新刊の森

人文分野を中心に、できるだけその日に刊行された面白そうな新刊を、毎日三冊ずつ紹介します。役立ちそうなレシピにも注目。

また読んでみたくなる「千夜千冊エディション 理科の教室」

2018年12月22日 | 新刊書
千夜千冊エディション 理科の教室 (角川ソフィア文庫)
松岡 正剛 (著)


卓越した書評の書き手である松岡が「千夜千冊」で書きつづけた書評を
テーマごとに集めて文庫化したシリーズ。今回のテーマは「理科の教室」。
目次に示されているように、科学の一般的なテーマの書評が集められている。
インターネットでも読めるが、このように手軽に文庫にまとめられると
また読んでみたくなる。


文庫: 400ページ
出版社: KADOKAWA (2018/12/22)
言語: 日本語
ISBN-10: 4044004471
ISBN-13: 978-4044004477
発売日: 2018/12/22
Kindle版 ¥ 1,382 文庫 ¥ 1,382


内容紹介
本は遊びたがっている。知はつながりたがっている。

こどものときは理科が好きだった。なのにいつのまに物理は苦手、とか言うようになったのか。かつては理科室でわくわくしていた文系人間がすらすら読める愉快な一冊!

著者について
●松岡 正剛:編集工学研究所所長、イシス編集学校校長。80年代に情報文化と情報技術をつなぐ方法論を体系化し「編集工学」を確立し様々なプロジェクトに応用。2000年「千夜千冊」の連載を開始。同年、eラーニングの先駆けともなる「イシス編集学校」を創立。近年はBOOKWAREという考えのもと膨大な知識情報を相互編集する知の実験的空間を手掛ける。また日本文化研究の第一人者として「日本という方法」を提唱し独自の日本論を展開。著書に『知の編集工学』『擬』『世界と日本の見方』『国家と「私」の行方』ほか。
もくじ
第一章 科学のおじさん
マイケル・ファラデー『ロウソクの科学』八五九夜
ウィルヘルム・オストワルド『化学の学校』一六八三夜
アンリ・ポアンカレ『科學と方法』一八夜
寺田寅彦『俳句と地球物理』六六〇夜
中谷宇吉郎『雪』一夜
野尻抱影『日本の星』三四八夜
湯川秀樹『創造的人間』八二八夜
朝永振一郎『物理学とは何だろうか』六七夜
ジョージ・ガモフ『不思議の国のトムキンス』七六八夜
オリヴァー・サックス『タングステンおじさん』一二三八夜

第二章 鉱物から植物へ
上西一郎『理科年表を楽しむ本』三一一夜
益富寿之助『カラー自然ガイド・鉱物』一一九夜
森本信男・砂川一郎・都城秋穂『鉱物学』一〇四四夜
井尻正二『化石』一〇五〇夜
ピーター・トーマス『樹木学』八〇九夜
盛口満『シダの扉』一四七六夜
田中美穂『苔とあるく』一六一四夜

第三章 虫の惑星・ゾウの耳
本川達雄『生物学的文明論』一四八七夜
リチャード・フォーティ『三葉虫の謎』七八〇夜
奥谷喬司編著『貝のミラクル』七四四夜
坂田明『クラゲの正体』一二四夜
トニー・D・ウィリアムズほか『ペンギン大百科』一九五夜
岩松鷹司『メダカと日本人』一三〇七夜
ハワード・E・エヴァンズ『虫の惑星』二七七夜
日浦勇『海をわたる蝶』一一四五夜
ジェームズ・ローレンス・パウエル『白亜紀に夜がくる』六一六夜
クリス・ミード『フクロウの不思議な生活』五三三夜
佐々木洋『カラスは偉い』六四〇夜
クリス・レイヴァーズ『ゾウの耳はなぜ大きい?』八〇二夜
日高敏隆『ネコはどうしてわがままか』四八四夜
子母沢寛『愛猿記』九四夜
江藤淳『犬と私』二一四夜

第四章 背に腹はかえられるか
デズモンド・モリス『裸のサル』三二二夜
三木成夫『胎児の世界』二一七夜
石原勝敏『背に腹はかえられるか』七七〇夜
久保田博南『電気システムとしての人体』四六七夜
クロード・ベルナール『実験医学序説』一七五夜
イヴ=マリ・ベルセ『鍋とランセット』四二三夜
藤田紘一郎『笑うカイチュウ』二四四夜
石弘之『感染症の世界史』一六五五夜
レイチェル・カーソン『センス・オブ・ワンダー』五九三夜

アメリカとはどのような国だったか「若い読者のためのアメリカ史 」

2018年12月22日 | 新刊書
若い読者のためのアメリカ史 (Yale University Press Little Histor)
ジェームズ・ウエスト・デイビッドソン (著), 上杉 隼人 (翻訳)





「若い読者のため」と銘打っただけあって、
アメリカの地理的な状態と新大陸の発見から説明をはじめている。
いまトランプ大統領の登場とともに、世界におけるアメリカの地位と役割について
新たな問いが生まれているだけに、
このような書物はタイムリーだろう。



単行本: 464ページ
出版社: すばる舎 (2018/12/22)
言語: 日本語
ISBN-10: 4799107690
ISBN-13: 978-4799107690
発売日: 2018/12/22
Kindle版 ¥ 3,456 単行本 ¥ 3,456


目次
1鳥たちはどこへ導いた?/2空間と時のなかにおける大陸/3ひとつから成る多数 /4黄金時代と黄金の時代/5世界が衝突する時/6われはいかにして救われるか?/7天使たちと見知らぬ者たち/8好景気に浮かれる国/9公平と不公平/10啓蒙と覚醒/11願いごとは慎重に/12口論ではすまない/13平等と独立/14より完全な連邦/15ワシントンの懸念 /16自由の帝国 /17大衆の味方/18綿花王国/19焼き尽くされて/20フロンティア /21国境を越えて/22今後の事態/23どう再建するか/24次なるブーム/25襟の色/26二都物語/27新西部/28幸運か勇気か?/29進歩派 /30衝突/31大衆/32ニューディール/33世界大戦/34超大国/35世界の終わり/36あなたかもしれない、あるいはあなたかもしれない/37雪崩/38保守派の転換/39つながる/40過去はさらに問いかける

内容
航海者コロンブスの視点からはじまる手に汗握る激動の500年!
どのようにして今のアメリカ合衆国が形作られてきたのか。
利害がぶつかるなかで、人々は何を求め、いかに行動してきたのか。
本書では、衝突を繰り返し、大陸に広がり、多種多様な人々を抱え、自由と平等のもとに結合しようと悪戦苦闘してきたアメリカの変遷をたどる。
大陸発見から現代までをその時代の人の目線で描き出し、ひとつの物語のように繰り広げる躍動感にあふれた歴史書である。

出版社からのコメント
誰もが自由であるために、国家はいかに成長するべきか
本書はいかにしてアメリカ合衆国が成り立ったかを記す歴史書である。アメリカの物語は500年におよぶ瞠目すべきものだ。いかにして一国が途方もないほどさまざまな人たちを抱えながらひとつの大陸に広がっていくか、本書に記した。さらにアメリカの人々がいかにして自由と平等の旗印のもとに結合したかも論じた。アメリカのモットーは、国璽にラテン語で記されているE pluribus unum, すなわち「多数から成るひとつ」だ。国家の独立を宣言した創設者たちが強調したのは、アメリカ国民は、事実上すべての人間は、公平に創られ、生命、自由、および幸福追求の権利を保持するということだった。
一見、こうした自由や平等や単一といった考え方はほとんどおとぎ話というか、現実世界から遠くかけ離れているように思える。国内の数十万人もの住民は外から拉致されて奴隷として連れて来られたというのに、どうやって自由を宣言できるというのか? 国内の半分の人間——すなわち女性たちだ——が男性と同等の権利を与えられていないというのに、どうして創設者たちは平等を礼賛できるのか? 真にひとつに結合した国家が、非常に多くのそれぞれさまざまに異なる人たちを受け入れてはたして成り立つのか?
あまりにたくさんの異なる人たち。あまりに違い過ぎて、自分とはまったく関係ない人たち! ほんとうにそうだろうか? 誰もがみな歴史を生き抜き、書き上げたいと願う。だが忘れてはいけないのは、歴史を読み解いて、書いて、記憶すればするほど、その行いも記憶されつつ歴史を生き抜く可能性もさらに広がるということだ。

科学史の書物としても楽しめる「ニュートンに消された男 ロバート・フック」

2018年12月22日 | 新刊書
ニュートンに消された男 ロバート・フック (角川ソフィア文庫)
中島 秀人 (著)


これは「ロバート・フック ニュートンに消された男 (朝日選書) 」を文庫化したもの。
ニュートンとフックの競争関係については、興味深い逸話がいろいろと伝えられている。
そうした逸話からは二人の人物とその偉大さだけではなく
近代科学が誕生してくる時代の特徴と、その制約もみえてくる。
伝記としてだけではなく、科学史の書物としても楽しめる。
文庫化されて手軽に読めるようになったのもうれしい





文庫: 368ページ
出版社: KADOKAWA (2018/12/22)
言語: 日本語
ISBN-10: 4044003904
ISBN-13: 978-4044003906
発売日: 2018/12/22

内容紹介
抹殺されたもう一人の天才。 ニュートンが憎んだその業績と実像に迫る!!

抹殺されたもう一人の天才。
その業績と実像に迫る!!

「フックの法則」に細胞の「発見」。いまも教科書で誰もが名前を目にする科学者であり、17世紀に時代の寵児として活躍した男、フック。
しかし、彼の肖像画は一枚も残されていない。それは、死後にニュートンが彼を学界から消していったからだ。
なぜニュートンの論敵となったのか? 彼はどんな生涯を送り、どのような研究をしていたのか?
抹殺されたもう一人の天才、その業績と実像に迫る!!
大佛次郎賞を受賞した本格科学評伝。

もくじ
序 ワイト島への旅立ち
1 科学者フックの誕生
第1章 ワイト島からオクスフォードへ
第2章 科学者フックの誕生
第3章 王立協会とグレシャム・カレッジ

2 フックの科学的業績
第4章 ミクロの世界の探究
第5章 気体研究への取り組み
第6章 フックの日常生活
第7章 フックの法則
第8章 天文学者フック
第9章 一七世紀のレオナルド――技術改良家としてのフック

3 二人の巨人
第10章 ニュートンの登場――光学論争の始まり
第11章 巨人の肩に乗って――美しき和解?
第12章 落体の軌道についての論争
第13章 『プリンキピア』――決定的破裂
終章 ニュートンに消された男

あとがき――若き日の先端研に捧ぐ


索引


著者について
●中島 秀人:1956年東京生まれ。東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授。85年東京大学大学院理学系研究科科学史・科学基礎論博士課程満期退学。東京大学先端科学技術研究センター助手、ロンドン大学インペリアルカレッジ客員研究員を経て、95年より東京工業大学大学院社会理工学研究科助教授。専攻は科学技術史、STS(科学・技術・社会論)。主な著書に『ロバート・フック ニュートンに消された男』(朝日新聞社、大佛次郎賞)『 日本の科学/技術はどこへいくのか』(岩波書店、第28回サントリー学芸賞・思想・歴史部門受賞)などがある。