シネブログ

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『時をかける少女』

2007年07月22日 00時22分05秒 | 映画レビュー
製作年度:2006年
上映時間:100分
監督:細田守
出演:仲里依紗 、石田卓也 、板倉光隆 、原沙知絵 、谷村美月 、垣内彩未
オススメ度:★★★★★

ストーリー:
明るく元気な高校2年生、紺野真琴は、優等生の功介とちょっと不良な千昭と3人でいつもつるんで野球ばかりして楽しい毎日を送っていた。そんなある日の放課後、真琴は理科準備室で、突然現れた人影に驚いて転倒してしまう。その後、修復士をしている叔母・芳山和子のもとへ自転車で向かった真琴は、ブレーキの故障で踏切事故に遭ってしまう。死んだと思った瞬間、真琴はその数秒手前で意識を取り戻す。その話を和子にすると、和子は意味ありげに、それは“タイムリープ”といって年頃の女の子にはよくあることだと、冗談とも本気ともつかない説明をするのだった。最初は半信半疑だったが、いつしか使い方を覚えて些細な問題でも簡単にタイムリープで解決してしまい、すっかり調子に乗る真琴。そんなある日、真琴は千昭から突然の告白を受ける。3人の友だち関係がいつまでも続くと思い込んでいた彼女は、動揺のあまり、タイムリープで告白そのものをなかったことにしてしまうのだが…。



コメント:
『ゲド戦記』の直後に観たせいなのか?
このおもしろさ…たまらく爽快だ!!

とりわけ”タイムなんちゃら”をテーマにした作品は大好きな僕だ。本作の流れは、あの名作『バック・トゥ・ザ・フューチャー』にどことなく似ている。自分の未来と過去を行き来し、全ての流れを理想の形に戻そうとする主人公という共通点。過去を自分の理想に変えることが他人にどれほど大きな影響を及ぼすかを、主人公真琴の青春時代を通じて爽やか且つ切なさを交えて描いている。

自転車事故をきっかけにタイムリープの力に気付く真琴。いつでもその力を使えると知った真琴は、日常の些細な不満やストレス解消などのため、むやみやたらに能力を乱用する。

序盤はとにかく真琴のタイムリープの使い方に笑わされる。たかがプリンのために使ったり、ときには恋から逃げるために使う。17歳の少女の心理がわかりやすく描かれており、素直に笑える展開になっている。

だが、その短絡的な時間操作がやがて自分の親友たちにも及び、取り返しのつかない展開へ発展していく様子はとてもリアルである。真琴が罪悪感や絶望の淵に立たされたその瞬間からラストに掛けて、張り巡らされた伏線が徐々に解れていく流れはとにかく爽快だ。

本作の魅力と言えば、最小限に留められたキャラクタ設定と無駄のない会話や場面ひとつひとつである。それら全てが重要な役割を果たしていることが、ストーリーを惹き立てる一番の要因になっていると言える。上映時間100分という一見短く感じる時間の中、内容がしっかり詰めこまれた本作は、観客をすばらしい時間軸の旅を体験させてくれるに違いないだろう。

”タイムリープ”という在り来たりなテーマを使っている割にはとても新鮮さを感じる作品である。それは、アニメ化したことによるテンポの良さもあるし、主人公が17歳という青春時代真っ只中を生きていることが一番心に響くポイントだったように思う。

観た人がどんな青春時代を送ってきたかにより、感じ方はそれぞれ変わってくる作品であろう。だが、あの時代にしか感じられない甘酸っぱさの残る心情は、全ての人にきっと伝わる気がする。

人生という時をかけた今だからこそ、観て価値のある作品だと思う。