新刊の森

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アクチュアルなテーマを捉えた「暗号通貨の経済学 21世紀の貨幣論 」

2019年01月12日 | 新刊書
暗号通貨の経済学 21世紀の貨幣論 (講談社選書メチエ)
小島 寛之 (著)


ビットコイン・フィーバーは過ぎ去ったようですが
暗号通貨の経済的および社会的な意味と
その技術的な影響力はこれからじわじわと明らかになっていくものと思われます。
現代のアクチュアルなテーマを捉えた書物に拍手!


単行本(ソフトカバー): 192ページ
出版社: 講談社 (2019/1/12)
言語: 日本語
ISBN-10: 4065144957
ISBN-13: 978-4065144954
発売日: 2019/1/12
Kindle版 ¥ 1,458
単行本(ソフトカバー) ¥ 1,620


内容紹介
「お金とは何か」から暗号通貨を捉え直し、ブロックチェーンの可能性をゲーム理論で追究する。
ビットコイン、イーサリアム、リップル……暗号通貨(仮想通貨)はいかにして「お金」になるのか。
技術・経済・社会の大転換期、この革命的な技術が世界をどう変えるのか、総合的に把握するための一冊。
暗号学×経済学=暗号経済学の誕生。
ナンダ、そういうことだったのか!
◎RSA暗号・楕円曲線暗号解説も収録。
*
第1部では、ビットコインを始めとする暗号通貨の基礎となるブロックチェーンの仕組みの要点を、数式など使わずにわかりやすく解説します。
ブロックチェーンという革新的な暗号技術は、世界をどう変えていくのか? オープンソースとプロプライエタリ、中央集権と分散化といったブロックチェーンが提起する哲学的な意味、そして通貨以外でのインパクトについても言及します。

第2部では、「お金とはなにか」を考えます。
価格の乱高下やセキュリティ問題など、いまだ暗号通貨を疑問視する声も強いのが現状ですが、これまで経済学が培ってきた貨幣理論を参照しながら、暗号通貨はいかにして「お金」たり得るのかを見ていきます。価格が安定する時とはすなわち、暗号通貨が「お金」になる時といえるでしょう。お金とはなにかという見識は、投資にも役立つかもしれません。

第3部は、ゲーム理論でブロックチェーンを検討します。
人間の行動は不合理すぎ、理論通りにいかないことが指摘されるゲーム理論ですが、アルゴリズムであるブロックチェーンの世界では、理論のままに均衡が実現されることになります。「囚人のジレンマ」などのゲーム理論をざっくりとおさらいしつつ、新しい世界を垣間見る章です。

補章として、公開鍵暗号とハッシュ関数の原理について、本文では簡略化した詳細部分を解説します。「そういうことだったのか!」と膝を打つこと間違いなし。数理暗号として、有名なRSA暗号と楕円曲線暗号の両方に言及しています。
著者について
小島 寛之
小島寛之(こじま・ひろゆき)
1958年東京都生まれ。東京大学理学部数学科卒業。同大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。経済学博士。現在、帝京大学経済学部経済学科教授。数学エッセイストとしても活躍し、複雑な数理の世界へのわかりやすい解説に定評がある。
著書に『経済学の思考法』『文系のための数学教室』『数学でつまずくのはなぜか』(いずれも講談社現代新書)、『世界は2乗でできている』(講談社ブルーバックス)、『世界は素数でできている』(角川新書)、『宇沢弘文の数学』(青土社)ほか多数。


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