新刊の森

人文分野を中心に、できるだけその日に刊行された面白そうな新刊を、毎日三冊ずつ紹介します。役立ちそうなレシピにも注目。

トポロジーに関心をもつ方にお勧め「読むトポロジー (角川ソフィア文庫)」

2018年12月24日 | 新刊書
読むトポロジー (角川ソフィア文庫)
瀬山 士郎 (著)



PHPで刊行されていた「はじめてのトポロジー: つながり方の幾何学」の
文庫化と思われるこの書物は、
なかなか直観的に理解しにくいトポロジーについて
図解しながら分かりやすく示してくれます。
トポロジーに関心をもつ方にお勧めです。


文庫: 256ページ
出版社: KADOKAWA (2018/12/22)
言語: 日本語
ISBN-10: 4044003955
ISBN-13: 978-4044003951
発売日: 2018/12/22
Kindle版 ¥ 864 文庫 ¥ 864


内容紹介
数学的直観に響く!パズル感覚で楽しめる! 豊富な図版で読む入門書

三角形と円が同じ? コーヒーカップとドーナツが同じ!?――そんな「形の見方」の先に広がる数学世界とは。20世紀に大発展を遂げたトポロジー(位相幾何学)の魅力を、一筆書き、メビウスの帯、クラインの壷、ポアンカレ予想、4次元空間等の話題とともに紹介。ほとんど数式を用いず、直観的にイメージしやすいよう、豊富な図版でやさしく解説。意表をつく面白さで、パズル感覚で楽しめる! 数学迷宮への扉を開く入門書。

第1章 形とはなんだろうか
1 最古の学問としての数学
2 形とはなにか
3 相似という形
4 射影という考え方
5 ライプニッツとオイラー

第2章 つながり方の幾何学
1 幾何学が扱うこと―ひもの形と輪ゴムの形
2 オイラーの発見――筆書きとその仲間
3 部屋渡りの問題――ハミルトン回路
4 美術館の巡回路の問題

第3章 曲線のトポロジー オイラー・ポアンカレの定理
1 つながっている? いない?
2 グラフと1次元ベッチ数
3 植木算とベッチ数

第4章 曲面のトポロジー 曲面を設計する
1 曲面とはなにか
2 トーラスと球面
3 クライン管
4 射影平面
5 複雑な曲面の展開図
6 クライン管再考

第5章 曲面のホモロジーとホモトピー
1 曲面上の牧場
2 曲面を切ってみる
3 曲面のホモロジー群
4 ホモトピー/円周を縮めてみる

第6章 次元を超えて
1 次元とはなにか
2 3次元の球面
3 ポアンカレ予想

第7章 いろいろな話題
1 トポロジー玩具
2 結び目

内容(「BOOK」データベースより)
三角形と円が同じ?コーヒーカップとドーナツが同じ!?―そんな「形の見方」の先に広がる数学世界とは。20世紀に大発展を遂げたトポロジー(位相幾何学)の魅力を、一筆書き、メビウスの帯、クライン管、ポアンカレ予想、4次元空間等の話題とともに紹介。ほとんど数式を用いず、直観的にイメージしやすいよう、豊富な図版でやさしく解説。意表をつくおもしろさで、パズル感覚で楽しめる!数学迷宮への扉を開く入門書。

グノーシス研究に不可欠な資料「ヒッポリュトス 全異端反駁」の待望の邦訳

2018年12月24日 | 新刊書
キリスト教教父著作集19: ヒッポリュトス 全異端反駁
ヒッポリュトス (著), 大貫 隆 (翻訳)




長らく待たれていたヒッポリュトスの「全異端反駁」が
信頼できる大貫訳でついに登場しました。
グノーシス研究にとって貴重な文献の邦訳に注目!
少し値が張るので、地元の図書館に購入請求しましょう。
下に列挙しましたように、「キリスト教教父著作集」は貴重な資料を邦訳してくれています。



単行本: 582ページ
出版社: 教文館 (2018/12/22)
言語: 日本語
ISBN-10: 4764229196
ISBN-13: 978-4764229198
発売日: 2018/12/22
¥ 9,936

内容紹介
グノーシスの系譜学にとって不可欠かつ第一級の資料

エイレナイオスの弟子でもあった神学者ローマの聖ヒッポリュトス(170 年頃~235 年)の主著で、『哲
学誌』の別称でも知られるキリスト教的グノーシス主義への反駁書。古典文献を博覧強記で引照し、グ
ノーシス諸派の教説をギリシア哲学の盗用と強弁して厳しく論難する。本邦初訳。

著者について
1945 年静岡県生、1980-1991 年東京女子大学、1991-2009 年東京大学大学院総合文化研究科、2009-2014 年自由学園最高学部勤務、現在東京大学名誉教授。
主な編著書 『グノーシス考』『グノーシス 陰の精神史』『グノーシス 異端と近代』(共編著)『グノーシス「妬み」の政治学』(以上岩波書店)、『ロゴスとソフィア』(教文館)、『グノーシスの神話』(講談社)。
主な訳書 『ナグ・ハマデイ文書』全4巻、『グノーシスの変容』、クルト・ルドルフ『グノーシス』(以上共訳、岩波書店)、ハンス・ヨナス『グノーシスと古代末期の精神』全2巻(ぷねうま舎)、『キリスト教教父著作集2/I エイレナイオス1』『同2/II エイレナイオス2』『同3/III エイレナイオス5』(教文館)。

キリスト教教父著作集には次のようなものがこれまで出版されています。


■ストロマテイス(綴織)
[アレクサンドリアのクレメンス著] ; 秋山学訳
教文館 2018.1-2018.5 キリスト教教父著作集, 第4巻/1-2 . アレクサンドリアのクレメンス||アレクサンドリア ノ クレメンス ; 1-2
■ケルソス駁論
オリゲネス[著] ; 出村みや子訳
教文館 2016.1
■初期護教論集
[メリトン, アリスティデス, アテナゴラス著] ; 加納政弘, 井谷嘉男訳
教文館 2010.3 キリスト教教父著作集, 第12巻
■倫理論文集
[テルトゥリアヌス著] ; 木寺廉太訳
教文館 2002.12 キリスト教教父著作集, 第16巻 . テルトゥリアヌス||テルトゥリアヌス ; 4
■異端反駁
エイレナイオス [著] ; 小林稔訳
教文館 1999.5-2017.9 キリスト教教父著作集, 第2巻/1-2, 第3巻/1-3 . エイレナイオス||エイレナイオス ; 1-5
■第一弁明、第二弁明、ユダヤ人トリュフォンとの対話「序論」
ユスティノス[著] ; 柴田有, 三小田敏雄訳
教文館 1992.11 キリスト教教父著作集, 第1巻
■殉教者行伝
土岐正策, 土岐健治訳
教文館 1990.7 キリスト教教父著作集, 第22巻
■護教論(アポロゲティクス)
テルトゥリアヌス著 ; 鈴木一郎訳
教文館 1987.11 キリスト教教父著作集, 第14巻 . テルトゥリアヌス||テルトゥリアヌス ; 2
■プラクセアス反論 ; パッリウムについて
テルトゥリアヌス著 ; 土岐正策訳
教文館 1987.10 キリスト教教父著作集, 第13巻 . テルトゥリアヌス||テルトゥリアヌス ; 1
■ケルソス駁論
オリゲネス[著] ; 出村みや子訳
教文館 1987.9- キリスト教教父著作集, 第8,9巻 . オリゲネス||オリゲネス ; 3,4

医学の分野でも傑出していた「聖ヒルデガルトの『病因と治療』を読む」

2018年12月24日 | 新刊書
聖ヒルデガルトの『病因と治療』を読む
臼田 夜半 (著)


中世の聖女として有名なヒルデガルドは、
わたしたちにはその作曲でなじみですが
ホリスティック医学の分野でも先駆者だったということは知りませんでした。
珍しい著書の邦訳に注目。




単行本: 256ページ
出版社: ポット出版プラス (2018/12/23)
言語: 日本語
ISBN-10: 4866420081
ISBN-13: 978-4866420080
発売日: 2018/12/23
単行本 ¥ 3,024

内容紹介
「人はなぜ病むのか」を、天地創造から掘り下げる――。
「中世ヨーロッパ最大の賢女」にして「ドイツ薬草学の祖」、ヒルデガルト・フォン・ビンゲンによるホリスティック医学の古典、『病因と治療』が、ついに日本語訳となりました!
名著『フィジカ』と対をなす1冊で、ヒルデガルト医学はこの2書に集約されます。
本書『病因と治療』では、心身の病の原因と治療法を500項目以上にわたって詳細に解説。
ヒルデガルト自然学・医学の研究者、ハーブ研究家、セラピストの必読書です。

目次
はじめに 臼田夜半……11
英訳第二版序文 プリシラ・トゥループ……47
凡例……54

BOOK Ⅰ 宇宙と元素……55
BOOK Ⅱ 人間の本性と病の原因……101
BOOK Ⅲ 治療法(1)……289
BOOK Ⅳ 治療法(2)……317
BOOK Ⅴ 生と死の兆候・月齢と気質……363

あとがき 臼田夜半……402
参考文献……408
索引……414

前書きなど
本書の大まかな構成では、BOOK I で世界の創造と諸元素、太陽・月・星と自然の諸力などを扱い、BOOK II では病気の原因を求めてアダムの堕落から体液論へ、男女の性衝動から受胎論を経て魂の働き、そして諸病の原因に及ぶという内容になっている。BOOK III 以降は、BOOK II にみた各々の病気の原因に対応する具体的な治療法を示すのだが、BOOK III の冒頭には、わざわざ「神の啓示による以下の治療法」という断り書きが記されている。BOOK I 、BOOK II の神学的分野ならいざしらず、具体的な治療法や処方に関しても、これは神の啓示、すなわち神に託された預言であると、ヒルデガルトはいっている。
(中略)
入浴や食事・飲酒に対する寛容な態度を含め、その療法の全体から、ヒルデガルトという個性のもつおおらかな一面と、透明な精密さとを感じ取るのは、おそらくわたしだけではないだろう。本書が五感のすべてを通して読み進められることを願っている。
(「はじめに」より)

漱石と時代のかかわりを探る「戦争の時代と夏目漱石」

2018年12月23日 | 新刊書
戦争の時代と夏目漱石
小森 陽一 (著)


あまり読まれることのない夏目漱石の『満韓ところどころ』を手掛かりに
漱石の戦争にたいする姿勢を読み取ろうとする野心的な一冊。
この作品だけでなく、漱石のさまざまな作品の中に姿をみせている
時代の諸相を探り出そうとする試みも行われています、
明治維新150周年の今年の最後を締めくくるにふさわしい本だと思います。



単行本(ソフトカバー): 184ページ
出版社: かもがわ出版 (2018/12/21)
言語: 日本語
ISBN-10: 4780309980
ISBN-13: 978-4780309980
発売日: 2018/12/21


内容紹介
■内容■
明治を生きた漱石は「戦争の時代」とどう向き合ったのか?紀行文『満韓ところどころ』を漱石研究家が初解説。なぜ「韓」は書かれなかったのか?そこから帝国主義への批判的精神が見えくる!

■目次■
まえがき
第一章 『満韓ところどころ』を読む
(1)なぜ「韓」は書かれなかったのか
(2)『満韓ところどころ』から見える満州経営の実相
「南満鉄道会社っていったい何をするんだい」という問い
「クーリー」に見る人身売買
総合的な植民地経営の始まり
日露戦争におけるロシアからの戦利品
旅順、203高地の激戦の跡
「満州日日新聞」での伊藤博文暗殺についての所感
朝鮮にも行ったのに寸止めにしたのは
第二章 小説『門』と帝国主義へのまなざし
『門』における宗助と御米の物語
冒頭の日常会話に秘められた真相
日本の近代工業成立過程を背景に
子どもが産めない夫婦の秘密
安井から逃げ出した小説の顛末
第三章 『満韓ところどころ』を旅する
(1)日清・日露戦争と南満州鉄道
〈旅順〉日露戦争と漱石小説
〈東鶏冠山・水師営〉当時の陸軍の食糧・感染症事情
〈白玉山から203高地へ〉激戦の跡とロシアからの戦利品
〈関東法院〉安重根処刑の地
〈金州副都統衛門跡地〉子規との文学的友情の始まり
(2)満州帝国とはなんであったか
〈長春、瀋陽を訪ねる〉
(3)中国で戦争責任を考える
〈平頂山惨案遺址記念館・その1〉事件の顛末とその意味
平頂山事件の生存者の家族の話
〈平頂山惨案遺址記念館・その2〉事件に見る戦争のリアリズム
〈撫順戦犯管理所〉戦争責任のあり方を問う
〈旅を終えて〉日本人は戦争責任とどう向き合ってきたのか
第四章 明治と向き合った小説家・夏目漱石
夏目漱石にとっての明治という時代
〈『点頭録』〉漱石は第一次世界大戦をどう評価したか
〈『それから』〉明治とはどのような時代だったか
〈『こゝろ』〉日清戦争による賠償金の行方
〈『虞美人草』〉日露戦争は「人種と人種の戦争」
〈『門』〉安重根による伊藤博文暗殺事件
〈『草枕』〉徴兵制国家の象徴としての汽車
〈『吾輩は猫である』〉「大和魂」と軍国主義批判
〈『私の個人主義』〉自己本位を貫くということ
終章 明治維新150年に当たって漱石に学ぶ
日本国憲法によって国民は初めて主権者に
安倍政権による集団的自衛権行使の公認
私と夏目漱石研究
漱石の思想はどのように形成されたのか
あとがき
夏目漱石略年表

■著者略歴■
小森 陽一(コモリヨウイチ)
東京大学大学院教授、専攻は日本近代文学、九条の会事務局長。

今、ヨーロッパでもっとも気になる国「フランス現代史 (岩波新書)」

2018年12月23日 | 新刊書
フランス現代史 (岩波新書)
小田中 直樹 (著)


第二次世界大戦後のフランス現代史。
欧州統合の立役者になりつつあるフランスですが
足元から異議申し立ての波が押し寄せつつあります。
今、ヨーロッパでもっとも気になる国フランスの現代史の書物は
いくらあっても足りないくらいです。




新書: 240ページ
出版社: 岩波書店 (2018/12/21)
言語: 日本語
ISBN-10: 4004317517
ISBN-13: 978-4004317517
発売日: 2018/12/21

内容紹介
1944年の解放から、「栄光の30年」、五月危機、石油危機、「ミッテランの実験」の挫折、新自由主義、そしてマクロン政権成立──フランスの戦後を通観すると、そこには「分裂と統合の弁証法」というダイナミックなメカニズムがみえてくる。欧州統合の動きにも着目しながら現代フランスの歩みをとらえる通史。

序 章 分裂と統合の弁証法
 1 「モデル」から「先行者」へ
 2 分裂と統合の弁証法
 3 相対的後進国

第一章 解放と復興―― 一九四〇年代
 1 解放,対立,和解
 2 経済復興
 3 第四共和政の成立

第二章 統合欧州の盟主をめざして―― 一九五〇年代
 1 脱植民地化と欧州統合
 2 復興から成長へ
 3 第五共和政の成立

第三章 近代化の光と影―― 一九六〇年代
 1 「栄光の三〇年」
 2 近代化のなかで
 3 五月危機

第四章 戦後史の転換点―― 一九七〇年代
 1 過渡期としてのポンピドー政権
 2 「栄光の三〇年」の終焉
 3 分裂する社会

第五章 左翼政権の実験と挫折―― 一九八〇年代
 1 ミッテランの実験
 2 新しい社会問題
 3 異議申立ての諸相

第六章 停滞,動揺,模索―― 一九九〇年代
 1 争点化する欧州統合
 2 動揺する社会
 3 模索する政治

第七章 過去との断絶?―― 二〇〇〇年代
 1 「古いフランス」と「新しいフランス」
 2 グローバル化
 3 ポピュリズム

終 章 その先へ

あとがき

年 表
索 引

あまり顧みられなかったテーマを取り上げた注目作「蛮行のヨーロッパ」

2018年12月23日 | 新刊書
蛮行のヨーロッパ:第二次世界大戦直後の暴力
キース・ロウ (著), 猪狩 弘美 (翻訳), 望 龍彦 (翻訳)


戦争が終わったからと言って暴力がなくなるわけではなく
かえってそれまで抑えられていた暴力が猛威を振るうこともあるわけです。
イギリスで大評判のノンフィクション作品である本書は
そのような終戦の喜びの背後で暴発した暴力を描きだすものです。
もっとたくさん書かれていて当然でありながら、
あまり顧みられなかったテーマを取り上げた注目作。



単行本: 636ページ
出版社: 白水社 (2018/12/22)
言語: 日本語
ISBN-10: 4560096570
ISBN-13: 978-4560096574
発売日: 2018/12/22


内容紹介
ヘッセル=ティルトマン賞受賞作品

本書は、1945年の終戦から40年代末まで、欧州各地で吹き荒れた夥しい残虐行為──復讐、民族浄化、内戦──などを詳細に論じ、「戦後の闇」に光を当てる歴史書。むろん、大戦が終わってすぐに平和が訪れたわけではなく、大混乱のさなか、残虐行為が次々と広範囲にわたって起こったことが明かされる。「民族浄化」、「内戦」、「ソ連支配」といった大きな視点から、ドイツ人看守への復讐、ドイツ人兵士と関係をもった女性の頭髪の丸刈り、ドイツ人兵士と現地女性との間に生まれた子供への嫌がらせといった身近な事例まで、網羅している。
自民族の被害を誇張して加害の過去を相対化したり、他民族の加害によって自民族の加害の過去を相対化するような試みが、現在に至るまで行われている。本書は、大戦直後の「暴力」の知られざる実態を、当事者の証言と最新の統計を駆使して、冷静に解明している。
本書は、イアン・カーショーが「生々しく、背筋が凍る」と賛辞を寄せ、英国で優れた歴史ノンフィクション作品に贈られるヘッセル=ティルトマン賞を受賞し、世界八カ国語以上の言語に翻訳されている。口絵写真・地図多数収録。

著者について
1970年生まれ、ロンドン在住の著述家。マンチェスター大学で英文学を学び、歴史関連書の出版に携わった後、作家および歴史家として著作を発表し続けている。小説『トンネル・ヴィジョン』(雨海弘美訳、ソニーマガジズ、2002)の邦訳、連合国によるハンブルク爆撃によって生じた1943年の空襲大火に関する歴史書Inferno: The Devastation of Hamburg, 1943 (2007)がある。本書は、英紙『サンデー・タイムズ』のトップ10ベストセラーとなり、英国で優れた歴史ノンフィクション作品に贈られるヘッセル=ティルトマン賞を受賞している。また、ドイツ語、オランダ語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語、ポーランド語、スロヴェニア語、中国語といった複数の言語に翻訳されている。

また読んでみたくなる「千夜千冊エディション 理科の教室」

2018年12月22日 | 新刊書
千夜千冊エディション 理科の教室 (角川ソフィア文庫)
松岡 正剛 (著)


卓越した書評の書き手である松岡が「千夜千冊」で書きつづけた書評を
テーマごとに集めて文庫化したシリーズ。今回のテーマは「理科の教室」。
目次に示されているように、科学の一般的なテーマの書評が集められている。
インターネットでも読めるが、このように手軽に文庫にまとめられると
また読んでみたくなる。


文庫: 400ページ
出版社: KADOKAWA (2018/12/22)
言語: 日本語
ISBN-10: 4044004471
ISBN-13: 978-4044004477
発売日: 2018/12/22
Kindle版 ¥ 1,382 文庫 ¥ 1,382


内容紹介
本は遊びたがっている。知はつながりたがっている。

こどものときは理科が好きだった。なのにいつのまに物理は苦手、とか言うようになったのか。かつては理科室でわくわくしていた文系人間がすらすら読める愉快な一冊!

著者について
●松岡 正剛:編集工学研究所所長、イシス編集学校校長。80年代に情報文化と情報技術をつなぐ方法論を体系化し「編集工学」を確立し様々なプロジェクトに応用。2000年「千夜千冊」の連載を開始。同年、eラーニングの先駆けともなる「イシス編集学校」を創立。近年はBOOKWAREという考えのもと膨大な知識情報を相互編集する知の実験的空間を手掛ける。また日本文化研究の第一人者として「日本という方法」を提唱し独自の日本論を展開。著書に『知の編集工学』『擬』『世界と日本の見方』『国家と「私」の行方』ほか。
もくじ
第一章 科学のおじさん
マイケル・ファラデー『ロウソクの科学』八五九夜
ウィルヘルム・オストワルド『化学の学校』一六八三夜
アンリ・ポアンカレ『科學と方法』一八夜
寺田寅彦『俳句と地球物理』六六〇夜
中谷宇吉郎『雪』一夜
野尻抱影『日本の星』三四八夜
湯川秀樹『創造的人間』八二八夜
朝永振一郎『物理学とは何だろうか』六七夜
ジョージ・ガモフ『不思議の国のトムキンス』七六八夜
オリヴァー・サックス『タングステンおじさん』一二三八夜

第二章 鉱物から植物へ
上西一郎『理科年表を楽しむ本』三一一夜
益富寿之助『カラー自然ガイド・鉱物』一一九夜
森本信男・砂川一郎・都城秋穂『鉱物学』一〇四四夜
井尻正二『化石』一〇五〇夜
ピーター・トーマス『樹木学』八〇九夜
盛口満『シダの扉』一四七六夜
田中美穂『苔とあるく』一六一四夜

第三章 虫の惑星・ゾウの耳
本川達雄『生物学的文明論』一四八七夜
リチャード・フォーティ『三葉虫の謎』七八〇夜
奥谷喬司編著『貝のミラクル』七四四夜
坂田明『クラゲの正体』一二四夜
トニー・D・ウィリアムズほか『ペンギン大百科』一九五夜
岩松鷹司『メダカと日本人』一三〇七夜
ハワード・E・エヴァンズ『虫の惑星』二七七夜
日浦勇『海をわたる蝶』一一四五夜
ジェームズ・ローレンス・パウエル『白亜紀に夜がくる』六一六夜
クリス・ミード『フクロウの不思議な生活』五三三夜
佐々木洋『カラスは偉い』六四〇夜
クリス・レイヴァーズ『ゾウの耳はなぜ大きい?』八〇二夜
日高敏隆『ネコはどうしてわがままか』四八四夜
子母沢寛『愛猿記』九四夜
江藤淳『犬と私』二一四夜

第四章 背に腹はかえられるか
デズモンド・モリス『裸のサル』三二二夜
三木成夫『胎児の世界』二一七夜
石原勝敏『背に腹はかえられるか』七七〇夜
久保田博南『電気システムとしての人体』四六七夜
クロード・ベルナール『実験医学序説』一七五夜
イヴ=マリ・ベルセ『鍋とランセット』四二三夜
藤田紘一郎『笑うカイチュウ』二四四夜
石弘之『感染症の世界史』一六五五夜
レイチェル・カーソン『センス・オブ・ワンダー』五九三夜

アメリカとはどのような国だったか「若い読者のためのアメリカ史 」

2018年12月22日 | 新刊書
若い読者のためのアメリカ史 (Yale University Press Little Histor)
ジェームズ・ウエスト・デイビッドソン (著), 上杉 隼人 (翻訳)





「若い読者のため」と銘打っただけあって、
アメリカの地理的な状態と新大陸の発見から説明をはじめている。
いまトランプ大統領の登場とともに、世界におけるアメリカの地位と役割について
新たな問いが生まれているだけに、
このような書物はタイムリーだろう。



単行本: 464ページ
出版社: すばる舎 (2018/12/22)
言語: 日本語
ISBN-10: 4799107690
ISBN-13: 978-4799107690
発売日: 2018/12/22
Kindle版 ¥ 3,456 単行本 ¥ 3,456


目次
1鳥たちはどこへ導いた?/2空間と時のなかにおける大陸/3ひとつから成る多数 /4黄金時代と黄金の時代/5世界が衝突する時/6われはいかにして救われるか?/7天使たちと見知らぬ者たち/8好景気に浮かれる国/9公平と不公平/10啓蒙と覚醒/11願いごとは慎重に/12口論ではすまない/13平等と独立/14より完全な連邦/15ワシントンの懸念 /16自由の帝国 /17大衆の味方/18綿花王国/19焼き尽くされて/20フロンティア /21国境を越えて/22今後の事態/23どう再建するか/24次なるブーム/25襟の色/26二都物語/27新西部/28幸運か勇気か?/29進歩派 /30衝突/31大衆/32ニューディール/33世界大戦/34超大国/35世界の終わり/36あなたかもしれない、あるいはあなたかもしれない/37雪崩/38保守派の転換/39つながる/40過去はさらに問いかける

内容
航海者コロンブスの視点からはじまる手に汗握る激動の500年!
どのようにして今のアメリカ合衆国が形作られてきたのか。
利害がぶつかるなかで、人々は何を求め、いかに行動してきたのか。
本書では、衝突を繰り返し、大陸に広がり、多種多様な人々を抱え、自由と平等のもとに結合しようと悪戦苦闘してきたアメリカの変遷をたどる。
大陸発見から現代までをその時代の人の目線で描き出し、ひとつの物語のように繰り広げる躍動感にあふれた歴史書である。

出版社からのコメント
誰もが自由であるために、国家はいかに成長するべきか
本書はいかにしてアメリカ合衆国が成り立ったかを記す歴史書である。アメリカの物語は500年におよぶ瞠目すべきものだ。いかにして一国が途方もないほどさまざまな人たちを抱えながらひとつの大陸に広がっていくか、本書に記した。さらにアメリカの人々がいかにして自由と平等の旗印のもとに結合したかも論じた。アメリカのモットーは、国璽にラテン語で記されているE pluribus unum, すなわち「多数から成るひとつ」だ。国家の独立を宣言した創設者たちが強調したのは、アメリカ国民は、事実上すべての人間は、公平に創られ、生命、自由、および幸福追求の権利を保持するということだった。
一見、こうした自由や平等や単一といった考え方はほとんどおとぎ話というか、現実世界から遠くかけ離れているように思える。国内の数十万人もの住民は外から拉致されて奴隷として連れて来られたというのに、どうやって自由を宣言できるというのか? 国内の半分の人間——すなわち女性たちだ——が男性と同等の権利を与えられていないというのに、どうして創設者たちは平等を礼賛できるのか? 真にひとつに結合した国家が、非常に多くのそれぞれさまざまに異なる人たちを受け入れてはたして成り立つのか?
あまりにたくさんの異なる人たち。あまりに違い過ぎて、自分とはまったく関係ない人たち! ほんとうにそうだろうか? 誰もがみな歴史を生き抜き、書き上げたいと願う。だが忘れてはいけないのは、歴史を読み解いて、書いて、記憶すればするほど、その行いも記憶されつつ歴史を生き抜く可能性もさらに広がるということだ。

科学史の書物としても楽しめる「ニュートンに消された男 ロバート・フック」

2018年12月22日 | 新刊書
ニュートンに消された男 ロバート・フック (角川ソフィア文庫)
中島 秀人 (著)


これは「ロバート・フック ニュートンに消された男 (朝日選書) 」を文庫化したもの。
ニュートンとフックの競争関係については、興味深い逸話がいろいろと伝えられている。
そうした逸話からは二人の人物とその偉大さだけではなく
近代科学が誕生してくる時代の特徴と、その制約もみえてくる。
伝記としてだけではなく、科学史の書物としても楽しめる。
文庫化されて手軽に読めるようになったのもうれしい





文庫: 368ページ
出版社: KADOKAWA (2018/12/22)
言語: 日本語
ISBN-10: 4044003904
ISBN-13: 978-4044003906
発売日: 2018/12/22

内容紹介
抹殺されたもう一人の天才。 ニュートンが憎んだその業績と実像に迫る!!

抹殺されたもう一人の天才。
その業績と実像に迫る!!

「フックの法則」に細胞の「発見」。いまも教科書で誰もが名前を目にする科学者であり、17世紀に時代の寵児として活躍した男、フック。
しかし、彼の肖像画は一枚も残されていない。それは、死後にニュートンが彼を学界から消していったからだ。
なぜニュートンの論敵となったのか? 彼はどんな生涯を送り、どのような研究をしていたのか?
抹殺されたもう一人の天才、その業績と実像に迫る!!
大佛次郎賞を受賞した本格科学評伝。

もくじ
序 ワイト島への旅立ち
1 科学者フックの誕生
第1章 ワイト島からオクスフォードへ
第2章 科学者フックの誕生
第3章 王立協会とグレシャム・カレッジ

2 フックの科学的業績
第4章 ミクロの世界の探究
第5章 気体研究への取り組み
第6章 フックの日常生活
第7章 フックの法則
第8章 天文学者フック
第9章 一七世紀のレオナルド――技術改良家としてのフック

3 二人の巨人
第10章 ニュートンの登場――光学論争の始まり
第11章 巨人の肩に乗って――美しき和解?
第12章 落体の軌道についての論争
第13章 『プリンキピア』――決定的破裂
終章 ニュートンに消された男

あとがき――若き日の先端研に捧ぐ


索引


著者について
●中島 秀人:1956年東京生まれ。東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授。85年東京大学大学院理学系研究科科学史・科学基礎論博士課程満期退学。東京大学先端科学技術研究センター助手、ロンドン大学インペリアルカレッジ客員研究員を経て、95年より東京工業大学大学院社会理工学研究科助教授。専攻は科学技術史、STS(科学・技術・社会論)。主な著書に『ロバート・フック ニュートンに消された男』(朝日新聞社、大佛次郎賞)『 日本の科学/技術はどこへいくのか』(岩波書店、第28回サントリー学芸賞・思想・歴史部門受賞)などがある。

アイヌの歴史を地図で示す「地図でみるアイヌの歴史―縄文から現代までの1万年史」

2018年12月21日 | 新刊書
地図でみるアイヌの歴史―縄文から現代までの1万年史
平山 裕人 (著)



アイヌの歴史は、文字資料が少ないためになかなか再現するのが困難だと思われますが、
本書はすでに得られている情報を
地図の上にプロットして分かりやすく示したもの。
アイヌのかつての故郷の土地を旅行するときにもきっと役立つに違いありません。


単行本: 232ページ
出版社: 明石書店 (2018/12/19)
言語: 日本語
ISBN-10: 4750347566
ISBN-13: 978-4750347561
発売日: 2018/12/19

内容紹介
アイヌ民族のルーツとは何か。北海道・サハリン南部・千島列島に渡る独自の文化圏はいかに形成されたのか。未だ謎の多い日本の先住民族の現代までの歩みを、60の多彩なテーマ別に豊富な地図と図表、史料を用いてわかりやすく描く。巻末に詳細な年表付き。

 はじめに

第1章 アイヌ文化の基層にあるもの
 1.北海道にはアイヌ民族が先住している
 2.アイヌとはどういう人たちを言うのか
 3.「原北海道」の旧石器文化
 4.遺伝子(DNA)の分析からみるアイヌの歴史
 5.アイヌの昔話からみるアイヌの祖先
 6.アイヌ語の起源

第2章 北日本型の新石器文化の変遷
 1.新石器文化の開始
 2.新石器文化の展開
 3.新石器文化の爛熟

第3章 原アイヌ文化期
 1.東アジアに国が登場
 2.南にヤマト王朝、北にオホーツク文化、そして原アイヌ文化は
 3.東北地方にもアイヌ語地名がある
 4.日本史の文献にみえるエミシとは何か
 5.阿倍比羅夫の侵攻
 6.アテルイの戦い
 7.アキタエミシの戦い
 8.擦文文化
 9.オホーツク文化

第4章 アイヌ文化前期
 1.アイヌの生活の変化
 2.サハリンアイヌと元王朝の戦い
 3.アイヌの神話からみるアイヌ文化
 4.イシハの遠征
 5.14世紀のアイヌの風習
 6.津軽安藤氏の登場
 7.コシャマインの戦い
 8.夷狄商舶往還の法度
 9.自由交易の興隆
 10.チャシを造る

第5章 アイヌ文化後期
 1.豊臣秀吉の朱印状
 2.徳川家康の黒印状と松前城下交易
 3.ゴールド・ラッシュと商場知行制
 4.シャクシャインの戦い
 5.起請文の現実
 6.和人領域内のアイヌ
 7.サハリンのハラタ・カーシンタ制
 8.ロシアのカムチャツカ・千島列島侵攻
 9.場所請負制度の開始
 10.アイヌモシリを襲う日本・清・ロシア
 11.クナシリ・メナシの戦い
 12.ラックスマン来航から20年
 13.アイヌ民族のスタイル
 14.日露通好条約と漁場労働の猛威

第6章 近現代のアイヌ史
 1.アイヌの近現代史を先住権の視点からみると
 2.「開拓使」とアイヌ民族への政策
 3.千島・樺太交換条約
 4.北海道旧土人保護法に至る道
 5.アイヌ学校
 6.近代のサハリンアイヌ
 7.戦前のアイヌ民族運動
 8.アイヌ民族と戦争
 9.アジア・太平洋戦争
 10.現代のアイヌ民族と同化政策
 11.狩猟採集の動物資源・植物資源と近現代
 12.差別とアイヌ文化
 13.同化政策と「アイヌ民族は生きている」という訴え
 14.アイヌ遺骨問題
 15.アイヌ文化の継承・発展
 16.先住権を求めて
 17.世界の先住民族の権利獲得
 18.アイヌ新法制定をめぐる綱引き

 主な引用・参考文献一覧
 アイヌ史年表
 索引
 おわりに


著者について
北海道小樽市立高島小学校教諭。主な著書に以下のものがある。『アイヌ史を見つめて』『アイヌの学習にチャレンジ』『アイヌ史のすすめ』『ようこそ アイヌ史の世界へ』(以上、北海道出版企画センター刊)『ワークブック アイヌ・北方領土学習にチャレンジ』『アイヌ語古語辞典』『アイヌの歴史―日本の先住民族を理解するための160話』『地域別アイヌ史資料集』(以上、明石書店刊)


どんな過去が明らかになるのか、わくわくする「昆虫考古学」

2018年12月21日 | 新刊書
昆虫考古学 (角川選書 610)
小畑 弘己 (著)


むかし琥珀の中に閉じ込められた虫というテーマが話題になりました。
ジュラシック・パークという映画も、琥珀の中に閉じ込められた蚊から恐竜の血液を採取して
恐竜を蘇らせるという筋書きでした。
琥珀という鉱物の中に、生物が閉じ込められることで、
数億年も前の歴史がわたしたちの前に甦るのです。
本書はそれほど前ではなく、縄文時代の土器に残された虫の残した痕を手掛かりに
考古学的な考察を展開しようとするものです。
どんなことが明らかになるのか、スリリングですね。


単行本: 240ページ
出版社: KADOKAWA (2018/12/21)
言語: 日本語
ISBN-10: 4047036455
ISBN-13: 978-4047036451
発売日: 2018/12/21

内容紹介
最新科学で迫る縄文時代。土器の粘土に残る痕跡から人々の暮らしが見える。

縄文土器の表面や断面に現れた当時のタネやムシたちの「圧痕」は、いわば「人が作った化石」といえる。土器の製作時に粘土中に練り込まれたコクゾウムシなどの貯蔵食物害虫をはじめとする家屋害虫は、縄文人が定住し、植物を栽培し、それらを貯蔵するようになって自然に集まってきたムシたちであった。従来の方法ではその資料的限界からわからなかった縄文時代の人々の意(衣)食住の実態を、今、この圧痕ムシたちが語り始める――。

1章 コン虫とガイ虫
2章 縄文土器はごきぶりホイホイ
3章 ムシとヒトの歴史――シラミとゴキブリ
4章 ウンチの中から出てくるムシたち
5章 ハエが見ていた人の死――葬送昆虫考古学の世界
6章 殺虫・防虫の考古学
7章 クリを食べたコクゾウムシ
終章 害虫と人の未来
著者について
●小畑 弘己:1959年、長崎県に生まれる。1982年、熊本大学法文学部史学科卒業。熊本大学大学院人文社会科学研究部教授、博士(文学)。主な著書に、『タネをまく縄文人 最新科学が覆す農耕の起源』(吉川弘文館、第5回古代歴史文化賞大賞)、『考古学の基礎知識』(共著、角川学芸出版)、『Jr.日本の歴史1 国のなりたち』(共著、小学館)、『東北アジア古民族植物学と縄文農耕』(同成社)など。

戦国大名の内輪の事情を明かす「戦国大名と国衆」

2018年12月21日 | 新刊書
戦国大名と国衆 (角川選書 611)
平山 優 (著)


武田家、織田家、今川家など歴史小説や映画によく登場する戦国大名ですが、
その領地で実際にどのような統治が行われていたか
あまり注目されることがありませんでした。
この書物はその欠落部分を埋めるものとして、
地道な歴史研究書でありながら、
わたしたちの関心の深い分野にもかかわるものとして、
興味深いものと思われます。



単行本: 312ページ
出版社: KADOKAWA (2018/12/21)
言語: 日本語
ISBN-10: 4047036706
ISBN-13: 978-4047036703
発売日: 2018/12/21


内容紹介
領国支配と軍事編成――その中核に誰がいたのか。

戦国大名の領国は、軍事侵攻で制圧した直轄支配地域と、彼らに従属した「国衆」(先方衆とも)が排他的に支配する「領」(「国」)とでモザイク状に構成されていた。この戦国期固有の領主たちはいかに誕生したのか。大勢力の狭間で翻弄されながらも、その傑出した実力で戦国大名とどのような双務的関係を結び、彼らの権力構造にいかなる影響を及ぼしていたのか。武田氏を主軸に、史料渉猟から浮かび上がる国衆の成立・展開・消滅の歴史を追い、戦国大名の領国支配と軍事編成の本質を総括・通覧する。

はじめに
第一章 戦国期の国衆と先方衆
第二章 室町期国人領主の成立と展開
第三章 国人領主から国衆へ
第四章 戦国大名領国下の国衆「領」(「国」)
第五章 国衆の武田氏従属
第六章 先方衆としての国衆と武田氏
終 章 武田氏滅亡と国衆
参考文献一覧
あとがき

著者について
●平山 優:1964年、東京都生まれ。立教大学大学院文学研究科博士前期課程史学専攻(日本史)修了。専攻は日本中世史。山梨県埋蔵文化財センター文化財主事、山梨県史編さん室主査、山梨大学非常勤講師、山梨県立博物館副主幹を経て、山梨県立中央高等学校教諭。2016年放送の大河ドラマ「真田丸」の時代考証を担当。著書に、『真田信繁 幸村と呼ばれた男の真実』『武田氏滅亡』(角川選書)、『天正壬午の乱 増補改訂版』(戎光祥出版)、『真田三代』『真田信之 父の知略に勝った決断力』(ともにPHP新書)などがある。

「暴力なき革命」という視点から対比して考える「フランス革命と明治維新」

2018年12月20日 | 新刊書
フランス革命と明治維新
三浦 信孝 (編集), 福井 憲彦 (編集)


今年は明治維新150年が祝われましたが
雄藩による合意のもとで実行された明治維新が、
近代の典型的な革命とみなされたフランスの「革命」とどう異なるかということは
日本の近代化の方向性と密接な関係のある問題として、
これまでも考えられてきたテーマだと思います。
150年を記念して、このテーマを「暴力なき革命は可能か?」という
新たな視点から考えるのは興味深いことだと思います。



単行本(ソフトカバー): 234ページ
出版社: 白水社 (2018/12/20)
言語: 日本語
ISBN-10: 456009666X
ISBN-13: 978-4560096666
発売日: 2018/12/20


内容紹介
暴力なき革命は可能か?

明治維新について考えることがフランス革命を考えることにつながり、またフランス革命について考えることが明治維新について考えることにつながる──かつてそんな時代があった。
研究の進展と情勢の変化はこの結びつきをいつしか自明とはしなくなった。そして世代が経過するとともに、二つの革命を結びつけて考えていた時代の記憶は失われてしまった。
フランス革命史研究における正統派と修正派の論争、日本資本主義論争から戦後歴史学の展開を振り返ることによって、本書はフランス革命と明治維新を考えることが結びついていた時代の記憶を改めて提示したい。その後の研究の進展は、この布置を理解して初めて可能になる。
本書に収録した柴田三千雄と遅塚忠躬の幻の論考「日本の歴史学におけるフランス革命像」はこの問題を鮮やかに浮き彫りにしてくれる。
加えて、ピエール・セルナ、三谷博、渡辺浩、ピエール=フランソワ・スイリ、そして三浦信孝と福井憲彦の日仏の権威がフランス革命と明治維新の新たな見方を提示し、これからの革命のあり方を展望する。暴力なき革命は果たして可能か? マルクスには見えなかったものとは何か? 明治維新150年の記念碑。

著者について
【三浦信孝】中央大学名誉教授、日仏会館副理事長 【福井憲彦】学習院大学名誉教授、日仏会館理事長

明日への扉を開くか「サピエンス異変――新たな時代「人新世」の衝撃」

2018年12月20日 | 新刊書
サピエンス異変――新たな時代「人新世」の衝撃
ヴァイバー・クリガン=リード (著), 水谷 淳 (翻訳), 鍛原 多惠子 (翻訳)

最近流行の人類史の新しい書物が登場しました。
とくに現代の「AI革命」によって人間がどのように変わっていくかという視点が魅力的です。
人間の明日への扉はどのようにして開かれるか。
ぜひ読んでみたい。


単行本: 336ページ
出版社: 飛鳥新社 (2018/12/20)
言語: 日本語
ISBN-10: 4864106622
ISBN-13: 978-4864106627
発売日: 2018/12/20

内容紹介
◎英フィナンシャル・タイムズ紙「2018年ベストブック」選出! ◎
私たちの文明と身体に、人類史上空前の「激変」が起きている!
BBC番組化決定! ガーディアン紙、ネイチャー誌ほか各紙誌絶賛の、英国最新ベストセラー人類史。

1万年前の「農業革命」。250年前の「産業革命」。そしてスマホ・AI時代の「現代文明」。
これらの衝撃に、私たちの身体は、実はいまだ「適応」できていない――。
欧米の歴史教科書に追加されつつある「人新世(じんしんせい)」問題を提起した、衝撃の全英最新ベストセラー!


「最新科学から哲学まで、豊富な知見を縦横無尽に駆使した、すばらしく野心的かつ巧みなノンフィクション」
――ガーディアン紙

「われわれ人類の肉体が抱え続ける"欠陥"について、本書の指摘に慄然とさせられた」
――フィナンシャル・タイムズ紙

「人類によって根底から作り変えられた環境が、いかに人類そのものを作り変えつつあるか――。遺伝要因と環境要因が交差する、すばらしい一冊だ」
――ネイチャー誌
著者について
ヴァイバー・クリガン=リード
英ケント大学准教授。専門は環境人文学と19世紀英文学だが、扱うテーマは人類史、古典文学、健康、環境問題まで幅広い。ケント大学の名物教授として学生に絶大な人気をほこり、2015年には同大の「ベスト・ティーチャー賞」を受賞。ガーディアン紙、インディペンデント紙、ワシントン・ポスト紙などに寄稿多数。
人類が生み出した文明の速度に、人類の進化が追いついていない問題を大胆に提起した本書『サピエンス異変』は、フィナンシャル・タイムズ紙の2018年ベストブックに選出され、2019年3月にBBCワールドサービスで番組化(全3回)が決定しているなど、大きな反響を呼んでいる。

水谷淳(みずたに・じゅん)
翻訳家。東京大学理学部卒業、同大学院修了。訳書にバラット『人工知能 人類最悪にして最後の発明』、チャム&ホワイトソン『僕たちは、宇宙のことぜんぜんわからない』(以上、ダイヤモンド社)、アル=カリーリ&マクファテン『量子力学で生命の謎を解く』(SBクリエイティブ)、ブキャナン『歴史は「べき乗則」で動く』(早川書房)、ムロディナウ『この世界を知るための 人類と科学の400万年史』(河出書房新社)他多数。

鍛原 多惠子(かじはら・たえこ)
翻訳家。米国フロリダ州ニューカレッジ卒業(哲学・人類学専攻)。訳書にコルバート『6度目の大絶滅』(NHK出版)、ニコレリス『越境する脳』、ワイナー『寿命1000年』、ソネンバーグ&ソネンバーグ『腸科学』(以上、早川書房)、リドレー『繁栄』『進化は万能である』(共訳、早川書房)、アル=カリーリ『サイエンス・ネクスト』(河出書房新社)他多数。

ゲーム理論を政治学に応用「ゲーム理論で考える政治学 -- フォーマルモデル入門」

2018年12月20日 | 新刊書
ゲーム理論で考える政治学 -- フォーマルモデル入門
浅古 泰史 (著)


もともとは経済学から生まれたゲーム理論であるが
さまざまな分野に利用できる応用性の高い理論である。
この書物は政治学の分野にゲーム理論を適用しながら
政治学の基本を学ぶというユニークな着想の本である。
演習問題つきというのも魅力的かも。


単行本(ソフトカバー): 338ページ
出版社: 有斐閣 (2018/12/20)
言語: 日本語
ISBN-10: 4641149283
ISBN-13: 978-4641149281
発売日: 2018/12/20

内容紹介
【政治というゲームに取り組んでみよう 】
政治家の汚職など、誰もが気になるニュースを題材に政治学を学べる入門書。複雑な問題でも単純明快に解きほぐすゲーム理論の醍醐味を味わえます。多くの身近な具体例や演習問題のほか議論の題材も各章に用意し、副読本としても使える構成に。


【主な目次】
Introductionゲーム理論という視点
Part I:選挙と政治
 chapter1 低投票率──人々が投票するのはなぜか
 chapter2 選挙競争──誰の意見が政治に反映されるのか
 chapter3 汚職──政治家の汚職を減らせるか
 chapter4 連立政権──政党間協力は野合か
Part II:情報と政治
 chapter5 政治家の資質──良い政治家を選抜できるか
 chapter6 選挙運動──選挙費用は公費で賄うべきか
 chapter7 メディア──報道の自由は確保されているか
 chapter8 脱官僚──政治家が政策決定をするべきか
Part III:世界と政治
 chapter9 政治体制──なぜ独裁者は邪悪に走るのか
 chapter10 民主化──なぜ民主主義に移行するのか
 chapter11 戦争──なぜ戦争が起こるのか
 chapter12 平和──戦争を避けることはできるのか