新刊の森

人文分野を中心に、できるだけその日に刊行された面白そうな新刊を、毎日三冊ずつ紹介します。役立ちそうなレシピにも注目。

オウム事件を問いなおす島田 裕巳の「「オウム」は再び現れる」

2018年12月09日 | 新刊書
「オウム」は再び現れる (中公新書ラクレ 640) 新書 – 2018/12/7
島田 裕巳 (著)


わたしたちに呪いのように取りついているオウム事件。
それは日本の社会のありかたと表裏をなす事件だからでしょうか。
オウム事件への姿勢で批判された島田さんが
再びオウム事件を論じた本書に注目。


新書: 222ページ
出版社: 中央公論新社 (2018/12/7)
言語: 日本語
ISBN-10: 4121506405
ISBN-13: 978-4121506405
発売日: 2018/12/7

内容紹介
信念なき「普通の人」たちが 凶悪事件の犯人になった理由(わけ)
麻原彰晃らオウム真理教の幹部13人の死刑が執行された。未曽有の大事件から我々は何を学ぶべきなのか。自身の評論活動から、一時「オウムシンパ」との批判を受け、以来、オウム事件の解明に取り組んできた筆者が、いまこそ事件の教訓を問う。信念なき「普通の人」たちが凶悪犯罪を起こしたのはなぜか。それは、オウムが日本組織に特有な奇妙な構造を持っていたからだ。日本組織の特殊さを理解せずにオウム事件は終わらない。

序章 死刑に処せられた教祖
第1章 オウム真理教の出現
第2章 崩壊する世界と終末論
―1999年の呪縛
第3章 ハイブリットなネオ仏教
―オウムとはどういう宗教なのか
第4章 グルと弟子
―マハー・ムドラーとは何か
第5章 秘密と暴力
―組織犯罪がテロリズムを呼び込む
第6章 武装化とサリン
第7章 オウムは再び現れる

著者について
島田裕巳 Shimada Hiromi
1953年東京都生まれ。宗教学者、作家。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員を歴任。自身の評論活動から一時「オウムシンパ」との批判を受け、以後、オウム事件の解明に取り組んできた。2001年に『オウム なぜ宗教はテロリズムを生んだのか』を刊行し話題に。『戒名』『個室』『創価学会』『神社崩壊』『0葬』など著書多数。

笑いを作る現場からの考察「笑い論 - 24時間をおもしろくする」

2018年12月09日 | 新刊書
笑い論 - 24時間をおもしろくする - (ワニブックスPLUS新書)
著者 : 倉本美津留


笑いという現象は分析するのが困難で、それでも分析してみたくなるものだ。
この本は現場から笑いをどう作るかを考察した本で、
考察のための資料として役立つだろう。
わたしたちはなぜ笑うのか。
人はその笑う場面で、本性を現すのかもしれない。




新書: 183ページ
出版社: ワニブックス (2018/12/8)
言語: 日本語
ISBN-10: 4847066170
ISBN-13: 978-4847066177
発売日: 2018/12/8

内容紹介
こうみれば世界はおもしろい。

「M-1グランプリ」や
「ダウンタウン関連番組」など、

日本の笑いを創ってきた男が
その<しくみ>を明かす――。

『M-1グランプリ』
「ダウンタウン関連番組」
(『ごっつええ感じ』『一人ごっつ』etc)
『シャキーン!』
『浦沢直樹の漫勉』ほか、
数々のテレビ番組を手がけ、

「写真で一言」
「フリップ大喜利」
「おもしりとり」など、
今や当たり前になっている
「笑いのルール」を
創ってきた倉本美津留氏。

今までの創作秘話はもちろん、
24時間をおもしろく生きる方法を
初めて1冊にまとめました。


(見出し例) ※変更になる場合があります。
・M1グランプリの審査が賛否両論になる理由
・漫才界における「発明」の歴史
・ド定番はこうして生まれた
・「甘美な死体」から生まれた三つの企画
・世界は笑いに満ちている
・諸説あるなら、一個以外は全部ウソ
・自己ツッコミで、失敗を笑い話に変える
・見るものすべてが新鮮になる「飛常識」な視点
・犬の散歩も、よく考えたらかなり変!
・自販機よ、なぜおまえはそこにいる?
・「~だけに」は、すべらないための安全装置
・「オリジナル」とは何か?
・笑いの本質は「ちょっとしたこと」にある
・「命名大喜利」で、一世一代のクリエイティブなボケを!
・誰もが「おもろい人」になる魔法の装置

著者について
倉本美津留(くらもと・みつる)

放送作家。
『M-1グランプリ』『ダウンタウンDX』『シャキーン!』『浦沢直樹の漫勉』ほか、
数々のテレビ番組を手がける。
著書に『ことば絵本 明日のカルタ』(日本図書センター)、
『ビートル頭―ビートルズの使い方 世界をビックリさせつづけるクリエイティブの本質―』(主婦の友社)、『倉本美津留の超国語辞典』(朝日出版社)など。
ミュージシャンとしても活躍。

タイムリーな復刊「イスラム報道[増補版]――ニュースはいかにつくられるか」

2018年12月09日 | 新刊書
イスラム報道[増補版]――ニュースはいかにつくられるか【新装版】
エドワード・W・サイード (著), 浅井 信雄 (翻訳), 佐藤 成文 (翻訳),


サイードが『オリエンタリズム』の延長線上で、
イスラム報道における偏向と作為を暴いた書物。
増補版の新装版だが、サイードの視点はまったく古くならない。
移民問題に直面するようになった現代の日本のマスメディアの報道にもあてはまることが多いので
読み返す価値は大いにあるだろう。
タイムリーな復刊。


単行本: 300ページ
出版社: みすず書房; 新装版 (2018/12/8)
言語: 日本語
ISBN-10: 4622087774
ISBN-13: 978-4622087779

内容紹介
「私は、ムスリムがイスラームの名によってイスラエル人や西洋人を攻撃したり
傷つけたりしたことがない、などと言っているのではない。私が語っているのは、
人がイスラームについてメディアを通して読んだり見たりすることのほとんどが、
侵略行為はイスラームに由来するものであり、なぜなら〈イスラーム〉とはそういう
ものだからだと表象されている、ということである。その結果、現地の具体的なさま
ざまな状況は忘却される。言い換えれば、イスラームについて報道するということは、
〈我々〉が何をしているかを曖昧にする一方で、このように欠陥だらけのムスリムや
アラブ人とは何者であるかに脚光を当てる一面的な活動なのである」

『オリエンタリズム』の著者が、西洋(=アメリカ)のメディアに現れるフィクションとして
の「イスラム」を描き、アクチュアルな問題を本書を通して世に問うたのは、1981年の
ことだった。そして現在、この傾向はますます振幅をきわめ、CNNを中心に放映される
イスラムの映像は、無批判のかたちで日本のテレビでも流され、あご髭のムスリム=
テロリストという表象は、われわれの脳裏に刻まれている。

原著刊行16年後に出た新版に著者が寄せた50頁を超える序文を加えた増補版。
SNS上のフェイクニュースなど、フィクションの拡がりが加速する現代においても示唆に
富み、リップマン『世論』、オーウェル『1984年』に並ぶ、新たなるメディア論の古典である。
[初版1986年12月8日発行、みすずライブラリー版1996年12月16日発行、
増補版2003年4月1日発行]

目次

ヴィンティッジ版への序文
序文

第一章 ニュースとしてのイスラム
1 イスラムと西洋世界
2 解釈の社会集団
3 「王女」エピソードの背景

第二章 イラン報道
1 聖なる戦い
2 イラン喪失
3 未検証の隠された仮説
4 もうひとつの別の国

第三章 知識と権力
1 イスラム解釈の政治学:正統的知識とアンチテーゼ的知識
2 知識と解釈


イラン略年表
訳者あとがき
増補版への付記
索引

著者について
エドワード・W・サイード Edward W. Said
1935年11月1日、イギリス委任統治下のエルサレムに生まれる。カイロのヴィクトリア・カレッジ等で教育を受けたあと合衆国に渡り、プリンストン大学卒業、ハーヴァード大学で学位を取得。コロンビア大学英文学・比較文学教授を長年つとめた。2003年9月歿。
邦訳されている著書に『オリエンタリズム』(平凡社、1986、ライブラリー版1993)『イスラム報道』(みすず書房、1986、増補版2003)『始まりの現象』(法政大学出版局、1992)『音楽のエラボレーション』(みすず書房、1995、新装版2004)『知識人とは何か』(平凡社、1995、ライブラリー版1998)『世界・テキスト・批評家』(法政大学出版局、1995)『パレスチナとは何か』(岩波書店、1995、現代文庫版2005)『ペンと剣』(クレイン、1998、ちくま学芸文庫版2005)『文化と帝国主義』(全2巻、みすず書房、1998、2001)『遠い場所の記憶 自伝』(みすず書房、2001)『フロイトと非ヨーロッパ人』(平凡社、2003)『パレスチナ問題』(みすず書房、2004)『バレンボイム/サイード 音楽と社会』(みすず書房、2004)『オスロからイラクヘ』(みすず書房、2005)『権力、政治、文化』(太田出版、2007)『晩年のスタイル』(岩波書店、2007)『文化と抵抗』(共著、ちくま学芸文庫、2008)『故国喪失についての省察』(全2巻、みすず書房、2006、2009)『サイード音楽評論』(全2巻、みすず書房、2012)などがある。