【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

第178臨時国会召集 野田内閣スタート、3党合意が道しるべ

2011年09月13日 12時57分36秒 | 第178臨時国会(2011年9月)野田内閣

[画像]第178臨時会の開会式でおことばを述べられる陛下、2011年9月13日、参議院インターネット審議中継から。

 さあ、いよいよ、第178臨時会(第178回臨時国会)のスタートです!

 野田内閣として初めての国会です。

 また、国会は1月の通常国会召集日が一部議員が和装で登院するなど華やかですが、実際には、国政選挙などが予定されていない限り、秋の臨時国会で委員長などを入れ替えて、ならしてから、翌年の通常国会の当初予算審議などにのぞむので、ある意味、秋の臨時国会が一年間のスタートとも言えます。ただ、自民党の谷垣禎一総裁・中曽根弘文参院議員会長を除く、すべての役員の任期が例年通り9月末で切れますが、この人事があるので、民主党の陣容をみた上で、自民党が攻撃の陣立てをととのえる第179回臨時国会が本格スタートでしょう。

 なお、この国会から、衆院の議事進行係が、福島2区選出の民主党当選2回生の太田和美(おおた・かずみ)さん(衆院議院運営委員)になりました。


[画像]衆議院議事進行係の太田和美さん、2011年9月13日、衆議院インターネット審議中継から。

 組閣から召集まで一定の時間をおくのは賛成です。しかし、今国会は所信表明と衆院での代表質問1日目の間に質問通告日がないうえ、予算委を閉会中審査にすることにしています。これは内閣にとって余裕がないし、また野党に対して逃げの姿勢をみせています。あまり賛同できません。

 会期は国会法第2章の規定により、衆議院の優越が認められていますので、横路孝弘議長の「4日間としたいと発議します」との発議は、採決となり、民主党の賛成多数で4日間となりました。これに対して、自民党は討論を通告。馳浩さんが、登壇しました。ここで、「内閣が替われば、所信表明と代表質問、予算委員会での一問一答、一般委員会での各大臣の所信あいさつと質疑をするものだ」として「4日間」に反対しました。これに先立ち、「政権交代から2年。民主党はマニフェストの見直しについて、菅直人前首相が謝罪し、岡田克也前幹事長がおわびの文書を提出しました」と演説すると、前列のおそらく小沢グループ議員(マニフェスト原理主義者)から「(菅さん、岡田さんは)辞めたんだもう!」というヤジが飛びました。これは信じられないようなヤジで、前列の若手議員から的外れなヤジが飛ぶことは自民党政権でも民主党政権でもよくあることで次で消えるわけですが、馳さんの討論のしめの文句である「野田総理の道しるべは、3党合意しかありません」という言葉を肝に銘じて欲しいと考えます。

 昨日は、民主党幹事長の輿石東氏の定例記者会見に出席しましたが、「3党合意を理解しているのかな」と疑問(不安)を感じました。

 3党合意は、もう一度後ろに全文付けますが、10月の3次補正予算、来年2月~3月の当初予算、そしてそれ以降の政策検証の3段階で、巧妙なしかけがされています。これを守れば、野田内閣は少なくとも、来年の通常国会の終わりまでは、数段のロケットブースターを利用して安定軌道で政権を担えるはずです。その後、対決モードになっても、残り1年間で総選挙の任期が来ます。そして、3党合意が仮に壊れたら、これは「解散してもどうにもならない」という大混乱、奈落の底に日本が落ちます。もちろん、自民党と公明党もたまに、「3党合意を反故にするぞ」とおどしてきますが、フツーに考えると、政局を大混乱させても、野党としても解散がなければ意味がありません。

 これについては、きょう発売で松嶋奈々子さんが表紙の「週刊女性」の2011年9月27日号の159ページに、「3党合意って何?」という野田首相の写真の下に、私が解説をさせていただいているので、ぜひご覧いただいて、ミニ集会や演説での説明のしかたに活用していただきたいと思います。この記事は「宮崎信行さんに聞きました」という体裁になっていますが、実際には、300字の原稿の形で納品させていただいたものです。夏休みの読書感想文1600字~2000字はつらいものだけれど、半年間「3党協議・3党合意」を取材してくると、300字にまとめるというのは反対の方向で大変。新聞記者時代に、記事を25行で収めないといけないのに、30行以上書いてしまい、パソコン上でどこを削ろうか、1行どころか1字を削ったり、また戻したりしながら呻吟したときを思い出しながら、書いた魂の傑作なのでぜひお読みいただきたい。週刊女性は主婦と生活社の発行で、他に「SMAP20周年のリスタート」や「二宮和也さん腹筋披露」「マツコ・デラックスら芸能人の本名大公開」など内容てんこ盛りで350円なので、安いと思います。

 9月4日(日)放送のTBS時事放談では、3党政調会長協議を半年やってきた、自民党政調会長の石破茂さんが、新幹事長の輿石氏について「代表選で3党合意を白紙に戻すと言った海江田万里さんを推していたのではないか」と懸念した上で、「もう1度、3党合意に(新幹事長名で)署名して欲しい」としたうえで、「あの文言はかなり精密にていねいにつくったものだ。民主党では、一人一人の議員にいたるまできちんと理解して欲しい」として、いわば民主党政府外1期生も写経、読経のごとく、覚えるべきだとの考えを示しました。なお、週明け、自民党幹事長の石原伸晃さんは「バラバラの民主党内をまとめようとする手段として、3党合意を使われたら困る」とさっそく変化球を民主党に投げています。こういうのも、正しく理解した上でないと、第178臨時国会召集直後の「(3党合意をつくった岡田前幹事長は)もう辞めたよ!」という不用意な発言につながりかねません。


2011年8月9日(火)の民主党、自民党、公明党の3党合意文書。
民主、自民、公明の3党は、以下の点について確認する。
一、歳出の見直しについては、以下の通りとする。
    高速道路無料化については12年度予算概算要求において計上しないこととする。
    高校無償化、農業戸別所得補償の12年度以降の制度のあり方については、政策効果の検証を基に、必要な見直しを検討する。
    なお、これらを含めた歳出の見直しについて、11年度における歳出の削減を前提に、11年度第3次補正予算ならびに12年度予算の編成プロセスなどに当たり、誠実に対処することを確認する。
一、歳出の見直しと併せ、子ども手当等の見直しによる歳出の削減について、11年度補正予算において減額措置することを、特例公債を発行可能とするための法案の付則に明記する。
一、法人税減税等を含む11年度税制改正法案(その内容を一部切り出して6月22日に成立した法律にあるものを除く)については、復興のための第3次補正予算の検討と併せ、各党間で引き続き協議する。
一、東日本大震災復興基本法第8条に規定する復興債の償還財源の具体的内容や償還ルールなど、あらかじめ決めることとされているその償還の道筋については、第3次補正予算の編成までに、各党で検討を進める。
 一、11年度第1次補正予算における財源措置として活用した年金臨時財源については、第3次補正予算の編成の際に、復興債で補填(ほてん)することとし、そのための財源確保策と併せて、各党で検討する。
一、以上を踏まえて、特例公債を発行可能とするための法案について速やかに成立させることとする。
 以上、確認する。


 
















2011年8月9日(火)の民主党、自民党、公明党の3党合意文書。
民主、自民、公明の3党は、以下の点について確認する。
一、歳出の見直しについては、以下の通りとする。
    高速道路無料化については12年度予算概算要求において計上しないこととする。
    高校無償化、農業戸別所得補償の12年度以降の制度のあり方については、政策効果の検証を基に、必要な見直しを検討する。
    なお、これらを含めた歳出の見直しについて、11年度における歳出の削減を前提に、11年度第3次補正予算ならびに12年度予算の編成プロセスなどに当たり、誠実に対処することを確認する。
一、歳出の見直しと併せ、子ども手当等の見直しによる歳出の削減について、11年度補正予算において減額措置することを、特例公債を発行可能とするための法案の付則に明記する。
一、法人税減税等を含む11年度税制改正法案(その内容を一部切り出して6月22日に成立した法律にあるものを除く)については、復興のための第3次補正予算の検討と併せ、各党間で引き続き協議する。
一、東日本大震災復興基本法第8条に規定する復興債の償還財源の具体的内容や償還ルールなど、あらかじめ決めることとされているその償還の道筋については、第3次補正予算の編成までに、各党で検討を進める。
 一、11年度第1次補正予算における財源措置として活用した年金臨時財源については、第3次補正予算の編成の際に、復興債で補填(ほてん)することとし、そのための財源確保策と併せて、各党で検討
する。
一、以上を踏まえて、特例公債を発行可能とするための法案について速やかに成立させることとする。
 以上、確認する。



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