良い子、悪い子、こまりん子

幼児教育20余年。多くの子ども達を育て、ママ達の悩みに耳を傾けてきました。辛口アドバイスも含め、子育ママ達にエールを!

子どもの好奇心

2009-03-03 21:38:35 | 良い子、良い親!
 3月1日、三浦国際市民マラソンが開催されました
天気予報では「曇り」。早朝、横浜を出発する時には、確かに「曇り」でした。横浜駅から京浜急行に乗り込むと、すでにランナーと思しき人達がたくさん乗っていて、みなさん、6時台という早朝にも関わらず、どこか興奮気味・・・
 ところが・・・横須賀を過ぎたあたりで、誰かが大きな声で言いました。
 「げーっ!路面が濡れてるー 雨、降ってるよ
ほぼ全員が窓の外を見ました。確かに、雨が降っています

 三浦海岸駅に到着した時には、すでに空は暗く、雨も本降りです。主人も私も、走るための「いろいろ」は考えてしたくはしたものの、どこにも「雨」の予報がなかったため、雨用の備えは何もありません コンビニでは、すでに傘は売り切れ。
 仕方なく、ランニングキャップをかぶって海岸の会場へ移動しました。すでに、参加賞の「三浦大根」を手に、駅のほうに歩いて戻ってくる人もたくさんいました。走ることを断念し、大根だけをもらって帰ることに決めた人達です。

 けれど、会場に到着すると・・・
そこではすでに、陸上部の中学生や高校生が、雨の中、アップを始めていました 5キロのレースに出場するランナー達です。気持ちは、立て直されました
 私も主人も、レースに出ない、という選択肢は考えてはいませんでしたが、ひたすら気になったのは、今年初めて開催される「800メーターのキッズのレース」にエントリーした卒業生ちゃん達のことでした。そして、三浦マラソンが初レースとなる卒業生のパパ、ママ達・・・

 雨は上がる気配もありません 空は真っ暗・・・そろそろ集合の時刻です。パパやママ達は、「大根を持って帰る人達」とすれ違いながら、とっても複雑な思いをしながら歩いていらっしゃるに違いない、と思いました 私がお誘いしたのではなく、個人で出場をお決めになっていたなら、きっと、誰に気遣うこともなく、さっさと駅から「回れ右」をなさるだろうなあ・・・そう思いました
 大事な大事なお子さん達です。日頃は、傘なしで歩くことなどなく、寒ければ風邪を引かせないように着込ませ・・・こんなザーザー降りの中で、走らせる???こんな寒い日に、雨に濡れさせる???

 天候「雨」 気温「5℃」 風速「平均8.5メートル」
これが、完走証に記載してあった当日のお天気です 私は、これをあらためて見て、完走されたパパ、ママ達、子ども達に手を合わせる思いでした

 でもね。
私はあの日、あらためて実感したことがあるのです。「子ども達って、ものすごく素敵」って。
 
 集合場所にしていたテントに現れた子ども達は、みな、ビニール傘をさしながらも、笑顔なんです
 「久しぶりねえ、元気だった?」
の私の言葉に、ちょっぴりはにかんで「うん
 4年生が1人、2年生が1人、1年生が6人。寒い寒いザーザー降りの雨の中・・・これから、その中を走ろうというのですよ。日頃は、大事に育てられている子ども達が・・・

 確かに、子どもというものは「非日常」が大好きです
「いつもと同じこと」は、ローテーション化し、すでに7,8歳ともなれば、だんだんとダレてもくるもの けれど、この日の非日常がいっぱいには、興奮気味だったかもしれません

 たとえば・・・いつになく早起き・・・運動会でもないのに「走る」ということ・・・それが、大人も出場する大きなレースだということ・・・日頃はあまり走ったりしないパパやママも走るらしいこと・・・会場には、いかにもランナーという、テレビで観るような格好の人達がすでに練習していること・・・そして、運動するというのに、雨だということ(運動会は、雨天順延か雨天中止と相場が決まっているわけで)・・・

 そのうちに、準備体操が始まりました。本来ならば、もっともっと入念にストレッチや準備運動をするわけですが、とにかく、ザーザーと降る雨のなか。これからその中でレースを走ることを考え、コーチはいつもの時間の3分の2程度で終えました
 子ども達も、しっかり体操をしています。もちろん、パパもママも真剣です
 そのうちに、5キロレースの集合がかかりました。パパやママが移動です。
これが晴天であれば、かなりここでドラマチックな「いってらっしゃい がんばれー」などが親子で繰り広げられ、写真もパチパチ・・・だったでしょうね でもこの日は、何がなんだかわからない状況の冷たい雨の中では、それもなし、です
  
 そのうちに、ファンファーレが鳴り・・・スピーカーからはMCの方の声・・・そしてパーン 沿道の人垣の向こうで、3000人以上の人がスタートを切りました
 いよいよ子ども達が集合場所に移動。ママや、コーチに誘導され、子ども達が人、人、人の中を傘をさして進みます
 集合場所に並ぶと、おねえさんがゼッケンと、靴に付けられたタイム計測チップの確認。本格的です!子ども達のかなり神妙な顔。
 コーチのはからいで、スタート時間までは、小さなテントの下で雨に濡れずに待つことになりました それでも寒いし・・・雨のしずくがポタポタと落ちる中、子ども達は興奮している様子でした
 
 「そろそろ、先生は一度戻るね。先生も、もうすぐ10キロのスタートなのよ。じゃあ、がんばれ」そう言ってハイタッチをしました
 昔に比べて、子ども達は背も伸び、確実に成長しています でも、そのハイタッチの時の顔は、昔と一緒です

 未知のもの、新しいものに向かう時の前のめりの姿勢、興奮・・・
 沸き立つ思い、心地よいドキドキ感・・・

 子どもには、そういうすばらしい感性があります 彼らの様子から、寒さや雨へのブルーな気持ちは微塵も感じられませんでした

 実際には、濡れた路面で転んでしまってスタートできなかった子や、転んでケガをしてしまった子もいて、かわいそうでなりませんでしたし、パパやママに本当に申し訳なく思いました
 けれど、私が10キロのレースを終えて彼らと顔を合わせた時の様子は・・・やっぱり「イキイキ」だったのです
 大人の私は、あまりの寒さで手がかじかんでしまい、計測チップが靴からはずせないほどだったのに・・・ゴールをしたとたん、急に濡れた身体がガタガタと震えて寒かったのに・・・

 子どものピュアな好奇心、子どものピュアな挑戦への思い。これらは、本当にスゴイと思いました
 そして何より、どうぞ少しでも長く、このすばらしい思いが続いていきますように!と願いました。

 強い海風の吹く、冷たい雨の中のレースを経験し、もう、どんな悪コンディションでも走れるなあ、と苦笑しました
 そしてもう一つ。初レースを終え、完走したパパやママの笑顔も、子ども達に負けず劣らず素敵だったことも心に残りました

 私はこれまで、人は年齢を重ねると、自然の成り行きとして、「感動する心」が退化していくものだと思っていました。
 でも、本当はそうではないのですね。「感動する心」は、本当は大人にも子どもにも、ちゃんと備わっている
 それを年齢のせいにして、自ら退化させてしまっているのは、その人の「どんよりとした意識」なのだと実感した日でした


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