【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

参・予算委筆頭理事に大塚耕平さん 郡司彰新会長起用、民主党きってのプレゼンテーション能力

2013年09月26日 07時25分52秒 | 第185臨時国会(2013年10~12月)秘密保護法

[写真]3選を果たした民主党の大塚耕平参院議員、2013年7月21日午後8時5分、民主党ホームページ

 大塚耕平さんが参・予算委の筆頭理事に就任することが分かりました。

 意外にも、大塚さんの参予算委筆頭理事就任は初めて。

 国会では「4月1日」は本予算成立から法案審査開始という極めて政治的緊張感が高まる時期のため、9月中ごろに人事異動をして、秋の臨時国会に入り、人脈をつくり、勉強し、場馴れしたうえで、翌年の6月~8月の通常国会会期末の緊張した政局に臨んでいく、という、年間の人事スケジュールをとっています。これは、議会でも、国会だけ。国会内でも、基本的には2大政党だけの話です。

 臨時国会に補正予算はでない見通しなので、10月1日(火)午後6時の首相会見の翌日以降の、閉会中審査や、召集翌週の10月22日(火)以降などに集中審議のセッティングなどで理事会での協議があるかもしれません。通常国会には補正予算が出るので、1月下旬・2月上旬から早速、大塚筆頭理事の姿がTVでも見られるでしょう。3月の本予算審議は、「30日ルール」から「消化試合」とも揶揄されますが、グラフやパネルを使って、社会保障と税の一体改革などに関して、首相らから言質をとり、いずれ、言行不一致をつく材料になりそうです。

 とくに3党合意に基づく、社会保障制度改革プログラム法案の金額と時間軸が混然となった立体的な議論を国民に分かりやすく見せながら、与党の混乱を議事録に残す手腕は、間違いなく、断然トップの能力を持っているだろうと考えられます。それを自分が質問したり、他の委員にテーマと時間を割り振ったりする、プロデューサー(兼)ディレクター(兼)出演者が筆頭理事です。

 いずれにしろ、政権交代ある二大政党政治の真価が問われる予算審議になりそうです。

 郡司彰民主党・新緑風会会長(民主党参議院議員会長)が、第185臨時国会・第186通常国会で、参議院予算委員会の委員長が自民党の山崎力さんであり、強力であることから、大塚さんの起用を決めました。

 大塚さんは第1次野党期最後の第171通常国会では、財政金融委員会の筆頭理事を務め、予算関連法案採決の直前に、平田耕一財務副大臣(三重3区比例)のクビをとるお手柄をみせました。この国会中に衆院が解散され、平田さんはJC主催の討論会の席上「私が当選する可能性は万に一つもありません」と謎の発言をした後、第45回衆院選で民主党の岡田克也候補に惜敗率36%の大惨敗を喫し、政界を引退したもようです。

 第1次与党期には、外相に昇格した外務副大臣への転出にともない不在になった、民主党広報委員長に就任。多額の政党助成金を扱う部署で、これは岡田幹事長が決めましたが、その大塚委員長もすぐに厚生労働副大臣に急きょ就任するなどバタバタした政権・党運営でしたが、そつなくこなしました。

 第23回参院選愛知県選挙区(定数3)で、トップの自民党(105万票)には及ばない75万票で2位当選。ただ、最下位当選のみんなの党にはダブルスコアをつけており、愛知の底堅さを見せました。

 3期目となりましたが、いまだに大臣経験はなく、民主党きってのプレゼンテーション能力があるので、大いに期待できそうです。

 大塚さんは野党議員時代の最後に、次のように予算委で話しており、この続編が聞きたいところです。

 「パンドラの箱は、開けちゃならないといって開けたら人間を不幸にする要素がぶわっと飛び出したけれども、最後に希望が残ったという、そういうふうにも言われておりますが、私たち野党が予算改革をやりたいのは、国民の皆さんを不幸にする、母子加算の二百億を削るような、そういう予算のパンドラの箱から不幸の種を出して、希望を国民の皆さんにお届けしたいということなんです」

 民主党のパンドラの箱も3年かけて、しっかりとあければ、最後に希望が残りそうです。