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踊る小児科医のblog

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新型コロナ:玉川徹・岡田晴恵の初歩的なミスは「傾向を見る」という基本作業を怠った証左:東京都曜日別陽性者数グラフ

2020年04月30日 | 新型コロナ
説明不要、グラフが全てを物語っています。(4/30(木)は水曜の赤に重なっていて見えませんが前週から半減以下です)


玉川・岡田のあり得ないミスは、26日(日)の72人(水色)にイチャモンをつけようとして発生したものだが、曜日別グラフでその前の金土の減少傾向を見ていれば、日曜の72人が何の不思議でもない流れだと簡単に理解できること。

玉川氏は原発報道の際に政府・御用学者らの言説に対してオルタナティブな学者の主張を伝えて信頼できると判断していたのだが、今回の新型コロナで馬脚を現したと言える。岡田氏については直接見聞きしたこともないのでコメントはしません。

『モーニングショー』玉川徹がスクープ?翌日一転して謝罪(番組訂正を受けた追記あり)
https://news.yahoo.co.jp/byline/mizushimahiroaki/20200428-00175678/

新型コロナ「ドイツやスウェーデンから日本は何を学ぶべきか」

2020年04月28日 | 新型コロナ
規模の違う国は人口あたりで揃えないと比較はできません。今回、日本の人口に合わせて「1億人あたり」にしてみました。この数字の違いを理解した上で、現状と今後の手綱の引き方緩め方について議論すべき。
(数字はロイターより、4/27現在)


◎ドイツは世界でもトップクラスの感染者数(日本の16倍)、死者数(21倍)を出しながら、医療崩壊を起こさずに乗り切ったと自負して、段階的な封鎖解除に移る。

◎スウェーデンは封鎖をしない独自政策で、ドイツの3倍、日本の70倍もの死者数を積み上げながら、来月には集団免疫が得られる見込みとして、政府も国民も平気な顔をしている。日本人にはこのような考え方や対応ができるだろうか。

◎日本の感染者数、死者数が韓国を超えた(大変だ)というテレビ番組の画面をネットで見たが、韓国の人口は日本の4割程度しかないのに単純に数字で比べるという愚(あるいは意図的な誘導操作)。

 確かに、韓国は最初の感染者・死者数の拡大がその後は抑えられているが、初期の拡大検査は死者数増加抑制に寄与したとは言えず、長期間に渡って封鎖と国民監視・行動制限を続けてきたことが最大の要因だと思う。

◎日本は、3ヶ月以上にわたり、諸外国に比べると感染拡大のスピードを抑えられてきたが、長年の医療費抑制政策を行ってきたために、特に東京・大阪・埼玉などでは感染症爆発に対する余力は元々なく、現状の医療崩壊から回復させるためには、大都市を中心とした流行地域の手は緩められない。

 ただし、大都市圏と地方都市、更に山間部などとのリスク格差は数字で二桁以上あるものと考えられ、都道府県単位だけでなく、市町村単位での緩和や厳格化などの制御が長期戦にあたって絶対的に必要。

新型コロナ:青森県は新規感染者ゼロ2週間で「非流行地域宣言」へ。奥羽越後列藩同盟の独立可能性を考える

2020年04月25日 | 新型コロナ
感染症の対策というのは流行のフェーズに応じて厳しくしたり緩めたりする絶妙な差配が必要になります。
青森県の政策のうち何が現実に適合して、どれが現実に反したものだったか、この嵐が過ぎ去った後に厳しく問われなければなりません。



3/30五所川原(管内)、4/3八戸、4/9青森、4/11十和田(実質的には4/10)から、八戸では3週間、十和田でも4/25には2週間が過ぎ、接触者の観察期間も終了します。
青森県内では市中感染の発生は元々なく、移入例の影響も無くなったので、3月までの「非流行地域」に戻ったと宣言することができます。
(無症状の感染者がゼロと言うことまではできませんが)

感染者22名のうち退院したのは14名で、8名はまだ入院中なので「ウイルス保有者がゼロ」とまでは行きませんが、幸い重症者もなく経過しているようです(詳細は公表されていません)。

東京の感染拡大が地方に飛び火していた状況で、青森県内でも一時危ぶまれながら、ここまで抑え込むことができたのは、
1)各地域の保健所スタッフの奮闘
2)基幹病院における適切な治療と院内感染防止の努力
があったことを認識し感謝しなくてはいけません。

一方、東北6県および新潟県の状況を見てみると、南東北3県+新潟と、感染者ゼロの岩手県を含む北東北3県との差は出てきたものの、合計人口1千万人超で感染者は三百数十名(全国で1万3千人)、死者数ゼロという記録を続けています。

欧州でも1千万人規模の小国はありますが、感染者三百人、死者ゼロという国はないはずです。

後段の「奥羽越後列藩同盟独立」については、次に書きたいと思います。

「新型コロナと原発における科学リテラシー」

2020年04月21日 | 新型コロナ
 現在の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)流行において、専門家会議は「8割は誰にも感染させず、2割が密閉・密集・密接の三密環境で感染させている」という分析から、都市封鎖を行わずにクラスター対策と三密回避の行動変容を求める対策を提言してきた。実際に、青森県内の感染者は4月20日現在22人で、感染拡大は抑えられており、移入例への対策として今後も機能し続ける可能性が高い。

 一方で、本来なら成り立たないはずの「PCR拡大論争」が一部で続いているが、対策の主な目的は流行拡大のスピードを抑えてピークを後ろにずらし、結果的に死者数およびその増加スピードを抑えることにある。検査数によって左右される感染者数や致死率は指標にはなり得ない。実際に、検査を拡大して致死率を下げたと評価されている韓国やドイツと比較してみると、人口あたりの死者数および増加スピードは両国の方が上回っており、致死率も日本と逆転している。日本の致死率の再上昇に注意は必要だが、人口あたりの死者数は韓国のレベルに達しない可能性が高い。


 PCR検査は必要な患者に実施できる体制が求められているだけで、過度に拡大すれば、偽陰性(感度70%の場合3割)の存在だけでなく、陽性的中率の低下も問題となる。特異度99%で事前確率が0.1%の場合、陽性者の9割は偽陽性となる。PCR陽性率は市中感染の指標にもなり、青森県の4%台は適正範囲だが、東京の40%台は検査不足と言える。

 放射線被曝に対する立場との2軸で図示を試みてみた。この4象限に含まれる集団の性向は未整理の段階であり、ご批判を賜りたい。


 コロナ禍で分断が深まるのかどうか、ポストコロナの世界を論ずるのはまだ早いが、ポスト核燃として考えてきた地域分散・循環型社会、環境・生態系との共生、社会的資本としての医療などの動きを加速させるはずだ。

「4/1の専門家会議提言を読み直す」流行地域の3区分:一斉休校はレベル3のみ「選択肢として検討」、青森県はレベル2→1、八戸市は2週ゼロで非流行地域宣言

2020年04月19日 | 新型コロナ
緊急事態宣言が全国に拡大されたところで、その前提となっている4月1日の「状況分析・提言」について、Facebookに掲載した抜粋版に見出しを追加し、矢印(→)でコメントを加えてみます。
後述のように、八戸市は4/17で新規感染者ゼロ2週間となり、非流行地域宣言を出して対策の一部緩和をすべきフェーズであり、緊急事態宣言拡大を受けてあわてて緊縮するのは提言と全く逆の政策と言えます。
被害者は子どもたちです。

「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(2020年4月1日)
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000617992.pdf

<用語の定義と現状分析>
オーバーシュート: 欧米で見られるように、爆発的な患者数の増加のことを指すが、2〜3 日で累積患者数が倍増する程度のスピードが継続して認められるものを指す。異常なスピードでの患者数増加が見込まれるため、一定期間の不要不急の外出自粛や移動の制限(いわゆるロックダウンに類する措置)を含む速やかな対策を必要とする。なお、3 月21〜30 日までの10 日間における東京都の確定日別患者数では、2.5 日毎に倍増しているが、院内感染やリンクが追えている患者が多く含まれている状況にあり、これが一過性な傾向なのかを含め、継続的に注視していく必要がある。
〇 以上の状況から、我が国では、今のところ諸外国のような、オーバーシュート(爆発的患者急増)は見られていないが、都市部を中心にクラスター感染が次々と報告され、感染者数が急増している。そうした中、医療供給体制が逼迫しつつある地域が出てきており医療供給体制の強化が喫緊の課題となっている。
〇 いわゆる「医療崩壊」は、オーバーシュートが生じてから起こるものと解される向きもある。しかし、新規感染者数が急増し、クラスター感染が頻繁に報告されている現状を考えれば、爆発的感染が起こる前に医療供給体制の限度を超える負担がかかり医療現場が機能不全に陥ることが予想される。

→指数関数的増加の程度の指標である「k値」を見ると、4/16には東京 0.061、全国 0.058、青森 0.000 であり、7日で倍増するk=0.1を下回っているため、「2〜3 日で累積患者数が倍増」する状況ではなく、「今のところ…オーバーシュートは見られていない」という分析は現在もあてはまる。4/8の緊急事態宣言の効果が出る前の4/12頃から鈍化傾向が見られている。この先、1週間の推移とその判断が最も重要になるでしょう。

→ただし、「医療崩壊」についてはここで予想された通り「爆発的感染が起こる前に医療供給体制の限度を超える負担がかかり医療現場が機能不全に陥る」状況になっており、東京を中心とした地域は更なる抑え込みによる新規患者数の減少を目指さないといけません。

<学校と子ども>
 なお、現時点の知見では、子どもは地域において感染拡大の役割をほとんど果たしてはいないと考えられている。したがって、学校については、地域や生活圏ごとのまん延の状況を踏まえていくことが重要である。また、子どもに関する新たな知見が得られた場合には、適宜、学校に関する対応を見直していくものとする。

→「子どもは地域において感染拡大の役割をほとんど果たしてはいない」ことは、国内の子どもの感染例のほぼ全てが大人から子どもへの感染であることからも確かめられています。

<流行のレベルに応じた地域の3区分と対応策>

①「感染拡大警戒地域」→「レベル3」と独自に表記します
 直近1週間の新規感染者数やリンクなしの感染者数が、その1週間前と比較して大幅な増加が確認されているが、オーバーシュート(p4脚注=上記=参照。爆発的患者急増)と呼べるほどの状況には至っていない。また、直近1週間の帰国者・接触者外来の受診者についても、その1週間前と比較して一定以上の増加基調が確認される。
[想定される対応]
 オーバーシュート(爆発的患者急増)を生じさせないよう最大限取り組んでいく観点から、「3つの条件が同時に重なる場」(以下「3つの密」という。)を避けるための取組(行動変容)を、より強く徹底していただく必要がある。
〇例えば、自治体首長から以下のような行動制限メッセージ等を発信するとともに、市民がそれを守るとともに、市民相互に啓発しあうことなどが期待される。
・期間を明確にした外出自粛要請、
・地域レベルであっても、10名以上が集まる集会・イベントへの参加を避けること、
・家族以外の多人数での会食などは行わないこと、
・具体的に集団感染が生じた事例を踏まえた、注意喚起の徹底。
〇また、こうした地域においては、その地域内の学校の一斉臨時休業も選択肢として検討すべきである。

→「地域内の学校の一斉臨時休業も選択肢として検討」はレベル3の地域にだけ記載されている。「地域内…一斉臨時休業…選択肢として」という意味は、そこまで行かない「学級閉鎖」や「1校のみの休校」なども選択肢としてあり得ると想定してるのだろう。「学級閉鎖」や「1校のみの休校」は他のレベルの地域でも子どもや教師に感染者が発生した場合にはとり得る選択肢と考えられます。

②「感染確認地域」→「レベル2」と表記
 直近1週間の新規感染者数やリンクなしの感染者数が、その1週間前と比較して一定程度の増加幅に収まっており、帰国者・接触者外来の受診者数についてもあまり増加していない状況にある地域(①でも③でもない地域)
[想定される対応]
・人の集まるイベントや「3つの密」を徹底的に回避する対策をしたうえで、感染拡大のリスクの低い活動については、実施する。
・具体的には、屋内で50名以上が集まる集会・イベントへの参加は控えること。
・また、一定程度に収まっているように見えても、感染拡大の兆しが見られた場合には、感染拡大のリスクの低い活動も含めて対応を更に検討していくことが求められる。

→このレベル2に相当する地域がどこまでなのか、緊急事態宣言が全国に拡大された現在「一定程度の増加幅に収まっており」「①でも③でもない地域」が不明確になっています。先行7都県+追加の6道府県はレベル3で、岩手県がレベル1であることは確かですが、東北6県でも危険水域に入ってきている南東北3県はレベル2→3と考えられ、青森県と秋田県はレベル2に踏みとどまっており、青森県は4/18で感染ゼロ1週間なのでレベル1への格下げが可能です。八戸市は4/17で感染ゼロ2週間となり「非流行地域」宣言を発することが出来るはずでした
「4/10→4/17の100万人あたりの感染者数」
 山形 29.58 → 50.09
 宮城 15.61 → 32.52
 福島 17.88 → 26.54
 秋田 11.39 → 16.52
 青森 11.24 → 17.66

③「感染未確認地域」→「レベル1」と表記
 直近の直近の1週間において、感染者が確認されていない地域(海外帰国の輸入例は除く。直近の1週間においてリンクなしの感染者数もなし)
[想定される対応]
・屋外でのスポーツやスポーツ観戦、文化・芸術施設の利用、参加者が特定された地域イベントなどについては、適切な感染症対策を講じたうえで、それらのリスクの判断を行い、感染拡大のリスクの低い活動については注意をしながら実施する。
・また、その場合であっても、急激な感染拡大への備えと、「3つの密」を徹底的に回避する対策は不可欠。いつ感染が広がるかわからない状況のため、常に最新情報を取り入れた啓発を継続してもらいたい。

→八戸市が再度戻ることができたレベル1では、注意深い監視体制の元にリスクの低い活動が可能なフェーズに入ってきています。徹底した流入者対策により維持が可能な段階であり、変動に応じて緩急をつけて長期間制御していく必要があります。

<終わりに>
〇 世界各国で、「ロックダウン」が講じられる中、市民の行動変容とクラスターの早期発見・早期対応に力点を置いた日本の取組「日本 モデル」)に世界の注目が集まっている。実際に、中国湖北省を発端とした第1波に対する対応としては、適切に対応してきたと考える 。
〇 一方で、世界的なパンデミックが拡大する中で、我が国でも都市部を中心にクラスター感染が次々と発生し急速に感染の拡大がみられている。このため、政府・各自治体には今まで以上の強い対応を求めたい。
〇 これまでも、多くの市民の皆様が、自発的な行動自粛に取り組んでいただいているが、が、法律で義務化されていなくとも、3つの密が重なる場を徹底して避けるなど、社会を構成する一員として自分、そして社会を守るために、それぞれが役割を果たしていこう。

→流行の段階に応じて、「クラスター対策+三密遮断」に加えて行動制限を強めたり弱めたりする必要があり、東京では更に強い制限が必要だと考えられますが、地方ではフェーズに応じた対策が求められます。

<菅官房長官見解;地域区分は市町村単位で>
菅官房長官は、「感染拡大警戒地域」など3つに区分することについて、区分は最も小さい単位で市区町村ごとになるという見通しを示しました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200402/k10012364001000.html

100万人あたりの感染者数・死者数とその増加率、致死率の「伊米独韓日」比較(4/5現在)

2020年04月06日 | 新型コロナ
特に東京などの感染拡大傾向について懸念される状況にあり、前回と同じく札幌医大のサイトを利用して、予告していた2週間を待たずに5日目で比較してみました。
(今回から1日あたりの増加も追加)



人口あたりの感染者数の1日あたりの増加数は、3月下旬まで韓国よりも少なく抑えられていましたが、4月に入って韓国より多くなりました。

グラフを見ても、4月に入ってから各国に近い傾きになってきています。
ドイツ、米国とは桁が違い、両国とも4月に入って更に拡大しています。


米独韓は検査数が多くて致死率が低く抑えられているという主張があり、3月中は実際に日本よりも低かったのですが、米国はすでに日本を上回っており、ドイツの増加ペースをみると、早晩日本より高くなりそうです。

一方、日本では感染者数は急増局面に入ってきたものの、死者数の増加はまだ以前と変わらず抑えられており、結果的に致死率は唯一低下しています。


おそらく、感染者数の増加と医療逼迫の状況により、死者数の増加ペースも遅れて上昇してくるものと考えられます。その意味でも緊急事態宣言は必要であり、局面が変わった4月1日に実施して移動による拡散を抑えるべきでした。

東京の増加ペースの頭を潰して(squash)、人の移動を最小限にすることにより、地方への拡散リスクも小さくすることがまだ可能なはずです。


新型コロナ「ドイツ・韓国は検査増で致死率を抑制」の誤り→人口あたりの死者数グラフで一目瞭然

2020年03月31日 | 新型コロナ
新型コロナ対策の目標は死者数およびその増加スピードを最低限に抑えることであり、コントロールの指標は、検査数によって左右される「感染者数」を分母とした「致死率 CFR: case fatality rate」ではなく、人口あたりの死者数で比較しないとわかりません。

当初、自分で表計算シートに入れて比較していたのですが、作業が追いつかなくなっていたところで、青森大学の櫛引教授から札幌医大のサイトを紹介していただきました。
100万人あたりの死者数がグラフ化されています。(縦軸は対数目盛)

人口あたりの新型コロナウイルス死者数の推移(国別)
札幌医科大学ゲノム医科学部門
https://web.sapmed.ac.jp/canmol/coronavirus/death.html


画像は3月30日現在のスクリーンショットですが、イタリア、米国、ドイツなど、ほとんどの国は右上方に向かって同じような角度で増加している一方で、日本(下の方のオレンジ色)は、他の国にどんどん追い抜かれながら、死者数の増加スピードが抑えられていることがわかります。
韓国(中位にあるオレンジ色)も、日本と同じような角度に抑えられているように見えますが、桁が一つ上の範囲での推移ですから実際の差は開いています。

グラフの各点にカーソルを当てると、その日の数字が表示されるので、主要国の実数を表に入れてみました。


この数字を見ればすぐにわかるように、米国、ドイツ、韓国とも、致死率は日本よりも低くなっていますが、実際の指標である「人口あたりの死者数」の増加数(ピンク色)は、日本の6倍(韓国)、20倍(ドイツ)、28倍(米国)もあります。
(イタリアは日本の594倍となりますが、今回は比較対象にはしません)

これは、実際には感染爆発と死者の急増が起きているにも関わらず、検査数の増加により感染者数(分母)が死者数に対して相対的に大きくなっているからだと考えられます。

「検査数を増やしたから致死率を抑えられている」のではなく、三角形の底辺に近い軽症者や無症状者を多数検出することと、頂点にある死者数の増加スピードを抑えることとは関連がないように思えます。
(これだけで「逆効果である」とまでは言えないと思いますが。)

ただし、日本の増加の角度が抑えられてきたのはこれまでの話であり、これから先に他国と同じような角度に移っていくのか、それなりの範囲で推移するのかは、主に首都圏や大都市圏での流行拡大と地方への波及に対する対策(大都市圏における行動制限と地方における移入者対策の強化)によって決まってくるはずです。
この先の2週間が、その後の傾向について判断できるポイントになってくるでしょう。

新型コロナ「緊急事態宣言」で何が変わる? 都道府県単位で区域と期間を指定、外出自粛などを知事が要請(罰則なし)

2020年03月30日 | 新型コロナ
以下、最近の記事などから抜粋してまとめておきます。

「緊急事態宣言を出してほしい」日本医師会が会見、医療崩壊に危機感
「緊急事態宣言を出していただき、それに基づいて対応する時期ではないか」と提案。
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5e817d91c5b66149226a148e
「入院状況は厳しくなってはいるが、現状においては新たな感染者への対応が可能。さらに(感染拡大が)急激になると、患者を収容できない状態になる」
「症状が軽症や中等症で、入院が必要ない人にはベッドを空けていただかないと重症者の治療ができない。自宅における健康観察、宿泊施設への移動をお願いしなくてはいけないというのが喫緊の課題だ」

「緊急事態宣言」…首相が地域や期間を指定し、知事が外出の自粛などを要請するという形になるようです。
(以下にNHK記事から抜粋)
28日の首相会見によると、罰則は伴わない。

政府/緊急事態宣言でも罰則なし「協力要請」
https://www.ryutsuu.biz/government/m032843.html
「ロックダウンのような状況。フランスのように強制的に罰則を伴うのではなく、知事からの要請と指示ということになり、その中で協力を得なければならない」

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・国民の生命や健康に著しく重大な被害を与えるおそれがある場合と、全国的かつ急速なまん延により、国民生活と経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある場合の2つの要件を満たすことが必要
・総理大臣は、緊急的な措置を取る期間や区域を指定し、宣言を出す
・対象地域の都道府県知事は、住民に対し、生活の維持に必要な場合を除いて、外出の自粛をはじめ、感染の防止に必要な協力を要請できるようになる
・学校の休校や、百貨店や映画館など多くの人が集まる施設の使用制限などの要請や指示を行えるほか、特に必要がある場合は、臨時の医療施設を整備するために、土地や建物を所有者の同意を得ずに使用できるようになる
・緊急の場合、運送事業者に対し、医薬品や医療機器の配送の要請や指示ができるほか、必要な場合は、医薬品などの収用を行える
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新型コロナ特措法基づく対策本部設置へ「緊急事態宣言」可能に 2020年3月26日
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200326/k10012351111000.html

新型コロナ:八戸市7名のうち5〜6名は誰にも感染させていない(専門家会議見解と同じ)

2020年03月30日 | 新型コロナ
濃厚接触者でPCR陰性だった人も、症状が出ないかもう少し観察する必要はありますが、2つのケースについてはここで断ち切れる可能性が高くなりました。
簡単にまとめておきます。

<流行の段階(フェーズ)>
八戸市では23日のスペイン旅行帰りの会社経営者と妻の2名、その濃厚接触者4名、28日の東京帰省女性1名、合計7名の感染が確認され、「1週間で感染急拡大、市民に広がる不安」という構図になっているようですが、これは連日報道されている「東京における(感染源不明の)感染者急増」のフェーズとは全く異なり、接触者をたどって封じ込めることが可能な「未流行国における散発例」の段階にあります。

ただし、東京からの帰省女性は元々の感染源は不明で、都内の感染拡大の結果として県内で検出されたので、今後も無症状や軽症の移入例が続いてくるものと考えて、特に首都圏との人の行き来は最低限に制限(自粛)しつつ、警戒が必要になってくるでしょう。
(折悪しく、新入学・転勤などで人の移動が最も多くなる時期なので)

そのような中で、県内での発生例が出てきた時に次のフェーズに移ることになります。
そこまで、いかにして時間を稼げるかが現在の最重要課題。

現段階では、市内のスーパーやバスで誰だかわからない感染者から感染する可能性は、1週間前とほとんど変わらず、1/10万(国内平均)よりも低い1/100万のレベルだと思います。
「3密条件」+県外からの移動者(旅行客・出張帰り)といった状況でなければ。

<接触者のまとめ>
最初の感染者はスペイン旅行1名、帰省女性1名と仮定
スペイン旅行の最初の感染者は誰だか不明だが、
1-a) 会社経営者(A)とすると、妻1名(B)、同行者4名(CDEF)、計5名に感染→その5名からの感染者はゼロ
1-b) 他の1名(C)だとすると、同行者4名(ADEF)、さらにそのうち1名(A)が妻(B)に感染

2) 帰省女性(G)の母も(−)

1-a) の場合、A→5名、他の6名→ゼロ
1-b) の場合、A→1名、C→4名、他の5名→ゼロ
7名のうち、5〜6名は誰にも感染させておらず、これは2月に出された専門家会議の見解「8割は家族を含めて誰にも感染させず、2割が複数名に広げている」と一致します。

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スペイン旅行 5名(+)男2・女3
       5名(−)男2・女2・不明1
(その他に4名関東+1名搭乗員:結果不明)
濃厚接触者 1名(+)会社経営者妻
      3名(−)
医療機関従事者 8名(−)
帰省30代女性 28日(+)
60代母親 29日(−)
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新型コロナ関連記事:東奥日報
https://www.toonippo.co.jp/category/news-original/%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A

新型コロナ:6日間での欧州激変(人口あたりの死亡率で比較):先が見えないイタリア・韓国の拡大・日本の静的増加

2020年03月17日 | 新型コロナ
3月12日に(10日のデータを元にして)書いた、
新型コロナ:人口あたりの感染率・死亡率で比較:イタリア・韓国・日本の大きな違い(2020年03月12日)
https://blog.goo.ne.jp/kuba_clinic/e/5ee1ac330d0a3f11ab675462ca1d7fa1
の後の6日間の変動について。。

韓国は感染者数を分母とする致死率では0.7→0.9%の微増ですが、6日間で死亡者数は54→75で+21、人口1千万人あたりの死亡率も10.6→14.8で+4.2人となっています。
新規患者が回復者より少なくなっていると報じられているので、今出ている数字はその前の段階の重症者の反映なのかもしれません。

日本も死亡者が17→31(+14)と増加しましたが、主に高齢者施設での集団発生であり、ここが止まればまた緩やかになることが期待されます。
人口1千万人あたりの死亡率も1.3→2.4で+0.9人となっており、主な6国(一番下の表)の中では一番緩やかになっており、基本的にはこれまでの延長線上にあって急速に拡大する段階ではないと考えられます。

ドイツは死亡者数は2→11の9人増に留まっていますが、感染者数は5倍近くに増加しています。致死率の低さから、軽症者や無症状者を多く検出しているものと考えられます。

独仏伊と接しているスイスは、小国ながら感染者数は日本を抜いて9位となり、ドイツと同様に致死率は低いものの、人口あたりの死亡率はすでに韓国レベルに達しています。

真打ち米国は感染者数が5倍となり致死率は低下しましたが、人口あたりの死亡率では日本に迫る勢いです。
欧米諸国は封鎖や飲食店の休業など強力な規制に乗り出しており、今後の状況と政策の変化を見ていきたいと思います。

問題のイタリアは致死率が5%→7%超となっており、人口あたりの死亡率も桁違いに高い。
1千万都市東京で半月程度の間に新型コロナで300人が亡くなっている状況は想像できません。

高齢化率の高さや重症者を多く治療しているからなどと要因が報道されていますが、人口あたりの感染率なども圧倒的に高く、毎日増加する重症者・重篤者の治療が追いついていないことが想像されます。

(中国チームが応援に入ったとのことで注目されますが、日本は国内対策がまだまだこれからで、地方の医療リソースも薄氷の状態なので、他国への応援などできない状況です。)

2020年3月16日現在


2020年3月10日現在(前記のページより再掲)


主な国の人口あたり感染率・死亡率(3/10→3/16)

新型コロナ「PCR検査拡大で早期発見治療」が間違いである理由:陽性的中率は0.7%しかない(99%は偽陽性)

2020年03月13日 | 新型コロナ
なんとも頭が痛い。同じことを何度も書きたくないのですが、医師免許を持っている自称識者(?)でも「PCR検査を韓国並みに拡大して、早期発見治療」などと唱えている。
もちろん、まともな医者ならそんなこと言う人は誰もいないのですが。。

現在のPCR検査は感度が70%かそれ以下で、2回3回と検査して陽性になることも多く、陰性であることが感染していないことを意味しない(偽陰性)。
それが一つ。

更に大きな理由が、
陽性的中率は事前確率(ここでは検査対象者の「有病率」として表記)によって大きく変動し、有病率が小さい時には陽性的中率は低くなり、ほとんどが偽陽性になってしまうことです。
(陰性的中率は逆の変動をする)

ここで使ったエクセルのシートを公開します。ダウンロードして、ご自身で有病率の欄に適当な数字(%)を入れて確かめてみてください。
http://www.kuba.gr.jp/data/2020/2by2table.xls

前回は感度を95%に設定しましたが、現実に合わせて70%に下げます。

「感度70.0%、特異度99.9%」を固定して、
有病率を0.001%(10万人に1人)、10%、90%と変動させてみます。

1) 有病率 0.001%

 10万人の中の1人を見つけるために検査しても、陽性的中率は0.7%しかなく、100人も偽陽性が出てしまい、肝腎の1人は30%の割合で偽陰性となって見つけられないかもしれない。
 現在の日本では平均すると1/10万ですが、これは接触者や有症状者などの中で見つかったもので、リスクの低い国民の有病率はおそらくもう一桁低いと思われます。その程度の集団に対して、軽い風邪症状程度で「早期検査」して、1000人に1人陽性者が見つかったとしても、その99.3%は偽陽性であり、有害無益でしかありません。

2) 有病率 10%

 これは現状の「接触者や医師が必要と認めた有症状者」に相当します。
 陽性的中率 98.7%
 陰性的中率 96.8%
この数字は、いずれも臨床的に許容範囲内で、検査は有効に機能していると言えるでしょう。10万人検査して、陽性者7090人のうち、真の感染者が7000人、90人が偽陽性です。(感染者のうち3000人は偽陰性)
 偽陽性を更に少なくするためには、更に事前確率を上げる必要がありますが、そうすると3割もいる偽陰性者や、検査対象外とされた中での陽性者の見落としが増えるので、ある程度幅を広げて「有病率5〜10%程度と想定される対象者」に検査するのが現実的と言えるでしょう。(5%の場合、陽性的中率97.4%、真陽性3500人、偽陽性95人)
 
3) 有病率 90%

 この状況は、インフルエンザの流行期に典型的な症状で受診したけれど、(必要ないと思いつつやむを得ず※)検査したような場合です。
 陽性的中率 99.98%(=100.0%)
 陰性的中率 27.0%
その結果、陽性なら間違いないけれど、陰性でも大半はインフルエンザと診断できるので、インフルエンザの薬を処方することになります。
 要するに、検査結果が診断や治療方針に影響しないので、このような検査は本来は不要なのです。

※これまで日本中の内科や小児科で、求められるのに応じてやむを得ず検査してきたことが、現在の「検査狂想曲」に繋がっていると考えて間違いないでしょう。

4) 有病率 1%
 表には示しませんが、陽性的中率 98.7%、陰性的中率 96.7%となり、まずまずと思われるかもしれませんが、10万人の中の1000人の感染者のうち、300人は見落とし、残りの700人は陽性となったが、それに加えて99人が偽陽性となる計算になります。
 PCR検査で陽性の場合はそれ以上の検査はなく、真の陽性と偽陽性の区別はつかないので、感染者として隔離されたり治療されたりすることになります。
 799人中99人は少し多すぎるように感じられます。

3月13日現在、青森県ではPCR検査を68件に実施して、陽性はゼロのままです。医師が必要と認めた対象者の中でも、この「1%」に満たないレベルなので、一般の県民の中で検出される可能性は、上記の通り1/100万かそれ以下と考えられます。

新型コロナウイルス感染症について(青森県)
https://www.pref.aomori.lg.jp/welfare/health/wuhan-novel-coronavirus2020.html

新型コロナ:人口あたりの感染率・死亡率で比較:イタリア・韓国・日本の大きな違い

2020年03月12日 | 新型コロナ

イタリアは既に人口あたりの感染率、死亡率でも中国の3倍前後に達していて、致死率(CFR: case fatality rate)でもイラン、中国を上回っています。

主にイタリア、イランの状況がWHOのパンデミック(Pandemic)宣言の要因になっているのでしょう。
endemic(地域流行)→epidemic(流行)→pandemic(世界的流行):国中や世界中で、感染症が流行すること

米国はまだ数としては多くないが、致死率CFRがイランや中国並みに高くなっている。米国は大都市の高度医療は発達しているが、医療格差が大きく、無保険者も多く、世界の経済や人の交流の中心なので、ここが主戦場になるでしょう。

日本は「検査不足による感染者数の見かけ上の少なさ」を指摘する人もいるようですが、有症状者や接触者など比較的絞り込まれた検査で発見された中では、致死率は高くはなく、人口あたりの死亡率もまだ抑えられた段階にあると言えます。
(無症状や軽症の感染者が数倍〜10倍程度いるはずだということは医師や関係者は最初から想定していることで、北大教授の推計もその前提に沿ったものです。)

今後、検査件数が多くなるにつれ、軽症・無症状者の割合が増えて致死率が低下することが期待されます。
(CFRではなく、潜在的な患者数を母数に考えれば、その1/10程度まで下がります。例えば、日本人の1割が感染して、0.1%が死亡すると考えると、1万人程度という数字=季節性インフルエンザと同レベル=が出てきます。これをどう考えるかが問題なのです。)

一方、韓国は1つの宗教団体からのアウトブレイクとその接触者つぶしをかなり徹底して行った結果、感染者数、感染率はイタリアと同等ですが、致死率は1/7程度(日本の半分程度)に抑えられており、これが「軽症者を見つけて治療しているから検査を早くした方が良い」という見解を生んでいるようです。

しかし、人口あたりの死亡率は日本の8倍もあり、軽症者の割合が多かったことで見かけ上の致死率は下がっているが、死亡率から推定すると、相応の流行が起きて重症者が多数発生していたと考えて良いので、今後の二次・三次感染の拡大がどの程度抑えられていくのか、注目されます。

日本の流行は、2月中旬に予想したよりもずっと少なく、現在、八戸市内では子どもはもちろん大人の呼吸器感染症も流行していないようです。

青森県の検査件数と陽性者数(まだゼロ)の推移が一つの目安になります。
 ↓
新型コロナウイルス感染症について
https://www.pref.aomori.lg.jp/welfare/health/wuhan-novel-coronavirus2020.html
3月11日現在 検査件数 63件 陽性 0件

新型コロナ:主戦場は学校ではなく医療機関:一斉休校はどの専門家も否定

2020年02月28日 | 新型コロナ
■ 専門家会議メンバーが明かす、新型コロナの「正体」と今後のシナリオ
https://news.yahoo.co.jp/feature/1582
東北大学・押谷仁教授
「学校でクラスターが発生しないとは断言はできませんが、子供の感染例は中国でも非常に少なく、その可能性は低いです。一斉の学校閉鎖をすることは、全体の流れからするとあまり意味がない。大人が子供にうつす例はありますが、インフルエンザのように子供が流行の大きな原因になることは少ないことがわかっているからです。」
「感染が起きやすい行動とは… 対面で人と人の距離が近い接触(互いに手を伸ばしたら届く距離)が、会話などで一定時間以上続き、多くの人々との間で交わされる環境です。たとえば立食パーティーや飲み会など…」
「今の日本で、一番メガクラスターが起こると考えられる場所は病院です。」
「日本ではまだ全体の中で感染している人は非常に少なく、…心配だから診てもらいたいという人の99.99%以上は、感染していないと考えられます。しかし、医療機関には、残りのわずかの割合で存在する本当の感染者がいるかもしれない。…多くの人が待合室の中で押し合いへし合いの状況になると、メガクラスターが起こる可能性があります。」
「軽症者に対しては薬もないし、治療法もない。検査もなかなかしてもらえない。…重症化する徴候のある人に最大限の医療を提供するためにも、また自分が感染しないためにも、軽症者や過剰に心配に感じる人が医療機関に押しかけるような行動はすべきではありません。」

■ 休校要請 専門家「評価難しい」 02月27日
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20200227/1000044708.html
東京慈恵会医科大学・吉田正樹教授「実施しないよりは感染者が少なくなる可能性はある。ただ、感染が起きていない地域で同じ対応をとることにどれほどの効果があるかはわからない。子どもたちが外に出歩き、友だちと遊んでしまっては効果は下がるだろうし、現時点で評価することは難しい」
川崎市健康安全研究所・岡部信彦所長「専門家会議で議論した方針ではなく、感染症対策として適切かどうか一切相談なく、政治判断として決められたものだ。判断の理由を国民に説明すべきだ」「一定の効果はあるかもしれないが、2009年に当時、新型と呼ばれたインフルエンザの経験をふまえると、各地域の状況に応じてそれぞれ対策をとることが有効だ。ウイルスに感染した患者がいない地域もあるのに、全国一律に小中高校の休校を要請するという、国民に大きな負担を強いる対策を、現時点ではとるべきではないと思う」

■ 村中 璃子氏/ Riko Muranaka
アウトブレイク対策では感染段階に応じたカードを切っていくのが基本。
リーダーシップとはトップダウンで必要のない無理を強いて権力を誇示したり、やっています感をアピールすることではない。
専門性のある人や機関から決定権を奪うことでもない。
今の目標は社会活動を維持しながら重症者の救命することです。
必要なカードは本当にそれですか?
https://www.facebook.com/rikomuranaka/posts/3043721279006168

■ 「今はまだ諦める時期じゃない」「一斉休校は議論していない」 新型コロナ専門家会議の委員が協力を呼びかけること
東京大学医科学研究所・武藤香織教授
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200228-00010003-bfj-soci
「もう封じ込めはできないけれども、今なら感染の拡大のスピードを遅らせることはできるかも、そして流行を防いで収束させられるかも、という目標が見えている時に、全国一斉に何かをやる、という対応は必要ない。しかし、多少の行動制限を徹底する必要があるという考え方でした。」
「北海道内の学校の対応については、状況に応じて学級か学校単位の休校を選ぶべきだという議論になりました。」
「新型インフルエンザの時とは違って、子どもが流行の原因になっていないし、子どもの重症者が増えていないためです。このウイルスは、インフルエンザとは違う特徴を持っているのです。」
「今回の全国一斉休校要請については、事前に政府から意見を求められておりませんし、議論もしていません。この政策の優先順位の高さ、どういう状況になったら解除できるかといった基準など、政府のご判断の根拠を理解できていない状況です。」
「体調が悪くなる前に検査しても意味がないのは明らかで、そこで陰性が出ても健康である保証はない。だから、「全ての人にPCR検査をすることは、このウイルスの対策として有効ではありません」と言い切っています。」

■ 全国一斉休校の速報に専門家も「ひっくり返りそうになった」 新型コロナ感染拡大防止のためにどこまですべきか?
国際医療福祉大学公衆衛生学・和田耕治教授
https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/covid-19-wada-2
「これは誰が決めたんでしょう。ひっくり返りそうになりました。」
「まず、根拠を出すべきです。今のタイミングが本当にいいという、根拠があるのでしょうか。」
「こんなカードは何度も切れませんよ。対策は何が難しいかと言えば、緩和するのがまた難しいのです。始めるのは比較的簡単なんです。」
「対策は止めるのが難しいのですから、始める時に「こういう基準になったら解除しますよ」というのを、公表するかどうかは別として腹案はもっておかなければならない。」
「私は全国で一斉にやる前に、いわゆるクラスターと呼ばれる感染者の集積が出た時には、その地域で制限してください、と少し地域ごとに対応するような段階があってもよかったのではないかと考えました。」
「3月いっぱい休校にしたとしても、また4月や5月に散発的な流行が起きたら、またやるつもりなのでしょうか?」
「政府はどういう根拠で、今のタイミングと決めて、いつまでやって、何をもってこれが成功したと判定するのか、説明責任があるのではないでしょうか。」

新型コロナ「希望者には全例検査を」してはいけない理由(おそらく首相は理解していない)

2020年02月28日 | 新型コロナ
正直、まともに論じる気力を失っています。(この国の政府に対しても国民に対しても)
前回、クルーズ船で3200人に対し、有病率30%、感度95.0%、特異度99.9%とすると数十人の偽陰性者(感染しているのに見逃される)が生じることを書きました。

ここで、あなたが10万人のまちの市長だとして、市内に100人(有病率0.1%)もの新型ウイルス感染者が野放しになっていて、残りの99900人の命を守らなければいけない。だから全市民に検査をして100人を強制隔離しようと強権発動したとします。

数式や用語は前回書いたので省略します。
(割り算とパーセントなので小学校の算数です)
比較のために特異度99.9%は同じにして、感度を80%まで下げます(現状ではもっと低いようです)。有病率は0.1%なので前回の1/300です。


偽陰性20人(見逃し)
陽性80人+偽陽性100人(濡れ衣)
陽性的中率 44.5%(半分以下)
陰性的中率 99.98%(ほぼ100%)

感染者の5人に1人(20人)は取りこぼして、残りの80人を見つけるために100人に濡れ衣を着せて強制入院させる。

検査を希望者1000人(1/100)に絞ったとしても、その中に対象の100人全員が含まれているわけはなく、有病率は同じ(感染者1人)か多くて10倍程度なので結果は省略します。

ここで、100人のうち80人は軽症か無症状なので、もし発症したとしても市中の医療機関に任せて、検査せずに対症療法で治癒したとします。
その上で、重症化する20人を確実にピックアップすることを目的に、「新型ウイルスを含むウイルス・マイコプラズマ・細菌等」により気管支炎か肺炎に進行しつつある市内の100人を検査対象とすると、その中に20人は確実に含まれていることになります。


偽陰性4人(見逃し)
偽陽性0.08人(濡れ衣は、ほぼゼロ)
陰性的中率は95%となりますが、偽陰性の4人も引き続き医療管理を受けているので、もし改善しないなら再検査して早期に対応することも可能。
偽陽性はほぼ無視できますが、1人と仮定しても、元々重症化しつつある患者なので、過剰治療と考える必要はありません。(症状や検査結果から区別できないし、する必要もない)

現実には、日本国内での有病率は0.1%には遠く及ばず、おそらく0.01%にも達しないでしょう。
でも、東京1千万人の中で0.01%、つまり1千人の感染者が野放しで満員電車に乗っているんです。
これは、放置できないと思うでしょう。
それなら、どうしますか?
(→冒頭に戻る)

新型コロナ:死亡率の減少:地域差:基礎疾患リスク:フェーズは「流行蔓延期」に

2020年02月24日 | 新型コロナ
中国の確定44,672例の続きについて、書きかけていたのですが遅くなりました。

死亡例のリスクファクターの最大のものは前述のように年齢で、80代以上14.8%、70代8.0%です。

基礎疾患別では、心疾患10.5%、糖尿病7.3%、呼吸器疾患6.3%、高血圧6.0%、がん5.6%と続き、基礎疾患なしは0.9%(全体の平均は2.3%)となっています。



ここでは喫煙者について検討されていませんが、SARSやインフルエンザなどと同様に、喫煙者は死亡率が相当高いことが推測されます。
(慢性の呼吸器疾患の大半は喫煙者だと推測されます)

地域別では、武漢を含む湖北省で2.9%、中国のその他の地域では0.4%と大きな差がみられます。

注目すべきデータとしては、発症時期別の死亡率が、1月中旬以降激減しており、2月以降では0.8%まで減少していることです。

この「地域差と時期による変動」については、当初は武漢に限定して、重症例だけがピックアップされて統計に揚げられていたと考えられるので、そのバイアスを差し引いて考える必要がありますが、それにしても他地域の0.4%(全時期)と2月以降の0.8%(全地域)という数字を見比べてみると、これまでの平均2.3%を大きく下回っており、名目上の致死率も今後相当下がってくるものと予想されます。

当初より、名目上の致死率は1%以下、実質の致死率はその1/10の0.1%程度と見込んでいます。

これらの数字は、楽観的な予測を示唆しているとは言えません。
致死率1/1000(0.1%)は、もし東京の1千万人のうち百万人が感染したら、千人が死亡するという意味です。
(国内では一千万人の感染者のうち1万人が死亡)

これは、インフルエンザの超過死亡数と同じレベルですが、毎年インフルエンザで高齢者を中心に1万人が亡くなってもニュースにもパニックにもなりませんが、新型コロナで1万人が死亡すると仮定すると「国難」ということになってしまいます。

問題は、治るか重症化=サイトカイン・ストーム(免疫系の暴走)=するかという分かれ目がわかっていないことです。リスクファクターは上記の通りですが、リスクの少ない比較的若い人の一部が重症化していることには注意が必要です。

95%くらいは軽症か無症状だとしても、千人に一人が亡くなる(インフルエンザと同等)というのは、対処法は普通に扱っていいけれども、強い感染症であるということも確かだということです。

ごく一部の重症化しそうな方をピックアップすることが肝要で、これは普通の診療と何ら変わるものではありません。特に、子どもでは重症化は非常に稀であり、旧型コロナ、新型コロナ、その他の風邪を分けて考える意味はないし、見分けはつきません。