろい!」
 「一番嫌いなのは何?」
 「そりゃあ、やっぱりラン!辛いもん!おばさん、トライアスロン、する?」
 「うん、始めたばっかり。まだレースに出たことないから、あなたがおもしろいって言う、トランジットをしたことがないの。おばさんも、トランジット、楽しむようにするわ。」
 「うん、それがいいよ。トランジット、速くね。もたもたしたらいけないんだよ。」
 「わかった!教えてもらってありがとう!おばさん、がんばるわ!」
 彼は、一人前にに、つなぎになった黒の水着姿で、バイバイと手を振り、颯爽とパパと一緒に去っていきました

 お父様に、なぜトライアスロンを?とおたずねをしたところ、1度に3つのことをさせられるので・・・とお答えになっていました。
 ご自分がなさらないのに、不安はありませんか?とおたずねしたら、「いやー、息子がやって楽しそうだったら、僕も始めようかな、なーんてね。そろそろ始め時かもしれませんね、はっはっは!」とおっしゃっていました。

 確かに、成長時の子ども達には、同じ動きばかりしたり、同じ筋肉や関節ばかり使うスポーツよりも、トライアスロンのように、それぞれ違う筋肉を使うスポーツは良い、という考え方もあるようです。
 そういう考え方から、オーストラリアのようなトライアスロン先進国では、5,6歳から、昨日の子ども達のように、気軽にトライアスロンを始めさせ、チーム競技の一員となってプレッシャーを与えず、「一人でひたすら頑張る姿勢」を育てる、という教育も浸透しているのだそうです

 子どもにとって、どんなスポーツが良いか?ということを論じるのではなく、私は、昨日の1年生のトライアスロンレースの様子から、あらためて実感しました。

 「子ども自身が自ら経験し、その経験から喜びを感じ、辛さをもしっかりと味わい、そして、達成感を味わうこと」の価値は大きい・・・と。

 あの泣いていた女の子
ここから先、彼女が「させられている」という思いを払拭し、たとえ「させられる」ことからスタートをしても、やっぱりやっていて良かった!すごい!と思えるようになるためには、親の適切な言葉かけ、リードが必要でしょう
 
 でも、もしかしたら、どんな言葉かけよりも、パパが過酷なレースに参戦し、必死にがんばる姿こそが、彼女にとっては意味があるかもしれませんが・・・

 いずれにしても、とてもすばらしい秋の一日でした


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