衆院予算委員会の中井洽委員長は、公聴会(中央公聴会)を22日(火)に開くことを提案し、採決。民主党、日本共産党などの賛成多数で可決しました。ちなみに、NHKの中継は直前の集中審議「外交と安全保障」の柿沢未途さんの質問終了と同時に終わったと思います。放送終了から1分後の出来事で、実は国会を前に進めているのは、ルールに基づく手続きなのですが、どうにもTVを見て、政治を語るのには限界があります。
アメリカ連邦議会の上院下院の本会議・委員会を3チャンネルで放送する「C-SPAN」(しーすぱん)のようなケーブルテレビが欲しいところですが、やはり当面は、ニコニコ生放送ということになるでしょうか。日本では、ケーブルテレビの導入が早かった横須賀市議会の生中継で、審議が活発化し、民度も上がったとされています。だから、米軍相手に抗議文を出せる勇気が生まれてくるんですよね。
一方、英国議会のツイッターでは、「党首討論の議事録は、あと3時間ほどで出来上がりますので、ホームページでみてください」としており、日本の衆院事務局・参院事務局も見習って欲しいですね、人はいっぱいいるんですから。
今後の衆・予算委は、あす17日(木)は一般的質疑、18日(金)はパシフィック・パートナーに関する参考人質疑が予定されています。社民党、自民党、公明党、共産党など各党が法人税率の引き下げに反対していることから、所得税法改正案の修正が必要な情勢になってきました。なお、予算委が審議している予算案の「歳入」の「租税」の「法人税収」は見積もりなので、修正の必要はないのではないでしょうか。このほか、「歳出」の普天間基地の移設に関する予算を落とすよう社民党が要求しているので、「1年先送り」という意味合いで、全額減額してしまえばいいでしょう。
きょうの衆院財務金融委員会では、財務大臣の野田佳彦さんと金融担当・郵政改革担当の自見庄三郎大臣の所信聴取が終わりました。一般質疑を経て、来週には赤字国債臨時特例法案と所得税法改正案が審議できると予想しています。赤字国債法案は分割など修正のしようがありませんが、所得税法の方は、各党の意見を取り入れて、「法人税率を下げる」改正条文はすべて削除して、法人税率はそのままにした方がいいと、筆者は思います。私としては中小法人への3年間の下げ「18%→15%」もなくていいと思います。ただし繰越欠損金控除の所得金額の8割までの制限は必要です。とはいえ、中小企業の繰り越し期間が7年から9年に延長し、引き続き全額利用できる制度はやるべきです。あるいは、民主党政権として新進党解党をわびるために、2007年12月を含む決算期から、13年間の繰越欠損を認めるべきではないでしょうか。
ところで、なぜ古本伸一郎筆頭理事が率いる衆・財金委は開かれたのに、黄川田徹筆頭理事が率いる衆・総務委はきょう開かれなかったのでしょうか。黄川田さんは一新会の会合でも忙しかったのでしょうか。古本さんはゆうべの常任幹事会も東海ブロック選出常幹として参加していて忙しかったと思うのですが。
先日、中曽根康弘さんの週刊ポストのインタビューを紹介しましたが、この中で「今の日本は訓政期にあるので、国民や野党は民主党政権への忍耐が必要だ」としていました。この「訓政」という言葉はなじみがなく調べてみたのですが、どうやら孫文のベストセラー『三民主義』の言葉のようです。孫文は軍政→訓政→憲政とデモクラシーは成長していくんだ、との論を展開して、清王朝の腐敗した政治に悩む中国人の喝采をかったようです。そして100年前、辛亥革命を果たします。さきほどのエジプトのムバラク大統領の退陣では、「革命だ!」と喜ぶカイロ特派員の記事を日本の新聞でも見かけますが、エジプトでは軍の協議会に政権が移っていますから、軍政に戻ってしまった段階です。わが国は、あらためて言うまでもなく、アジアで初めて憲法を持ち、立憲議会を持った国です。しかし、憲政は、昭和10年代には実質的に軍政へと戻っていき、戦後アメリカの力で、新しい憲法(手続き上は憲法改正)の下、参議院も加えた新しい国会として再スタートを切りました。今また訓政に戻ったとはいえ、もう一度、憲政の常道を取り戻すために、今が踏ん張りどころです。昭和10年代に戻るわけにはいきません。アジアや太平洋の国々はほとんどが憲政になっているのですから、まさにシニア日本の正念場です。
民主党の「国会見える化」路線で、力強く前進しています。予算成立はもうメドが立ちました。その余裕を使って、「普天間」修正をかけて欲しいです。玄葉光一郎さんへの試練です。フィギュア・スケートでは、より高くジャンプできる選手の方が、体をひねったりして、表現の場が広がります。ちょうどあの状態を中井洽コーチがつくったので、玄葉選手に金メダルをねらってほしいです。国民のみなさんには、この年度越えまでは、政権政党が財務省にアタマを下げて、分割法案、つなぎ法案、念のための暫定予算を作っておいてもらうことを堪忍して欲しいと思います。また、財務省ファミリーのみなさんには、武藤敏郎さんが日銀総裁になれなかったことが、小沢一郎被告の「東大法学部嫌い」のひがみによる命令とはいえ、お詫びしたい。
新聞報道では錯覚してしまいますが、実は追い込まれているのは、統一地方選改選議員を多く抱える公明党と自民党と日本共産党です。とにもかくにも、民主党はきょうも1歩(公聴会設定)、1歩(財金委所信表明)、1歩(党倫理委員会開催)、前に進みました。