持続する夢

つれづれにふと気づいたことなど書き留めてみようかと
・観劇生活はえきさいてぃんぐに・日常生活はゆるゆると

デモクラシー

2005-04-12 00:33:55 | 演劇:2005年観劇感想編
『デモクラシー』
劇場:ドラマシティ
作 :マイケル・フレイン
演出:ポール・ミラー
出演:鹿賀丈史,市川正親,近藤芳正,今井朋彦,藤木孝 他


ブログをはじめたきっかけはいくつかある。そのうちのひとつに、この舞台の観劇予定が入ったことがある。
ちいさいころ。地元だったので、舞台といえばタカラヅカで育った。
それを。舞台といったらストレートプレイでしょう!と意識転換するきっかけになったのが、この両氏であった。まぁ、これはかなりな間違いだったりするが。。。なにはともあれ。その両氏がストレートプレイで組むというのだから、はずすことはできないと出かけた。

ベルリンの壁が崩壊する前の西ドイツの話。首相の秘書が実は東ドイツのスパイだったという史実を基にした芝居。
舞台両袖近くに椅子と机。うすい衝立てが左から右へ、右から左へと移動する。たったそれだけのセットで、時間と場面が転換する。執務室・列車・避暑地など。
西ドイツ側には8名、東ドイツ側には1名。そしてスパイがひとり。この10名が一枚の板の上に居る。交互に台詞が交される。本来同居し得ないはずのふたつの空間をきっかり分ける芝居。西側の会話ときには東側は気配を消し、逆もまたありという具合。
続く緊迫感の中の重い題材。しかし暗くはならない。鹿賀氏はチャーミングで、市川氏はコケティッシュだ。あぁ、また間違えているかもしれない。いい大人達を喩える言葉ではないな。でもそういう単語しか思い浮かばないので。ちょっと冷やしてみよう。(また?)

今回の収穫は近藤氏。格別なふたりの間で一歩も引かない芝居だった。それから今井氏。始終、東ドイツ側のエージェントとして、ただひとり違った空気感を保ち続けていた。
10名が全員、それぞれの役目を果たしきれなければ破綻してしまう。そんな高度な舞台だったと思う。