新刊の森

人文分野を中心に、できるだけその日に刊行された面白そうな新刊を、毎日三冊ずつ紹介します。役立ちそうなレシピにも注目。

ついそそられてしまう「酷道大百科」

2018年12月02日 | 新刊書
酷道大百科 (ブルーガイド・グラフィック) ムック
鹿取 茂雄 (著)


国道のなかには、とんでも国道があるらしい。
廃墟好きの人間としては、こうした話題にはすぐにそそられてしまう。
村道よりもひどい国道があるとしたら、いつか行ってみたい。
写真も楽しい一冊。
同じ著者による『廃線探訪』もぜひ見てみたい。

ムック: 114ページ
出版社: 実業之日本社 (2018/11/30)
言語: 日本語
ISBN-10: 4408063924
ISBN-13: 978-4408063928
発売日: 2018/11/30

内容紹介
「国道」なのに、こんな道!
1車線、ガードレールなし、離合不能、超急勾配、超急カーブ、未舗装、ホコ天…。
場合によっては通行できないこともある。
そんな「国道」を、万感の思いを込めて「酷道」と呼ぶ。

【巻頭レポート】
2018年開通の最新酷道 国道256号
点線酷道を歩いて繋ぐ!? 国道416号

【掲載している酷道】
国道339号階段国道/国道341号雄和高尾山周辺/国道458号十部一峠以北のダート区間/
国道399号鳩峰峠/国道352号枝折峠/国道410号四町作第一隧道/国道405号秋山郷/
国道403号須川峠/国道299号十石峠/国道152号青崩峠・地蔵峠/国道362号山岳区間/
国道360号天生峠/国道471号楢峠/国道157号「落ちたら死ぬ」温見峠/
国道418号不通区間/国道417号冠山峠/国道170号瓢箪山駅付近のアーケード/
国道25号旧道区間/国道368号仁柿峠/国道166号竹ノ内街道/国道309号行者還トンネル/
国道425号ほぼ全線/国道477号百井別れ/国道308号暗峠/国道429号榎峠~高野峠/
国道433号二重谷峠/国道488号匹見峡/国道434号松の木峠/国道490号笹目峠/
国道491号貴飯峠/国道193号イクサの未開通区間/国道438号見ノ越へ/
国道439号ヨサクの京柱峠・杓子峠/国道494号黒森峠/国道441号全線/
国道388号大河内越/国道265号飯干峠

【企画記事】
貴重な写真多数! 昔日のダート酷道(坂下雅司)
人知れず残る 失われた酷道(平沼義之)
まさかの車種が!? どんなクルマで行く?
切っても切れない関係 酷道と廃墟
大研究! 酷道は、なぜできるのか(平沼義之)
十人十色の楽しみ方! TEAM酷道 座談会
ほか多数!

著者について
1977年生まれ。サイト「TEAM酷道」を主宰する岐阜県在住の会社員。酷道の趣味をきっかけに、廃墟や事件現場にも興味を持つようになった。平日は工業薬品メーカーで研究開発業務に従事し、週末は5人の子供との家族サービスや、趣味で全国を駆け回っている。著書は『酷道を走る』『知られざる日本の秘境』 (彩図社)、『レトロピア岐阜』(八画文化会館)など多数。「趣味の道路道」といったトークイベントも定期的に開催している。本書の無記名部分をすべて取材・執筆。

猫好きな人なら、誰もが読みたくなる「文豪の猫」

2018年12月02日 | 新刊書
文豪の猫
アリソン・ナスタシ (著), 浦谷 計子 (翻訳)


猫という生き物は、どうも小説になりやすいらしい。
それに小説家は猫を好きになるものらしい。
犬との精神的なつながりをもつ人も多いだろうに、犬よりも猫のほうが
小説に登場することが多いようだ。猫のもつ不思議な魅力によるものなのだろうか。
本書はこの猫と小説家の関係を考察した楽しい一冊。
日本の作家ならまだまだいそうなものだが、
猫好きな人なら、誰もが読みたくなる。


単行本: 111ページ
出版社: エクスナレッジ (2018/12/2)
言語: 日本語
ISBN-10: 4767825547
ISBN-13: 978-4767825540
発売日: 2018/12/2

村上春樹、大佛次郎、アーネスト・ヘミングウェイ、J.L.ボルヘス、
レイモンド・チャンドラー、トルーマン・カポーティ……
あの文豪も、みんな猫好きだった!

多くの人を魅了している猫ですが、名だたる文豪たちも例外ではありません。
彼らも猫たちに、時には癒やされ、勇気付けられ、
そして時に、創作のインスピレーションを得ていたようです。

本書は猫と写る文豪たちの貴重なポートレイトとともに、
猫たちとの逸話、あの名作の創作秘話など様々なエピソードを収録。

猫好きはもちろん、文学ファンも必読の一冊です。

【登場する45人の愛猫作家たち】
アリス・ウォーカー/アレン・ギンズバーグ/アンジェラ・カーター
アン・M・マーティン/アヌージャ・チョーハン/ベリット・エリングセン
ベバリイ・クリアリー/謝冰心/カルロス・モンシバイス
チャールズ・ブコウスキー/チェスター・ハイムズ/コレット
ドリス・レッシング/イーディス・シットウェル/エリナ・グリン
エリザベス・ビショップ/アーネスト・ヘミングウェイ/ギリアン・フリン
グロリア・スタイネム/村上春樹/ヘレン・ガーリー・ブラウン
ハンター・S・トンプソン/アイリス・マードック/大佛次郎
ホルヘ・ルイス・ボルヘス/ジュディ・ブルーム/フリオ・コルタサル
カジム・アリ/リリアン・ジャクソン・ブラウン/ルイーズ・アードリック
リディア・デイヴィス/マーガレット・ミッチェル/マーク・トウェイン
マーロン・ジェイムズ/ニール・ゲイマン/パトリシア・ハイスミス
プリーティ・シェノイ/レイ・ブラッドベリ/レイモンド・チャンドラー
サラ・ジョーンズ/スティーヴン・キング/シルヴィア・プラス
トルーマン・カポーティ/アーシュラ・K・ル=グウィン/ゼルダ・フィッツジェラルド

「地理学的に考える」ことの重要性を説く「現代人文地理学の理論と実践―世界を読み解く地理学的思考」

2018年12月02日 | 新刊書
現代人文地理学の理論と実践―世界を読み解く地理学的思考
フィル・ハバード (著), ロブ・キチン (著), ブレンダン・バートレイ (著)


どうも邦訳のタイトルがよくないかも。
目指しているところは、地理学的な思考に影響を与えてきたさまざまな思想家を手掛かりに
現代の世界において「地理学的に考える」ことの戦略的な重要性を明らかにすることにあったと思えるのだが
このタイトルでは地理学の理論書のようにみえて読者の読む気を損ねかねない。
大切な視点だと思うのだが。



単行本: 432ページ
出版社: 明石書店; 初版 (2018/12/2)
言語: 日本語
ISBN-10: 4750347418
ISBN-13: 978-4750347417
発売日: 2018/12/2

内容紹介
Thinking Geographically
「地理学的に考える」とはどういうことか――

概説書にありがちな、型にはまった概念と学史の通論を避け、
人文地理学に理論的影響を与えてきた諸学の思想、また人文地理学が最新社会科学の実践に与える刺激を、理論と実践の橋渡しに注力して丹念に解説。
人文地理学における理論の重要性、現代世界を理解するうえでの地理学的思考の必要性を説く。
人文地理学の地平の拡大に貢献した、狭義の地理学者にとどまらない諸学術分野の思想家・理論家紹介コラムも充実!

■「日本語版へのはしがき」より■
本書は地理学の初学者のために書かれたものであるが、地理学者のように考える仕方を正確に理解しようとするさまざまな読者にとって有益であったと実感している。これは、おそらく、本書が地理学の理論と哲学についての従来のアプローチを避けたからである。
すなわち、一般的な方法論や認識論、空間、場所、景観、地域などの関連する考えなどの概略を説明するのではなく、むしろ、空間的に考えることが社会科学的研究の中心となる一連の多少なりとも実在の対象あるいは領域、すなわち身体、テクスト、貨幣、ガバナンス、グローバリゼーションに生気を与える理由を考えることによって、地理学を考えることとは何か、そして地理学は何をするのかを明確にしようと努めた。
私たちが示そうとしたこれらのことは、空間的につくり出され、共同構成されているものとして理解されうるものである。したがって、その地理学と空間性を考慮しない視角からはほとんど考えられないものである。

■章立ておよび本書が取り上げる主な思想家・理論家■
――第1部 人文地理学の理論化――
第1章 理論への導入……アンリ・ルフェーブル (社会学、哲学)、ドリーン・マッシー (地理学)、ダナ・ハラウェイ (科学史、ジェンダー論)
第2章 地理学思想史の概観……ピーター・ハゲット (地理学)、レジナルド・ゴレッジ (地理学)、イーフー・トゥアン (地理学)、カール・マルクス (哲学、経済学、革命家)、女性と地理学研究グループ (地理学)
第3章 新しい思想、新しい地理学?……ピーター・ジャクソン (地理学)、ニール・スミス (地理学)、アントニオ・グラムシ (社会理論家)、マイケル・ディア (地理学)、ジュディス・バトラー (哲学、ジェンダー論)、エドワード・サイード (文学、文化批評)、ジャック・デリダ (哲学)、ジル・ドゥルーズ (哲学)
――第2部 理論地理学の実践――
第4章 身体の地理学……モーリス・メルロ=ポンティ (哲学)、ミシェル・フーコー (哲学)、ピエール・ブルデュー (社会学)、ジル・バレンタイン (地理学)、デイヴィッド・シブレー (地理学)
第5章 テクストの地理学……レイモンド・ウィリアムズ (文学、文化批評)、ロラン・バルト (哲学)、デニス・コスグローヴ (地理学)、ジャン・ボードリヤール (哲学)
第6章 貨幣の地理学……ゲオルク・ジンメル (哲学、社会学)、デイヴィッド・ハーヴェイ (地理学)、ナイジェル・スリフト (地理学)、リンダ・マクドウェル (地理学)、アンドリュー・レイスホン (地理学)
第7章 ガバナンスの地理学……クラレンス・ストーン (政治学、公共政策)、ボブ・ジェソップ (社会学、政治学)、アッシュ・アミン (地理学)、ブリュノ・ラトゥール (社会学、人類学)、デイヴィッド・M・スミス (地理学)
第8章 グローバリゼーションの地理学……ポール・ヴィリリオ (文化理論、都市計画、美学)、イマニュエル・ウォーラーステイン (社会学)、ハーバート・マーシャル・マクルーハン (メディア論、文化批評)、マニュエル・カステル (社会学)
――第3部 結論――
第9章 結び

■原著情報■
Hubbard, P., Kitchin, R., Bartley, B. and Fuller, D. (2002) Thinking Geographically: Space, Theory and Contemporary Human Geography. London, Continuum.

出版社からのコメント
本書が取り上げる主な思想家・理論家(上記)を一覧してすぐわかるが、本書の射程は人文地理学のみならず非常に広汎にわたっている。原稿を読みながら抱いた「こんな地理学の本があるのか」という感想も偽らざる思いである。もちろん焦点は人文地理学とその理論および実践にあるのだが、本書の核心は、一般に(人文)地理学理論という言葉から想い起される内容とは異なったところにある。

それは、新たに原著者から寄せていただいた「日本語版へのはしがき」をはじめ、本書の各所で繰り返し述べられているように、理論が地理学的知識の形成にどのように影響を与えるかの説明を通じて地理学的に考えること(thinking geographically)の意義を伝えることである。

「地理学の理論の価値と効用に疑いを持っている学生に説明するために書かれている」(p.2)と明記されている通り、本書の原著は人文地理学専攻の学部学生向け教科書としての使用を念頭に執筆されたものである。しかしながら、地理学的に考えるとはどういうことか、地理学は何をするのかを知りたいすべての読者にとって、概念の説明の羅列とは一線を画した本書は指針となることだろう。(編集担当者より)

著者について
■著 者■

フィル・ハバード (Phil Hubbard)
原著執筆当時、英国ラフバラー大学講師。
バーミンガム大学でPh.D.を取得。ケント大学社会科学部副学部長などを経て、現在ロンドン大学キングズ・カレッジ教授。

ロブ・キチン (Rob Kitchin)
原著執筆当時、アイルランド国立大学メイヌース校講師。
ウェールズ大学スウォンジー校でPh.D.を取得。クイーンズ大学ベルファストなどを経て、現在アイルランド国立大学メイヌース校教授。小説家としても活動する。

ブレンダン・バートレイ (Brendan Bartley)
原著執筆当時、アイルランド国立大学メイヌース校講師。

ダンカン・フラー (Duncan Fuller)
原著執筆当時、英国ノーサンブリア大学講師。
ハル大学でPh.D.を取得。2009年歿。

■訳 者■