今年の東大入学式での祝辞
上野千鶴子さんの祝辞がネット上で紹介され、その内容に賛否両論とのこと。
たしかに女性学専門の彼女から祝辞でこれまでの事件例まであげて現実をつきつけられ、女性学の講義さながらの<祝辞>なんてたまったもんじゃない、と思う人もいたかもしれない。実際感想をきかれた父兄が、入学したお嬢さんにはよくわかっていない風だったとも話していました。
でも、学生時代に成人式を迎える子ども達全員に同じ場でこんなことを言ってくれるなんて・・・これまで何十年もの間に数々の式典に参加してきた私には、とても新鮮で有難いことだと思えました。
ご興味あるかたは全文掲載されている記事を探してみてください。
後段、ほぼ締めくくりのところだけ一部引用ご紹介させて頂きます
あなたたちはがんばれば報われる、と思ってここまで来たはずです。ですが、冒頭で不正入試に触れたとおり、がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています。そしてがんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください。あなたたちが今日「がんばったら報われる」と思えるのは、これまであなたたちの周囲の環境が、あなたたちを励まし、背を押し、手を持ってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれたからこそです。世の中には、がんばっても報われないひと、がんばろうにもがんばれないひと、がんばりすぎて心と体をこわしたひと...たちがいます。がんばる前から、「しょせんおまえなんか」「どうせわたしなんて」とがんばる意欲をくじかれるひとたちもいます。
あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください。そして強がらず、自分の弱さを認め、支え合って生きてください。
==中略==
大学で学ぶ価値とは、すでにある知を身につけることではなく、これまで誰も見たことのない知を生み出すための知を身に付けることだと、わたしは確信しています。知を生み出す知を、メタ知識といいます。そのメタ知識を学生に身につけてもらうことこそが、大学の使命です。ようこそ、東京大学へ。