信州山里だより

大阪弁しか話せないの信州人10年目。限界集落から発信している「山里からのたより」です。

リンゴ剪定講習会

2013年01月18日 23時55分08秒 | Weblog
2013年01月18日(金)記

昨日のNスぺ、期待外れでした。
という訳で、昨日お便りするつもりだった一昨日の事を。

一昨日リンゴの剪定講習会が開かれ、杖を突きながら参加してきました。
これはJAに属するリンゴ部会員に対して開かれるもので、講師はその時により県果樹試験場研究員や、自他県の篤農家、JA営農指導員などがなり、内容はなかなか専門的で高度です。ここでは最新の研究内容を知ることができます。
私は欠かさず毎年受講し、最新の栽培技術を学び知るだけでなく、刺激を受けてきます。
加えて書物なども読んだりして勉強を続けているのですが、なかなか奥深いもので、結果的にリンゴ作りが実に面白くなる。

一方、以前にお便りしたと思うのですが、耕作者減少対策、耕作放棄地対策、農産物の増産、農業や農産物への啓蒙などの目的に沿うべく、組合員限定でなく一般市民を対象とした1年間のカリキュラムを組んだ『JA農業講座』があります。
これも最初は極めて初歩的な内容で参加者もごく少人数だったのですが(私は開講2年目から参加。当時10人程度でした。途中2年間はお休みしました)、評判と人気から今年は100人以上(150人?)、参加者も定年で家庭菜園を始めたいという人からバリバリのプロまで、講習内容のレベルも随分高くなってきました。
で、この講座でも12月に「リンゴの剪定」があったのですが、骨折のためやむを得ず欠席しました。私のレベルを考えると、こちらの方がいいかもしれないのですが、残念でした。

前置きが長くなりました。で、前者の講習会風景です。
雪が深くて、最高気温も氷点下の真冬日だったのですが、実に皆さん熱心です。

この日の講師は長野県農業改良普及センターの方。司会はJAの営農指導員。
で、開始あいさつでこの指導員が「昨日のどか雪でぶどう棚が壊れたところが数カ所あり、私たちに応援動員がかかっている。で、予定の時間より早く終える予定なので、おもに「(シナノ)ドルチェ」と「(シナノ)スイート」で、「ふじ」はできないかもしれないがよろしく」ということでした。
これは、県やJAの販売戦略が「ふじ」から、他の品種に移りつつある、ということも意味しています。
もちろん私たち生産者には、別の機会に販売戦略についての説明はあります。

ところで、私はいまだに「ふじ」が一番と思っており、「シナノスイート」は2本、「つがる」が3本あるっきりで、これも受粉樹扱いで収穫については熱心でなく、これを除いてすべて普通樹の「ふじ」です。
指導員からは「リンゴ3兄弟」や「ふじ」でも新ワイ化栽培への転換を勧められているのですが、まだ踏み切れていません(ちなみに長野県下では、ワイ化、新ワイ化合わせてすでに45%以上になっているそうです)。
という訳で、「ふじ」についての講習がないことについて、少々残念な気持ちになりました。

ところが講習の終わり間近の質問受付で、受講者から出る質問は「ふじ」のこと。で、結局講師は「ふじ」普通樹に行き、剪定の説明となりました。
私にとってはラッキーでしたが、やはり他の生産者にとってもまだまだ「ふじ」の比重は大きいものだと実感しました。

さて、この講習会で得た新情報。
かつて、リンゴの成長を予測するため10月1日を第1回目として、11月の特定日まで3回重量計測を行っていた。しかし10月1日に測った重さは後の2回の計測と変わらないので、この1回で済ませてきた。ところがこの数年前から、秋になっても玉(リンゴ果実)が成長するようになってきた。葉も青々として、結果的に青玉(熟していない)が増えてきている、と。
この対策については、減肥や夏の剪定など研究機関が研究の真っ最中だけれど、これと言ったものはまだらしい。

私は繰り返し講習会に参加しているのは、先に述べた理由に加えて、違った講師の話を聞けるからでもあります。
今回は、実に正直?な方で「私の今日の説明も3年経ったら、あれは間違っていたとなるかもしれないといわれるかもしれないので、みなさんそのつもりで」とか「この枝は切った方がいいかもしれないが、置いておいた方がいいかもしれない。私には判断着きかねる。皆さんどう思います?切る?じゃ切りましょう」、「正直これは試験場で聞いた話だけで、まだ私は試していない」、「山ノ内町(志賀高原のある町)の○○さんの枝垂れ作りの方法も…(○○さんとは私たちと同じリンゴ生産者)」「別の講師ならここは切るべきと言うかもしれないけれど、私はこれは残すべきだと考えているので、今回は残します」などなど。
ベテラン生産者はどなたでも自分の栽培技術に自信や誇りを持っています(僭越ながら私もほんの一部ですが持っています)。だからむしろこういう講師の方が、生産者が考える、という点でむしろいいかもしれない。
写真はその講師です。幼木はシナノスイート。雪を根元に積んでいるのは防寒のため(雪の中は0℃。外気はこの時でも氷点下)
    

ところで脚立の横に写っている白い帽子の人。若い美しい色白な女性なんですよ。まさに文字通り、私を含めたごみ溜め(他の農家さんゴメンなさい)に鶴。
若い人が私たちとともに学んで、リンゴ作りをする。「私たちを引き継ぐ若い世代が確実に存在する」こと。こんなうれしいことはない。これは農業に限らず、製造業でもサービス業でもどんな分野でも共通することですよね。

目先の金儲けよりも次の世代を大切にすべきだと思うのですが、どうでしょう経団連米倉会長、若い人を雇用して将来のために育てようではありませんか、今しんどい時期だからこそ、なお一層!

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