新刊の森

人文分野を中心に、できるだけその日に刊行された面白そうな新刊を、毎日三冊ずつ紹介します。役立ちそうなレシピにも注目。

ユニークな視点がおもしろい「1683年 近世世界の変容 (歴史の転換期)」

2018年12月29日 | 新刊書


1683年 近世世界の変容 (歴史の転換期)
守川 知子 (著), 伏見 岳志 (著), 三木 聰 (著), 川分 圭子 (著)


「1683年、オスマン帝国のウィーン包囲失敗」を近代世界の変容の画期とみなすというのは
風変りですね。この書物ではヨーロッパではなく、アジアや植民地に重点を置いているために
このような時代区分が選ばれたのでしょうか。
ユニークな視点が興味をそそります。


単行本: 270ページ
出版社: 山川出版社 (2018/12/26)
言語: 日本語
ISBN-10: 4634445077
ISBN-13: 978-4634445079
発売日: 2018/12/26
¥ 3,780

1683年、オスマン帝国のウィーン包囲失敗に象徴されるように、近世アジア諸帝国は陰りをみせはじめた。そこに登場する近代社会の萌芽を形作る新たな時代の息吹を、貿易・植民地・宗教・法や社会の視点から紹介する。

目次
総論 近世世界の変容
1章 アジア海上貿易の転換(オランダのアジア貿易;中国ジャンク船貿易の台頭 ほか)
2章 あるアルメニア人改宗者の遍歴にみる宗教と近世社会(西アジアの東西大国とアルメニア人;あるアルメニア人改宗者の生涯 ほか)
3章 海賊と先住民に悩まされるスペイン領ユカタン植民地(海賊とカンペチェ港;ログウッド伐採者 ほか)
4章 中国福建省の社会空間(汀州府知府王廷〓の治績;地方士大夫李世熊の行動 ほか)
5章 近世西欧諸国のアメリカ植民地体制における法と経済(近世西欧における植民地・貿易・法の関係;イギリスの航海法と旧植民地体制 ほか)

コミックも読みたくなる「『サトコとナダ』から考えるイスラム入門 ムスリムの生活・文化・歴史 」

2018年12月29日 | 新刊書
『サトコとナダ』から考えるイスラム入門 ムスリムの生活・文化・歴史 (星海社新書)
椿原 敦子 (著), 黒田 賢治 (著)


「サトコとナダ」というコミックを手掛かりに
ムスリムの生活について考える本のようです。
コミックや映画を手掛かりにするのは
とてもいい方法だと思います。
ついでもコミックのほうも読みたくなります。


新書: 208ページ
出版社: 講談社 (2018/12/27)
言語: 日本語
ISBN-10: 4065144779
ISBN-13: 978-4065144770
発売日: 2018/12/27
¥ 1,058


内容紹介
世界の4人に1人がイスラム教徒になる時代
皆さんはイスラムにどんなイメージをお持ちですか? メッカに向かって祈りを捧げる人々、ベールをまとう女性、遠い世界のちょっぴり怖い人たち……? メディアで取り上げられるイスラムは極端なものばかりなので、ネガティブな印象を持つ方も少なくないでしょう。そこで本書では、イスラムがいつどのようにして生まれたのか、その歴史的背景を紐解くことで、イスラムに対するステレオタイプなイメージをリセットし、よりよいお付き合いのためのヒントを探ってゆきます。我々が知らないうちに身に着けていた、偏見や思い込みというベールを、一旦脱いでみませんか? きっと、多様で豊かなムスリムの姿が見えてくるはずです!

著者について
椿原 敦子
文化人類学者
1974年岐阜県生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(人間科学)。現在、龍谷大学社会学部講師。ムスリムを中心としたアメリカの移民コミュニティについての研究を行っている。著書に「グローバル都市を生きる人々――イラン人ディアスポラの民族誌』(春風社、2018年)など。

黒田 賢治
中東・イスラム研究者
1982年、奈良県生まれ。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科東南アジア地域研究専攻博士課程修了。博士(地域研究)。現在、国立民族学博物館現代中東地域研究拠点特任助教。現代イランを中心にムスリム社会の研究にたずさわる。著書に『イランにおける宗教と国家――現代シーア派の実相』(ナカニシヤ、2015年)など。

登録情報

期待させる「不可視の「国際法」――ホッブズ・ライプニッツ・ルソーの可能性」

2018年12月29日 | 新刊書
不可視の「国際法」――ホッブズ・ライプニッツ・ルソーの可能性
明石 欽司 (著)


国際法の根底にある法思想と政治思想を、その根っこのところにある
ホッブズ・ライプニッツ・ルソーに探る書物。
目次からみると重厚な分析のようで、期待させます。
とくにルソーのところが読んでみたい。




単行本: 608ページ
出版社: 慶應義塾大学出版会 (2019/1/8)
言語: 日本語
ISBN-10: 4766425707
ISBN-13: 978-4766425703
発売日: 2019/1/8
¥ 8,100


内容紹介
▼我々の「負の国際法意識」を克服せよ。

啓蒙期「知の巨人」たちは「国際法」とは無関係なのか。現在の一般知識からは影となっている事実に焦点を当て、彼らの「法」「国家」「主権」理論を論理的に描き出す。

国際法史研究の深化を問う最高水準の研究。

本書の主題は、トマス・ホッブズ・ライプニッツ及びジャン=ジャック・ルソーの「法」「国家」「国際法」観念の考察である。

社会科学に関わる思想・理論史研究において、或る分野では高い評価を与えられ、重要な研究対象とされてきた思想家や著作家が、他の分野においては殆ど顧みられることがないままでいるという現象は決して稀なことではない。特定分野においてのみ研究対象として認識され、他の分野で看過されてきた思想家が論じた観念や理論が当該他の分野にとって実際に無意味なものであるならば、それは何らの問題も惹起しない。しかし、そのような観念や理論が無意味であるとの評価が一般的に共有された知識に基づく場合は、その評価自体が問題とされなければならない。

本書で対象とする3人の思想家について国際法学において生じている状況。これに著者は或る種の知的好奇心を抱き、事実に基づく論理的考察を開始する。その契機となった言葉が「負の国際法意識」なのである。

序 論


  第一部 トマス・ホッブズ:「国際法の否定者」か

 はじめに



第一章 予備的考察:国際法(史)概説書におけるホッブズの位置付け

 序

 第一節 国際法概説書におけるホッブズ

 第二節 国際法史概説書におけるホッブズ

 小括と若干の考察



第二章 ホッブズの「法」理論

 序

 第一節 ホッブズによる「法」の定義及び分類

 第二節 ホッブズの自然法理論の本質

 第三節 国家法と自然法の関係

 小括と若干の考察



第三章 ホッブズの「国家」及び「主権」理論

 序

 第一節 ホッブズの国家理論の概要

 第二節 ホッブズの「主権」理論

 小括と若干の考察


第四章 ホッブズの「国家間関係」観

 序

 第一節 「国家間関係」へのホッブズの直接的言及とそれに対する疑問

 第二節 ホッブズの論述に内在する「修正された自然状態」:その存在

 契機と永続

 第三節 ホッブズの社会契約理論と「修正された永続的自然状態」

 小括と若干の考察


第五章 ホッブズの「国際法」認識:「『国際法』と自然法は同一」であることを中心に

 序

 第一節 「国際法」への明示的言及と通説

 第二節 「『国際法』と自然法は同一」論の考察の前提:「条約」の法

 的地位と国家の擬制的人格

 第三節 「『国際法』と自然法は同一」であるのか

 第四節 「主権」・「主権者」・「国家」の関係を巡る問題」

 小括と若干の考察


第一部 まとめ


 第二部 ライプニッツ:「失われた環」

 はじめに


第一章 予備的考察:国際法(史)概説書及び国際法史研究におけるライプニッツの位置付け

 序

 第一節 「国際法」関連文献及び国際法概説書におけるライプニッツ

 第二節 国際法史研究におけるライプニッツ

 小 括


第二章 ライプニッツの「法」観念

 序

 第一節 ライプニッツの法認識を巡る若干の特色

 第二節 ライプニッツの法観念の基本的構成

 小括と若干の考察


第三章 ライプニッツの「国家」観念

 序

 第一節 「社会」

 第二節 国家観念を巡る諸問題

 第三節 国家の擬制的人格

 小括と若干の考察


第四章 ライプニッツの「主権」理論:“Suprematus” 観念の分析を中心として

 序

 第一節 「統治権」観念の錯綜

 第二節 “Suprematus”・“summa potestas”・“superioritas

 territorialis”・“Souverainet?”

 第三節 “Suprematus” 理論における帝国等族

 第四節 “Suprematus” の特質

 小括と若干の考察



第五章 ライプニッツの「国際法」観念

 序:ライプニッツの「国家間関係」観

 第一節 ライプニッツの「国際法」理論

 第二節 ライプニッツの「国際法」理論の内実

 小括と若干の考察


第二部 まとめ


  第三部 ルソー:「国際法」の構想とその挫折

 はじめに


第一章 予備的考察:国際法(史)概説書におけるルソーの位置付け

 第一節 国際法概説書におけるルソー

 第二節 国際法史概説書におけるルソー

 小括と若干の考察



第二章 ルソーの「法」・「国家」理論の概要

 序

 第一節 ルソーの「法」観念の概要

 第二節 ルソーの国家(社会)構成理論の概要

 小 括


第三章 ルソーの「国家間関係」観

 序

 第一節 国家間関係の発生と「自然状態」

 第二節 欧州の特殊性

 小 括


第四章 ルソーの「国際法」理論

 序

 第一節 「自然国際法」の存在可能性

 第二節 「実定国際法」の存在可能性

 第三節 ルソーの「戦争」観念と「戦争法」規範:「国際法」理論とし

 て理解可能か

 第四節 「欧州公法」と欧州諸国家間のシステム

 小括と若干の考察


第五章 ルソーの論証方法と理論における問題点

 序

 第一節 論証方法における問題点:方法論的矛盾

 第二節 理論的問題点:「一般意志」

 小 括

第三部 まとめ:「孤独な散歩者」の近代国際法学史上の地位

  結 論

 本書のまとめ

 内在的理解による「国家間関係」観・「国際法」観念の提示の更なる意

 義

 永続的課題としての我々の「負の国際法意識」の克服


あとがき

文献一覧

事項索引

人名索引

明石 欽司[アカシ キンジ]
著・文・その他


著者について
明石 欽司(あかし きんじ)
九州大学大学院法学研究院教授。法学博士(ユトレヒト大学、1996年)。 1958年生まれ。慶應義塾大学法学部卒業、慶應義塾大学大学院法学研究科修士課程修了、同博士課程中退。海上保安大学校助手・専任講師、在ベルギー王国日本大使館専門調査員、ブリュッセル自由大学国際法研究所研究員、新潟国際情報大学情報文化学部助教授、慶應義塾大学法学部助教授、同教授を経て、2016年より現職。
“Cornelius van Bynkershoek: His Role in the History of International Law" (Kluwer Law International, 1998)で第32回安達峰一郎賞を受賞。
主要著作として『ウェストファリア条約―その実像と神話』(慶應義塾大学出版会、2009年)ほか。