新刊の森

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まことにタイムリーな一冊「人口問題の正義論」

2019年01月14日 | 新刊書
人口問題の正義論
松元 雅和 (編集), 井上 彰 (編集)


人口の減少に悩む日本のような国もあれば、
人口の爆発的な増加が深刻な問題となるアフリカ諸国のような国もあります。
どちらにとっても人口は重要な社会・経済的な問題に、そして政治的に問題になってきました。
人口の総数だけではなく、世代的なバランスの問題も重要な倫理的な問題を引き起こしています。
「人口の問題は正義の問題である」と断言する本書は
まことにタイムリーな一冊と言えるでしょう。



単行本: 264ページ
出版社: 世界思想社 (2019/1/11)
言語: 日本語
ISBN-10: 4790717259
ISBN-13: 978-4790717256
発売日: 2019/1/11
¥ 3,888


内容紹介
人口の問題は正義の問題である!

どれくらいの人口規模が理想的なのか?

どのような人口政策が正しいのか?

哲学、倫理学、法哲学、政治哲学、経済学がそれぞれ進めてきた知の蓄積を結集して体系化した、最良のガイド。

哲学的基礎から、生殖と家族計画、世代間正義、移民・外国人労働者問題まで。


◆序章より

本書の特徴は、人口問題を正義論の観点から論じることである。正義論とは、個人の選択や判断、社会の政策や制度など、個人や社会のありように関して、規範的に考察する学問分野である。正義論はその考察対象として、「今ある」社会よりも「あるべき」社会を探求する。そこで、人口問題について正義を論じるとは、あるべき人口規模、あるべき人口政策といった規範的問いに中心的に取り組むということである。本章第一節で概観するように、人口論は過去から現在まで、すぐれて正義の問題でもあり続けてきた。

とはいえ、正義論の一テーマとして、人口問題が独立した位置を占めてきたわけでは必ずしもない。むしろ、多くの研究者がそれを重要なテーマと捉え、研究を重ねてきたにもかかわらず、これまで「人口正義論」としてその体系的な知の蓄積はなされていないのが現状である。その結果、人口問題についての考察はこれまで、環境倫理学、生命医療倫理学、グローバル正義論、世代間正義論といった各テーマの一部分として、倫理学者、法哲学者、政治哲学者らによって、同時並行的に進められてきた。

こうした問題意識のもと、私たちは各テーマ、各領域を横断する新たな学際的領域を切り開くような、国内の知の蓄積を結集する編著を企画した。本書の刊行により、正義論研究者にとっても、同様に人口問題に関心を抱く他分野の研究者や一般の読者にとっても、「人口正義論」に関する最良の知の手引きができるものと信じている。

目次
人口問題の正義論―研究動向の道案内
第1部 人口問題の哲学的基礎
第2部 人口規模の問題
第3部 生殖と家族計画の問題
第4部 人口移動の問題
第5部 世代間正義の問題




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