夢民―ゆめたみ―

現実逃避といわれようと、
日々の生活の中に
心地よきことや楽しきことを探し
記録してみるカナ。

フクシイ。

2005-06-07 15:51:01 | 商店街ヨモヤマ話。
『フクシイ』という言葉、久々に聞きました~

商店街を歩いていた方にお茶をお出ししたら、
「あや~、すまね~こどぉ!」と恐縮され
お茶菓子を出したら
「あやあや、すまね~ごとぉ。こっちではフクシイごと~!」
と呟かれた?

町境の集落の方々、
特にご年配の方は時々懐かしい言葉を使う!

「今日懐かしい言葉聞いたよ~、フクシイだってさ!」と姑に報告したら
「?」と60代の姑も知らなかった・・・私って年いくつなんだよ

私個人は『フクシイ』は「富くしい」と解釈しています。
お金持ちの人や家を『あそこんちは昔からフクシイがら~!』
         (あそこの家は昔から経済的余裕があるからね!)
といったように使うからです。

用もないのにお茶に招かれ、お茶菓子を出されたからって
「フクシイごと~!」と言われてしまうとは思いもよらなかった

お客様は神様です。
自分のところに用が無くても
人の出入りがあるだけで商店街が自然に活気づけば
他のお客様も商店街に来やすくなると思ってるので

あとは、方言知っていてもみんな懐にしまってるから
街外れに住む80代の方みたいに当たり前に方言使ってる人
なんとか永久保存したい
(無くなってしまったら・・・と考えると無性に淋しいんだもん

キャラバン HIMALAYA : L'ENFANCE D'UN CHEF (CARAVAN) 。

2005-06-07 15:29:17 | 映画・TV。
今日の後8:00~9:50 NHKのBS2で衛星映画劇場で放送する映画

キャラバン HIMALAYA : L'ENFANCE D'UN CHEF (CARAVAN)
1999年・フランス/ネパール/イギリス/スイス合作
は、私にとって懐かしい映画だ。

一時期インド映画とかも流行りましたが、
この映画の公開時、地方新聞の紹介欄を読み
ネパール映画というのとドキュメンタリーという珍しさ
「キャラバン」という言葉に異国情緒と生死をかけた旅を連想させ
なんだか観てみたい気持ちになったのだ

でも、上映場所は県内で1箇所。
しかも平日の1日だったか2日間だけ。
家から10分の勤務先への往復しか運転したことの無い私が
仕事を終えてから民家の無い山道を2時間かけて越え
福島市で映画を観て
また真夜中に2時間かけて山道越えて帰る勇気や気力、体力・・・。
『この機会見逃したらレンタルになりそうもない映画だよな・・・』
と思いつつ諦めた経緯があったのだ。

しかし、結婚後に意外にもレンタルビデオショップで発見!
夫と二人でワイン片手に・・・のつもりで観たのに、夫3秒で寝てますぅ~

まあ、いろんな思い出があったということでした。
(たいした事は何もナイけど)

映画は本当にすごいスケールで
山の世界とそこに生きる人間を描いています。
人も動物も
生と死をかけて
自分の思うように出来ない自然(=神か?)の中
生きている・・・という感じでした。

流石の私も、「本当の景色を肉眼で見てみたい!」
と思いはしても口に出来なかったです。
ひ弱な文明人は「美しい」と言うだけで片付けますが
本当の美しさは厳しさを伴い
自己をとことん抑える強さを持つものだけに
(自然への畏敬の念を身につけているものだけに)
それを教えてくれるのではないのか。

ヒマラヤ山脈周辺ってなんだか神秘的で魅力的だけど
映画館行けない私の体力では天竺なみに遠い所だわ

ドキュメンタリー映画にお金を使いたくないと思っていた私が
今のトコ最初で最後に観たドキュメンタリー映画でしたが
敬遠されがちの説教くささがなくて
ただだらだらしてるのとも違いストーリー性もあり
ドキュメンタリーのわりには映画っぽい(?よくわからないね?)映画でした。
ご興味のある方はチャレンジして感想きかせてね~
(内容イマイチ忘れてしまってるし・・・ただ映像は断片的に残ってます)

 ※同時刻放送のNHK総合の歌謡コンサートも
  「見てね~!」ってりぃみぃの書込み見ちゃったから気になるし・・・

三十路女、味噌にふりまわされる・・・の巻。

2005-06-07 10:25:23 | 商店街ヨモヤマ話。
それは金曜の午後3時26分、職場にかかってきた一本の電話から始まった。

着信を見ると、朝から買物に出てきた80過ぎの老婦人からだ。
一軒家で独り暮らしの彼女は、
頭はしっかりしているものの多少年齢の割には老けていて
白髪で耳も遠く、腰は曲がり、歯が欠け、
何故かいつも唇が黒くなっているのが気になる。

私は、彼女が商店街に来る人々の中で一番の癒し系と思っている
洋服を着てこそはいるが、横溝正史原作の映画から出てきたような風貌。
(もしデビューさせるなら
    八つ墓村の双子のおばあさんが中り役になると密かに思っている。)
話し言葉や一挙一動が、
今では古き良き『昭和』時代を記憶から呼び起こすのだ。

先ず、女性でも自分を『オレ』という点
(大正生まれの祖母もそうだった。)
身だしなみはデザインより実用性
(良く見るともんぺの様なのをはいている時も

病院の待合室で隣に座った人が足が悪いと言えば
『家に帰れば4本もあるし、オレはなくても歩けっから』
と杖をプレゼントしてヨッコラドッコラと気合で歩いてくる。
帰りのバスに間に合わなくても
『急いで怪我したら話になんね~べ~、
      体に聞いてゆっくり歩くんだ~』
と次のバスを1時間でも
2時間でも(来ても気づかないで乗らないとそうなる)のんびり待っている。

そんな彼女が職場の前を通ると思わず声をかけずにいられない
目の前にいるのに
通りを挟んだような大きな声の会話は、それだけで滑稽だ
職場の人間も客も
道行く人も信号待ちの車の運転手さえも私たちに釘付けになる。
耳が遠いというだけなら他の常連客もいるが、
これだけ周りをほほえましさで巻き込んでくれるのは彼女の個性だ。

着信番号でそんな彼女の丸い顔がすぐに浮かび、何事か?と思いながらも電話をとる。

「アノナ~、今日ナ~、
    味噌がネグなったからヨ~、買いサ行ったんダ~。」
(今日、味噌が無くなったので買いにいったんだ。)

私「ん~、ンダよね~!」
 (うん、そうだったよね~)

「ンでナ~、
    今おまかないすっかと思っテ~、袋見たら~、味噌がネェんだヨ~。」
(そして、今夕飯の支度をしようとしたら袋の中に味噌がないんだよ。)

私「ア~?なんで~?」
 (あら、どうして?)

「ナ~ンボ袋の中ナ~、底まで見てもナ~、お菓子しかネ~んだぁ。
  おれは味噌買いサ行ったんだがら~、
          まちげぇねぐお菓子と味噌買ったんだ~。」
(いくら袋を底まで探してもお菓子しか入ってない。
    私は味噌買いに街まで行ったので
       間違いなくお菓子と味噌を買ったはずなんだよ。)
「店の人がまちげ~たんだべ~!入れんのわすっちゃだ~!
  オレは~、レジんとこまでナ~、
   重い味噌とお菓子とよ~、両方持って行ったんだがらナ~!」
(店の人が間違えたんだよ!きっと袋に入れんの忘れたんだよ!
   私はレジのとこまで、重いと思いながら
    味噌とお菓子の両方持っていった覚えがあるもの!)
「店サよ~、電話かけっかとおもったんだげんちょヨ~、
  番号みあたんね~がらオメ~さかけてみたんだ。
   オメ~から店サ電話してグんねガ~?」
(店に電話しようと思ったけど番号見つからないので
  あなたのとこにかけてみたの。あなたから店に電話してくれない?)

私「いいよ~、もし味噌あったらどうすんの~?」

「オレはまだ買う物あったのによ~、
    全部済まねがったがら~、月曜もまた行くんだ~。
  ほん時までよ~、冷蔵庫サ入れて
        取っといてくいよ~、って言ってくいよ」
(私はまだ買い物あったのに
  今日全部済ませられなかったので月曜も行くの。
    その時まで冷蔵庫に入れて
       取っておいてちょうだいって言っておいて。)

私「ん~、わがったよ~
 (はい、わかりましたよ!)

彼女の一つ一つ途切れ途切れで
ゆっくり時間をかけながらのしゃべり方。
田舎でも珍しくなった方言のイントネ~ション。

人に迷惑かけまいと一挙一動に一生懸命な様子と
年齢から来る、その自意識と体の反応の時差。

その時差さえもタノシミに変えて待たせてくれる方言。
それを表現したくてややこしい同時通訳入りだが、
こんなやりとりがあったのだった。

私は午後からの勤務だったが、今朝彼女が
「味噌が無いから味噌買いに行く」
と言って歩いていたとは聞いていた。

早速彼女行きつけのスーパーに電話する。
3回、10回、15回とコールしても出ない・・・何故?
職場には誰もいない為、
勤務時間の終わる17時をじりじりしながら待つ。

17時、仕事場を閉めスーパーに向かった。
丁度その店の奥さんがレジにいた。
しかし、夕方のスーパーは忙しく客が並んでいる。
しかも、常連さんばかりなので会話が途切れる様子もない。
車で30分の場所で18時にトレーニングの為に夫と待合せていた私は
時間を気にしながらも
すぐに必要となるであろうスポーツドリンクを手に並ぶ。

やっと順番がきた
のに「ん~?見たことある。奥さんどっちからだっけ?」って、
手を止め顔を覗き込んできたので、いきなり自己紹介させられる。
やっと用件を言うと
「あら~、『重いから袋でなくてリュックさ入れてやっかんね~』
  って背中に当たんないようにリュックの底にちゃんと入れてやったのにな~
と言うではないか

すぐに電話・・・と思ったが電話帳に無い。
今の電話帳には個人の電話番号がなく企業だけしか記載が無い

すぐに近くのタクシー会社に入る。
経緯を話しながら「いつもここに来る○○の○○さんの電話番号わかる?」と聞く。
「わかんね~、コレ見ろ~」と古い電話帳を渡される。
故人となった夫の名前で載ってるはずと教えてくれ電話も貸してくれた。

時間は17時半をまわっている。電話があって2時間過ぎている。
20回のコールのあと彼女が出た

「マチガイダッタ~
  さっきな~、オレの方で店サ電話して間違いだった~って言ったド~
(間違いだった!
  さっき自分で店に電話して味噌無いのは間違いだったと言ったよ。)

一気に脱力・・・私の2時間を越える焦りは無駄だったのか

でも憎めないおばあちゃん。
だから婆ちゃんにふりまわされたなんて思いもしなかった。
でも、『貴重な時間を味噌ごときに振り回されるとは』とは思った

そして夫に「今から出ます」とメールして、
待合わせに30分遅れて行くのだった