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『17歳のカルテ』

2007年08月05日 15時55分11秒 | 映画レビュー
原題:GIRL, INTERRUPTED
製作年度:1999年
上映時間:127分
監督:ジェームズ・マンゴールド
出演:ウィノナ・ライダー 、アンジェリーナ・ジョリー 、クレア・デュヴァル 、ウーピー・ゴールドバーグ 、ジャレッド・レトー 、ブリタニー・マーフィ
オススメ度:★★★★★

ストーリー:
精神療養施設・クレイモアへと送られる事になったスザンナは、自分より更に深い心の闇を抱えた患者達とかけがえのない時間を過ごす事になる。



コメント:
本作でアンジェリーナ・ジョリーがアカデミー賞助演女優賞を獲得したということで興味があった作品。ストーリーなどの予備知識は全くないままの鑑賞だった。

他の方のレビューでも書かれているが、ジャック・ニコルソン主演の『カッコーの巣の上で』と酷似しているということは否めない。どちらの作品も、精神療養施設に周りの患者とは様子の違う人物が送り込まれて、そこで起こる人間ドラマを描いた作品である。様々な人間の感情が交錯することで”生きる”という意味がどういうことか、いろんな角度から見つめなおすことができる作品だ。

酷似とは言ったが、それは設定上に過ぎない。最終的に打ち出される結論は全く違ったものだと言えるだろう。それぞれの作品で描かれる内容を一言で言うと以下のようなものだ。

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『カッコーの巣の上で』
精神療養施設の体制問題による、命の扱い方に対する批判

『17歳のカルテ』
精神療養施設に収容されたひとりひとりが存在意義を発見するまでの過程

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途中の流れは似ているが結果が全く違うものである。人それぞれ結果に対する捉え方は全く違うだろうが、命の大切さを感じることはできるはずだ。

ある時、リサ(アンジェリーナ・ジョリー)が施設を退院したデイジー(ブリタニー・マーフィー)に罵声を浴びせて自殺に追いやってしまう。その一部始終を目撃したスザンナ(ウィノナ・ライダー)は、ただ見ているだけで何も出来なかったことに苛立ちを感じ、そこから彼女は自分の存在意義を問いかけて自分なりの生き方を探そうとする。

ここまでの過程はもちろんのこと、この事件をきっかけに変化する彼女たちの姿が一番の見所である。

本作はとても重いテーマを題材にした作品だが、『カッコーの巣の上で』と並べて鑑賞するとより一層奥深い結論を見出せるような気がする。”女版カッコー~” という見方ではなく、それぞれのテーマをちゃんと認識して全く違った見方をする必要があるだろう。どちらも良作なので一見の価値はアリだ。

それにしても後からキャストを見てみると、余りの豪華な顔ぶれに驚いてしまう。彼女たちのフレッシュかつシリアスな演技にも注目して見るとおもしろいだろう。


余談だが、「夢と現実が混乱したことはある?お金があるのに万引きしたり、落ち込んだり…」というセリフを発しているウィノナ・ライダーは、近年自ら万引き事件を起こした張本人である。しかも本作で当時新人だったアンジェリーナ・ジョリーのみが演技力を高く評価されたことに対して「この役を演じれば誰だってオスカーを獲れる」と露骨に僻みを言い放ったそうだ。

なぜこんなにすばらしい映画の製作・主演に携わった女優がこのような行為に走ってしまったのか?
もしかして本作にのめり込み過ぎて現実でも同じような役を演じてしまったのだろうか?
まあそんな疑問が残ってしまう作品でもある。


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