新刊の森

人文分野を中心に、できるだけその日に刊行された面白そうな新刊を、毎日三冊ずつ紹介します。役立ちそうなレシピにも注目。

魅惑的なサドの思想史「サドと二十世紀」

2018年12月28日 | 新刊書
サドと二十世紀
Eric Marty (原著), エリック マルティ (著), 森井 良 (翻訳)

いつまでも思想的な魅力を失わないサド。
思想家たちもずっとサドに魅せられてきました。
20世紀のフランス思想におけるサドの位置についてまとめて考察するというのは
もっと前に注目されるべき重要な論点でした。
目次をみても、その思想的な広がりは明らかでしょう。
少し値がはりますが、ぜひ読んでみたい一冊。



単行本: 488ページ
出版社: 水声社 (2018/12/25)
言語: 日本語
ISBN-10: 4801003656
ISBN-13: 978-4801003651
発売日: 2018/12/25
¥ 8,640



「サド」という現実、「サド」という戦場
悪としてのサディズムのみに着目していた19世紀を経て、
20世紀、思想家たちはどのようにサドを捉えたか?
ロラン・バルトの弟子であり、アンドレ・ジッド研究の泰斗による、サドをめぐる20世紀現代思想史。

アドルノから
クロソフスキー
バタイユ
ブランショ
フーコー
ラカン
ドゥルーズ
ソレルス
レヴィナス
バルトまで
サドが行った選択は、19世紀人にとってよりも、我々にとってずっと重要である。
--ミシェル・フーコー



【目次】
序言

第一部 サド的主体の創設――アドルノ、クロソフスキー、バタイユ、ブランショ
第一章 サドの恐怖政治
第二章 現代的主体としてのサド
第三章 モーリス・ブランショとサド的否定

第二部 サド的主体との対話――フーコー、ラカン、ドゥルーズ
第一章 フーコー――サドと語る現代の譫言
第二章 ラカンとサド的なもの
第三章 ザッヘル=マゾッホ、ドゥルーズの策略

第三部 サド的主体の利用――クロソフスキー、ソレルス、バルト
第一章 ピエール・クロソフスキー、二乗にされたサド
第二章 フィリップ・ソレルスをつうじてサドを書く
第三章 ロラン・バルトとサド的中性

エピローグ――パゾリーニ、ブランショ、レヴィナス
訳者あとがき


【著者について】
エリック・マルティ(Éric Marty) 
1955年、パリに生まれる。パリ第七大学教授、批評家、エッセイスト。ジッドの『日記』の校訂や、師であるロラン・バルトの『全集』を編纂した。主な著書『ルイ・アルセチュール』(1999年。現代思潮新社、2001年)、『ロラン・バルトの遺産』(共著、みすず書房、2008年)などがある。

寛容モデルの比較に依拠した「寛容な社会――アメリカ合衆国における言論の自由と過激派の言論」

2018年12月28日 | 新刊書
寛容な社会――アメリカ合衆国における言論の自由と過激派の言論
リー・C・ボリンジャー (著), 池端忠司 (翻訳)

寛容論をアメリカ社会において研究した書物。
部分訳が『神奈川法学』な連載されていました。
寛容論は自由な社会のための重要なテーマです。
目次からみるかぎり、法学の分野だけに限定されず
寛容のモデルを構築して考察するもののようです。



単行本(ソフトカバー): 400ページ
出版社: 春風社 (2018/12/28)
言語: 日本語
ISBN-10: 4861105935
ISBN-13: 978-4861105937
発売日: 2018/12/28
¥ 4,428


内容紹介
言論の自由はどこまで保障され、どこで制限されるのか。寛容な精神の在り方を主題とし、言論の自由の価値や目的について論じる。

出版社からのコメント
池端忠司(イケハタ・タダシ)
神奈川大学法学部教授。共著に『憲法理論とその展開』(信山社2017)がある。

第1章 自由の奴隷か
第2章 古典モデルとその限界
第3章 要塞モデルとその限界
第4章 寛容なマインドを求めて
第5章 寛容の内部的弁証法
第6章 線引きとあいまいさの長所
第7章 正しい表現方法を探して
第8章 一般的寛容の理論のためのアジェンダ

一覧性の高い参考書「図説 シンギュラリティの科学と哲学」

2018年12月28日 | 新刊書
図説 シンギュラリティの科学と哲学
野田ユウキ (著)



AIがわたしたちの生活にどのような影響を及ぼすのか
シンギュラリティの問題が自分たちの生活にかかわるものであることが
認識されはじめた2018年は、シンギュラリティ「元年」だったのでしょうか。
多くの参考書が刊行されています。
この図説は、こうした問題を一覧するには便利でしょう。



単行本: 244ページ
出版社: 秀和システム (2018/12/28)
言語: 日本語
ISBN-10: 4798054623
ISBN-13: 978-4798054629
発売日: 2018/12/28
¥ 1,620




内容紹介
人類は長い歴史のなかで数多くの新しいテクノロジーを生み出してきました。しかし、銃や原子力は人類を幸福にするだけでなく、脅威ともなっています。では最近、注目されているAIはどうでしょうか? 本書は、AIの進化によって機械が人間全体の知性を上回ってしまう時点「シンギュラリティ」について55の視点から多角的に解説します。サイエンス・テクノロジーの最先端で何が起こっているのか、世界はどのように変わるのかがわかります。

著者について
AIとの出会いは1990年代後半、IAMAS(International Academy of Media Arts and Sciences)で知った「人工無能」(開発自体は1960年代から行われていたよう)。光陰矢の如し。時は過ぎ、今回ここにAIと人間の能力が逆転するという未来予測を著すことになった。名古屋市在住。サイエンス・テクニカルライター。

目次
第1章 シンギュラリティとは
第2章 収穫加速の法則
第3章 AI
第4章 同時進行する3つの革命
第5章 衝撃の未来
第6章 キー・インテリジェンス