新刊の森

人文分野を中心に、できるだけその日に刊行された面白そうな新刊を、毎日三冊ずつ紹介します。役立ちそうなレシピにも注目。

アイヌの歴史を地図で示す「地図でみるアイヌの歴史―縄文から現代までの1万年史」

2018年12月21日 | 新刊書
地図でみるアイヌの歴史―縄文から現代までの1万年史
平山 裕人 (著)



アイヌの歴史は、文字資料が少ないためになかなか再現するのが困難だと思われますが、
本書はすでに得られている情報を
地図の上にプロットして分かりやすく示したもの。
アイヌのかつての故郷の土地を旅行するときにもきっと役立つに違いありません。


単行本: 232ページ
出版社: 明石書店 (2018/12/19)
言語: 日本語
ISBN-10: 4750347566
ISBN-13: 978-4750347561
発売日: 2018/12/19

内容紹介
アイヌ民族のルーツとは何か。北海道・サハリン南部・千島列島に渡る独自の文化圏はいかに形成されたのか。未だ謎の多い日本の先住民族の現代までの歩みを、60の多彩なテーマ別に豊富な地図と図表、史料を用いてわかりやすく描く。巻末に詳細な年表付き。

 はじめに

第1章 アイヌ文化の基層にあるもの
 1.北海道にはアイヌ民族が先住している
 2.アイヌとはどういう人たちを言うのか
 3.「原北海道」の旧石器文化
 4.遺伝子(DNA)の分析からみるアイヌの歴史
 5.アイヌの昔話からみるアイヌの祖先
 6.アイヌ語の起源

第2章 北日本型の新石器文化の変遷
 1.新石器文化の開始
 2.新石器文化の展開
 3.新石器文化の爛熟

第3章 原アイヌ文化期
 1.東アジアに国が登場
 2.南にヤマト王朝、北にオホーツク文化、そして原アイヌ文化は
 3.東北地方にもアイヌ語地名がある
 4.日本史の文献にみえるエミシとは何か
 5.阿倍比羅夫の侵攻
 6.アテルイの戦い
 7.アキタエミシの戦い
 8.擦文文化
 9.オホーツク文化

第4章 アイヌ文化前期
 1.アイヌの生活の変化
 2.サハリンアイヌと元王朝の戦い
 3.アイヌの神話からみるアイヌ文化
 4.イシハの遠征
 5.14世紀のアイヌの風習
 6.津軽安藤氏の登場
 7.コシャマインの戦い
 8.夷狄商舶往還の法度
 9.自由交易の興隆
 10.チャシを造る

第5章 アイヌ文化後期
 1.豊臣秀吉の朱印状
 2.徳川家康の黒印状と松前城下交易
 3.ゴールド・ラッシュと商場知行制
 4.シャクシャインの戦い
 5.起請文の現実
 6.和人領域内のアイヌ
 7.サハリンのハラタ・カーシンタ制
 8.ロシアのカムチャツカ・千島列島侵攻
 9.場所請負制度の開始
 10.アイヌモシリを襲う日本・清・ロシア
 11.クナシリ・メナシの戦い
 12.ラックスマン来航から20年
 13.アイヌ民族のスタイル
 14.日露通好条約と漁場労働の猛威

第6章 近現代のアイヌ史
 1.アイヌの近現代史を先住権の視点からみると
 2.「開拓使」とアイヌ民族への政策
 3.千島・樺太交換条約
 4.北海道旧土人保護法に至る道
 5.アイヌ学校
 6.近代のサハリンアイヌ
 7.戦前のアイヌ民族運動
 8.アイヌ民族と戦争
 9.アジア・太平洋戦争
 10.現代のアイヌ民族と同化政策
 11.狩猟採集の動物資源・植物資源と近現代
 12.差別とアイヌ文化
 13.同化政策と「アイヌ民族は生きている」という訴え
 14.アイヌ遺骨問題
 15.アイヌ文化の継承・発展
 16.先住権を求めて
 17.世界の先住民族の権利獲得
 18.アイヌ新法制定をめぐる綱引き

 主な引用・参考文献一覧
 アイヌ史年表
 索引
 おわりに


著者について
北海道小樽市立高島小学校教諭。主な著書に以下のものがある。『アイヌ史を見つめて』『アイヌの学習にチャレンジ』『アイヌ史のすすめ』『ようこそ アイヌ史の世界へ』(以上、北海道出版企画センター刊)『ワークブック アイヌ・北方領土学習にチャレンジ』『アイヌ語古語辞典』『アイヌの歴史―日本の先住民族を理解するための160話』『地域別アイヌ史資料集』(以上、明石書店刊)


どんな過去が明らかになるのか、わくわくする「昆虫考古学」

2018年12月21日 | 新刊書
昆虫考古学 (角川選書 610)
小畑 弘己 (著)


むかし琥珀の中に閉じ込められた虫というテーマが話題になりました。
ジュラシック・パークという映画も、琥珀の中に閉じ込められた蚊から恐竜の血液を採取して
恐竜を蘇らせるという筋書きでした。
琥珀という鉱物の中に、生物が閉じ込められることで、
数億年も前の歴史がわたしたちの前に甦るのです。
本書はそれほど前ではなく、縄文時代の土器に残された虫の残した痕を手掛かりに
考古学的な考察を展開しようとするものです。
どんなことが明らかになるのか、スリリングですね。


単行本: 240ページ
出版社: KADOKAWA (2018/12/21)
言語: 日本語
ISBN-10: 4047036455
ISBN-13: 978-4047036451
発売日: 2018/12/21

内容紹介
最新科学で迫る縄文時代。土器の粘土に残る痕跡から人々の暮らしが見える。

縄文土器の表面や断面に現れた当時のタネやムシたちの「圧痕」は、いわば「人が作った化石」といえる。土器の製作時に粘土中に練り込まれたコクゾウムシなどの貯蔵食物害虫をはじめとする家屋害虫は、縄文人が定住し、植物を栽培し、それらを貯蔵するようになって自然に集まってきたムシたちであった。従来の方法ではその資料的限界からわからなかった縄文時代の人々の意(衣)食住の実態を、今、この圧痕ムシたちが語り始める――。

1章 コン虫とガイ虫
2章 縄文土器はごきぶりホイホイ
3章 ムシとヒトの歴史――シラミとゴキブリ
4章 ウンチの中から出てくるムシたち
5章 ハエが見ていた人の死――葬送昆虫考古学の世界
6章 殺虫・防虫の考古学
7章 クリを食べたコクゾウムシ
終章 害虫と人の未来
著者について
●小畑 弘己:1959年、長崎県に生まれる。1982年、熊本大学法文学部史学科卒業。熊本大学大学院人文社会科学研究部教授、博士(文学)。主な著書に、『タネをまく縄文人 最新科学が覆す農耕の起源』(吉川弘文館、第5回古代歴史文化賞大賞)、『考古学の基礎知識』(共著、角川学芸出版)、『Jr.日本の歴史1 国のなりたち』(共著、小学館)、『東北アジア古民族植物学と縄文農耕』(同成社)など。

戦国大名の内輪の事情を明かす「戦国大名と国衆」

2018年12月21日 | 新刊書
戦国大名と国衆 (角川選書 611)
平山 優 (著)


武田家、織田家、今川家など歴史小説や映画によく登場する戦国大名ですが、
その領地で実際にどのような統治が行われていたか
あまり注目されることがありませんでした。
この書物はその欠落部分を埋めるものとして、
地道な歴史研究書でありながら、
わたしたちの関心の深い分野にもかかわるものとして、
興味深いものと思われます。



単行本: 312ページ
出版社: KADOKAWA (2018/12/21)
言語: 日本語
ISBN-10: 4047036706
ISBN-13: 978-4047036703
発売日: 2018/12/21


内容紹介
領国支配と軍事編成――その中核に誰がいたのか。

戦国大名の領国は、軍事侵攻で制圧した直轄支配地域と、彼らに従属した「国衆」(先方衆とも)が排他的に支配する「領」(「国」)とでモザイク状に構成されていた。この戦国期固有の領主たちはいかに誕生したのか。大勢力の狭間で翻弄されながらも、その傑出した実力で戦国大名とどのような双務的関係を結び、彼らの権力構造にいかなる影響を及ぼしていたのか。武田氏を主軸に、史料渉猟から浮かび上がる国衆の成立・展開・消滅の歴史を追い、戦国大名の領国支配と軍事編成の本質を総括・通覧する。

はじめに
第一章 戦国期の国衆と先方衆
第二章 室町期国人領主の成立と展開
第三章 国人領主から国衆へ
第四章 戦国大名領国下の国衆「領」(「国」)
第五章 国衆の武田氏従属
第六章 先方衆としての国衆と武田氏
終 章 武田氏滅亡と国衆
参考文献一覧
あとがき

著者について
●平山 優:1964年、東京都生まれ。立教大学大学院文学研究科博士前期課程史学専攻(日本史)修了。専攻は日本中世史。山梨県埋蔵文化財センター文化財主事、山梨県史編さん室主査、山梨大学非常勤講師、山梨県立博物館副主幹を経て、山梨県立中央高等学校教諭。2016年放送の大河ドラマ「真田丸」の時代考証を担当。著書に、『真田信繁 幸村と呼ばれた男の真実』『武田氏滅亡』(角川選書)、『天正壬午の乱 増補改訂版』(戎光祥出版)、『真田三代』『真田信之 父の知略に勝った決断力』(ともにPHP新書)などがある。