新刊の森

人文分野を中心に、できるだけその日に刊行された面白そうな新刊を、毎日三冊ずつ紹介します。役立ちそうなレシピにも注目。

久々のフォイエルバッハ論「フォイエルバッハの社会哲学 -他我論を基軸に」

2020年01月13日 | 新刊書

久々のフォイエルバッハ論。他我論が軸のようですが、「フェティシュなフォイエルバッハ──フェティシズム論摘要」というのが気になりますね。

 

 

フォイエルバッハの社会哲学 -他我論を基軸に
石塚 正英 (著)
単行本 ¥2,860
単行本: 304ページ
出版社: 社会評論社 (2020/1/13)
言語: 日本語
ISBN-10: 4784515763
ISBN-13: 978-4784515769
発売日: 2020/1/13
内容紹介
ルートヴィヒ・アンドレア・フォイエルバッハ思想の全体像を読み解き、その現代性を問う
〔序〕自然災害と信仰をフォイエルバッハはどう関連付けたか
I アフリカ・アメリカ文化との出逢い
第一章 フォイエルバッハとフェティシズム
第二章 中後期フォイエルバッハの物神(Gotze)評価──初期フォイエルバッハの汎神論的自然観との関係
第三章 汎神論から他我論への展開──中後期フォイエルバッハ
第四章 マックス・シュティルナーのヘーゲル左派批判
II フォイエルバッハの自然信仰論──宗教論三部作の解説
第五章 キリスト教の本質── Gotzendienst に備わる善と真
第六章 宗教の本質に関する講演──すべては形像崇拝に発する
第七章 神統記──唯物論が神々の根拠
III Sache(事象)とBild(形像)との関係
第八章 フォイエルバッハの現代性── Sache(事象)とBild(形像)との関係をめぐって
第九章 唯物論(materialism)の語原は母(mater)である
第十章 身体論を軸としたフォイエルバッハ思想
IV フェティシスト・フォイエルバッハの偶像破壊
第十一章 聖書の神話的解釈とフェティシズム──シュトラウスを論じてフォイエルバッハに及ぶ
第十二章 キリスト教の中の原初的信仰──マルクスを論じてフォイエルバッハにおよぶ
第十三章 フォイエルバッハの唯物論的宗教論──神は儀礼から生まれた
第十四章 人間の中の神を考える──ルターとの比較
第十五章 フォイエルバッハと日本の古代信仰──遺稿「日本の宗教」の分析
補 章 フェティシュなフォイエルバッハ──フェティシズム論摘要
〔結〕フォイエルバッハ思想の統一的全体像を求めて
著者について
東京電機大学教授。『ヘーゲル左派という時代思潮』『学問の使命と知の行動圏域』など哲学・社会思想関係の著書が多数ある。
 

内容がすぐには理解しがたいが、興味深い一冊「責任という虚構」増補版

2020年01月11日 | 新刊書

著者の小坂井敏晶さんは社会心理学者で、パリ第8大学心理学部准教授という。この増補版は東大出版会の元版を増補したものらしいので、もとの版の目次をつけておく。なかなスタンスが難しそうな著作だが、興味深い。

 

増補 責任という虚構 (ちくま学芸文庫) (日本語)
 2020/1/10
小坂井 敏晶 (著)
文庫: 544ページ
出版社: 筑摩書房; 増補版 (2020/1/10)
文庫 ¥1,760
言語: 日本語
ISBN-10: 4480099530
ISBN-13: 978-4480099532
発売日: 2020/1/10
内容紹介
ホロコースト・死刑・冤罪の分析から現れる責任の論理構造とは何か。そして人間の根源的姿とは。補考「近代の原罪」を付した決定版。解説 尾崎一郎
 
【元版の内容紹介】
内容紹介
責任とは何か.個人が負う責任,集団が負う責任,企業責任,歴史的責任.共通する責任とは何なのか.自由と責任は本当に関連があるのか.本書は,責任と呼ばれる社会現象が何を意味するのか,歴史的な集団殺戮や死刑制度、冤罪などをテーマに考察する.
主要目次
はじめに
序 章 主体という物語
ハンナ・アーレントによるホロコースト分析 / アイヒマン実験/服従の原因/問題の所在 /意識と行動の乖離/原因と理由/私と呼ばれる同一化現象/意志を生むからくり/集団が支える自己
第1章 ホロコースト再考
普通の人間/責任転嫁の仕組み/心理的距離/正当化の心理/反ユダヤ主義の機能/ホロコーストの近代性 /医師の役割/ダニエル・ゴールドハーゲンの反論/袋小路
第2章 死刑と責任転嫁
日本の死刑制度/死刑執行の抽象化/死刑を支える分業体制
第3章 冤罪の必然性
非合法な捜査/悪を憎む心/司法取引の罠/虚偽自白の心理/目撃証言神話/分業と解釈/裁判官という解釈装置/自動運動する秩序維持機構
第4章 責任という虚構
矛盾をどう解くか/因果関係再考/自由の意味/刑罰の根拠/正しさの源泉
第5章 責任の正体
集団責任の認知構造/集団的道徳責任/同一化と道徳的汚染/普遍的価値の源泉/責任概念の歴史変遷/責任の正体/精神鑑定の役割/犯罪者の成立/死刑の真相
第6章 社会秩序と〈外部〉
近代政治哲学の〈外部〉/貨幣と贈与の媒介項/部分と全体の弁証法/〈外部〉の成立過程/信頼の構造/近代の陥穽/人はパンのみにて生きるにあらず /正義という地獄
結論に代えて
あとがき
参考文献
索引

待望のベンサムの政治思想の分析書「功利とデモクラシー」

2020年01月11日 | 新刊書

ベンサムは日本ではあまり人気のない思想家だが、彼のもたらしたものは大きい。今回サムの政治思想を中心に分析する書物が翻訳されたのはうれしいことだ。ぜひ読んでみよう。ただこの値段はどうにかならないものか。

 

 

 

功利とデモクラシー:ジェレミー・ベンサムの政治思想
2020/1/11
フィリップ・スコフィールド (著)
単行本: 628ページ
出版社: 慶應義塾大学出版会 (2020/1/11)
単行本 ¥16,500
言語: 日本語
ISBN-10: 4766426428
ISBN-13: 978-4766426427
発売日: 2020/1/11
内容紹介
支配する少数者の「邪悪な利益」を
いかに制御するか
――ゆえにベンサムは急進的でなければならなかったのだ
本書は次の二つの慧眼を持つ。
第一に、言語論を核としたベンサムの論理学が、功利性の原理と並び立つ彼の思想の基盤であることを説得的に示したこと。
第二に、支配層としての政治家・法律家・宗教家の協働による私的利益の追求を「邪悪な利益」として糾弾し、急進的民主主義へと転向したベンサムの政治思想を詳らかにしたことである。
稀代の思想家が掲げた〈功利〉と〈民主主義〉の新たな側面に光を当てたスコフィールドの二〇年に渡る研究の到達点、ついに刊行。
著者について
[著者]
フィリップ・スコフィールド(Philip Schofield)
ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン法学部教授。ベンサム・プロジェクト・ダイレクターおよび『ジェレミー・ベンサム著作集』編集主幹。
本書以外に、Bentham: A Guide for the Perplexed, Continuum, 2009(『ベンサム―功利主義入門』、慶應義塾大学出版会、2013年)がある。ベンサムおよび古典功利主義に関する論文、編著多数。本書によって2006年マッケンジー図書賞(イギリス政治学会)を受賞。
[訳者]
川名 雄一郎(かわな ゆういちろう)
Ph.D. in Political Science(UCL)。
著書にLogic and Society (Palgrave, 2017)など。
高島 和哉(たかしま かずや)
1971年生まれ。早稲田大学大学院社会科学研究科博士課程単位取得満期退学。博士(学術)。現在、明治大学ほか非常勤講師。専門は倫理学・社会思想史。著書に、『ベンサムの言語論―功利主義とプラグマティズム』(慶應義塾大学出版会、2017年)、『ジェレミー・ベンサムの挑戦』(共著、ナカニシヤ出版、2015年)。訳書に、イリイチ『生きる意味―「システム」「責任」「生命」への批判』(藤原書店、2005年)、マッキンタイア『依存的な理性的動物―ヒトにはなぜ徳が必要か』(法政大学出版局、2018年)など。
戒能 通弘(かいのう みちひろ)
1970年生まれ。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス法学修士課程修了。博士(法学・同志社大学)。現在、同志社大学法学部教授。専門は法思想史。著書に、『世界の立法者、ベンサム』(日本評論社、2007年)、『近代英米法思想の展開』(ミネルヴァ書房、2013年)、『ジェレミー・ベンサムの挑戦』(共編著、ナカニシヤ出版、2015年)、『法の支配のヒストリー』(編著、ナカニシヤ出版、2018年)、『イギリス法入門』(共著、法律文化社、2018年)。