新刊の森

人文分野を中心に、できるだけその日に刊行された面白そうな新刊を、毎日三冊ずつ紹介します。役立ちそうなレシピにも注目。

「暴力なき革命」という視点から対比して考える「フランス革命と明治維新」

2018年12月20日 | 新刊書
フランス革命と明治維新
三浦 信孝 (編集), 福井 憲彦 (編集)


今年は明治維新150年が祝われましたが
雄藩による合意のもとで実行された明治維新が、
近代の典型的な革命とみなされたフランスの「革命」とどう異なるかということは
日本の近代化の方向性と密接な関係のある問題として、
これまでも考えられてきたテーマだと思います。
150年を記念して、このテーマを「暴力なき革命は可能か?」という
新たな視点から考えるのは興味深いことだと思います。



単行本(ソフトカバー): 234ページ
出版社: 白水社 (2018/12/20)
言語: 日本語
ISBN-10: 456009666X
ISBN-13: 978-4560096666
発売日: 2018/12/20


内容紹介
暴力なき革命は可能か?

明治維新について考えることがフランス革命を考えることにつながり、またフランス革命について考えることが明治維新について考えることにつながる──かつてそんな時代があった。
研究の進展と情勢の変化はこの結びつきをいつしか自明とはしなくなった。そして世代が経過するとともに、二つの革命を結びつけて考えていた時代の記憶は失われてしまった。
フランス革命史研究における正統派と修正派の論争、日本資本主義論争から戦後歴史学の展開を振り返ることによって、本書はフランス革命と明治維新を考えることが結びついていた時代の記憶を改めて提示したい。その後の研究の進展は、この布置を理解して初めて可能になる。
本書に収録した柴田三千雄と遅塚忠躬の幻の論考「日本の歴史学におけるフランス革命像」はこの問題を鮮やかに浮き彫りにしてくれる。
加えて、ピエール・セルナ、三谷博、渡辺浩、ピエール=フランソワ・スイリ、そして三浦信孝と福井憲彦の日仏の権威がフランス革命と明治維新の新たな見方を提示し、これからの革命のあり方を展望する。暴力なき革命は果たして可能か? マルクスには見えなかったものとは何か? 明治維新150年の記念碑。

著者について
【三浦信孝】中央大学名誉教授、日仏会館副理事長 【福井憲彦】学習院大学名誉教授、日仏会館理事長

明日への扉を開くか「サピエンス異変――新たな時代「人新世」の衝撃」

2018年12月20日 | 新刊書
サピエンス異変――新たな時代「人新世」の衝撃
ヴァイバー・クリガン=リード (著), 水谷 淳 (翻訳), 鍛原 多惠子 (翻訳)

最近流行の人類史の新しい書物が登場しました。
とくに現代の「AI革命」によって人間がどのように変わっていくかという視点が魅力的です。
人間の明日への扉はどのようにして開かれるか。
ぜひ読んでみたい。


単行本: 336ページ
出版社: 飛鳥新社 (2018/12/20)
言語: 日本語
ISBN-10: 4864106622
ISBN-13: 978-4864106627
発売日: 2018/12/20

内容紹介
◎英フィナンシャル・タイムズ紙「2018年ベストブック」選出! ◎
私たちの文明と身体に、人類史上空前の「激変」が起きている!
BBC番組化決定! ガーディアン紙、ネイチャー誌ほか各紙誌絶賛の、英国最新ベストセラー人類史。

1万年前の「農業革命」。250年前の「産業革命」。そしてスマホ・AI時代の「現代文明」。
これらの衝撃に、私たちの身体は、実はいまだ「適応」できていない――。
欧米の歴史教科書に追加されつつある「人新世(じんしんせい)」問題を提起した、衝撃の全英最新ベストセラー!


「最新科学から哲学まで、豊富な知見を縦横無尽に駆使した、すばらしく野心的かつ巧みなノンフィクション」
――ガーディアン紙

「われわれ人類の肉体が抱え続ける"欠陥"について、本書の指摘に慄然とさせられた」
――フィナンシャル・タイムズ紙

「人類によって根底から作り変えられた環境が、いかに人類そのものを作り変えつつあるか――。遺伝要因と環境要因が交差する、すばらしい一冊だ」
――ネイチャー誌
著者について
ヴァイバー・クリガン=リード
英ケント大学准教授。専門は環境人文学と19世紀英文学だが、扱うテーマは人類史、古典文学、健康、環境問題まで幅広い。ケント大学の名物教授として学生に絶大な人気をほこり、2015年には同大の「ベスト・ティーチャー賞」を受賞。ガーディアン紙、インディペンデント紙、ワシントン・ポスト紙などに寄稿多数。
人類が生み出した文明の速度に、人類の進化が追いついていない問題を大胆に提起した本書『サピエンス異変』は、フィナンシャル・タイムズ紙の2018年ベストブックに選出され、2019年3月にBBCワールドサービスで番組化(全3回)が決定しているなど、大きな反響を呼んでいる。

水谷淳(みずたに・じゅん)
翻訳家。東京大学理学部卒業、同大学院修了。訳書にバラット『人工知能 人類最悪にして最後の発明』、チャム&ホワイトソン『僕たちは、宇宙のことぜんぜんわからない』(以上、ダイヤモンド社)、アル=カリーリ&マクファテン『量子力学で生命の謎を解く』(SBクリエイティブ)、ブキャナン『歴史は「べき乗則」で動く』(早川書房)、ムロディナウ『この世界を知るための 人類と科学の400万年史』(河出書房新社)他多数。

鍛原 多惠子(かじはら・たえこ)
翻訳家。米国フロリダ州ニューカレッジ卒業(哲学・人類学専攻)。訳書にコルバート『6度目の大絶滅』(NHK出版)、ニコレリス『越境する脳』、ワイナー『寿命1000年』、ソネンバーグ&ソネンバーグ『腸科学』(以上、早川書房)、リドレー『繁栄』『進化は万能である』(共訳、早川書房)、アル=カリーリ『サイエンス・ネクスト』(河出書房新社)他多数。

ゲーム理論を政治学に応用「ゲーム理論で考える政治学 -- フォーマルモデル入門」

2018年12月20日 | 新刊書
ゲーム理論で考える政治学 -- フォーマルモデル入門
浅古 泰史 (著)


もともとは経済学から生まれたゲーム理論であるが
さまざまな分野に利用できる応用性の高い理論である。
この書物は政治学の分野にゲーム理論を適用しながら
政治学の基本を学ぶというユニークな着想の本である。
演習問題つきというのも魅力的かも。


単行本(ソフトカバー): 338ページ
出版社: 有斐閣 (2018/12/20)
言語: 日本語
ISBN-10: 4641149283
ISBN-13: 978-4641149281
発売日: 2018/12/20

内容紹介
【政治というゲームに取り組んでみよう 】
政治家の汚職など、誰もが気になるニュースを題材に政治学を学べる入門書。複雑な問題でも単純明快に解きほぐすゲーム理論の醍醐味を味わえます。多くの身近な具体例や演習問題のほか議論の題材も各章に用意し、副読本としても使える構成に。


【主な目次】
Introductionゲーム理論という視点
Part I:選挙と政治
 chapter1 低投票率──人々が投票するのはなぜか
 chapter2 選挙競争──誰の意見が政治に反映されるのか
 chapter3 汚職──政治家の汚職を減らせるか
 chapter4 連立政権──政党間協力は野合か
Part II:情報と政治
 chapter5 政治家の資質──良い政治家を選抜できるか
 chapter6 選挙運動──選挙費用は公費で賄うべきか
 chapter7 メディア──報道の自由は確保されているか
 chapter8 脱官僚──政治家が政策決定をするべきか
Part III:世界と政治
 chapter9 政治体制──なぜ独裁者は邪悪に走るのか
 chapter10 民主化──なぜ民主主義に移行するのか
 chapter11 戦争──なぜ戦争が起こるのか
 chapter12 平和──戦争を避けることはできるのか