踊る小児科医のblog

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ちょっと待て!あなたの家庭、職場、レストランは福島原発事故現場より危険

2014年10月31日 | 禁煙・防煙
福島原発の事故現場では、3年半経った現在、厳しい管理により年間20mSvも被曝する作業員はほとんどいないし、超えそうな時には早めに他の原発や除染作業などに転じているようです。

ですから、最大でも5年で100mSvは超えない。更に作業を続ければリスクは累積されると考えますが、5年で100mSvをここでは計算の基準としておきましょう。
100mSvでがん死のリスクが0.5%(10万人あたり500人)増加するとされています。
その他のリスクについてはここでは考慮されていませんが、主題ではないので省きます。

一方、屋内(自宅・職場・飲食店)の喫煙でPM2.5は数十~数百μg/m3上昇する。
PM2.5の死亡リスクは10μg/m3あたり、急性(24時間)で1%、慢性(年間)だと6%も上昇します。



喫煙者のいる家庭ではPM2.5が平均で約30μg/m3高いことが知られています。
単純計算で6×3=18%、実際の各国における調査結果でも10~20%も死亡リスクが高くなっていることがわかっています。

原発の事故現場で100mSvも被曝しても0.5%(10万人あたり500人)増加なのに、家庭における受動喫煙で10~20%(10万人あたり1万~2万人)も高くなる。
あなたの家庭、職場、飲食店は、原発の20~40倍も危険な「放射線管理区域」なのです。
(実際にタバコの煙にはポロニウムという放射性物質が含まれています)



「青森県のがん発生率は全国平均を下回る」記事への疑問/県平均死亡率が低すぎる/一次予防の重要性は?

2014年10月31日 | 禁煙・防煙
謹啓 デーリー東北10月29日の「がん死亡率全国ワーストの青森 発症率 男女とも全国平均下回る 地域でばらつき 早期受診を」という記事を大変興味深く拝読しました。
 ただし、デーリー東北の記事は文章も表もわかりにくく、一読して理解できなかったため、自分で表の数値を元にグラフにしてみたところ、一点理解できない点が出てきましたのでご確認下さいますようお願い申しあげます。
(グラフおよびこの質問文はブログに掲載しておきました)

がん発生率


がん死亡率


1)がん発生率、死亡率それぞれ別々にグラフにしてみたところ、
 がん発生率の方は青森県(県平均)の値は男女とも高い地域と低い地域の中間的な値となっているのですが、がん死亡率の方をみると、男性の青森県(県平均)の値は県内の全ての地域の死亡率よりも低く、女性も上十三以外の全地域の値よりも低くなっていることに気づきました。
 通常は、県平均の値は「発生率」のように高いところと低いところの中間的な値になるはずです(人口比があるにしても)。「死亡率」のように県平均の値がほぼ全ての地域よりも低くなるという計算結果が得られることは考えにくいのですが、これは単純な誤植でしょうか。それとも計算上の何らかのファクターによりこのような値が出てきたということでしょうか。ご教示ください。

2)デーリー東北の記事を読むと、がんの発生率は全国よりも低く、死亡率だけがワーストなのだから、がんの一次予防に関しては全国よりも力を入れる必要がなく、二次予防(早期発見)にだけ重点をおいて進めればいいのだと読み取れます。一方、東奥日報の記事を読むと「本県の喫煙率の高さと肺がんの死亡率が高いことは大きく関連している」と、明らかに喫煙等の一次予防の重要性を強調しています。このデーリー東北の記事は講師の松坂先生の意図を誤って伝えているのではないかと危惧しており、このままでは県民に「一次予防は重要ではない」という認識を植えつけることになるのではないかと懸念しております。

以上2点について、ご確認の上お返事をいただければ幸いです。大変不躾ではありますが、情報を広く共有するためにお返事をネット上に掲載させていただきたくお願い申しあげます。

敬具