新刊の森

人文分野を中心に、できるだけその日に刊行された面白そうな新刊を、毎日三冊ずつ紹介します。役立ちそうなレシピにも注目。

これから自分はどのように働いていくかを考えるために役立つかも。「人生100年時代、AI時代、グローバル時代 これからの働き方を哲学する」

2018年12月14日 | 新刊書
人生100年時代、AI時代、グローバル時代 これからの働き方を哲学する
小川 仁志 (著), リベラル社 (編集), ヤマサキ ミノリ (イラスト)


AIによって単純作業の多くが機械に代替されるとみられている現代において
これからどう働くかというのは切実なテーマだろう。
仕事は今なお、わたしたちの人生の基幹に位置する営みである。
これもタイムリーな一冊だろう。



単行本(ソフトカバー): 240ページ
出版社: 星雲社 (2018/12/14)
言語: 日本語
ISBN-10: 4434254995
ISBN-13: 978-4434254994
発売日: 2018/12/14

内容紹介
●どう働く? どう生きる? 考えるヒントは「哲学」にある
働き方改革が始まったけれど業務量は変わらず、ジタハラ(時短ハラスメント)が苦しい。
長い仕事人生、これからも今の働き方を続けていけるのか、不安。
数年後、AIに仕事を奪われるって本当!?
プレミアムフライデー、何それ?

私たちを取り巻く社会の変化にあわせて、働く環境も変わりつつあります。
しかし、現実には長時間労働やハラスメントなど、さまざまな問題が山積し、働き方に不安を感じる人も多くいます。
そこで必要になるのは、常識を疑い、自分で考えること。つまり、「哲学する」力です。
NHK・Eテレ「世界の哲学者に人生相談」「100分 de 名著」などテレビ出演多数の哲学者・小川仁志が贈る、「働き方」本の決定版。

著者について
1970 年、京都府生まれ。哲学者・山口大学国際総合科学部准教授。
京都大学法学部卒、名古屋市立大学大学院博士後期課程修了。博士(人間文化)。
商社マン、フリーター、市役所職員、徳山工業高等専門学校准教授、米プリンストン大学客員研究員を経て現職。
「哲学カフェ」を主宰するなど、市民のための哲学を実践している。
NHK・E テレ「世界の哲学者に人生相談」では指南役を務めた。専門は公共哲学。
著書に『7日間で成果に変わる アウトプット読書術』(リベラル社)、『ビジネスエリートのための! リベラルアーツ 哲学』(すばる舎)等多数。


荷風の知られざる側面を照らし出す「慶應義塾文学科教授 永井荷風」

2018年12月14日 | 新刊書
慶應義塾文学科教授 永井荷風 (集英社新書)
末延 芳晴 (著)


永井荷風が大学教授として立派に働いていたというのは
荷風のイメージにあわなかったので、驚いた。
荷風の知られざる側面、ぜひ知りたいものである。
著者の正岡子規論、夏目漱石論、森鴎外論についても、読んでみたい。
早速図書館に予約をいれてみた。




新書: 320ページ
出版社: 集英社 (2018/12/14)
言語: 日本語
ISBN-10: 4087210596
ISBN-13: 978-4087210590
発売日: 2018/12/14

内容紹介
『あめりか物語』や『ふらんす物語』『濹東綺譚』などの著者にして、稀代の好色文学者としても知られる永井荷風。
その荷風は、明治末期から大正初期にかけて慶應義塾の文学科教授として後進の指導に当たり、大学の機関誌「三田文學」を創刊。
それらを通じて久保田万太郎、水上瀧太郎、佐藤春夫、堀口大學ら門下生を文学者として世に送り出した優れた教育者でもあった。
だが、大学教授・永井荷風についてきちんと光が当たられたことはこれまで一度もなかった。
「性」と「反骨」の文学者・永井荷風の教育者としての実像と、
慶應義塾、ひいては日本の文学界に与えた功績と影響を、初めて詳らかにした渾身の評論。

主な内容
真正モダニスト永井荷風の誕生/
森鷗外と上田敏の推輓で文学科教授に就任/
三田山上に現出した「文学的自由空間」/
「三田文學」創刊──反自然主義文学の旗手として/
「三田文學」から飛び立った荷風門下生/
永井荷風が百年後の慶應に遺したもの ほか。

【著者プロフィール】
末延芳晴(すえのぶ よしはる)
1942年、東京都出身。文芸評論家。東京大学文学部卒業。1973年よりニューヨークに在住し、米国文化の批評・評論活動を行なう。
1997年、『永井荷風の見たあめりか』(中央公論社)の刊行後帰国。以後、文学評論、映画評論の分野で執筆活動を続ける。
『正岡子規、従軍す』(平凡社)で第二四回和辻哲郎文化賞受賞。『夏目金之助、ロンドンに狂せり』(青土社)
『森鴎外と日清・日露戦争』(平凡社)、『寺田寅彦 バイオリンを弾く物理学者』(平凡社)、『原節子、号泣す』(集英社新書)など多数。

タイムリーな一冊「西洋の自死: 移民・アイデンティティ・イスラム」

2018年12月14日 | 新刊書
西洋の自死: 移民・アイデンティティ・イスラム
ダグラス・マレー (著), 中野 剛志 (解説), 町田 敦夫 (翻訳)


ヨーロッパが受け入れた移民が、
みずから招いた「奇妙な死」の原因となるという見方は少し歪んでいるようにおもえるが、
日本でも本格的な移民の受け入れが開始されようとするこの時期にあって
タイムリーな一冊であることに間違いはない。



単行本: 528ページ
出版社: 東洋経済新報社 (2018/12/14)
言語: 日本語
ISBN-10: 4492444505
ISBN-13: 978-4492444504
発売日: 2018/12/14


内容紹介
英国で10万部超、世界23ヵ国で翻訳、英国のアマゾンレビュー700件超!
「サンデー・タイムズ」紙のナンバーワンブック、「イブニング・スタンダード」紙のブックオブザイヤーに輝いたベストセラー!

英国で数々の賞を受賞した若きジャーナリストが欧州の移民問題を徹底ルポ。
移民受け入れをめぐる「罪悪感」と「疲れ」がもたらした
欧州リベラリズムの死に方を克明に描く。

中野剛志氏絶賛!
「本書の著者マレーに匹敵するような優れた書き手が、残念ながら日本にはいない。
われわれ日本人は、本書を日本の<自死>として読み換えなければならなくなった」


【内容紹介】

出生率の低下、移民問題、増幅する社会への不信感、自己嫌悪感など、今日の欧州大陸を覆う閉塞感は、人々が自身の社会について議論したり社会変化に対抗する力を弱体化させ、欧州は自壊への道を進んでいる。

著者は、シリア難民や移民問題をめぐって、ベルリンからパリ、ギリシャなど欧州を横断し、難民、歓迎側、拒否側など、様々な立場の人々を取材しながら、独自の視点で、今日の欧州が自らを追い詰めていく人口的・政治的現実を分析。

欧州各国がどのように外国人労働者や移民を受け入れ始め、そこから抜け出せなくなったのか。

マスコミや評論家、政治家などのエリートの世界で、移民受け入れへの懸念の表明がどのようにしてタブー視されるように至ったのか。

エリートたちは、どのような論法で、一般庶民から生じる大規模な移民政策への疑問や懸念を脇にそらしてきたのか。

欧州が前提としてきた「人権、法の支配、言論の自由」をコアとする啓蒙主義以降の西洋近代が潰えていく様を描く。




著者について
ダグラス・マレー
ジャーナリスト
1979年生まれ、新進気鋭の英国人ジャーナリスト。英国の代表的な雑誌の一つ『スペクテーター』のアソシエート・エディター。『サンデー・タイムズ』紙や『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙へも寄稿多数。英国議会や欧州議会、ホワイトハウスでも講演を行った実績がある。ツイッターのフォロワー数は15万人を超える。本書は英国で10万部を超えるベストセラーとなり、世界23カ国で翻訳。『サンデー・タイムズ』紙のナンバーワンブック、『イブニング・スタンダード』紙のブックオブザイヤーにも選ばれた。

近代の理性主義の裏側を描く「オカルティズム 非理性のヨーロッパ」

2018年12月13日 | 新刊書
オカルティズム 非理性のヨーロッパ (講談社選書メチエ)
大野 英士 (著)


オカルティズムが社会にとって意味のあるものとして登場したのは近代になってからのようです。
近代という理性の時代の背後で、オカルト的なものが跳梁する場が開かれたのでしょう。
「理性の時代を貫く非理性の系譜」としてオカルティズムを捉える本書は
近代の理性主義を考えるためにも役立ちそうです。
これも読んでみたい一冊。

単行本(ソフトカバー): 320ページ
出版社: 講談社 (2018/12/12)
言語: 日本語
ISBN-10: 4065142601
ISBN-13: 978-4065142608
発売日: 2018/12/12

内容紹介
ヘルメス文書、グノーシス、カバラー、タロット、黒ミサ、フリーメーソンやイリュミナティなどの秘密結社、そしてナチ・オカルティズムとユダヤ陰謀論……古代から現代まで、オカルトは人間の歴史と共にある。一方、「魔女狩り」の終焉とともに近代が始まり、その意味合いは大きく変貌する――。理性の時代を貫く非理性の系譜とは何か。世界観の変遷を闇の側からたどる、濃密なオカルティズム思想史!

【目次】
序章 毒薬事件――悪魔の時代の終焉と近代のパラドクス
第一章 オカルティズムとは何か
第二章 オカルティズム・エゾテリスムの伝統
第三章 イリュミニズムとルソー――近代オカルティズム前史
第四章 ユートピア思想と左派オカルティズム
第五章 エリファス・レヴィ――近代オカルティズムの祖
第六章 聖母マリア出現と右派オカルティズム
第七章 メスマーの「動物磁気」とその影響
第八章 心霊術の時代
第九章 科学の時代のオカルティズム――心霊術と心霊科学
第十章 禍々しくも妖しく――陰謀論を超えて
終章 神なき時代のオカルティズム

著者について
大野 英士
1956年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒。早稲田大学大学院文学研究科仏文学専攻博士課程満期退学。パリ第七大学大学院でジュリア・クリステヴァに師事。2000年、文学博士号(ドクトル・エス・レットル)取得。専門はフランス文学。現在、早稲田大学ほか非常勤講師。著書に『ネオリベ現代生活批判序説』(新評論、白石嘉治ほかと共編著)、『ユイスマンスとオカルティズム』(新評論)など。訳書に『フランサフリック』(緑風出版、高橋武智との共訳)、『ピアニストのノート』(講談社選書メチエ)などがある。

脳についての話題作りに役立つ本かな「ヒトは7年で脱皮する 近未来を予測する脳科学」

2018年12月13日 | 新刊書
ヒトは7年で脱皮する 近未来を予測する脳科学 (朝日新書)
黒川伊保子 (著)


目次からも推測できるように、脳科学の本というよりは
脳科学をヒントにしたエンターテインメント系の本のようです。
著者は「株式会社 感性リサーチ 代表取締役社長、感性アナリスト、随筆家」を名乗る人です。
それでも楽しそうで、話のタネにはなるかもしれません。



新書: 192ページ
出版社: 朝日新聞出版 (2018/12/13)
言語: 日本語
ISBN-10: 4022950013
ISBN-13: 978-4022950017
発売日: 2018/12/13

内容紹介
世の流行の秘密を握る〝脳周期(ブレイン・サイクル)〟
「7年目の浮気」さえも理論づける、ブレを許さぬ脳の働きとは?

「一生この人と暮らすの?」
「定年まで、この会社で働くのか……」
誰もが抱く、こうした悩みは、7の倍数年という脳周期で生じていた!
それに呼応するかのように、
車の形、ウエディング・ドレスのデザインから店頭に並ぶお菓子まで、
世の中の流行も7の倍数年である56年周期で一巡りしている。
そんな脳が発する合図を見逃さずにとらえることで、思いも寄らない新たな未来がやって来る。
世界で起こるすべての事象を論理づける、ブレを許さぬ驚異の脳科学とは?


はじめに
第一章 脳には感性の周期がある
恋の賞味期限
脳の中の「7」
知恵の七柱
認知学者陶酔のテキスト
選択満足度なら「6」
ヒトは7日で暮らす
四十九日の奇跡
魂は存在する
幽霊も存在する
脳は満年齢を知っている
ヒトは7年で飽きる
7年目の浮気?
丸い車、四角い車
「四角い」で車を買う?
感性は28年で真逆に転じる
つけまVS .アイライン
マツダ ロードスターとマツコ・デラックスは似ている
大衆感性は56年で一巡する
脳というビュアー
人生の7年周期
6歳までは神の域
思春期の脳は誤作動する
阿吽の呼吸を知るとき
本質を知るとき
ブレインサイクルが人生を作る
「この世の謎」の正体、感性トレンド

第二章 感性トレンドで時代を読み解く
感性トレンドの可視化
自覚しなくても、ヒトは感性トレンドを遵守している
脳には、右脳派・左脳派なんてない
脳の二大気分
認識の仕組み
脳の中の「複雑」と「簡潔」
1999年のミステリー
日本語とイタリア語に共通するもの
日本語の音声認識が難しかった理由
世界の言語は二つに分かれる
イタリア人と日本人にしかわからないこと
母音派は歯触り、子音派は顎触り
子音派はクールで規則がお好き
母音派はエレガントな流線型が得意
日本語は世界にただ一つの完全二重言語
必要ないものを楽しむ
「カリ、パリ、サクっと軽い」から「まったり、もっちり、とろ〜り」へ
小悪魔アゲハとマリー・アントワネットの共通点
伊勢丹が教えてくれた、脳の秘密
女はなぜ、寄り道をするのか
2003年、なぜ、男たちまで寄り道を好むようになったのか
1999年は複雑期の始まりだった!

第三章 「今」を読み解く
「付加価値」の陳腐化
足し算の時代、引き算の時代
1985年のパラダイム・シフト
時計職人の悲劇
プロ受難の時代
時代に愛された男
時代は私を待っていた、私は生まれさえすればよかった
シャネル、逆風の時代
シャネル、再び時代の風に乗る
機能がなければスタイルじゃない
目的指向、機能性重視、普遍の定番
〝上から目線〞が時代の鍵
バラエティ、グループ、バリエーション
関西のおばちゃんがヒョウ柄を愛する理由
ウェディングシーンの複雑
静かに、トラディショナル
ウェディングドレスの感性トレンド
左右非対称、異素材ミックス
日本文化の台頭
自然派VS .人工的
らしさの時代
経過を楽しむVS .結果を急ぐ
トラディショナルの後、人々はどこへ行くか
夢から使命へ
複雑脳の「曲線」好き、簡潔脳の「直線」好き
曲線の中の尖り、チョコクランチブーム
複雑脳の「高さ」好き、簡潔脳の「横長」好き
「高みを目指す」と「高みにいる
だめなのがいい
オンリーワンにもならなくていい
時代の花道を行く世代
Hanakoが生きた時代
24時間戦えますか、は、マジだった
Hanakoがママになると
Hanako、失速す
Hanakoジュニアデビュー!
政治家たちの〝56年ぶり〞
宇宙計画、再び
ダラスのあの日から56年
「気持ちの温度差」が許せない時代
景気はどこまで持つ?
時代を楽しもう
おわりに 〜時代は私の前で裸になった?

プーチンの実相に迫る「ルポ プーチンの戦争」

2018年12月13日 | 新刊書
ルポ プーチンの戦争 (筑摩選書)
真野 森作 (著)


ロシアのプーチン大統領は、現代の政治家として傑出した人物だと思われます。
専制的な支配を支えるその政治的な手腕には驚かされることがあります。
本書は筑摩選書には珍しいルポとして
プーチンの実相に迫る書物のようです。
ぜひ読んでみたい。


単行本(ソフトカバー): 394ページ
出版社: 筑摩書房 (2018/12/13)
言語: 日本語
ISBN-10: 4480016767
ISBN-13: 978-4480016768
発売日: 2018/12/13

内容紹介
戦争が続くウクライナの現実。訓練された謎の覆面部隊、撃墜された民間航空機、クリミア半島のロシア編入……。何が起こっているか。ロシアの狙いは何なのか。

序章 戦争がはじまった/
第一章 謎の覆面部隊/
第二章 親露派の武装占拠/
第三章 マレーシア航空機の墜落現場/
第四章 タタール、蹂躙された歴史/
第五章 親露派支配地域の人々/
第六章 裏切られた戦争/
終章 皇帝プーチンの戦略


著者について
一九七九年、東京都生まれ。一橋大学法学部第三課程(国際関係)卒業。二〇〇一年、毎日新聞入社。北海道報道部(札幌、苫小牧)、東京社会部、外信部、ロシアでの語学留学を経て、二〇一三年一〇月から一七年三月、モスクワ特派員として旧ソ連諸国を担当した。

論の展開に大いに期待させる「資本の亡霊」

2018年12月12日 | 新刊書
資本の亡霊(叢書・ウニベルシタス) (叢書・ウニベルシタス 1089)
ヨーゼフ・フォーグル (著), 羽田 功 (翻訳)


資本主義の精神を経済神義論「オイコディツェー」という興味深い論点から考察する書。
ウェーバーとフーコーの理論への近さを感じさせるが
この二人の思想家の組み合わせは、大いに期待させるものがある。
最近の資本主義論のうちではヒット作になる予感がする。



単行本: 310ページ
出版社: 法政大学出版局 (2018/12/11)
言語: 日本語
ISBN-10: 4588010891
ISBN-13: 978-4588010897
発売日: 2018/12/11


内容紹介
私たちが生きる世界に「資本の亡霊」が権力を表象する符牒として現れる。本書は、「オイコノミアー」と「ディケー」の合成である新たな経済神義論、「オイコディツェー」を通して、歴史のなかで積み上げられてきた「世界」理解、「人間」理解の知的営為を問い直す。そして、不透明感と閉塞感に包まれている現在の世界、不安定性と不確実性に悩むこの世界の現在と未来を総合的に考える。

目次
序文

第1章 ブラック・スワン
コズモポリス
資本主義の精神
銃の安全装置をはずす
描写の不可能性
当惑
オイコディツェー

第2章 市場の牧歌Ⅰ
社会物理学
個人の悪徳……
利益
見えざる手
経済的人間
自然主義
価格システム

第3章 資本の時代
均衡
競争
物理学主義
信用経済
イングランド銀行
一七九七年
アッシニア紙幣
銀行券
時間化
資本の使徒信条

第4章 市場の牧歌Ⅱ
金融経済の時代
新自由主義
先物取引
効率的市場
ランダム・ウォーク
数式
情報
新たなオイコディツェー
歴史の終わり

第5章 経済的再生産と社会的再生産
オイコノミアー
クレマティスティク
暗いエンテレケイア
無名の職業
貨幣と繁殖力
認知的資本
生の政策
経済帝国主義
金融サガ

第6章 断裂帯
手のつけられない領域
混乱した経験主義
歴史の領域
金融市場
流動性
臆見
フィードバック
不安定性理論
二〇〇七年以降
リソースとしての時間
未来からの帰還
オイコディツェーの終焉

日本語版へのあとがき:予測と挫折―─あるいは不思議なことに経済学のなかに神の存在証明が生き残っているということ

訳者あとがき
訳註
原註
参考文献
図版出典


著者について
(Joseph Vogl)
1957年、ドイツのバイエルン州生まれ。ミュンヘン大学で文学、思想などを学び、1990年にミュンヘン大学より現代ドイツ文学研究で博士号、2001年にミュンヘン大学で教授資格を取得。2006年から、ベルリン・ヴィルヘルム・フォン・フンボルト大学哲学部教授。主な研究分野は、知の歴史と理論、金融・権力・リスクの現代史、ディスクールとメディア理論、18世紀から20世紀の文学史。映画監督のアレクサンダー・クルーゲとのさまざまなメディアを通しての対話でも知られている。主な著作に、フランツ・カフカを扱って、その世界から響きだす「暴力」の音色を解明しようとするOrt der Gewalt (diaphanes, 1990)、「ためらい」をキーワードとしてそれが「行為・行動」の歴史のなかで果たしてきた役割を多角的に論じるÜber das Zaudern (diaphanes, 2007)、金融資本主義社会における国家と市場の関係から「主権」、「統治」について論及したDer Souveränitätseffekt (diaphanes, 2015)などがある。

骨太なグローバル・ヒストリーの概説書「近代世界の誕生」

2018年12月12日 | 新刊書
近代世界の誕生【上巻】―グローバルな連関と比較1780-1914―
C・A・ベイリ (著), 平田 雅博 (翻訳), 吉田 正広 (翻訳)

グローバルな世界史は今流行のテーマ。
イギリスの歴史家の主著だというこの書物にも注目したい。
目次からも、骨太の作品であることがうかがえる。
読むのが楽しみだ。




単行本: 356ページ
出版社: 名古屋大学出版会 (2018/12/11)
言語: 日本語
ISBN-10: 4815809291
ISBN-13: 978-4815809294
発売日: 2018/12/11

内容紹介
一国史や地域史を超えて、グローバルな相互連関から「近代世界」の成り立ちを解明。革命の時代から第一次世界大戦にいたる「長い19世紀」を中心に、西洋近代化とは異なる視点で世界史を問い直し、政治・経済から人々の衣食住まで、新しい全体史を描ききるグローバル・ヒストリーの代表作。

書籍の目次
序 章
    本書の構成
    問題1 「原動力」と経済要因
    問題2 グローバル・ヒストリーとポストモダニズム
    問題3 深まる「近代の謎」
    標準化に向き合う —— 身体的実践
    身体の外部に築かれたもの —— 交通・通信と複雑性

  第Ⅰ部 旧体制の終焉

第1章 旧体制と「初期グローバリゼーション」
    小作農と領主
    差異の政治学
    国家辺境の支配権
    新たな政体の先駆け
    「グローバリゼーション」の前史
    初期グローバリゼーションと初期近代のグローバリゼーション
    次章に向けて

第2章 旧体制から近代性への道
    最後の「大いなる栽培化」と「勤勉革命」
    アフリカ=アジアの物質文化、生産、貿易における新たなパターン
    アフリカ=アジアの「勤勉革命」の内的限界・外的限界
    貿易、金融、革新 —— ヨーロッパの競争上の強み
    愛郷心・愛国心を育む国家の展開
    批判的公衆
    アジアやアフリカの公衆の発展
    むすびに ——「後進性」、遅れ、結合
    次章に向けて

第3章 収斂する諸革命 1780-1820年
    世界的危機を熟考する同時代人たち
    1720-1820年の世界的危機
    国家の正当性の破壊 —— フランスから中国へ
    近代左翼と近代国家のイデオロギー的起源
    国民対国家・帝国
    第三の革命 —— 世界じゅうの穏健で商業的な人々
    次章に向けて

  第Ⅱ部 生成する近代世界

第4章 世界革命のはざま 1815-65年頃
    「国家の破綻」の評価
    イギリスの海上覇権、世界貿易、農業の復活
    移民 —— 安全弁?
    「新世界秩序」の敗者たち 1815-65年
    ハイブリッドな正当性の問題 —— 誰の国家なのか
    国家の強化とその不十分さ
    アジアでの正当性をめぐる戦争 —— 概略
    アジアの諸革命の経済・イデオロギー的要因
    ヨーロッパにおける飢餓と反乱の時代 1848-51年
    グローバルな出来事としてのアメリカ南北戦争
    収斂か差異か
    議論をふり返って

第5章 工業化と新都市
    歴史家、工業化、都市
    工業化の前進
    工業の不在と貧困
    生産、消費、政治の中心としての都市
    グローバル危機の都市への影響 1780-1820年
    新しい都市の人種と階級
    労働者階級の政治
    世界的な都市文化とその批判者たち
    むすびに

第6章 国民、帝国、エスニシティ 1860-1900年頃
    ナショナリズムの諸理論
    ナショナリズムはいつ現れたのか
    誰の国民か
    ナショナリズムの永続化 —— 記憶、国民協会、出版
    共同体から国民へ —— ユーラシアの諸帝国
    ナショナリズムの位置づけ
    国家を持たぬ人々 —— 迫害か同化か
    帝国主義とその歴史 —— 19世紀後半
    「新帝国主義」の特質
    国民国家からなる世界?
    初期グローバリゼーションの根強さ
    グローバリゼーションから国際主義へ
    国際主義の実践
    むすびに

 注

  第Ⅲ部 帝国主義時代の国家と社会

第7章 近代国家の神話とテクノロジー
    近代国家の諸局面
    国家と歴史家
    国家の定義の諸問題
    近代国家の定着 —— 地理的広がり
    正義の要求と権力のシンボル
    国家の資源
    社会に対する国家の義務
    国家の手段
    国家、経済、国民
    貸借対照表 —— 国家は何を達成したか

第8章 自由主義、合理主義、社会主義、科学の理論と実践
    思想史を取り巻く状況
    有徳の共和国の腐敗 —— 古典的テーマ
    世界に広がる有徳の共和国
    自由主義と市場の到来 —— 西洋の例外性?
    自由主義と土地改革 —— 急進的理論と保守的実践
    自由貿易か、国民的政治経済か
    人民を代表する
    世俗主義と実証主義 —— 国境を越えた親近性
    社会主義の受容とその各地での反響
    グローバルな背景の中の科学
    世界レベルの専門職化
    むすびに

第9章 宗教の帝国
    同時代人の見た宗教
    近年の歴史家たちの見解
    新しい宗教スタイルの出現
    宗教的支配の様式、その主体と限界
    宗教的権威の形式化と「帝国」宗教の創造
    教義と儀式の形式化
    内外の辺境における「帝国」宗教の拡大
    巡礼とグローバル化
    印刷と宗教伝播
    宗教建築物
    宗教と国民
    むすびに —— 時代の精神

第10章 芸術と想像力の世界
    芸術と政治
    世界の芸術における混合性と統一性
    水平化する力 —— 市場、日常、博物館
    出現途上の国民の諸芸術 1760-1850年
    芸術と人々 1850-1914年
    西洋以外 —— 適応と従属
    建築 —— 都市の鏡
    世界文学へ?
    むすびに —— 芸術と社会
    次章に向けて

  第Ⅳ部 変化、衰退、危機

第11章 社会的ヒエラルキーの再編
    変化と歴史家
    「自由の時代」のジェンダーと従属関係
    奴隷制の全盛期
    契約農奴としての小作農と農村労働者
    小作農の解放
    農村の従属関係はなぜ存続したか
    「ジェントリ」の変容
    ジェントリへの挑戦
    生存への道 —— 国務と商業
    ヨーロッパにおける少数の「大土地」所有者
    存続する至上権
    連続性か、変化か

第12章 先住民の絶滅と生態系の破壊
    「先住民」が意味するものとは
    1820年頃以前のヨーロッパ人と先住民
    「亀裂の時代」における先住民
    白人の大量流入 1840-90年
    大量流入の実像 —— ニュージーランド、アフリカ南部、アメリカ合衆国
    野蛮性の制御 —— 回復と周辺化

終 章 大加速 1890-1914年頃
    「来たるべき世界」を予言する
    農業不況、国際主義、新帝国主義
    新しいナショナリズム
    国際的な自由主義の奇妙な死
    まとめ —— グローバリゼーションと危機 1780-1914年
    グローバルな比較と連関 1780-1914年 —— むすびに
    変化の原動力は何だったか
    グローバルで国際的なネットワークにおける権力
    競合する統一性と普遍的な複雑性の再検討
    1914年8月

 謝 辞
 訳者あとがき
 注
 参考文献
 図表一覧
 事項索引
 人名索引


著者について
C.A.ベイリ
(Christopher Alan Bayly)

1945年、イングランド生まれ。オックスフォード大学卒業後,1970年に同大にて博士号取得。ケンブリッジ大学教授,シカゴ大学教授を歴任し,2015年に亡くなる。インド史,イギリス帝国史,グローバル・ヒストリーを専門とし、代表作の本書『近代世界の誕生』以外にも多数の著作がある。1990年にブリティッシュ・アカデミーのフェローに選出され、2004年にウルフソン賞を受賞。2007年にはナイト爵を受勲し、没後の2016年にトインビー賞を受賞。

うれしい文庫版の増補版「仮面の道」

2018年12月12日 | 新刊書
仮面の道 (ちくま学芸文庫)
クロード・レヴィ=ストロース (著), 山口 昌男 (翻訳)


新潮社から1977年に出た「仮面の道」に改訂と修正を加えて、「第2部」の訳しおろしを追加したという新版。レヴィ=ストロースの仮面論が新たな版で、増補版として読めるのはうれしい。おまけに文庫版で買いやすくなったのもうれしい。



文庫: 400ページ
出版社: 筑摩書房 (2018/12/11)
言語: 日本語
ISBN-10: 4480096477
ISBN-13: 978-4480096470
発売日: 2018/12/11

内容紹介
北太平洋西岸の原住民が伝承する仮面。そこに反映された神話世界を、構造人類学のラディカルな理論で切りひらいて見せる。増補版を元にした新版。

著者について
1908-2009年。フランス人類学を代表する学者。〈構造主義〉を提唱し、親族関係の研究あるいは神話研究を通じて、人類学にとどまらず、人間科学の領域全体に20世紀最大ともいえる成果を残した。主著は『悲しき熱帯』『構造人類学』『野生の思考』『神話論理』など。 (C)AFP=時事

ユニークな視点が光る蓮實重彦の「帝国の陰謀」

2018年12月11日 | 新刊書
帝国の陰謀 (ちくま学芸文庫)
蓮實 重彦 (著)


蓮實さんの旧著「帝国の陰謀」(日本文芸社 1991.9)の文庫化。
蓮實さんのユニークな視点が光る作品だと思います。
わたしは好きですが、読者を選ぶかもしれません。



文庫: 176ページ
出版社: 筑摩書房 (2018/12/11)
言語: 日本語
ISBN-10: 448009895X
ISBN-13: 978-4480098955
発売日: 2018/12/11

内容紹介
一組の義兄弟による陰謀から生まれたフランス第二帝政。「私生児」の義弟が遺した二つのテクストを読解し、近代的現象の本質に迫る。解説 入江哲朗

著者について
1936年東京生まれ。60年東京大学仏文学科卒業。同大学大学院人文研究科仏文学専攻修了。65年パリ大学大学院より博士号取得。東京大学教養学部教授(表象文化論)、東京大学総長を歴任。東京大学名誉教授。仏文学にとどまらず、映画、現代思想、日本文学など多方面で精力的な評論活動を展開し続けている。著書に『表層批評宣言』『凡庸な芸術家の肖像』『映画の神話学』『シネマの記憶装置』『映画はいかにして死ぬか』『映画 誘惑のエクリチュール』『監督 小津安二郎〔増補決定版〕』『齟齬の誘惑』『映像の詩学』『『ボヴァリー夫人』論』『伯爵夫人』ほか多数。

文庫で買いやすいヘーゲルの「精神現象学」の新訳が登場

2018年12月11日 | 新刊書
精神現象学 上 (ちくま学芸文庫)
G.W.F.ヘーゲル (著), 熊野 純彦 (翻訳)


文庫: 672ページ
出版社: 筑摩書房 (2018/12/11)
言語: 日本語
ISBN-10: 4480097015
ISBN-13: 978-4480097019
発売日: 2018/12/11

これまで金子武蔵訳、樫山欽四郎訳、長谷川宏訳、牧野紀之訳などの訳書で知られていたヘーゲルの「精神現象学」に新たに熊野純彦訳が加わりました。なかなか解釈が分かれる特異な哲学書であるだけに、新たな解釈と新たな翻訳が登場するのは、喜ばしいことです。文庫で買いやすいのも、うれしい。

長大な遍歴のすえ、人間はいかにして「絶対知」へと到達するのか? 人類知の全貌を描いた、西欧近代の高名な哲学者ヘーゲルの主著を平明な語り口で訳出。「精神現象学」中の名言を集めたフレーズ索引も収録。【「TRC MARC」の商品解説】

人類知の全貌を綴った哲学史上最大の快著。四つの原典との頁対応を付し、著名な格言を採録した索引を巻末に収録。従来の解釈の遥か先へ読者を導く。【商品解説】

ドイツの若い哲学者マルクス・ガブリエルのとっつきやすい入門書「マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学する」

2018年12月11日 | 新刊書
マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学する (NHK出版新書 569)
丸山 俊一 (著), NHK「欲望の時代の哲学」制作班 (著)


『なぜ世界は存在しないのか』 清水一浩訳、講談社選書メチエなどで今評判のドイツの哲学者マルクス・ガブリエルの思想を紹介する入門書。新しい存在論を目指すという著者の素顔が対談などでも示されるらしい。とっつきやすそうだし、ぜひ読んでみたい。

彼の哲学のモチーフについては、次の説明がわかりやすい。


私はメタ存在論とメタ形而上学というカント以来の伝統を復活させようとしています。周知の通り、メタ存在論という言葉を導入したのはハイデガーであり、また彼はカントの哲学が「形而上学についての形而上学」であるとも明言しています。私が用いるメタ形而上学的ニヒリズムという言葉の意味とは、世界など存在しない、つまり、世界についてその究極的本性、本質、構造、構成、カテゴリー的輪郭などが問われるとき、その問いかけには意図されているような概念的内容が欠けている、ということです。万物を絶対的に構成している何か大きなものがあるという考えは、それが自然的なものであれ理性が不可避的に有する性質であれ、幻想なのです。現代の議論において影響力を持っているネオ・カルナップ主義者たちも同様の結論に至っていますね。彼らの研究で言われていることの多くに私は賛同しており、それをカント的、ポスト・カント的哲学におけるメタ存在論/メタ形而上学の伝統と連結させようと試みているのです。



新書: 240ページ
出版社: NHK出版 (2018/12/11)
言語: 日本語
ISBN-10: 4140885696
ISBN-13: 978-4140885697
発売日: 2018/12/11

内容紹介
話題沸騰! 若き天才哲学者の思想に触れる格好の入門書

著書が日本で異例の売れ行きを見せている“哲学界の新星"、マルクス・ガブリエル。2018年6月の来日時の滞在記録をまとめて大反響となったNHK番組「欲望の時代の哲学」を待望の書籍化。あのガブリエルが、誰にでも分かる言葉で「戦後史」から「日本」までを語りつくす! 世界的ロボット工学者・石黒浩氏とのスリリングな対論も収録。

内容(「BOOK」データベースより)
本格的に哲学を論じた著書が日本で異例の売れ行きを見せた“哲学界の新星”が来日。滞日記録をまとめて大好評となったNHK番組「欲望の時代の哲学」を書籍化!あのガブリエルが、誰にでも分かる言葉で「戦後史」から「日本」まで語りつくす!彼が日本で感じた「壁」とは?フェイクニュース時代になぜ哲学が有効なのか?世界的ロボット工学者・石黒浩氏とのスリリングな対論も収録!

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
丸山/俊一
1962年長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、NHK入局。ディレクターとして様々な新機軸の教養番組、ドキュメンタリーを手掛ける。その後プロデューサーとして異色の教養番組を企画、制作し続ける。現在NHKエンタープライズ番組開発エグゼクティブ・プロデューサー。早稲田大学、東京藝術大学で非常勤講師も務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

異なる文化の人々と共生する方法「多文化主義のゆくえ」

2018年12月10日 | 新刊書
多文化主義のゆくえ: 国際化をめぐる苦闘(サピエンティア) (サピエンティア 56)
ウィル・キムリッカ (著), 稲田 恭明 (翻訳), 施 光恒 (翻訳)


アメリカの政治哲学を中心に現代の政治哲学についてのよくまとまった概説書『現代政治理論』(日本経済評論社、2002年)と『新版 現代政治理論』(日本経済評論社、2005年)という二冊の概論が翻訳されている
キムリッカだが、多文化主義についても勢力的に執筆している。
移民問題に遅ればせながら直面することになった日本の現状からも、『土着語の政治――ナショナリズム・多文化主義、シティズンシップ』(法政大学出版局、2012年)につづいて翻訳された本書には注目したい。



単行本: 432ページ
出版社: 法政大学出版局 (2018/12/10)
言語: 日本語
ISBN-10: 4588603566
ISBN-13: 978-4588603563
発売日: 2018/12/10

内容紹介
リベラル多文化主義の理論家として世界的に著名な政治哲学者が、国際法や国際政治学の知見を活用しつつ、多文化主義の普及をめざす1990年代以降の国際社会の取り組みの軌跡をたどり、さまざまな困難の原因究明に挑む。移民受け入れに対する反発が噴出する今日、多文化主義の未来はいかにあるべきだろうか。少数民族や先住民族の権利保障のあり方にも大きな示唆をもたらす必読の書。

第Ⅰ部 国家・マイノリティ関係の(再)国際化
第1章 序論
第2章 変化する国際的文脈
第Ⅱ部 リベラル多文化主義を理解する
第3章 リベラル多文化主義の諸形態
第4章 リベラル多文化主義の起源
第5章 リベラル多文化主義の実践を評価する
第Ⅲ部 リベラル多文化主義の国際的普及における逆説
第6章 欧州の実験
第7章 グローバルな挑戦
第8章 結論


著者について
(Will Kymlicka)
カナダの政治哲学者。クイーンズ大学で哲学と政治学を学び、1987年、G. A. コーエンの指導の下、哲学博士号を取得。1998年からは母校であるクイーンズ大学哲学学部で教鞭をとるとともに、ハンガリーの中央ヨーロッパ大学のナショナリズム研究プログラムの客員教授も務める。英米圏を代表する政治理論家であり、日本でも『多文化時代の市民権――マイノリティの権利と自由主義』(晃洋書房、1998年)、『現代政治理論』(日本経済評論社、2002年)、『新版 現代政治理論』(日本経済評論社、2005年)、『土着語の政治――ナショナリズム・多文化主義、シティズンシップ』(法政大学出版局、2012年)、『人と動物の政治共同体――「動物の権利」の政治理論』(尚学社、2016年)が翻訳されている。

映画を二度楽しむ方法「映画は千の目をもつ: 私の幻想シネマ館 」

2018年12月10日 | 新刊書
映画は千の目をもつ: 私の幻想シネマ館
海野 弘 (著)


映画は見るのも楽しいが、
見た映画について論じられている文章を読むのも楽しい。
あ、そんな見方もあったのかとか、
おや、そんなところ、気づかなかったとか
新たな発見があるものだ。
映画について博識を披露する海野弘のこの本で
二度おしいし映画の楽しみかたを味わおう。



単行本: 336ページ
出版社: 七つ森書館 (2018/12/10)
言語: 日本語
ISBN-10: 4822818039
ISBN-13: 978-4822818036
発売日: 2018/12/10


内容紹介
博覧強記の文筆家・海野弘の映画論を集成。 長らく絶版となっていた『映画都市』『エデンという名の映画館』『映画、20世紀のアリス』その他単行本からの再録、および単行本未収録原稿を収録。

第1章 バビロン幻影Ⅰ 都市の相貌
    映画のエコール・ド・パリ
    ヘンリーとジューンとパリと
    目覚めよパリ!—『ポンヌフの恋人』
    ヴィスコンティとミラノ
    暗箱のなかの都市 ドイツ映画・一九二〇年代……

第2章 バビロン幻影Ⅱ 失われた時を求めて
    コクトー・二〇年代・映画
    たそがれの見知らぬ街を求めて
    ブルジョワジーの優雅な頽廃—『暗殺の森』
    現代史のグランド・オペラ—『1900年』……

第3章 バビロン幻影Ⅲ 儚き夢の記憶
    『赤い靴』のミラージ
    映画の中のオペラ——『トスカの接吻』
    フォリーの時代の歌姫—『偉大なるマルグリッド』
    アル・カポネと暗黒街とハリウッド……

第4章 映画のデザイン
    ハリウッド・ファッション
    ハリウッド・スタイル
    ハードボイルド・デコ フィリップ・マーロウのロサンゼルス
    ニューヨークのアパートで—『アニー・ホール』……

第5章 スタアの肖像
    ガルボ、たったひとりの戦い
    マレーネ・ディートリッヒの三〇年代
    イングリッド・バーグマンの四〇年代
    忘れじの面影 ジョーン・フォンテーンをしのぶ
    ローレン・バコール タフでクールな貴婦人……

第6章 映画のいる場所
    今宵は宮殿にてムーヴィーを
    エデンという名の映画館
    カルト・ムービー
    冬の映画館……

著者について
1939年、東京都生まれ。早稲田大学文学部ロシア文学科卒業。出版社勤務を経て、現在、美術・映画・音楽・都市論・華道・小説など幅広い分野で執筆をつづける。『アール・ヌーボーの世界』『モダン都市東京 日本の一九二〇年代』『ココ・シャネルの星座』(以上、中公文庫)、『二十世紀』(文藝春秋)、『おじさん・おばさん論』(幻戯書房)、『魔女の世界史 女神信仰からアニメまで』(朝日新書)、『世界陰謀全史』(朝日新聞出版)、『ロシア・アヴァンギャルドのデザイン 未来を夢見るアート』(パイインターナショナル)など著書は膨大。

期待が高まる「アドルノ音楽論集 幻想曲風に」

2018年12月10日 | 新刊書
アドルノ音楽論集 幻想曲風に(叢書・ウニベルシタス) (叢書・ウニベルシタス 1088)
Th.W.アドルノ (著), 岡田 暁生 (翻訳), 藤井 俊之 (翻訳)


アドルノの音楽論集。まだまだこんなのが残っていたのか。
最近ではアドルノは哲学よりも美学や音楽の論文が注目される。
作曲家論もいいが、「劇場の自然史」のような文章もぜひ読みたい。
期待が高まる一冊。


単行本: 470ページ
出版社: 法政大学出版局 (2018/12/10)
言語: 日本語
ISBN-10: 4588010883
ISBN-13: 978-4588010880
発売日: 2018/12/10

内容紹介
20代から晩年に及ぶ著作を収めた自伝的論集─―ここにいるのは、時にブリリアントな才知をきらめかせ、時に作曲家を目の前にしているかのように慟哭する、一人の人間である。それは「頑固な教条主義者」という従来のアドルノ像を心地よく打ち砕く。新しい時代の音楽に謙虚なまなざしをそそぐ哲学者の生の声を、躍動感あふれる日本語で読む。日本を代表する音楽学者と次代を担う思想史学者が贈る新鮮な翻訳!

音楽と言語についての断章

第Ⅰ部 即 興
 モチーフ
 音楽の商品分析
 カルメン幻想曲
 劇場の自然史

第Ⅱ部 現 前
 マーラー
 ツェムリンスキー
 シュレーカー
 ストラヴィンスキー─―ある弁証法的イメージ

第Ⅲ部 フィナーレ
 ベルクが拾得した作曲技法
 ウィーン
 聖なる断片─―シェーンベルクの《モーゼとアロン》について
 音楽と新音楽
 アンフォルメル音楽の方へ

  訳者解説 音楽の名前――「完全には表象できないものについての表象」
  訳者あとがき
  用語解説 

著者について
(Theodor W. Adorno)
1903年生まれ。フランクフルトでワイン商を営むユダヤ系の父オスカー・ヴィーゼングルント、歌手でイタリア系の母マリア・アドルノ、その妹で同じく歌手のアガーテのもとで経済的、音楽的に恵まれた幼年期を過ごす。1923年頃からヴァルター・ベンヤミンと親交を結ぶ。1924年フランクフルト大学で哲学博士号を取得。翌年からウィーンでアルバン・ベルクに師事。戦後を知ることなく世を去ったこの二人が哲学と音楽において終生アドルノの導きの糸となる。ナチスに追われ、主としてアメリカで過ごした亡命生活を経て戦後に帰国してからは、フランクフルト大学教授。またそれと並行して本書でも話題に上るクラニヒシュタインの音楽祭に参加し、ピエール・ブーレーズ、カールハインツ・シュトックハウゼン、ジョン・ケージらの作品に触発されつつアクチュアルな音楽批評を展開する。1969年没。主著に『新音楽の哲学』(1949年)、『否定弁証法』(1966年)などがある。