新刊の森

人文分野を中心に、できるだけその日に刊行された面白そうな新刊を、毎日三冊ずつ紹介します。役立ちそうなレシピにも注目。

興味深い取り組みに注目「ユーラシアのなかの宇宙樹・生命の樹の文化史」

2018年12月25日 | 新刊書
ユーラシアのなかの宇宙樹・生命の樹の文化史 (アジア遊学228)
山口博 (監修), 正道寺康子 (編集)


ユーラシアの地域において聖なるものとみなされている樹木を取り上げながら
神話学や民族学的な考察を展開するという魅力的なアプローチの本のようです。
言われてみればなるほどですが
なかなか思いつかない構想かも。
目次をみても、面白そうな論文が集まっています。



単行本(ソフトカバー): 328ページ
出版社: 勉誠出版 (2018/12/25)
言語: 日本語
ISBN-10: 458522694X
ISBN-13: 978-4585226949
発売日: 2018/12/25
¥ 3,024


内容紹介
聖樹を核とするユーラシアの文化回廊を描く

北欧エッダのユグドラシル、シベリアやモンゴルにおけるシャマンの樹木信仰、中国の『山海経』にみえる建木、諏訪大社の御柱や東日本大震災を生き抜いた奇跡の一本松…。
世界の中心軸としての宇宙樹(世界樹)の観念や豊穣・再生を象徴する生命の樹の思想は、時代・地域・民族によりさまざまな名称で呼ばれ、神話や儀礼、芸術、文学のなかでシンボル化され、人々の心に根付いてきた。
古代から現代に至る宇宙樹・生命の樹の思想と精神文化、そのベースとなる樹木崇拝・巨木信仰の諸相を、ユーラシア北方から日本への文化伝播に焦点を当てながら、民俗・考古・歴史・神話・文学など多角的な視点から掘り起こす。

目次

序論 山口博

Ⅰ ユーラシアのなかの宇宙樹・生命の樹
よみがえる生命の樹 山口博
生命の樹の思想 山口博
ユーラシア草原文化と樹木 林俊雄
世界樹・生命の樹・シャマンの樹 荻原眞子
モンゴルの樹木信仰 新巴雅爾
中国少数民族ホジェン族の叙事詩に謡われる「神の樹」 于暁飛
樹木の生命力と時間の想像 劉暁峰
「月中の桂」の正体をめぐる一考察 項青
「日代の宮」の百枝槻 辰巳和弘
『うつほ物語』・『源氏物語』の大樹―「死と再生」の物語 正道寺康子
中世小説(お伽草子)における樹木の諸相―四方四季の庭園の樹木、聖樹、宇宙樹、並びに擬人化された樹木 勝俣隆
生命のない庭の生命の樹 千田稔

Ⅱ ベースとしての巨樹信仰とその変容
巨樹と樹神―〈環境文学〉の道程 小峯和明
巨樹から生まれしものの神話―御柱の深層へ 北條勝貴
樹木と昔話 マツ村裕子(*「マツ」は「木+船の右」)
巨木と仙薬が奏でる物語―『うつほ』の物語、あるいは陶酔と幻想の「胡笳の調べ」 上原作和
「花の詩学」と「樹の詩学」(試論) 長谷川弘基
「ワークワークの樹」のはるかなる旅―『千一夜物語』から『西遊記』まで 長谷川亮一
近世随筆に見る樹木奇談―樹が動くとき― 碁石雅利
漱石文学と隠喩としての植物―『門』を中心に― 李哲権
泉鏡花、魂のゆくえの物語 兵藤裕己

あとがき 正道寺康子

編著者プロフィール
山口博(やまぐち・ひろし)
富山大学・聖徳大学名誉教授、元新潟大学教授、北京日本学研究センター客員教授、文学博士。専門は日本古代文学を核にした比較文化。
主な著書に『王朝歌壇の研究』四冊(桜楓社、1967〜93年)、『古代文化回廊 日本』(おうふう、2004年)、『平安貴族のシルクロード』(角川書店、2006年)、『創られたスサノオ神話』(中央公論新社、2012年)、「ユーラシア北方文化の中の日本神話」(聖徳大学『論叢』に連載中)などがある。

正道寺康子(しょうどうじ・やすこ)
聖徳大学短期大学部教授。専門は平安朝物語文学。
著書に『日本琴學史』(共編著、勉誠出版、2016年)、論文に「『うつほ物語』とユーラシア文化」(『国文学 解釈と鑑賞』2011年8月号)、「『うつほ物語』と仙界の音楽」(『王朝文学と東ユーラシア文化』武蔵野書院、2015年)、「前期物語から見る物語史」(『新時代への源氏学8 〈物語史〉形成の力学』竹林舎、2016年)などがある。



「ベルクソン『物質と記憶』を再起動する」

2018年12月25日 | 新刊書
ベルクソン『物質と記憶』を再起動する――拡張ベルクソン主義の諸展望 単行本
村上靖彦 (著), 三宅陽一郎 (著), バリー・デイントン (著),


ベルクソンの著作の中でも『物質と記憶』はもっとも難解であるとともに
もっとも魅力的な本でもあります。
「拡張ベルクソン主義宣言」と銘打ったシリーズは
この『物質と記憶』を集中的にとりあげています。
シリーズ三作、どれも読んでみたくなります。

なおシリーズの残りの二作は
シリーズ第一巻 ベルクソン『物質と記憶』を解剖する
シリーズ第二巻 ベルクソン『物質と記憶』を診断する
です。





単行本(ソフトカバー)
出版社: 書肆心水 (2018/12/25)
言語: 日本語
ISBN-10: 4906917860
ISBN-13: 978-4906917860
発売日: 2018/12/25
¥ 3,888



内容紹介
拡張ベルクソン主義宣言! 第三弾、完結編
ベルクソンから人工知能の未来を展望する

時代にあまりに先駆けて世に出たがゆえに難解書とされてきた『物質と記憶』を、隣接諸領域の最新成果と接続しつつ現代的に読み解く野心的シリーズ最終巻。シリーズ完結を機に、品切中の第一弾『ベルクソン『物質と記憶』を解剖する』を増刷。

目 次

序 論……平井靖史

第1部 持続と生

『物質と記憶』における生……フレデリック・ヴォルムス(天野恵美理訳)
ベルクソンの実証的形而上学をめぐって……安孫子信
ベルクソンにおける現働的なものと潜在的なもの……ポール=アントワーヌ・ミケル(天野恵美理訳)
現象学をベルクソン化する……村上靖彦
《コラム》経験の拡張……増田靖彦

第2部 意識と過去

脳型ロボット研究に基づく意識及び自由意志の統合的な理解……谷 淳(石渡崇文訳)
ベルクソン・モデルの人工知能への取り込み……三宅陽一郎・平井靖史
鼎談 ベルクソンと人工知能の未来……谷淳・三宅陽一郎・平井靖史
《コラム》拡張ベルクソン主義とエンジニアリング――持続の工学的再構成は可能か?……三宅岳史
無時間的汎心論……バリー・デイントン(木山裕登訳)
時間は何を保存するか――ベルクソンにおける出来事個体の数的同一性の創設とイメージの問題……平井靖史
《コラム》持続一元論および時間の線イメージ――平井靖史氏とバリー・デイントン氏へのコメント……伊佐敷隆弘

第3部 緊張と拡張

溺死する心――心理学にとってのベルクソンの継続的な妥当性について……スティーヴン・D・ブラウン(山内翔太訳)
純粋記憶の「自覚」――西田幾多郎の絶対無の哲学からの(過剰)解釈……杉村靖彦
《コラム》記憶における「開いたもの」と「閉じたもの」……伊東俊彦
『物質と記憶』から『想像と発明』へ――ジルベール・シモンドンとイマージュのもう一つの理論……アンヌ・ルフェーヴル(米田翼・山根秀介訳)
extensionと縮約――『物質と記憶』第四章におけるベルクソンの直観を再考する……平光哲朗
関係と偶然――『物質と記憶』をめぐる「持続」解釈の試み……永野拓也
《コラム》物質は自由か――『物質と記憶』によって広げられる問いとその射程……谷口薫

人名索引・事項索引

ゲバラの本格的な伝記「チェ・ゲバラとキューバ革命」

2018年12月25日 | 新刊書
チェ・ゲバラとキューバ革命
内藤陽介 (著)


生誕90年となったゲバラですが
まだまだ熱いファンは多いようです。
彼の伝記に胸をこがしたかつての若者たちも読みたい
ゲバラの本格的な伝記が登場しました。
寒い冬の日の読書には適した一冊かも




単行本: 640ページ
出版社: えにし書房 (2018/12/25)
言語: 日本語
ISBN-10: 490807352X
ISBN-13: 978-4908073526
発売日: 2018/12/25
¥ 4,212

内容紹介
2018年、ゲバラ生誕90年。2019年、キューバ革命60年。記念の年に満を持してのゲバラ本。 盟友フィデル・カストロのバティスタ政権下での登場の背景から、“エルネスト時代"の運命的な出会い、モーターサイクル・ダイアリーズの旅、カストロとの劇的な邂逅、キューバ革命の詳細と広島訪問を含めたゲバラの外遊、最期までを郵便資料でたどる。 世界各国でのゲバラ関連郵便資料を駆使することで、今まで知られて来なかったゲバラの評価、外遊の様子などをゲバラの意外な一面を紹介。

目次
第1章 フィデルの登場
第2章 エルネストから“チェ”へ
第3章 グランマ号の革命
第4章 農業改革とキューバ親善使節団
第5章 プラヤ・ヒロン
第6章 踏み絵になったゲバラ
第7章 ミサイル危機
第8章 国連総会での演説
第9章 別れの手紙
第10章 ここにいるべき人物がいない。それはチェだ
第11章 俺はただの男にすぎない。撃て!
第12章

出版社からのコメント
かつてジョン・レノンが“世界一カッコいい男"と呼び、現在でもTシャツのイラストなどで有名なチェ・ゲバラは、1928年、アルゼンチンで生まれ、1967年にボリヴィア山中でのゲリラ活動中に捕えられ、39歳で逝去。キューバ革命の英雄として有名な彼だが、若き日の南米縦断旅行をはじめ、革命政府の要人として日本を含むアジア・アフリカ・東欧への歴訪、コンゴでの武装闘争支援など、じつはその足跡は全世界に及ぶ。その軌跡を郵便資料という独自の視点からたどり「現代史」を浮かび上がらせる稀有な書。

著者について
1967年東京都生まれ。東京大学文学部卒業。郵便学者。日本文芸家協会会員。フジインターナショナルミント株式会社・顧問。切手等の郵便資料から国家や地域のあり方を読み解く「郵便学」を提唱し研究・著作活動を続けている。 主な著書 『なぜイスラムはアメリカを憎むのか』(ダイヤモンド社)、『中東の誕生』(竹内書店新社)、『外国切手に描かれた日本』(光文社新書)、『切手と戦争』(新潮新書)、『反米の世界史』(講談社現代新書)、『事情のある国の切手ほど面白い』(メディアファクトリー新書)、『マリ近現代史』(彩流社)、『朝鮮戦争』、『アウシュヴィッツの手紙』、『リオデジャネイロ歴史紀行』、『パレスチナ現代史』(えにし書房)。