異教の地「日本」 ~二つの愛する”J”のために!

言論宗教の自由が保障され、ひとりひとりの人権が尊ばれ、共に生きることを喜ぶ、愛すべき日本の地であることを願う。

「悪いものは悪いと言う努力が必要」米山隆一知事が語る“炎上発言”の真意 2017.12.20 AERAdot.

2017-12-22 13:05:24 | シェアー

 

「悪いものは悪いと言う努力が必要」米山隆一知事が語る“炎上発言”の真意

2017.12.20 16:00
 
米山隆一(よねやま・りゅういち)/1967年、新潟県生まれ。92年、東京大学医学部卒。97年、司法試験合格。2003年、米ハーバード大学付属マサチューセッツ総合病院研究員。11年、医療法人理事長、弁護士事務所代表。16年、新潟県知事に初当選。弁護士であり、医師(撮影/写真部・片山菜緒子)
 米山隆一(よねやま・りゅういち)/1967年、新潟県生まれ。92年、東京大学医学部卒。97年、司法試験合格。2003年、米ハーバード大学付属マサチューセッツ総合病院研究員。11年、医療法人理事長、弁護士事務所代表。16年、新潟県知事に初当選。弁護士であり、医師(撮影/写真部・片山菜緒子)

 

 

 国会議員から「死ね」という言葉まで平然と吐き出されるSNSの言論空間。炎上覚悟で果敢に発信する米山隆一・新潟県知事に聞いた。

*  *  *
 原発再稼働を最大の争点として野党共闘で新潟県知事選に勝利した米山隆一知事(50)。しばしば炎上する「つぶやく知事」としても注目を集める。

──頻繁なツイートは公務に限らず、国政や政治家の発言にも及びます。

 自由主義、民主主義、人権の尊重、平和主義。それらを基盤に政治家は選挙で選ばれています。SNS上の言論空間が国民全体の雰囲気をつくるのに大きな影響力を発揮している。そこに耐えがたい論理矛盾や事実誤認、憎悪や民主主義に対する脅威があれば、民主主義国家の政治家の責務として、議論すべきだと思います。今どきの言葉で言えばいわゆる「右」といわれるような、偏狭な国家主義に向かう傾向に危機感を覚えます。

──米山知事のツイートが、しばしば「炎上」しています。

 炎上すると、逆にリベラル系の人から「ほうっておけ」「相手にすると品位が下がる」などと批判を受けることもあります。彼らは「自分たちが正しく、相手が悪いことは言わなくてもみんなわかっているはずだ」と思っている。

 ただ、それは間違いです。そうして悪意のある言論を放置した結果、明白に特定の対象に向けた憎悪を平然と示す言葉がSNS上にあふれるようになりました。それらのすべてを否定するわけではないが、悪意に満ちた言論を放置すれば、知らぬ間にそれが事実だと思う人が出てくる。黙っていても人が悪いものを悪いと判断してくれるわけではない。言論の自由を保つためには良識ある言論空間が必要であり、良識ある言論空間を保つためには、労力がかかっても悪いものは悪いと言う努力が必要だ。リベラル系の人はその努力を怠っているのではないか。

──怠っていますか。

 人間、どうしても感情的な主張のほうが簡単で、共感も得やすいでしょう。半面、論理的な議論は難しく、共感を得られにくい。だから何もしなければ、感情的な悪意が言論空間を支配してしまう。それを防ぎたいと思うなら、議論を怖がるべきではありません。相手の矛盾と事実誤認を指摘し、論理と事実に基づいて議論すべきだ。確かに炎上は非常に面倒で、放置したくなります。だが、放置してはいけないと思った人が議論しなければ、言論の自由は保てない。知事という立場にいる以上、発言には慎重であるべきことは自覚していますが、同時に一定の立場にある者が発言することの価値もある。言論の自由が守られる健全な言論空間を保つための一助になればという思いで、発言しています。

──知事選の公約「福島第一原発事故の三つの検証(事故原因・健康などへの影響・避難方法)」が進んでいる。検証がない限り、再稼働の議論はできないという立場だ。全国的な注目が集まるが、ツイッターには知名度を上げる目的もありますか。

 あざといと思われるかもしれないが、副次的に知名度が上昇することを否定するつもりはない。最終的に合意形成をして意思決定をするのが政治家の仕事。民主主義社会では多数決で物事が決まる。なるべく多数の人を説得できる影響力を持つことが大事で、政治家が影響力を持とうとするのは当たり前だ。

──フォロワー数は就任1年で2万人を超えました。

 この調子で任期中に8万人まで増えればうれしい。橋下徹前大阪市長のフォロワー数は205万人を超える。日本の人口の約2%だ。世界を見ればトランプ大統領のツイートに世界中が右往左往している。原発問題を抱える新潟県が言っていることが無視されるか、それとも確かにそうだと思われるか。ツイッターは影響力を持つための一つのツールでもあります。


●米山新潟県知事の過去のツイート例

……小中学校の新学習指導要領で中学校の武道に新たに「銃剣道」が加えられることに対して「柔道、剣道、相撲はルールも整備され、競技人口も多くスポーツとして確立していますが、銃剣道はその状況になく時代錯誤としか言えません。恐怖を覚えます」「戦前精神論への郷愁以外のいったい何でしょうか?」(3月30日)

……麻生太郎副総理が講演で朝鮮半島の難民が日本に押し寄せる可能性に触れたうえで、「武装難民かもしれない」などと語ったことを報じたニュースに対して「いつもの失言と思いますが、仮に相手が武器を持って攻撃してくるなら全力で応戦するのは当然です。しかしそうでないならどの国の人でも難民は難民、国際法に基づき適正に保護すべきです。万一の時悲劇を起こしかねない言葉は慎んで頂きたいと思います」(9月23日)

……希望の党が公約を発表したニュースに対して「とりあえず『花粉症ゼロ』はどうやって?と思います」「画期的特効薬が出ない限り花粉がでる緑の植物を国内から一掃するしか手がなさそうですが…。実現するしないは関係ないんですかね…」(10月6日)

……米サンフランシスコ市が民間団体からの慰安婦像の寄贈を受け入れ、大阪市が姉妹都市関係を解消したことを報じたニュースに、自民党の山田宏参院議員が「友好都市の真摯な主張に対し、真面目に検討しない市など、友好都市に値しない」「心ある日本人はサンフランシスコへの旅行を自粛しよう」などとツイートしたことに対して「市がどういう決定をしようが、個人は個人、街は街、全く関係ありません」「狭量な国粋主義を煽る罪は重いと思います」(11月30日)

(構成/編集部・澤田晃宏)

AERA 2017年12月25日号

 

 

 

 


【動画】ウーマンラッシュアワーが『THE MANZAI』で怒涛の政治批判連発! 原発、沖縄基地問題ほか、対米追従も。

2017-12-18 23:15:49 | シェアー

 ウーマンラッシュアワーが『THE MANZAI』で怒涛の政治批判連発! 原発、沖縄基地問題他、対米追従も。

・・・「本当の危機は、原発問題よりも、基地問題よりも、国民の意識の低さ」などとも、風刺!!

THE MANZAI ウーマンラッシュアワー 2017
 

 2017年12月17日

好感度上がったでしょ。新年一発めの独演会です。
 ウーマンラッシュアワー村本の大演説in 沖縄
★2018年1月3日(水)開場19:30/開演20:00 ★桜坂劇場ホールA ★全席指定 前売3,000円/当日3,500円 ★チケットよしもと/ローソンチケットにて発売中!!ぜひお越しください!!

漫才とか漫才じゃないとか風刺とか風刺じゃないとか時事とか時事じゃないとかどうでもいい、言いたいことを言いたいだけ。
様々な価値観を押し付けられて、息苦しい世の中、マイクの前だけが呼吸させてくれる。ぜひ大演説へ

 
 
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ウーマンラッシュアワーが『THE MANZAI』で怒涛の政治批判連発! 原発、沖縄基地問題、コメンテーター芸人への皮肉も

2017.12.18
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今年、『朝生』にも出演した村本大輔が“本業”で鋭い政治風刺を連発!(テレビ朝日『朝まで生テレビ!』8月11日放送回より)


 まさに「圧巻」の5分30秒だった。昨晩、放送されたフジテレビの恒例演芸番組『THE MANZAI 2017』に登場した、ウーマンラッシュアワーの漫才のことだ。

 ウーマンラッシュアワーの村本大輔といえば、8月に放送された『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日)で「安倍さんは戦争の臭いがプンプンする人」「核の抑止力っていうのはほんとうに意味がない」などと物怖じすることなくはっきり意見を口にし、北朝鮮問題にも「対話」の努力を政治家に求め、その上、日本が侵略した過去にまで言及。終戦記念日には〈僕は国よりも自分のことが好きなので絶対に戦争が起きても行きません〉とツイートし、本サイトでは「最強反戦芸人」としてこの話題を取り上げた。

 だが昨晩は、ウーマンラッシュアワーという芸人として、こうした政治批判を、なんと漫才のネタに見事に昇華し披露してみせたのだ。

 まず、村本は、初っ端から「ニュースのコメンテーターやってるのも吉本の芸人」「ニュースを読むのも芸人、犯罪を犯してニュースに出るのも芸人ですね!」と言い、所属する吉本を含めた芸人の不祥事・スキャンダルを立てつづけに紹介。まあ、ここまではナイツや爆笑問題といった時事ネタ系漫才コンビも話のタネに使うものだ。

 だが、続いてもちだしたネタは、なんと原発。まず、村本は「福井県出身なんですよ」「よかったらきょうは福井県の場所だけでも覚えて帰って下さい。いいですか? 北朝鮮の向かい側!」と言うと、相方の中川パラダイスとこんな掛け合いをはじめる。

村本「福井県の大飯町、知っていますか? 大飯原発がある大飯町です」
中川「あー、ニュースであるよねー」

村本「原発の町、大飯町です。大飯町の隣は高浜町・高浜原発。その隣は美浜町・美浜原発。その隣は敦賀のもんじゅ。小さい地域に原発が4基あるんです!! しかし、大飯町には夜の7時以降にやっている店がないんです! 夜の7時になったら町が真っ暗になるんです! これだけ言わせてください! 電気はどこへゆく〜!!!」

 漫才がはじまって早々にぶっ込んできたのが、テレビタブーである原発ネタ。しかも、村本の超高速かつ「立て板に水」の語り口の迫力もあって、観覧席も大爆笑だ。

 しかし、ここからがすごかった。「福井に住ませてください」という中川に、福井に「愛」をもっているか否か次々に村本が質問を浴びせ、最終的に「ようこそ福井へ!」と歓迎する。そのスタイルをほかの土地にも当てはめてゆくのだが、福井につづいて東京を俎上に載せて小池百合子を「自分ファースト」と揶揄したかと思えば、次にテーマにしたのは、沖縄だった。

沖縄への基地押し付け、思いやり予算、対米追従も批判

 

 彼らの漫才の命でもあるリズム感、スピード感を伝えきれないことの野暮さは百も承知だが、ぜひ見逃した人にも知ってもらいたいので、以下に書き起こしたい。

村本「現在、沖縄が抱えている問題は?」
中川「米軍基地の辺野古移設問題」
村本「あとは?」
中川「高江のヘリパッド問題」
村本「それらは沖縄だけの問題か?」
中川「いや日本全体の問題」
村本「東京でおこなわれるオリンピックは?」
中川「日本全体が盛り上がる」
村本「沖縄の基地問題は?」
中川「沖縄だけに押し付ける」
村本「楽しいことは?」
中川「日本全体のことにして」
村本「面倒臭いことは?」
中川「見て見ぬふりをする」
村本「在日米軍に払っている金額は?」
中川「9465億円」
村本「そういった予算は何という?」
中川「思いやり予算」
村本「アメリカに思いやりをもつ前に──」
中川「沖縄に思いやりをもて!!!」

 一気呵成に畳みかけられてゆく、事実と正論。次に取り上げたのは、熊本だ。ここでふたりはいまなお仮設住宅に暮らしている人が熊本で4万7000人、東北では8万2000人もいること、一方で新国立競技場の建設費が1500億円もかかることを掛け合い、「国民はオリンピックが見たいんじゃなくて」「自分の家で安心してオリンピックが見たいだけ」「だから豪華な競技場建てる前に」「被災地に家を建てろ!!!」と展開したのである。

 さらに、次にぶち込んだのはアメリカと日本の関係だ。

村本「現在アメリカといちばん仲がいい国は?」
中川「日本」
村本「その仲がいい国は何をしてくれる?」
中川「たくさんミサイルを買ってくれる」
村本「あとは?」
中川「たくさん戦闘機を買ってくれる」
村本「あとは?」
中川「たくさん軍艦を買ってくれる」
村本「それはもう仲がいい国ではなくて──」
中川「都合のいい国!!!」

最後は国民に「意識の低さ」という問題を突きつける!

 

 安倍首相が完全に「トランプの犬」に成り下がっていることは、すでに世界が知っていることだが、日本のメディアだけがそこから目を逸らし、日米関係の強化を後押し。だが、武器の爆買いをネタにして、そんなのおかしいだろう、と吠えたのだ。

 そして、極めつきが、この応酬だ。

村本「現在日本が抱えている問題は?」
中川「被災地の復興問題」
村本「あとは?」
中川「原発問題」
村本「あとは?」
中川「沖縄の基地問題」
村本「あとは?」
中川「北朝鮮のミサイル問題」
村本「でも結局ニュースになっているのは?」
中川「議員の暴言」
村本「あとは?」
中川「議員の不倫」
村本「あとは?」
中川「芸能人の不倫」
村本「それはほんとうに大事なニュースか?」
中川「いや表面的な問題」
村本「でもなぜそれがニュースになる?」
中川「数字が取れるから」
村本「なぜ数字が取れる?」
中川「それを見たい人がたくさんいるから」
村本「だからほんとうに危機を感じないといけないのは?」
中川「被災地の問題よりも」
村本「原発問題よりも」
中川「基地の問題よりも」
村本「北朝鮮問題よりも」
中川「国民の意識の低さ!!!」

 言葉の勢いは増し、息をつかせぬまま、最後に突きつけられる「国民の意識」という問題。社会や政治の出来事を風刺する旧来の漫才ネタではなく、情報の多さとスピード感で見る者を引きつけながら、言葉の力で圧倒させる。しかも、毒舌芸人として鳴らす村本らしく、最後はマイクに向かって「お前たちのことだ!」と言い放ち、ステージを去った。それは、まったく見事な、新しい「漫才」だった。

村本「コメンテーターなんて情報集め、センターマイクの前で吐き出す」

 

「政治ネタはNG」という空気が蔓延するテレビ界に迎合せず、しかもきっちりと「話芸」というかたちに落としこんだその技量は素晴らしいものだ。事実、ツイッターではウーマンラッシュアワーの話題が急上昇、多くの人が2人を称えた。

 そして、印象的だったのは、ネタを終えた村本の一言だ。番組のエンディングで流れた映像では、ステージ袖の村本は「ただコメンテーターで終わる芸人といっしょにしないでほしい」とカメラの前で述べた。また、ツイッターでも、〈コメンテーターなんか情報集めにしか過ぎなくて、おれがほんとに吐き出す場はセンターマイクの前だけ〉とつぶやいた。

 奇しくも先週金曜日、安倍首相に誘われ焼肉を囲んだ松本人志。同日には米軍ヘリ窓落下事故を受けて沖縄県の翁長雄志知事が官邸で米軍機の飛行中止を求めたが、安倍首相は面会もせず、そのくせ、松本や指原莉乃らといった面子と会食。一方、松本は自身の番組『ワイドナショー』(フジテレビ)で安倍首相を平身低頭で迎え、無批判に擁護を繰り返し、ついには“メシ友”に成り下がった。これぞ、地に落ちた「コメンテーター」の姿だろう。

 だが、『ワイドナショー』にもコメンテーターとしてたびたび出演してきた村本は、安倍政権を刺激することを恐れてテレビが取り上げようとしない原発や沖縄の基地問題を、漫才というかたちにして「これでいいのか」と視聴者に投げかけた。

〈ほんとに吐き出す場はセンターマイクの前だけ〉という芸人としての矜持と、権力や空気に巻かれないという覚悟。──もしかすると今後、テレビ界には村本は使いづらいという空気が流れるかもしれないが、視聴者は彼らの笑いにビビットに反応したということをよく覚えていてほしい。視聴者が見たいものは、予定調和のコメントでも、ましてや権力の犬となった芸人ではないのだ。


下村元文科相党支部:政治資金で自著購入 1900冊分…問題ではないのか? 2017.11.21 毎日新聞

2017-11-21 19:32:47 | シェアー

政治資金で自著購入 1900冊分

毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20171121/k00/00m/010/120000c

2017年11月21日 07時00分(最終更新 11月21日 07時00分)

 
政治資金で1900冊購入していた下村元文科相の著書「教育投資が日本」を変える


 

 下村博文・元文部科学相が代表を務める自民党東京都第11選挙区支部が2016年5、6月、下村氏の著書1900冊分の購入費として、計287万2800円を支出していたことが、都選挙管理委員会公表の16年分政治資金収支報告書などで分かった。

 

著書は昨年5月に出版された「教育投資が日本を変える」(PHP研究所)。1冊1512円(税込み)で、教育を取り巻く現状や教育政策の提言などが記されている。

 

 報告書によると、同支部は昨年5月19、20日と6月17日、都内や名古屋市、横浜市などの書店13店で100~250冊ずつ購入した。

 

 下村氏の事務所は毎日新聞の取材に購入を認め「政治資金規正法にのっとり、適正に処理している」と回答。「購入した書籍は政治資金パーティーで来場者の方々に配布するなどした」とした上で、さまざまな書店で購入した理由について「出版元の担当者から指示があった書店から購入した」と説明した。

 

 下村氏のフェイスブックでは、昨年5月26日に「先日出版しました、下村博文代議士の著書『教育投資が日本を変える』が各書店でベストセラー、各部門で1位に選ばれています」と、書店に陳列されている本を写真付きで紹介している。

 

 政治資金に詳しい神戸学院大の上脇博之教授は「印税が本人に入るようになっていれば、政治資金を使って収入を得ていたことになり、政治家としての資質が問われる。また、書店の売り上げランキングを上げるために政治資金を購入費に充てたとすれば、使途として問題だ」と話している。【柳澤一男】

 

 

 

 

 


「性暴力被害・告発手記出版の詩織さん会見」書き起こし 〔望月 衣塑子さんFBより 2017.10.27〕

2017-10-27 13:34:30 | シェアー

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心から応援したい!潰されず、めげずに、正しい問いかけを続けて欲しいです。諦めて欲しくないです。(H・F氏)

 

望月 衣塑子さんFBより
 
2017.10.27 

元TBS記者の男性から受けた性暴力被害を告発し、手記「Black Box」(文芸春秋)を出版したジャーナリストの伊藤詩織さんが二十四日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で会見した。

詩織さんは「捜査や司法システムの改正に加えて社会の意識を変えること、そして被害者を救済するシステムの整備が必要だ」と手記に込めた思いを語っている。

 詩織さんは2015年4月、就職相談のため、当時TBSワシントン支局長の男性と都内で飲食後、意識を失ってホテルに連れて行かれ、「性的暴行を受けた」として警視庁に被害届を提出。高輪署が準強姦容疑で逮捕状を取ったものの、警視庁の中村格刑事部長(当時)の指示で逮捕が見送られた。

東京地検は昨年七月、嫌疑不十分で不起訴処分とした。これを不服として詩織さんは、検察審査会に審査を申し立てたが、今年九月に「不起訴相当」の議決を受けた。伊藤さんは同月、男性に一千万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。一方、男性は一貫して犯罪行為を否定している。

24日の会見のメモを掲載。動画でも配信されているので関心のある方は是非みてほしい。今回の問題は、刑事罰としての準強姦が問えるか問えないかに留まる、問題ではない。

人事権を持った人間が、人事の話しを口実に若い女性を酒の席に誘い、酔わせた揚げ句、自宅に送るでもなく、自らが泊まるホテルへと連れ込み、性行為を行った。このことをもってしてだけでも、刑事罰に問えずとも、充分に元記者の取った行為は非難されるべき問題だ。

アメリカでは、著名な大物プロデューサーが、セクハラをしていたとモデルや女優らが告発したことで、映画界を追放処分された。それと連動して、性的被害に遭ったという人々が一斉にME・TOO(私も)と自分の体験を語り始めた。同様の動きが、フランスでも起きていると聞く。しかし、今もって、日本ではME・TOOと内なる叫びはあっても声をあげられないような閉塞した状況が続いている。実際、日本社会では、性的暴行を訴える人は受けた人の5%程度だという。

「被害に遭っても言うだけ無駄」「黙っておとなしくしておくのが一番」という暗黙の空気が日本の社会全体に漂っているのは事実だろう。「これを変えていくべきではないのか。そうでなければ、また第二の私をこの社会は産み出しかねない」、会見での言葉には、彼女の切実な思いが溢れていた。

「どういう動機があなたをここまで動せるのか」。記者に聞かれ、詩織さんは「個人的な話しでないからこそ話せた。個人的な話しだと思ったら思い出さなくてもよい。思い出したくない。被害者の状況を周りの人が理解することが大切。これが自分の妹や友人におきたらどういう道を辿るのかなと思った時、同じことが起きて繰り返される事の方が苦しい。私のケースが特別なことと思っていない。友達や家族のケースに置き換えて考えることが大切なことだと思う」と話した。

自分のことだけのためだったらここまで詩織さんは事件に関して、練り強く調べ、書き上げ、会見することなぞ、到底できなかったと思う。彼女の勇気にそして「我慢し黙っていればいいんだ」とただただ沈黙する日本の社会を変えたいという、その切実な思いに応えなくてはいけない、沈黙こそが、いまこの日本社会の闇そのものではないか。会見での詩織さんの言葉を聞き、感じた。

会見起こしは以下(一部省略)

詩織さん 

私は、二年前にレイプされた。NYで写真の勉強後に戻ってきた。ロイター通信で大きな夢であるジャーナリストになろうと思っていた。2015年4月TBSのワシントン支局長と就労ビザの話しをするために会った。食事をしたあとに目を覚ました。そして、起きた時は、今日まで私が直面している悪夢のはじまりだった。

食事をしたあとに意識を失った。気付いたら元記者がのっていた。病院、レイプ救援センターに助けを求めたが、助けてくれなかった。日本の社会や司法は、性犯罪の被害者のためには機能していないことがわかった。そして、こういうことはよく起きていることがわかった。警察はこの事件の被害届けを出すことも(初めは)許してくれなかった。事件化することも、性犯罪を捜査することも難しいと言っていた。

私は沢山の疑問をもっていた。警察は何故、私の被害届けを出してくれないのか。捜査するようお願いした。ホテルのカメラ、DNAの検査結果、タクシー運転手、ホテルの従業員の証言などを調べてくれることになった。捜査員の努力により、捜査も終わり、裁判所から逮捕令状も出された。しかし、成田空港で捜査員が元記者を逮捕しようとしたら上からの命令で逮捕が見送られた。

中村格、当時の刑事部長が捜査員に逮捕やめるよう命令したということだった。説明もないまま、そういった命令が許される警察組織の在り方に疑問をもっている。中村氏にインタビューするよう努力してきたが、質問にいまだに答えてくれていない。

世界中で報告されないことがある、日本でも5%しか(性的被害は)報告されないことはよくあること。スティグマとタブーがすごい。私はこのタブーを破りたくて顔も名前も出して告白することを決めた。

日本では、社会もメディアも隠した方が言いと言われた、それは私達のためでもあると言われる。実際、捜査員にも「告訴しないように」と、勧められた。「報告すれば、ジャーナリストとしての仕事も失い、業界としての仕事もできなくなる。人生もこれで終わりだよ」と言われた。

その主な理由が、私が訴えた人が、知名度が高く、業界でも尊敬されている人だからです。公にしてからは、バッシングも迫害も受けた。前のように生活することもできなくなった。でも隠れなければいけないのは、私達被害者ではない。問題は私達を受け入れてそして信用する準備ができていない、この社会にある。私達は、話しをすることで良い変化をもたらすことができる。そして性暴力を無視することはもうできません。

 先週10月18日にブラックボックスを出した。2015年に私が経験した性暴力を被害と、そのあとの、病院やホットラインの体制問題、捜査の在り方、司法のシステム、会見後の社会の様々な反応を、これまでの記録や調査、経験もとに書いたノンフィクション。

密室の出来事であり、ブラックボックスということを検察や捜査員からうかがった。警察や検察そのものにも沢山のブラックボックスが存在していることに気付いた。

このブラックボックスにいかに光を宛て、箱を開くか、少しでもそのきっかけとなればとこの本を執筆した。本の中で自分の経験をさらすことになったが、その結果、身近に似た経験をされ、その傷みとともに生きている沢山の方々が居ることを知った。これは遠い誰かのはなしではないと知って頂きたい。どんな時代でもどんななところでもおこることだし、それについてはどう改善できるかを考えて行く必要がある。

ただ特定の誰かやシステムを非難するだけれは改善できない、私達一人一人がどう改善できるかを考えていかなくてはならない。本書ではたまたま私の身に起こったことを例にして話しているにしか過ぎない。でも何がこれから必要かを話すため、過去の話をする必要がある。

前回5月29日の(顔出し)会見で話したように、検察審査会の申し立てを行った。検察審査会より不起訴相当の議決が出された。現在の司法では私の訴えた準強姦の事件は起訴ができないとなった。

 検察審査会は検事が出した答えを再度見直し、精査するもの。そのため必要な資料や証言を集めて提出した。審査会の場には申立人が呼ばれ、事情を聞かれることもある、代理人が呼ばれることもある。今回は私も弁護士も検察審査会に呼ばれることなく、議決が出た後もそれに対する説明はなかった。

不起訴を覆す理由がないということだったか、その内容の具体的説明はなかった。申し立てを行った際にとくに注意をつけてお願いしたことある、私がタクシーを出て引きずられ、降ろされる映像を静止画ではなく、防犯カメラを動画でみて頂きたいといった。しかし、動画が証拠で出たかどうかもわかりません。

検察審査会に質問を出したが、検察審査会法26条を根拠に一切の回答を貰えなかった。検察審査会は非公開であるとはいえ、説明の機会がなかったことはさらに疑問を得た。この時に聞いた質問のうち審査員の男女比と平均年齢には回答をもらった。
 
それは男性が7人女性が4人、平均年齢は50.45歳だった。男女で問題のとらえ方が異なるものについて男女比を半々に近づけていただけなかったことは大変残念に思う。
この本の最後に書いたが、認めている事実は以下だ。

1 当時TBSの元記者と私が働くために必要なビザを話すために話し合った。

2 元記者に会ったのはそれが三回目。二人きりであったのはそれが初めて。

3 そこに恋愛感情はなかった。

4 私が泥酔した状態だと元記者は認識していた。

5 元記者は自身の滞在しているホテルに私をつれていきました。

6 性行為があった。

7 私の下着のDNAの染色体が、元記者のものと過不足なく一致した。

8 意識のないまま引きずられる私がうつった映像、降ろして欲しいと繰り返し言っていた証言を集め、逮捕状を請求、裁判所がそれを許可した。

9 逮捕の当日、捜査員が成田空港で待ち伏せる中、中村格刑事部長の指示で、逮捕が突然とりやめられた。

これだけの事実があってもいまの日本の司法は起訴することさえできない。中村格氏には逮捕の当日やめた理由を何度も聞いているが、何の回答も得られていない。先日おこした民事訴訟の場ではこれまでと違い、初めて法廷でお互いに事実関係をのべあい、第三者による公平な判断がくだされる、このブラックボックスが少しでも開かれることを祈っている。

 そして外国特派員協会で話せる今日、この問題を報じるメディアの問題についてです。判断が見送られて以来、二年間メディアに協力してきたが、この問題を正面から報じてくれるメディアはいなかった。逮捕見送りの問題点を報じてくれたのは、週刊新潮だけだった。

今回の経験から、仮に国や司法で間違った判断が行われた場合、メディアがどう検証するのか。本当に正しい判断が出されたのか。という視点を持ってくれることを願う。それだけで沢山の人が救われる可能性があるのです。

 最後に私がこの本で一番述べたかったのは、捜査や司法のシステムの改正に加えて社会の意識を変えて行くこと。そしてレイプにあった人々への救済システムへの整備が必要だということ。

これについては他国の取り組みを取材した内容も記載したので是非、本書を読んで欲しい。7月から改正刑法が施行され、強姦罪は強制性交等罪と言われるようになった。まだ不十分な所はあるが、変化したという事実は多くの人に希望を与えました。今回、強姦罪に大幅な改正を加えるには110年という長い時間がかかったが、性被害にあった方が声を上げた結果、変えることができた。

私達が広く問題意識を持つことでこのように長い間待たなくてもきっと変化が起こせることになると思った。今回の改正法では、暴行や脅迫要件の緩和がされませんでした。被害者が抵抗できないほどの暴力、脅迫がなければ罪に問われないという現状はかわっていません。

しかし、ある調査結果ではレイプ被害者の7割がフリーズ(膠着)状態に陥るという結果が出ている。この点については三年後の見直しの機会についてさらなる見直しの議論が行われると言われている。この本がその助けになればいいと思う。

イタリア人記者の質問
 日本の女性からの連帯など、言葉などはないのかあるのか。

詩織さん
日本の中では女性の弁護士からは連絡ある。団体からはない。イギリスからはあった、日本の動きについて話しをした。

イタリア人記者
 週刊新潮に出ていた中村格・刑事部長の引用「女も就職の世話が欲しいという思惑があったから飲みに行ったのであって所詮男女のもめ事。彼女は二軒目にも同行しているんだしさ」とあるが、どういう意図があると思うのか。

詩織さん
 中村氏の言葉の意味はわからないが、NHKの「あさイチ」のリポートで、二人きりで食事をしたら、性行為の同意があっても仕方がないと思うもの、という調査で11%もいる。中村氏もそういう風に思うのか。

(告発後に)女性からのバッシングも受けた、ネガティブなコメントもうけた。(日本社会の女性達は)この社会で生きるためには忍耐しかないと思っているのではないか。スウェーデンの職場での男女平等が進み、高いポジションの人も3割を占めている。女性の地位、権力、高いものを占めている。自分とは、違う意見の人とももっと話しをできたらと思っている。

 ブラックボックスが沢山ある。検察にもある。警察にもある。中村氏から答えを貰っていない。国会で議論していってもらえればと思う。スウェーデンには30%女性の警察官がいる。日本ではわずか8%のみだ。

ジェームズ・ディフェンス・ウィーク記者
日本では、アクセスジャーナリズム 権力にすりよって出世していくジャーナリズムはある。それは、権力や権威に強い人が上がっていく。けれど、社会の苦しみや葛藤から、下から救い上げていくような、ジャーナリズムが少ないのではないか。

 

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<関連>

山口敬之氏が詩織さんへあまりにも卑劣な反論! 核心からは逃げ、印象操作陰謀論詩織さん攻撃 ...

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「月刊Hanada」(飛鳥新社)12月号

 ・・・元TBS記者・山口敬之氏からのレイプ被害を告発したジャーナリストの伊藤詩織さんが、今月24日、外国特派員協会で記者会見を行った。会見で詩織さんは、日本の司法や社会システムが性犯罪被害者のために機能していないことを指摘しながら、捜査の過程で明らかにされない「ブラックボックス」に光をあてることの必要性をあらためて語った。

 そんななか、本日発売の「月刊Hanada」(飛鳥新社)12月号が、「私を訴えた伊藤詩織さんへ」と題した山口氏の“独占手記”を掲載。「週刊新潮」(新潮社)の第一報後に雲隠れしていた山口氏は、Facebookや代理人弁護士を通じてしかコメントを出しておらず、本人がメディアに寄稿して“反論”するのは初のことだ。

 しかし、その内容は、自分の一切の非を認めないだけでなく、詩織さんへの誹謗中傷・人格攻撃と陰謀論、そして矛盾だらけの自己弁護が混在したもの。納得できる反論どころか、山口氏の行為の悪質性を逆に浮き彫りにしている。

 

 

 

 


"レイプは魂の殺人です"─詩織さん事件と日本におけるレイプ事件の実情 〔アジア太平洋ジャーナル「ジャパン・フォーカス」2017.8.1〕

2017-09-09 01:21:33 | シェアー

"レイプは魂の殺人です"─詩織さん事件と日本におけるレイプ事件の実情 


前川喜平 氏「彼女の方が私よりも100万倍、勇気があると思います。
私が現職中に加計問題を告発したとしても、それよりもよほど勇気がいることだと思いますし、彼女が問題提起をした権力の闇の方がずっと根深い気がします。」
 
 
"レイプは魂の殺人です" #詩織さん 現在の心境を語る。
完全修正版+資料集 #JusticeForShiori #山口敬之
 
2017年8月7日
2017年7月13日,奇しくも性暴力犯罪を厳罰化する刑法改正の施行日に,英紙日本特派員のデビッド・マクニール記者(5月末に詩織さんの会見要請を却下した外国特派員協会FCCJの内部委員会の委員でもある)が詩織さんを取材していた。
26日,マクニール記者の記事がアジア太平洋専門誌『ジャパン・フォーカス』に掲載される。その要約に思わぬ反響が有り「全訳を読みたい」という要望を多くいただいたので日本語の記事調で全訳することにした(小見出しは適宜追加)。
 
【はじめに】国外では,”まるで蓋がされてしまったか”のよう全くといっていいほど報じられないジャーナリスト・詩織さんの昏睡レイプ事件。以前,詩織さん本人が日本外国特派員協会(FCCJ)に記者会見を申し込んだが却下されたことがあった。
「詩織さん」の会見から約1か月後,FCCJのPAC委員全員宛に公開書簡を送ったところ,回答は「協会の標準会員の中で十分な関心があると判断した場合にのみ開催する」―つまり,関心が十分になかった,ということだった。PAC委員の中でもマクニール記者の対応は良心的なほうだった。

そのマクニール記者がこの回答から約1か月後,やっと記事を書いてくれた。詩織さん本人にきちんと取材した包括的なものだった。とはいえ,「アリバイ記事のようなものだ」と憤慨した私は,これを全訳せずTL上で甚だ乱暴な要約をしただけだった。

     
     その後の詩織さん,心境を語る。 #FightTogetherWithShiori 「レイプは魂の殺人」@tkatsumi06jさん訳

                                     

だが,その要約に思わぬ反響が有り,「全訳を読みたい」という要望を方々からいただいたので全訳することにした。
ただ,より日本人に伝わりやすいよう日本語の記事調にすることにした。
 

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<以下、続きは下記ぶろぐより転載> 
https://tkatsumi06j.tumblr.com/post/163821661316/%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%97%E3%81%AF%E9%AD%82%E3%81%AE%E6%AE%BA%E4%BA%BA%E3%81%A7%E3%81%99%E8%A9%A9%E7%B9%94%E3%81%95%E3%82%93%E5%BF%83%E5%A2%83%E3%82%92%E8%AA%9E%E3%82%8B-%E5%AE%8C%E5%85%A8%E8%A8%B3%E7%89%88-japan-focus

(小見出しは適宜追加)

アジア太平洋ジャーナル「ジャパン・フォーカス」

2017年8月1日 第15集|第15号|No. 3

 「魂の殺人」──詩織さん事件と日本におけるレイプ事件の実情

2017年7月26日

著:デビッド・マクニール


よみがえるトラウマ

屋内にプールがある「東京サマーランド」に彼女の母親が連れていってくれたとき,詩織さんは10歳だった。新品の水着を着ながら水の中で楽しく遊んでいると,とつぜん,男から性的暴行を受けた。

「男の人が私の後ろから,体のあらゆるところをまさぐったんです」

詩織さんは泣きながらその時のことを語った。

恐怖に怯えながら周りに大人に訴えたが,その反応は思いがけないものだった。

「友だちの母親が,それはあなたがビキニを着てるからよと言ったんです」

そのときに彼女の心に永遠に刻みつけられた無力感,恐怖,そして屈辱の感情が,あの会見を行った後で,6月に一気に噴き出した。

28歳になった詩織さん──姓は伏せたいと本人が希望──は今年の5月末,会見を開き,同僚の記者たちの前で自分がレイプされたことを告白した。彼女が期待していたのは性暴力被害者の待遇について改善を求める議論が高まることだった。だが,彼女のもとに洪水のように寄せられたのは,大量のヘイトメールだったと,詩織さんは言う。その多くは彼女を「自分から誘いをかけた”売春婦”」として捉えていた。記者会見でブラウスの一番の上のボタンを外していたことも,彼女の『罪深さ』として受け止められたようだった。

 

あの日に起きたこと

2015年4月9日の土曜の深夜,詩織さんが都内の高級ホテルの一室で目を覚ましたとき,男は彼女の上に跨がり,彼女の中に入っていた。詩織さんは男をはねのけ,トイレに逃げ込んだ。足元がおぼつかず,痛みをおぼえながら,彼女はなぜそこにいるのかを思いだそうとした。

その夜,詩織さんはその男と恵比寿で外食をしていた。その時に酒に薬物を入れられたのだと彼女は確信している。詩織さんの最後の記憶は寿司店のトイレを使用したところで止まっている。

トイレの中で詩織さんは自分が裸であることに気付き,服を取りに戻ろうとした。「体のあちこちが痛みました」と彼女は言う。

部屋に戻ると,男は再び彼女をレイプしようとしたと,詩織さんは言う。

「激しく抵抗しましたが,痛めつけられました」

男は,「君の下着,記念にもらっておくよ」と言ったという。

「日本語でどう罵ればいいのかわからなかったので,英語でこう言いました。”What the fuck are you doing!(何てことすんだこの野郎!)”と。男がコンドームをしていなかったのでこう訊きました。”私に何をしたの?!”と。すると男はこう言いました。”ごめん。アフターピル (morning-after pill) を後で薬局に買いに行こう」と,そしてこんなことを言い始めたのです。”ぼくは君,好きだなあ。アメリカに連れて行ってあげるよ。君はいつも強そうにしているけど,今はまるで子どもみたいだね”と。彼のトーンがこれまでとまるで違ったので,私は混乱しました。とにかくそのとき考えていたのは,”早くどこか安全な所に行って自分を洗い流したい”ということでした」


警察や周囲の反応

その後,ひとり自分のマンションに戻った詩織さんはすぐにレイプのホットラインに電話したが,応答した女性は,カウンセリングするから事務所にきてほしいと伝えたという。だが彼女はベッドから起き上がることもできない状態だった。後で婦人科医を訪ねたときに「アフターピル」 を処方してくれたが,医者はカルテを見つめるばかりでロクに彼女の方を見ることも,なぜピルが必要なのかを尋ねることもしなかったという。看護師は,薬物の痕跡はすべて体から消え去っており,それが体内にあったことを証明する術はないと言った。友人たちは「[諦めて] 前に進むしかないよ」と言ったという。

詩織さんの頭がはっきりして,原宿警察署に向かったのはそのさらに5日後だった。

「警察署の受付で,私は女性の警察官に話したいと伝え,その婦人警官に何が起きたかを話しました。とても辛い経験でした。2時間も話すと,その婦人警官はこう言いました。”私は交通課の担当なので,捜査官に話してほしい”と」

詩織さんは男性の警察官に最初からすべてを話した。すると,その警察官は管轄が違うといって, 彼女が暴行された現場により近い 高輪警察署に訴えを出してくれと言う。詩織さんは高輪警察署で再び,男性の警察官にいちから,暴行の件をすべて話す羽目に陥った。

その男性警官は親身になって話を聞いてくれたのだが,最後にはこう言って詩織さんにすべてを忘れなさいと伝えたという。

「その警官はこう言ったんです。”こういうことはひじょうによく起きるんです。でも証明する術がない。人生が台無しになりますよ”と」


日本のレイプ被害対応の実情

[被害を受けた直後に] 自宅で血を流し,震えながら,日本の被害女性の多くが最初にすることのひとつが,ネット上で他者の経験を読み比べることだという。そして,最終的には追究する価値はないと諦める。仮に警察や検察がレイプの立件にまで至ったとしても,有罪判決に至るまでのハードルは依然高い。多くの場合,警察や検察はレイピストと被害者の間で何らかの金銭的和解が成立するように導き,法廷で証言がなされるリスクを避けようとする。

著名人が関わった最近のケースでは,昨年,ホテルのメイドをレイプしたことを謝罪した高畑裕太容疑者のケースが挙げられる。群馬県の前橋地方検察庁は [容疑者と被害者の間に示談が成立したため] 高畠容疑者を不起訴とし,高畠は公判を免れた。前年の2015年には,15歳の少女に暴行を加えた男を, 少女が「十分に抵抗しなかった」ことを理由に 無罪とした事件もあった。

しかし,詩織さんは食い下がった。高輪警察署で親身になってくれた警官に,暴行の現場となった「シェラトン都ホテル東京」の監視カメラの映像を見るよう説得したのである。その映像は,少なくとも,詩織さんが任意でホテルに連いて来たのではないということを証明していた。

タクシーの運転手が後に語ったところでは,詩織さんは最寄りの電車の駅で降ろしてくれと懇願していたという。だが,その願いは無視された。ホテルのロビーにある監視カメラの映像は,詩織さんがホテルのロビーを担がれて連れられていく様を映し出していた。

またタクシーの運転手は,詩織さんが口に出して訴えていたことや,車内で消化されていない寿司を吐き出したことなど,状況の異常さを伝えるいくつかの詳細を明らかにした。 ホテルのベルボーイは,意識を失っている詩織さんをタクシーから出すのに,連れ込んだ男が3分ほど奮闘していたことを証言している。

詩織さんの下着からはDNAが採取され,その検証作業中に詩織さんは一連の屈辱的な”儀式”に付き合わされることになる。男性の警察官らが見下ろしながら写真を撮影するなか,自動車事故で使うダミー人形のようなものを相手に,レイプの状況を再現させられたのである。

日本におけるレイプの件数は,先進国の中でも最も低い水準にある。同時に,日本で性暴力の被害に遭う者は,他のどの先進国よりも警察に訴える可能性が低い。公式な統計によれば,レイプ被害を通報する日本女性は5%に満たないという。2014年に内閣府が行った調査によると,家族・親戚や友人に被害の事実を話す女性は三分の一に満たないという。活動家たちは, レイプや性暴力被害の実際の件数は,検察に送致される年間1,300件といわれる件数をはるかに上回ると訴える。

日本の検察が有する広範な裁量権は,検察側がレイプ犯罪を起訴するという決定にさえ至れば,有罪になる確率が高いことを意味している。

「正義がなされることへの最も高い障害は……公判前の段階にある」

(※記事には全文は未記載)

英シェフィールド大学東アジア学科に在席 (当時) したハリエット・グレイ(Harriet Gray)博士は,論文でこう述べている。 [現在はスウェーデンのヨーテボリ大学でポスドク研究員を務める]

とくに懸念されるのが警察の対応,と言うのは,自身が性暴力の被害者でもある活動家の山本潤さん。

被害者の多くは,初めて警察に通報しに行く経験を辛いものとして記憶している。被害者に対応できるよう十分に訓練された警官は少なく,多くの場合,街を巡回するお巡りさんたちは,女の被害者を疑いの目で見るのだという。採取可能な筈のDNA証拠等は,ほぼいつも無視される。

部屋一杯の男性警官たちの前で性暴力の被害を訴えるという詩織さんがした経験や,「忘れなさい」という助言を受けるのは典型的な対応であると山本さんは言う。多くの事案は,金銭による示談成立に基づく「起訴猶予処分」,すなわち容疑は認められるが起訴はしないという処分に終わると。

詩織さんは,性暴力被害の捜査を行うよう警察に疑問を浴びせ続け,そしてこれを公表するというひじょうに希な決断を行った。詩織さん自身,何も言わずに終えていたかもしれないという。 しかし芽を出したばかりのジャーナリストとして,この事実と向き合わずに,どうしてこの道を続けられるのか,という思いがあった。加害者が彼女に何をしようとも,自分から逃げるという精神的痛みに勝るものではなかったと。

 

逮捕執行停止にまつわる疑惑

暴行のあった2か月後,同意が不可能な状況での準強姦であるとが認められ,当時TBSワシントン支局長であった山口敬之に対する逮捕状が発行された。2015年6月8日,捜査官たちは成田空港で山口を逮捕すべく待機していた。しかし詩織さんによると,捜査官の一人が彼女に電話をかけてきて,山口の逮捕を見送るよう指示されたことを伝えてきたという。

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山口敬之氏(※オリジナルの記事には記載なし)

「いまでもあの電話のことははっきりと覚えています」と詩織さん。「その捜査官はこう言ったのです。”山口は私の目の前を通り過ぎるところでした。しかし上から逮捕するなという指示がありました。私は捜査から外れます”と。」

捜査権は警視庁に移り,昨年7月,東京地方検察庁は本件を不起訴とした。詩織さんには,弁護士と警察を介した山口から「和解金」の申し入れがあった。

「信じられませんでした」と詩織さんは言う。

この政治的な策動の匂いが漂う衝撃的な幕引きについて,警察側は否定するが反論もしていない。山口は安倍晋三首相のことを持ち上げる書籍を2つ出版しており,二人は近しい仲にあるという。  山口は,ベトナム戦争時に韓国軍が南ベトナムで軍の慰安所を運営していた疑惑を報道し安倍の支持層から称賛を持って迎えられた。彼らからすれば,日本が戦時中に朝鮮で運営した軍の慰安所に関する長きにわたる外交戦で相手に事実を突き返す決定打になると思ったのだろう。そうして国粋右翼らのスター記者となった山口が,今では性暴力を行った疑いをかけられているのである。

 

報じようとしない日本のマスコミ

日本の主要マスコミがほとんど無視するなか,タブロイド誌(週刊誌)はこの事件を報じた。2017年5月18日付の『週刊新潮』は,レイプ疑惑を詳細に報じた。この報道には,高輪警察書の権限を越えて,発行された山口への逮捕状を取り消した中村格刑事部長のコメントも含まれていた。記事には山口の写真が掲載されており,安倍と「ベッタリ」であると書かれていた。疑惑はネット上で急速に広がり,安倍政権は身内は助けるが敵は誹謗中傷するとして,人心を疎かにし腐敗しているという批判が吹き上がった。

今年5月,国会でレイプ犯罪に対する処罰法の改正準備が進められるなか,詩織さんは事件を公にすることを決断する。法務省で行った記者会見の直前,詩織さんの友人たちは,ビジネス・スーツを着て,「でないと信じてくれないから」と,涙も少し見せるようにとアドバイスしたという。

「これはとても悲しかったです」と詩織さんは振り返る。

「そんな風に見られてしまうのならば,私に何ができるのというのか。ジーンズやTシャツしか着ない。それが私なのだから。 ある人は,"ボタンを最後まで閉めて"と言いましたが,私は”イヤ”と言いました。50人からのジャーナリストが部屋に詰めかけていて,カメラがこっちを向いていて,フラッシュを焚かれるのだから,息が出来なかったんです」

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 詩織さん(右)

「自分自身がレイプの被害者となることで,私たち [被害者] の声がどれほどか細く,そして社会になかなか伝わらないものであるかを思い知らされました」

詩織さんはこう,記者団に語った。 [※訳注: 実際の日本語での発言ではなくあくまで英文を日本語に翻訳しています]

 「同じ経験をして, 深く傷つき,打ちのめされてきた女性は数え切れないほどいるでしょう。そして過去から現在にわたって諦めてきた女性たちも。いったいどれだけのメディアがこれらの出来事を報道してきたのでしょうか。山口さんが強力なコネを通して自分側のストーリーを展開していたとき,私は息ができない思いをしました。言論の自由はどうなっているのでしょうか?法やメディアは何を,誰から守ろうとしているのでしょうか?」

詩織さんから見ると,会見の後に行われた報道の中身は「薄かった」という。主要マスコミのほとんどは事件を黙殺し,日本テレビは当時の刑事部長にインタビューを行い,起訴するには証拠不十分(嫌疑不十分)であるという言質をとった。 
 

一方で,[会見への]「反発」は凄まじいものであった。自ら暴行を誘い込んだのではないか,政治的思惑があってのことではないかと批判された。一部では,倒閣を目指す民進党との繋がりがあるのではないかと疑う声もあった。

両親や家族が好奇の目に晒されないよう,姓を隠していたのに,あっという間に暴かれてしまった。憔悴した詩織さんは,病院に行き,4日間ベッドに引きこもったという。

「パニック発作を起こしました。自分なら耐えられると思ったのですが,耐えられなかったんです。レイプ被害に遭っても声に出して訴えていいんだということを他の女性たちに示したかったのに,逆にこんな惨めな姿を晒してしまいました」 と言いながら,詩織さんは再び涙を流した。

 

詩織さんがやり遂げたいこと

レイプを行ったことを否定する山口はTBSの職を追われ,公にはほとんど姿を現さなくなった。詩織さんは東京検察庁に対して [検察審査会による審査を通して] 再捜査を求める申し入れを行った[1]。詩織さんは,政府や,彼女をレイプしたと信じる男に対してでさえ,復讐する気持ちはないという。

「誰もが,私が安倍晋三と戦おうとしているように見せようとします。私にはどうでもいいんです。山口すら,どうでもいいんです。私にとって重要なのは,司法制度がちゃんと機能しているかなんです。 私の周りの人は怒り狂っています。でも,私はとても堪えきれないので,そういう感情を持たないようにしているんです 」


性犯罪の厳罰化に対する思い

詩織さんの友人の家でインタビューを行った日はちょうど,1907年の性犯罪を処罰する刑法の改正がなされた日だった。これにより,罰則が強化され,レイプ(強姦)の定義が,男性も含むものへと拡大された。改正は歓迎すべきことだが,詩織さんのケースには役立たないと前出の山本さんは言う。

「それが起きるには,色々なことを変えていかなくてはなりません。時間がかかります」

 

絶望と向き合うということ

警察が捜査を取りやめたときの無力感は「決して忘れられない」と,詩織さんは言う。かつてプールで怯えていた,あの10歳の少女の頃のように,与えられない保護を [誰かに] 求め続けている。

「法律は私たちを守ってはくれません。捜査当局に自ら逮捕状を取りやめにすることができるなんて。私は,日本に住むすべての人びとに訴えたいです。本当にこのままでいいのですか?と」

詩織さんは現在,検察審査会の審査結果を待っている。立件するには,11人いる審査会のメンバーのうち8人を納得させなければならない。

「 過去2年のあいだ,私はなぜ自分が生きているのか不思議でした」

5月の会見で,彼女はこう語っていた。

「 レイプという行為は、私を内側から殺しました レイプは魂の殺人です。もう肉体しか残っていませんでした。私は,抜け殻になってしまったという思いに苛まれていたのです」


 注記

[1] 5月,詩織さんは日本外国特派員協会(FCCJ)に対し記者会見の開催を申し入れたが却下されていた(全面告白すると,筆者は記者会見等について評決をとるFCCJの報道企画委員会(PAC)の12人の委員の一人である)。安倍政権の政治圧力に屈したのではないかと,FCCJの各メンバーを中傷する抗議のメールが殺到した。旧民主党参議院議員の元秘書である勝見貴弘氏 [←本記事の訳者] はわれわれに公開書簡を送りつけ,詩織さんの申し入れがなぜ却下されたのか回答を求めた。


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