[私見]
●特別会計はいっさい認められないのか? 農業者戸別所得補償は特別会計化が必要だ。
民主党は2008年ガソリン値下げ隊のターゲットになった社会資本整備特別会計など特別会計の原則廃止を法制化しました。ただ、農業者戸別所得補償をいずれ復活させたとして、一般会計では毎年度の歳出額のブレが大きくなります。農林水産省も財務省も望むところではないでしょう。自民党と公明党は2017年度に「収入保険」を創設することを、先の通常国会で法律附則に盛り込みました。しかし、そのような農業者に新たな負担を求めるのではなく、コメは生産数量目標に参加した場合、販売価格と生産価格の差額分は全額国費で補てんすべし。このため、いっさいの特別会計新設を認めないのではなく「農業者戸別所得補償特別会計」が必要です。特別会計法の改正で、毎年、一般会計から特別会計に1兆円を繰り入れ、足りなくなったら増額補正。仮に余ったら、翌年度に繰り越せるようにすべきです。
●租税特別措置はいっさい認められないのか? 研究開発、雇用促進は減税の方が補助金よりもお金の流れが良い。
租特透明化法は、民主党政権の最初の通常国会で、野党・自民党の賛成も得て、成立・施行しました。総務省行政評価局が詳細な租税特別措置の適用状況の報告書をまとめています。ただ、いっさいの租税特別措置すなわち政策減税が認められないのでしょうか。法人税を納める企業では、例えば製薬会社が新しい特許を取ったら、社長が中期的な事業計画をぶち上げ、研究開発減税を枠組みにして、株の増資と銀行の融資を巻き込めば、補助金以上のマネーを回せます。人も集まります。増収増益基調のときに、雇用促進税制を活用すれば、将来不安をはねのけ新規採用につながります。
●労働者保護の最大の政策は、「労働法制の再整備、シンプル化」だ。
民主党は製造業への日雇いスポット派遣の禁止や、最低賃金の引き上げを実現しました。そもそも、労働法制とは、4月1日に採用されたのに初任給が4月25日であることに代表されるように、労働者と使用者は対等な立場ではありません。労働法制は本来、労働者を守るためにあらねばなりません。 しかし、例えば、試用期間の定めは法律にないのに、管理職も新規採用社員も法律だと勘違いしています。解雇権の乱用禁止も120年前から改正されたことがない民法1条3項が根拠です。「労働法制の再整備」が必要です。マニフェストのみならず、弁護士、労働組合幹部出身者がいながら、労働法制に詳しい弁護士の国会議員は一人もいないので、人材の発掘、育成も必要になります。
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