新刊の森

人文分野を中心に、できるだけその日に刊行された面白そうな新刊を、毎日三冊ずつ紹介します。役立ちそうなレシピにも注目。

ユニークな視点が光る蓮實重彦の「帝国の陰謀」

2018年12月11日 | 新刊書
帝国の陰謀 (ちくま学芸文庫)
蓮實 重彦 (著)


蓮實さんの旧著「帝国の陰謀」(日本文芸社 1991.9)の文庫化。
蓮實さんのユニークな視点が光る作品だと思います。
わたしは好きですが、読者を選ぶかもしれません。



文庫: 176ページ
出版社: 筑摩書房 (2018/12/11)
言語: 日本語
ISBN-10: 448009895X
ISBN-13: 978-4480098955
発売日: 2018/12/11

内容紹介
一組の義兄弟による陰謀から生まれたフランス第二帝政。「私生児」の義弟が遺した二つのテクストを読解し、近代的現象の本質に迫る。解説 入江哲朗

著者について
1936年東京生まれ。60年東京大学仏文学科卒業。同大学大学院人文研究科仏文学専攻修了。65年パリ大学大学院より博士号取得。東京大学教養学部教授(表象文化論)、東京大学総長を歴任。東京大学名誉教授。仏文学にとどまらず、映画、現代思想、日本文学など多方面で精力的な評論活動を展開し続けている。著書に『表層批評宣言』『凡庸な芸術家の肖像』『映画の神話学』『シネマの記憶装置』『映画はいかにして死ぬか』『映画 誘惑のエクリチュール』『監督 小津安二郎〔増補決定版〕』『齟齬の誘惑』『映像の詩学』『『ボヴァリー夫人』論』『伯爵夫人』ほか多数。

文庫で買いやすいヘーゲルの「精神現象学」の新訳が登場

2018年12月11日 | 新刊書
精神現象学 上 (ちくま学芸文庫)
G.W.F.ヘーゲル (著), 熊野 純彦 (翻訳)


文庫: 672ページ
出版社: 筑摩書房 (2018/12/11)
言語: 日本語
ISBN-10: 4480097015
ISBN-13: 978-4480097019
発売日: 2018/12/11

これまで金子武蔵訳、樫山欽四郎訳、長谷川宏訳、牧野紀之訳などの訳書で知られていたヘーゲルの「精神現象学」に新たに熊野純彦訳が加わりました。なかなか解釈が分かれる特異な哲学書であるだけに、新たな解釈と新たな翻訳が登場するのは、喜ばしいことです。文庫で買いやすいのも、うれしい。

長大な遍歴のすえ、人間はいかにして「絶対知」へと到達するのか? 人類知の全貌を描いた、西欧近代の高名な哲学者ヘーゲルの主著を平明な語り口で訳出。「精神現象学」中の名言を集めたフレーズ索引も収録。【「TRC MARC」の商品解説】

人類知の全貌を綴った哲学史上最大の快著。四つの原典との頁対応を付し、著名な格言を採録した索引を巻末に収録。従来の解釈の遥か先へ読者を導く。【商品解説】

ドイツの若い哲学者マルクス・ガブリエルのとっつきやすい入門書「マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学する」

2018年12月11日 | 新刊書
マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学する (NHK出版新書 569)
丸山 俊一 (著), NHK「欲望の時代の哲学」制作班 (著)


『なぜ世界は存在しないのか』 清水一浩訳、講談社選書メチエなどで今評判のドイツの哲学者マルクス・ガブリエルの思想を紹介する入門書。新しい存在論を目指すという著者の素顔が対談などでも示されるらしい。とっつきやすそうだし、ぜひ読んでみたい。

彼の哲学のモチーフについては、次の説明がわかりやすい。


私はメタ存在論とメタ形而上学というカント以来の伝統を復活させようとしています。周知の通り、メタ存在論という言葉を導入したのはハイデガーであり、また彼はカントの哲学が「形而上学についての形而上学」であるとも明言しています。私が用いるメタ形而上学的ニヒリズムという言葉の意味とは、世界など存在しない、つまり、世界についてその究極的本性、本質、構造、構成、カテゴリー的輪郭などが問われるとき、その問いかけには意図されているような概念的内容が欠けている、ということです。万物を絶対的に構成している何か大きなものがあるという考えは、それが自然的なものであれ理性が不可避的に有する性質であれ、幻想なのです。現代の議論において影響力を持っているネオ・カルナップ主義者たちも同様の結論に至っていますね。彼らの研究で言われていることの多くに私は賛同しており、それをカント的、ポスト・カント的哲学におけるメタ存在論/メタ形而上学の伝統と連結させようと試みているのです。



新書: 240ページ
出版社: NHK出版 (2018/12/11)
言語: 日本語
ISBN-10: 4140885696
ISBN-13: 978-4140885697
発売日: 2018/12/11

内容紹介
話題沸騰! 若き天才哲学者の思想に触れる格好の入門書

著書が日本で異例の売れ行きを見せている“哲学界の新星"、マルクス・ガブリエル。2018年6月の来日時の滞在記録をまとめて大反響となったNHK番組「欲望の時代の哲学」を待望の書籍化。あのガブリエルが、誰にでも分かる言葉で「戦後史」から「日本」までを語りつくす! 世界的ロボット工学者・石黒浩氏とのスリリングな対論も収録。

内容(「BOOK」データベースより)
本格的に哲学を論じた著書が日本で異例の売れ行きを見せた“哲学界の新星”が来日。滞日記録をまとめて大好評となったNHK番組「欲望の時代の哲学」を書籍化!あのガブリエルが、誰にでも分かる言葉で「戦後史」から「日本」まで語りつくす!彼が日本で感じた「壁」とは?フェイクニュース時代になぜ哲学が有効なのか?世界的ロボット工学者・石黒浩氏とのスリリングな対論も収録!

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
丸山/俊一
1962年長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、NHK入局。ディレクターとして様々な新機軸の教養番組、ドキュメンタリーを手掛ける。その後プロデューサーとして異色の教養番組を企画、制作し続ける。現在NHKエンタープライズ番組開発エグゼクティブ・プロデューサー。早稲田大学、東京藝術大学で非常勤講師も務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)