さて、連休前国会最終週となりました。与党は火曜日にも、衆・本会議で、0増5減の区割りを反映する公選法・区割り法改正法案(183閣法51号)を強行採決し、参院に送る方針。
公明党の機関紙が与党の正当性を主張しています。が、長年読み続けているから分かるのですが、いつもの論調とは違い、抑え気味です。基本的に5減県は、公明党が衆参とも候補者を擁立していないこともあり、消極的な姿勢がうかがえます。
きょう付の朝日新聞2面「日曜日に想う」で論説主幹の大野記者がおもしろいことを書いていて、鳥取県議会の区割りが、人口を比例した区割りになっていると指摘していました。これを読んで、私は2010年国勢調査を基に計算してみました。鳥取県議会の定数35のうち、人口最小の岩美郡は人口比例では「0・73人区」となりますが、1人区となっています。そして、人口最大の鳥取市選挙区は「11・54人区」ですが、12人区となっています。つまり、人口最小の郡も、人口最大の県都も、四捨五入で完全人口比例の区割りになっています。
一方、2010年国勢調査にもとづいて、衆議院の選挙区を完全人口比例で計算すると、鳥取県は1・41選挙区になるので、四捨五入では、「1人区(全県区)」になるはずです。これを2人区としているから、0増5減の新区割りは人口格差1・998倍という苦しい線引き。一方、島根県は1・71選挙区ですから、四捨五入では2人区であることは相当です。
これを、格差是正と定数削減をあわせた「5増35減の完全人口比例法案「2013年岡田法案」(海江田万里君外提出、183衆法8号)」は、270選挙区なので、鳥取県は1・27選挙区となり、法案通り、鳥取県の定数は1とするのが妥当です。この2013年岡田法案は挑発的で、自民党の実務者である細田博之さんの選挙区である島根県は「1・54人区」のはずですが、これを「定数1」と法案に書き込んであります。
そして、日本維新の会が検討している案では、240選挙区なので、鳥取県は1・13人区、島根県は1・37人区となります。つまり、岡田法案の「鳥取県1、島根県1」が、日本維新の会の案により近くなっています。
私は鳥取県や島根県に何の恨みもありませんが、一票の格差はなくすために1人区にすべきだと信じています。仮に国会議員の人数が県の発展につながるという理屈があるのならば、県内オピニオン・リーダーが暗黙の了解で、候補者の上位2名の票数を近づけ、選挙区と比例中国ブロック復活で合計2名の議員を送り込めるようしむければいいでしょう。
このように、自民党の法案は、国の統治機構の根幹を短くとも10年間、長くて数十年間にわたってゆがませる法案です。絶対反対です。本会議で議題にせず、2013年岡田法案を全会一致で衆参とも通すべきでしょう。
そして、細田法案にひそむ大嘘を、昨年の国会で見抜けなかった私自身に恥じ入ります。たぶん、国会議員も誰も気づかなかったのでしょうが、当事者意識を持って、自分一人の責にする生き方をこれからもしていきたい。
さて、話は変わりますが、5年前のガソリン国会でも、3分の2条項による再議決や、自民党幹事長だった伊吹文明さんのトリッキーな国会戦術が話題になりました。民主党でも安住淳・国対委員長代理、渡辺周・衆議運委理事らの計らいもあって、川内博史・筆頭国対副委員長が「ガソリン値下げ隊長」として引き上げられました。同級生・同期当選の安住さん、渡辺さんが小選挙区当選で引き続き、財金委、議運委の筆頭理事を続けているのに、川内さんは初当選後初めて落選しました。1月のTBS番組に電話出演した川内さんは番組終了直前にスタジオに居た渡辺さんから「彼の分までがんばりたい」と突き放されましたが、それが政治の当たり前の現実だと、私は考えます。
しかし、浪人中の川内博史・民主党鹿児島1区総支部長は元気なようです。
川内さんが東京電力福島第一原子力発電所の1号機に入り、水蒸気爆発の原因とみられる「非常用復水器」の撮影に成功しました。このもようは、Ustreamの番組で自ら司会をする格好で放送され、YouTubeにもアップロードされています。すでに再生回数は2000回を超えています。
上の動画のなかで、注目すべき情報は次の画像だと私は考えます。
これは、非常用復水器のIC(アイソレーション・コンデンサー)、イソコンです。ここが激しく損傷しています。イソコンが「切」のスイッチに入ったまま、全交流電源が停電したにもかかわらず、1・2号機の制御室が「入」に入っていると勘違いしたまま、原子炉の冷却に失敗し、水蒸気爆発を起こしたことは、すでに東電社長が衆・予算委員会で認めています。この川内さんの映像でも、イソコン周辺の4階の吹き抜け部分に設計図上当然あるはずの「手すり」がなく、東電社員も「どこに行ったか分からない」としており、水蒸気爆発の衝撃で建屋の外まで吹き飛ばされた可能性が極めて高いでしょう。この川内さんの動画のなかで、東電社員は「そうですね」「そうですね」とあっさりと認める場面が多くみられます。これは東電社員のなかにも、事故の原因をもっと情報公開すべきだとの意識を持っている社員が多いことを示唆していると感じます。
私は、多くの人とは違い、原子力発電を再開すべきだと考えています。昨年度の貿易赤字は8兆円になりました。働く人1人当たり年間20万円が国外に流出した計算になります。この状態で金融緩和をしていますが、より早く国情に応じた電力の安定供給を取り戻すべきです。もちろん、東電に関しては信頼が置けない状態ですので、柏崎刈羽原発の再開にも時間をおくべきでしょう。しかし、現在動いている関西電力大飯原子力発電所だけでなく、事故対応が早かった東北電力のほか、北海道電力、九州電力などの原発は再開すべきです。そのためには、東電の徹底的な事故究明が必要だと考える立場に私はいます。やはり、刑事事件としての強制捜査も必要でしょう。また、イソコンの操作を誤ったうえ、「入」になっていると誤認識したヒューマン・エラーについても立件も含めてもっと調べるべきだし、東電内にも容認論があるように思えます。
放射能の見えない恐怖の中、勇敢に原発に入り込む川内隊長を頼もしく感じます。
ぜひ、上の映像を見ていただきたいと考えます。
さて、1月28日(月)召集の第183通常国会は、ノンストップで、ここまで空転がゼロになっています。というと、先週空転したではないかと言う人がいそうですが、実際には、参・東日本大震災復興特別委員会や、衆・憲法審査会などは動いていて、衆参とも空転した日は一日もありません。
そのなかで、ようやくあすから、参・予算委の基本的質疑1日目ということで、季節感がだいぶずれてきそうです。
先週は、本予算(案)が衆院を通過した週なのに、FNN産経のトレンド調査(首都圏500人)で内閣支持率が落ちました。珍事です。この辺のことしの予算スケジュールに、「待ちぼうけ」の意識があるのでしょう。
昨年も大型連休に風邪を引いてしまいましたが、ことしもこの時期は、体力の限界に近づきつつありますが、あと1週間乗り切りたい。なお、参・予は通例審議がない連休の谷間の4月30日(火)に地方公聴会をする予定ですが、なんとか国のために、体を張って、身を粉にしてやっていく所存です。
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