新刊の森

人文分野を中心に、できるだけその日に刊行された面白そうな新刊を、毎日三冊ずつ紹介します。役立ちそうなレシピにも注目。

狩野力八郎のエッセー集「精神分析になじむ」

2018年12月07日 | 新刊書
精神分析になじむ (狩野力八郎著作集1) 単行本 – 2018/12/7
池田 暁史 (編集), 相田 信男 (編集), 藤山 直樹 (編集)


狩野力八郎という方は存じ上げなかった。
精神医学の畑の方らしいが、精神分析をオープンなシステムとして捉えようとする
視点は興味深い。
精神分析について、具体的にどのようなことを語っているのか、
図書館にもいくつか著作が収蔵されているようなので
これをきっかけとして、ぜひ読んでみたい。



単行本: 304ページ
出版社: 金剛出版 (2018/12/7)
言語: 日本語
ISBN-10: 4772416722
ISBN-13: 978-4772416726
発売日: 2018/12/7

内容紹介
「精神分析という方法は,議論を絶やすことなくつねにオープンなシステムとして機能し続けるような仕掛けを内包している生きたシステムだ。」(本文より)
本書は狩野が生前に発表しその後書籍にまとめられることがないままになっていた各種論考をまとめたものである。狩野は精神分析にとってごく当然とされる種々の営みに改めて「形」を与えることで,精神分析そのものに触れようとし続けた。精神分析を大切だと思う方に一読を勧めたい。

内容(「BOOK」データベースより)
本書は狩野が生前に発表し、その後、書籍にまとめられることがないままになっていた各種論考を集めたものである。狩野は精神分析にとってごく当然とされる種々の営みに改めて「形」を与えることで、精神分析そのものに触れようとし続けた。精神分析を大切だと思う方に一読を勧めたい。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
狩野/力八郎
1945年満州に生まれる。1971年慶應義塾大学医学部卒業、慶應義塾大学医学部精神神経科学教室入局。1975年東海大学医学部精神科学教室。1981年~1983年メニンガークリニックおよびトピカ精神分析研究所に留学。1987年Member of International Psychoanalytical Association(Psychoanalyst)。2001年東京国際大学大学院臨床心理学研究科教授。2003年小寺記念精神分析研究財団理事長。2015年逝去

池田/暁史
1972年山形県に生まれ、犬とともに思春期を過ごす。1999年東京大学医学部卒業、東京大学医学部精神神経科入局。2003年杏林大学医学部精神神経科学教室。2011年文教大学人間科学部臨床心理学科准教授。現在、文教大学人間科学部臨床心理学科教授、および精神分析的精神療法個人開業

相田/信男
1945年埼玉県生まれ。1971年慶応義塾大学部卒業、慶應義塾大学医学部精神神経科学教室入局。1972年桜ケ丘事業協会桜ケ丘保養院。1988年群馬病院副院長、慶応義塾大学医学部精神神経科兼任講師。1997年~2008年ならびに2014年~2015年群馬病院院長の後、現在、特定医療法人群馬会副理事長、群馬病院名誉院長。日本精神分析学会・認定精神療法医、認定精神療法医スーパーバイザー。Member of International Psychoanalytical Association(Psychoanalyst)、日本精神分析協会正会員、訓練分析家。日本集団精神療法学会認定グループサイコセラピスト、認定スーパーバイザー

藤山/直樹
福岡県生まれ、山口県の瀬戸内海岸に育つ。1978年東京大学医学部卒業。1999年~現在、神宮前に個人開業。2001年~現在、上智大学教授。日本精神分析学会・認定精神療法医、認定精神療法医スーパーバイザー。Member of International Psychoanalytical Association(Psychoanalyst)、日本精神分析協会正会員、訓練分析家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


Wikiによりますと、狩野力八郎さんには次のような著書や訳書があります。

著書
『重症人格障害の臨床研究 パーソナリティの病理と治療技法』金剛出版 2002
『方法としての治療構造論 精神分析的心理療法の実践』金剛出版 2009

共編著
『摂食障害 拒食と過食』小倉清と責任編集 岩崎学術出版社 1994 思春期青年期ケース研究
『青年のひきこもり 心理社会的背景・病理・治療援助』近藤直司共編 岩崎学術出版社 2000
『日常診療でみる人格障害 分類・診断・治療とその対応』高野晶,山岡昌之共編著 三輪書店 2004

翻訳
A.ベイトマン,P.フォナギー『メンタライゼーションと境界パーソナリティ障害 MBTが拓く精神分析的精神療法の新たな展開』白波瀬丈一郎共監訳 岩崎学術出版社 2008
ナンシー・マックウィリアムズ『精神分析的心理療法 実践家のための手引き』監訳 妙木浩之他訳 金剛出版 2009
グレン・O・ギャバード『精神力動的精神療法基本テキスト』監訳 池田暁史訳 岩崎学術出版社 2012

教育のもつ政治性に直面させる「教育と他者――非対称性の倫理に向けて」

2018年12月07日 | 新刊書
教育と他者――非対称性の倫理に向けて
橋本憲幸 (著)

「開発途上国」に対する国際教育という観点から教育について考えるという視点は
これまではあまり見かけないものだった。
この観点からみることで、教育のもつ政治性があらわになってくる。
それは自国での教育について、新たな視点からみるためにも役立つだろう。




単行本: 366ページ
出版社: 春風社 (2018/12/7)
言語: 日本語
ISBN-10: 4861106141
ISBN-13: 978-4861106149
発売日: 2018/12/7

内容紹介
教育はどこまでも教育者の側にあり、教育は不遜な行為である――
だとすれば、教育という行為はどこまで正当化しうるのか?
「開発途上国」に対する国際教育開発においては、“よりよい"水準を願い、価値判断を伴う教育という行為について、批判的であることが求められる。その正当性の根拠を、ポストコロニアリズムの位置性、ケイパビリティ概念、共生思想の検討を通して問い、他者への関与における倫理に求める。


目次
序章 遠離の他者への教育とどう向き合うか
第一章 教育を語ることができるのは誰か
第二章 教育に他者を呼び出す苦しみはあるか
第三章 教育は他者を自由にするか
第四章 他者と共に生きるとはどういうことか
第五章 共生は教育に何をもたらすか
第六章 教育は他者に出会えるか
終章 教育は倫理的でありうるか


著者について
橋本憲幸(はしもと・のりゆき)
1981年、福島県生まれ。筑波大学第三学群国際総合学類卒業。筑波大学大学院一貫制博士課程人間総合科学研究科修了。博士(教育学)。山梨県立大学准教授。専門は国際教育開発論、教育哲学。主な著書・論文に、『現代の学校を読み解く―学校の現在地と教育の未来』(春風社、2016年、共著)、『共生と希望の教育学』(筑波大学出版会、2011年、共著)、「教育はグローバル・ガバナンスを統御できるか―国際教育開発の理論的外部」(『国際開発研究』第25巻第1・2号、2016年)、「開発途上国への教育援助の正当化と制限原理―〈われわれ〉は〈彼/彼女ら〉を教育できるか」(『教育学研究』第74巻第3号、2007年)などがある。

テーマの意外で読ませる「花と緑が語る ハプスブルク家の意外な歴史 」

2018年12月07日 | 新刊書
花と緑が語る ハプスブルク家の意外な歴史 (朝日選書) 単行本(ソフトカバー) – 2018/12/7
関田淳子 (著)


ハプスブルク家の歴史は、近代のヨーロッパの歴史の重要な一つのテーマであるが
それを植物とのかかわりの歴史として描くという着想の奇抜さに感心した。
シーボルトを介して日本の歴史にまでかかわってくることは、驚きである。
テーマの意外さと面白さに一票!



単行本(ソフトカバー): 328ページ
出版社: 朝日新聞出版 (2018/12/7)
言語: 日本語
ISBN-10: 4022630795
ISBN-13: 978-4022630797
発売日: 2018/12/7

内容紹介
癒やし、食料、薬、コスメ、ステータスシンボル……
数多くの植物が激動のヨーロッパ史上で重要な役割を担った。
植物を通して見る名門王家の歴史絵巻!

約650年にわたりヨーロッパに君臨したハプスブルク家。
一族の多くが花と緑を愛したという。
植物は食料や薬、香水、ステータスシンボルにもなった。
コロンブスが持ち帰ったタバコは王家を潤し、
オスマン・トルコとの和平交渉で得たライラックは、
それまでほとんど花が咲かなかったヨーロッパに定着する。
南国への憧れからオレンジの温室「オランジェリー」の建造が盛んになり、
豪華絢爛なそれは社交や宮廷催事の場ともなった。

この時代に多くの植物がヨーロッパに持ち込まれた背景には、
珍しい植物を収集するためにヨーロッパ王家によって世界各地に送り込まれた
「プラントハンター」の存在がある。シーボルトもその一人だ。

本書は現在のヨーロッパに定着しているさまざまな植物の伝来背景・逸話に触れながら、
ハプスブルク一族の栄華と衰亡の歴史を繙く。カラー図版多数。


【目次より】
第一章 植物はどのように西欧に定着したか
第二章 ハプスブルク王朝の誕生
第三章 富と和平を運んだ植物
第四章 チューリップがたどった運命
第五章 戦火にさらされたシェーンブルン庭園
第六章 庭園を輝かせた女帝マリア・テレジア
第七章 「花の皇帝」とその家族
第八章 落日の帝国と皇帝たち
第九章 皇妃エリザベートと花たちの出会い
第十章 日本とハプスブルク家
第十一章 オレンジの温室「オランジェリー」