踊る小児科医のblog

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タバコ税増税は誰のため?

2010年03月02日 | 禁煙・防煙
 いよいよ今年の秋からタバコ一箱の価格が300円から400円に上がります。飲食店を含む公共の場を全面禁煙にするという厚生労働省の通知も出されました。この機会に禁煙しよう、あるいはご家族に禁煙してほしいと考えている方も多いのではないでしょうか。

 最近なぜこのように喫煙に対する規制が厳しくなってきたのでしょう。数回にわけてタバコと健康について考えてみたいと思います。

 日本医師会など多くの医療団体ではタバコ1箱千円を目標とした大幅増税を求めて署名運動を繰り広げてきましたが、2008年末には前政権の中で増税は見送りになってしまいました。今回の100円の値上げは諸外国と比べても全く不十分なものですが、それでも首相が「国民の健康を目的に」と言明して増税することが決まった点において、これまでの政策から大きく転換してタバコ規制政策に舵を切ったものと評価することができます。



 一方で、喫煙者からは「取りやすいところから取る安易な増税」「今までもタバコ税を納めて国や地方に貢献してきた」といった声も聞こえてきます。また、青森県南・岩手県北は葉タバコ栽培が盛んな地域であり、これ以上のタバコ規制政策は葉タバコ農家に壊滅的な打撃を与えるものとなりかねません。この点は非常に重要で、地域の暮らしを守るために真剣に考え、緊急に果たさなくてはいけない政治的課題が山積しているのです。

 「取りやすいところから取る安易な増税」という批判は、実はこれまでの増税についてはその通りでした。1本1円程度の増税では一時的に税収が増えても、元々の喫煙率減少傾向の中ですぐに減収となってしまう愚策だったのです。今後も毎年のように大幅増税が議論に上るはずですが、その目的は「できるだけ多くの国民に禁煙してもらい、タバコで命を落とす悲劇を減らすこと」にあるのです。