【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

平田健二・参議院議長が名裁き 安倍首相が所信表明演説「世界一めざす」に蓮舫ヤジ将軍復活

2013年01月28日 20時48分04秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

[画像]平田健二・参議院議長(左)と安倍晋三首相(右)、2013年1月28日(月)、参議院ホームページ

【参議院本会議 2013年1月28日(月) 首相の所信表明演説】

 選挙後、初めて本会議を先着順の一般傍聴で聞きました。

 通常国会冒頭の政府4演説ではなく、安倍晋三首相の所信表明演説だけが行われるという異例の日程となりました。さらに補正予算案の提出が遅れ、財政演説も来週になる見通しです。実は、国会冒頭の政府4演説など国務大臣の演説については、国会法にも、衆参両院規則にも規定はありません。今回は所信表明演説と政府4演説を2回やってくれるおかげで、民主党は2回、衆参本会議でテレビ入りで代表質問ができる恩をもらいました。あさっては海江田万里代表、しあさっては岡崎トミ子副代表(参院宮城予定候補)がたちます。ただ、今後は補正予算案の提出をする臨時国会などでは冒頭から予算委員会に入る国会運営があってもいいかもしれません。

 通常国会召集日のお楽しみ。和装議員。林久美子ネクスト文科大臣は藤色、安井美沙子さんは濃い金色、福山哲郎さん(京都)は例年のグレーの着物でした。召集日に限りませんが、ツルネン・マルテイさんも着物姿。そして、なんと言っても、牧山弘恵(牧山ひろえ)さんがクリームレモン色のお着物。この色が似合うのは牧山さんだけですね。参院神奈川選挙区は4人区となるなど諸情勢で運が向いてきていますから、牧山さんにがんばってほしいです。しかし、まあ、着物姿を後ろから見ると、着こなしはなんといっても、髪結い、うなじですね。民主党が野党になって気楽なもんですから、正直に言いますが、やはりうなじです。

 所信表明演説は全閣僚が参院本会議場のひな壇に登場します。このうち、向かって右側には、谷垣禎一法相、太田昭宏国交相が並びました。おそらく太田さんが参議院本会議場に入ったのは初めてでしょう。ひな壇に座った後、後ろの参議院事務局職員を振り返り、いろいろ質問していました。聞かれた職員は驚いた様子で、3人の職員が中腰になって太田大臣に説明する姿がありました。私は自民党や民主党の閣僚が後ろの参院職員に質問する姿を見たことはありません。さすがは大衆とともに闘う公明党の大臣だと感じました。それにつられて、宏池会の谷垣さんもちょっとだけ後ろを向いて話していました。政権交代するにしても「谷垣総理、太田副総理」とか、「太田総理、谷垣副総理」、あるいは「岡田総理、太田副総理」でもいいですが、実りある与野党国会論戦が聞かれたのではないかと感じました。

 演説中には、自民党の経世会(平成研)系の閣僚2人がおしゃべりに興じるなど相変わらず自民党はバラバラでした。ただ、安倍首相が話し出したとき、参議院本会議場のマイクの高さは右手で電動で調整できますが、調整せずに話し出しました。私も音が小さいなと感じましたが、参議院自民党から「マイク!マイク!」という声が大きくなり出して、安倍さんが演説を中断してそそくさと右手でボタンを押すシーンがありました。こうやって総理総裁に物申す自民党は好きです。

 それから、公明党(19人)の座る席が議長向かって左から、右に替わっていました。このため、議長から見て一番右側の列の一番奥の席が草川昭三・法務委員長となり、最年長議員となりました。かたや、議長から見て左側の一番奥は、みんなの党(12人)で在職年数がイチバン長い、水野賢一・議運理事になっていました。まさに、名実ともに、水野さんが参議院の若きキャスティングボートになってきました。あの歳であの在職年数であのポジションなら楽しくてしょうがないでしょう。

 安倍さんの所信表明は非常に中身がないものでした。一つ気づいたのはアルジェリア人質事件について「私たちは、今般の事件の検証を行い、国民の生命・財産を守り抜きます。国際社会と引き続き連携し、テロと闘い続けます。冒頭、その決意を申し上げます」と語りましたが、安倍内閣の対処について、反省はおろか言及そのものがなく、今後の予算委員会での検証をのぞみます。

 「日本人は気品を失っている」と演説したように聞こえて憤慨しました。いったい、いつの日本人と比較しているのか。そもそも日本人とは1億人全員なのか、ならば私は違うぞ。後で、首相官邸のホームページで原稿を見たら、「日本人は自信を失っている」でした。安倍ちゃん、滑舌悪いぞー!

 安倍さんが左手の人差し指を挙げて、体を右にねじったところ、議長席から見て右側の回廊にあるスチールカメラマン席(左側にもある)から、フラッシュの嵐が起きて、ああいうときはやっていて気持ちがよいのでしょう。自民党席からも万雷の拍手がわきましたが、このときの安倍さんの演説の内容は「みなさん今こそ世界一を目指そうではありませんか」。万雷の拍手がわくような内容じゃありません。ところが、ここで、蓮舫さんが反応しました。「2番じゃだめなんですか?」の事業仕分け(行政刷新会議)の力を野党に戻ったことで失った蓮舫さんは「行革が~~」「~~が抜けてるぞ」などと首をかしげながら野次の嵐。参議院の野次将軍が3年3ヶ月ぶりに戻ってきました。私は蓮舫大臣も好きですが、野党に戻って地が出てきて蓮舫議員にも期待します。しかし、いくらなんでも言葉が汚すぎるように思います。東京育ちで青山学院エスカレーターの人は、普段はああいう言葉で友人同士話しているのではないかと、あくまでも推測します。私も地域的にも年齢的にもいろいろ近い。正直なときにうち解けて本音を言うときに使う言葉は似ているので、分かります。が、第1次野党期のように、自民党議員の野次に応酬するのは止めて、閣僚に対する野次だけにしてほしいと考えます。

 ◇

 一方、衆議院側では特別委員会が「10」設置されました。前の任期の通常国会(横路孝弘議長、松本剛明議運委員長)では「7」でした。衆議院倫選特(政治倫理の確立および公職選挙法改正に関する特別委員会)は保岡興治委員長を選出して散会しました。この中で、民主党の政治改革推進本部長である岡田克也委員に公明党幹事長の井上義久委員が歩み寄って、一緒に話し合いながら、去っていく姿が衆議院インターネット審議中継に映りました。



 言うまでもなく震災後国会の3党協議路線をつくった民主党と公明党のおのおのの幹事長でした。比例定数75削減をスタートラインにする自公民3党協議は、公明党にとっては存亡の危機。その中で、岡田さんは小選挙区定数削減も辞さない覚悟で自民党との交渉に臨むと考えられます。この中には、岡田さんの地元四日市市が三重2区と三重3区に分断されており、出身地・自宅がある三重2区ではなく、三重3区から立候補し続けていることから、三重県内を4選挙区にすることで、四日市市を一つの選挙区に独立させて、三重2区の中川正春さんには鈴鹿市・亀山市などを区割りとする選挙区になってもらい、互いに補い合うことを理想としているという私情があるのではないか、と私は前々から考えています。あくまでも推測です。

 そういう私益と高度な国益を両立させ、止揚させるという不思議なところが岡田さんにはあります。しかし、原理主義者ですから、協議のうえ決まったことには従うし、私益より公益を優先させることに、岡田家内での自分の存在意義を持っているのでしょう。いずれにしろ、細川内閣を支えた2回生議員の会である「いしずえ会」の仲間である公明党の佐藤茂樹さん(大阪3区)が理事になり、公明党では北側一雄さんがカウンターパートになるようです。自民党の細田博之さんとあわせて、90年初当選仲間で、「政治改革20年のテコ入れによる次の20年」を作り上げていってほしいと感じます。


[画像]参議院本会議で名裁きをみせる平田健二・参議院議長、2013年1月28日(月)、参議院インターネット審議中継から。

 参議院本会議場に戻ります。平田健二さんというのは不思議な人で、元連合三重事務局長なのに、参院岐阜選挙区で当選しています。ちなみに三重は1人区、岐阜は2人区でしたが、今夏から1人区になります。その割に、岐阜県連にもあまりあらわれないとの声もあります。そしてUAゼンセンの出身で民社協会員ですが、参議院の中では、どうみても輿石系(総評系)。そして、政務三役経験がないのに、三権の長。とはいえ、きょうの本会議でも参議院にしかない木槌(ギャベル)を叩き、衆議院での「ギチョー!!」にあたる動議(演説に対する代表質問の後日への後回しの提案)も自らやりました。そして、安倍首相、麻生太郎副総理らを起立して待たせたまま、本会議場向かって左側の出入り口まで数十秒間、さっそうと歩きました。

 そんな不思議な平田さんは、新進党解党後に、新党友愛の船に乗って、民主党に移りました。私にとって新党友愛は、憲政史に4ヶ月間しか存在しなかったのに、初めて一人で任された宝石箱です。そして、平田さんはその新党友愛所属の議員だった。そのことに、最近wikipediaで気づきました。まあ、さすがにそこまでのことはなく、平田さんが民社協会であることは知っていましたが、再確認したという意味です。

 その平田健二参院議員の任期はこの第183通常国会の閉幕直後に切れます。もちろん、平田さんの心持ちは知りません。ただ、一つだけ本音で言いたいことをひとこと。安倍ちゃんの中身のないパフォーマンスの映像と一緒に、平田健二が参議院議長だったことを、忘れないでくれよな。正直な本音です。
首相官邸ホームページから引用はじめ]

第百八十三回国会における安倍内閣総理大臣所信表明演説

 まず、アルジェリアで発生したテロ事件について、一言、申し上げます。

 事件発生以来、政府としては、総力を挙げて情報収集と人命救出に取り組んでまいりました。

 しかしながら、世界の最前線で活躍する、何の罪もない日本人が犠牲となったことは、痛恨の極みです。残された御家族の方々のお気持ちを想うと、悲痛の念に堪えません。

 無辜(むこ)の市民を巻き込んだ卑劣なテロ行為は、決して許されるものではなく、断固として非難します。私たちは、今般の事件の検証を行い、国民の生命・財産を守り抜きます。国際社会と引き続き連携し、テロと闘い続けます。冒頭、その決意を申し上げます。

(はじめに)

 昨年末の総選挙による国民の審判を経て、自由民主党と公明党の連立政権を発足させ、第九十六代内閣総理大臣を拝命いたしました。

 私は、かつて病のために職を辞し、大きな政治的挫折を経験した人間です。国家の舵(かじ)取りをつかさどる重責を改めてお引き受けするからには、過去の反省を教訓として心に刻み、丁寧な対話を心掛けながら、真摯に国政運営に当たっていくことを誓います。

 国家国民のために再び我が身を捧げんとする私の決意の源は、深き憂国の念にあります。危機的な状況にある我が国の現状を正していくために、為(な)さなければならない使命があると信じるからです。

 デフレと円高の泥沼から抜け出せず、五十兆円とも言われる莫大な国民の所得と産業の競争力が失われ、どれだけ真面目に働いても暮らしが良くならない、日本経済の危機。

 三十二万人近くにも及ぶ方々が住み慣れた故郷(ふるさと)に戻れないまま、遅々として進んでいない、東日本大震災からの復興の危機。

 外交政策の基軸が揺らぎ、その足元を見透かすかのように、我が国固有の領土・領海・領空や主権に対する挑発が続く、外交・安全保障の危機。

 そして、国の未来を担う子どもたちの中で陰湿ないじめが相次ぎ、この国の歴史や伝統への誇りを失い、世界に伍(ご)していくべき学力の低下が危惧される、教育の危機。

 このまま、手をこまねいているわけにはいきません。

 皆さん。今こそ、額に汗して働けば必ず報われ、未来に夢と希望を抱くことができる、真っ当な社会を築いていこうではありませんか。

 そのためには、日本の未来をおびやかしている数々の危機を何としても突破していかなければなりません。

 野党として過ごした三年余り、全国津々浦々で現場の声を丹念に拾い集め、政策のあるべき姿を考え抜いてまいりました。政権与党に復帰した今こそ、温めてきた政策を具体的に実現させ、国民と共に、現下の危機突破に邁(まい)進します。

 内閣発足に当たって、私は全ての閣僚に「経済再生」「震災復興」「危機管理」に全力を挙げるよう一斉に指示をいたしました。危機の突破は、全閣僚が一丸となって取り組むべき仕事です。

 同時に、与野党の別を問わず、国政に携わる全ての国会議員が担うべき責任でもあるはずです。

 この議場に集う全ての国会議員諸氏に訴えます。危機を突破せんとする国家の確固たる意思を示すため、与野党の叡(えい)智を結集させ、国力を最大限に発揮させようではありませんか。各党各会派の御理解と御協力を切に求めてやみません。

(経済再生)

 我が国にとって最大かつ喫緊の課題は、経済の再生です。

 私が何故、数ある課題のうち経済の再生に最もこだわるのか。それは、長引くデフレや円高が、「頑張る人は報われる」という社会の信頼の基盤を根底から揺るがしていると考えるからです。

 政府がどれだけ所得の分配を繰り返しても、持続的な経済成長を通じて富を生み出すことができなければ、経済全体のパイは縮んでいってしまいます。そうなれば、一人ひとりがどんなに頑張ってみても、個人の手元に残る所得は減っていくばかりです。私たちの安心を支える社会保障の基盤も揺らぎかねません。

 これまでの延長線上にある対応では、デフレや円高から抜け出すことはできません。だからこそ、私は、これまでとは次元の違う大胆な政策パッケージを提示します。断固たる決意をもって、「強い経済」を取り戻していこうではありませんか。

 既に、経済再生の司令塔として「日本経済再生本部」を設置し、「経済財政諮問会議」も再起動させました。この布陣をフル回転させ、大胆な金融政策、機動的な財政政策、そして民間投資を喚起する成長戦略という「三本の矢」で、経済再生を推し進めます。

 金融政策については、従来の政策枠組みを大胆に見直す共同声明を、日本銀行との間で取りまとめました。日本銀行において二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現することを含め、政府と日本銀行がそれぞれの責任において、共同声明の内容をきちんと実行していくことが重要であり、政府と日本銀行の一層の緊密な連携を図ってまいります。

 加えて、先にまとめた「緊急経済対策」で、景気を下支えし、成長力を強化します。これから提出する補正予算は、その裏付けとなるものです。「復興・防災対策」「成長による富の創出」「暮らしの安心・地域活性化」という三つを重点分野として、大胆な予算措置を講じます。速やかに成立させ、実行に移せるよう、各党各会派の格別の御理解と御協力をお願い申し上げます。

 他方、財政出動をいつまでも続けるわけにはいきません。民間の投資と消費が持続的に拡大する成長戦略を策定し、実行してまいります。

 iPS細胞という世紀の大発明は、新しい薬や治療法を開発するための臨床試験の段階が見えています。実用化されれば、「健康で長生きできる社会」の実現に貢献するのみならず、新たな富と雇用も生み出します。イノベーションと制度改革は、社会的課題の解決に結び付くことによって、暮らしに新しい価値をもたらし、経済再生の原動力となります。

 最も大切なのは、未知の領域に果敢に挑戦をしていく精神です。皆さん。今こそ、世界一を目指していこうではありませんか。

 世界中から投資や人材を惹(ひ)きつけ、若者もお年寄りも、年齢や障害の有無にかかわらず、全ての人々が生きがいを感じ、何度でもチャンスを与えられる社会。働く女性が自らのキャリアを築き、男女が共に仕事と子育てを容易に両立できる社会。中小企業・小規模事業者が躍動し、農山漁村の豊かな資源が成長の糧となる、地域の魅力があふれる社会。そうした「あるべき社会像」を、確かな成長戦略に結び付けることによって、必ずや「強い経済」を取り戻してまいります。

 同時に、中長期の財政健全化に向けてプライマリーバランスの黒字化を目指します。

(震災復興)

 東日本大震災の被災地は、二度目の厳しい冬を迎えています。私は、昨年末に総理に就任した直後に、最初の訪問地として迷うことなく福島を選びました。そして、先日は宮城を訪れ、これからも、可能な限り現地に足を運ぶつもりです。

 被災地のことを想う時、私は、ある少女とその家族の物語を思い出さずにはいられません。東日本大震災で、小学校三年生だった彼女は、ひいおばあさんとお母さんを亡くしました。悲しみに暮れる家族のもとに、被災から二か月後のある日、一通の手紙が届きます。それは、二年前、少女が小学校に入学した後に、お母さんが少女に内緒で書いた「未来へ宛てた手紙」でした。

 手紙には、入学当初の苦労話の後に、こう綴(つづ)られていました。

 「げんきに学校にいってくれるだけで、とてもあんしんしていました。このてがみを みんなでよんでいるところを たのしみにして、これから おかあさんは がんばっていきます」

 この手紙を受け取ったのは、私がかつて被災地で出会い、先般、再会を果たした少女です。その際、彼女は、私の目をじっと見つめ、「小学校を建てて欲しい」と言いました。過去を振り返るのではなく、将来への希望を伝えてくれたことに、私は強く心を打たれました。

 故郷(ふるさと)の復興は、被災地の皆さんが生きる希望を取り戻す作業です。今を懸命に生きる人々の笑顔を取り戻す。それは、その笑顔をただ願いながら天国で私たちを見守っている犠牲者の御霊(みたま)に報いる途(みち)でもあるはずです。

 復興という言葉を唱えるだけでは、何も変わりません。まずは、政府の体制を大転換します。これまでの行政の縦割りを排し、復興庁がワンストップで要望を吸い上げ、現場主義を貫きます。今般の補正予算においても思い切った予算措置を講じ、被災地の復興と福島の再生を必ずや加速してまいります。

(外交・安全保障)

 外交・安全保障についても、抜本的な立て直しが急務です。

 何よりも、その基軸となる日米同盟を一層強化して、日米の絆を取り戻さなければなりません。二月第三週に予定される日米首脳会談において、緊密な日米同盟の復活を内外に示していく決意です。同時に、普天間飛行場の移設を始めとする沖縄の負担の軽減に全力で取り組みます。

 外交は、単に周辺諸国との二国間関係だけを見つめるのではなく、地球儀を眺めるように世界全体を俯瞰(ふかん)して、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった、基本的価値に立脚し、戦略的な外交を展開していくのが基本であります。

 大きく成長していくアジア太平洋地域において、我が国は、経済のみならず、安全保障や文化・人的交流など様々な分野で、先導役として貢献を続けてまいります。

 本年は、日アセアン友好協力四十周年に当たります。私は、先日、ベトナム、タイ、インドネシアの三か国を訪問し、日本に対する期待の高さを改めて肌で感じることができました。二〇一五年の共同体構築に向けて、成長センターとして発展を続けるアセアン諸国との関係を強化していくことは、地域の平和と繁栄にとって不可欠であり、日本の国益でもあります。この訪問を皮切りに、今後とも、世界情勢を広く視野に入れた戦略的な外交を展開してまいります。

 我が国を取り巻く情勢は、厳しさを増しています。国境離島の適切な振興・管理、警戒警備の強化に万全を尽くし、この内閣の下では、国民の生命・財産と領土・領海・領空は、断固として守り抜いていくことをここに宣言します。

 併せて、今般のアルジェリアでのテロ事件は、国家としての危機管理の重要性について改めて警鐘を鳴らすものでした。テロやサイバー攻撃、大規模災害、重大事故などの危機管理対応について、二十四時間・三百六十五日体制で、更なる緊張感を持って対処します。

 そして何よりも、拉致問題の解決です。全ての拉致被害者の御家族が御自身の手で肉親を抱きしめる日が訪れるまで、私の使命は終わりません。北朝鮮に「対話と圧力」の方針を貫き、全ての拉致被害者の安全確保及び即時帰国、拉致に関する真相究明、拉致実行犯の引渡しの三点に向けて、全力を尽くします。

(おわりに)

 我が国が直面する最大の危機は、日本人が自信を失ってしまったことにあります。確かに、日本経済の状況は深刻であり、今日明日で解決できるような簡単な問題ではありません。

 しかし、「自らの力で成長していこう」という気概を失ってしまっては、個人も、国家も、明るい将来を切り拓くことはできません。芦田元総理は、戦後の焼け野原の中で、「将来はどうなるだろうか」と思い悩む若者たちを諭して、こう言いました。「『どうなるだろうか』と他人に問いかけるのではなく、『我々自身の手によって運命を開拓するほかに道はない』」、と。

 この演説をお聴きの国民一人ひとりへ訴えます。何よりも、自らへの誇りと自信を取り戻そうではありませんか。私たちも、そして日本も、日々、自らの中に眠っている新しい力を見出して、これからも成長していくことができるはずです。今ここにある危機を突破し、未来を切り拓いていく覚悟を共に分かち合おうではありませんか。

 「強い日本」を創るのは、他の誰でもありません。私たち自身です。

 御清聴ありがとうございました。

[引用おわり]

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◎第183通常国会召集2013年1月28日(月)から6月26日(水)まで 宮沢解散20年「改革テコ入れ国会」だ!

2013年01月28日 10時01分20秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

[写真]20年前の宮沢解散で自民党を離れ、民主党で政権交代をなしとげた岡田克也さんと羽田孜さん(第80代首相)。

 第183回通常国会が召集されました。会期の後には、第23回参院選がある緊張感のある展開です。とはいえ、法案審議はあまりないので、予算審議のなかで大枠の議論をすることができます。宮沢解散から20年。政権交代が一回りして、次の20年をつくる国会になります。

 国会法第2条に「常会は、毎年1月中に召集するのを常例とする」、第10条に「常会の会期は、150日間とする」とあるのですから、毎年6月に政局になるのは当たり前。なのに、3年前の6月2日の鳩山首相辞任表明、2年前の6月1日の菅内閣不信任案提出、1年前の6月26日の社会保障と税の一大会各法案衆院採決で、与党・民主党議員でありながらはしゃいだ人は救いようがありません。ちなみに、今回は6月26日はもう会期末です。

 しかし、20年前の第126回通常国会の6月18日の政局は、宮沢内閣不信任案はきょうにいたる政治のしくみをつくりました。この日に生まれた人が成人となり、第23回参院選に投票します。そして、宮沢解散当日に有権者になった人は40歳、不惑になります。すなわち、石川知裕衆議院議員(1973年6月18日生まれ)の世代は、よい日本を残すために、ますます責任が重くなってきたこと自覚すべし。その節目の国会となります。


[写真]宮沢解散の3日前に自民党本部内で政治改革廃案を阻止しようと体を張る岡田克也さん、1993年6月15日、テレビ朝日さん映像から。


[写真]ハマコー(中央)と闘う岡田克也さん(背中)、簗瀬進さん、増子輝彦さん。1993年6月15日、テレビ朝日さん映像から。

 解散の背景が明らかになりました。藤村修・前官房長官が24日付け毎日新聞で、2012年11月2日(金)に首相公邸で野田佳彦首相、岡田克也副総理と3人で話し合い、党首討論で「12月9日投票」で解散することを表明することを決断。その後、内閣総務官室から「間に合わない」と言われ、「11月16日解散、12月16日投票」を11月14日の党首討論で電撃的に発表したことを明らかにしました。この「12月9日投票」は公明党の山口那津男代表が具体的に日時を明示して主張していましたが、過去に野党党首が具体的な日程を呼びかける政治手法はなく、官邸新進党三羽がらす、公明党支持母体の双方から、山口さんの進境が心配されていました。支持母体幹部は「仮に実現しなくても党首辞任の必要はない」と新聞に話して予防線を張るほどまでに山口さんは土俵際に追い込まれていました。そのため新進党で同じ釜の飯を食べた、野田首相、岡田副総理、藤村長官が、山口さんを助けることで、社会保障と税の一体改革の3党合意を未来につなげながらも、衆院選で負けても次への芽を残すとともに、政党助成金が入る前に小沢一郎新進党解党者の息の根を止める。そう考えたのでしょう。国会史に残る解散劇で、長期的に社会保障と税の一体改革に勝ち、友情に報い、小沢一郎に勝ち、党首討論で勝ち、選挙に負けました。巻き添えになった方には申し訳ありませんが、私たちの20年歩みを考えれば、まったく恥じることはありません。

 解散日程を決めた週明けの11月4日(月)、早稲田大学講演後に「党首討論をやってほしい」とぶら下がり取材で呼びかけたときの岡田副総理の表情。


[写真]「党首討論の開催を」と呼びかける岡田克也副総理、早稲田大学11号館(商学部)内岡田卓也記念アトリウム前、2012年11月4日、筆者撮影。

 とてもほっとした表情です。そして、この週の11月9日(金)にTBSが「12月16日投票」をスクープ。次の週の2012年11月14日(水)の野田首相の党首討論で「11月16日解散」を提案しました。

 年が明け、政権交代で、与党党首となった山口さんは首相親書を携え、先週金曜日、中国の習近平・国家主席と人民大会堂で会談しました。与党、山口さんがんばってください。


[写真]山口・習会談を伝える2013年1月27日付公明新聞。

 その一方、社会党本部(社会文化会館)が取り壊されています。ベルリンの壁崩壊の翌年に国会議員になった岡田さんは一度も社会文化会館に入ったことがありません。ベルリンの壁から25年遅れでようやく崩壊します。そして、岡田さんはあの日(1993年6月18日)から一度も自民党本部に入ったこともありません。今国会では、民主党政治改革推進本部長として野田総理の電撃解散の置きみやげ、「定数削減の自公民3党合意」の協議を一任されている岡田さん。実務者として、自民党本部に押しかけてでも、定数削減・国会改革を成就させなければなりません。それが解散せずに内閣総辞職をし11月16日をもって引退した羽田孜さんのような幸せな人のみならず、志半ばで国会から去っていった人々への報いです。

 ◇

 「NHkニュースおはよう日本」は2013年1月27日、「国会の裏側」と題して、通常国会に向けた衆議院衛視のドキュメントを放送しました。映像取材部の制作で、こういう仕事はNHKにしかできません。



 朝7時の国会議事堂。国旗の掲揚から、衆議院衛視の1日が始まります。


















 これは衆議院正玄関(しょうげんかん)と言って、皇居側にあり、主に公用車などを持つ閣僚や党幹部クラスが登院する際に使うことが多い場所です。尾崎行雄、三木武夫の胸像はここにあります。
 先の特別国会の召集日、登院する幹部級議員に敬礼する衛視の姿です。









 実際には、皇居の反対側にある議員会館から歩いたりして国会議事堂本館に入る議員の方が多いです。

 しかし、下のように、当選13回生の野田毅・自民党税調会長らがここから車で国会を出ていき、その周りを記者が取り囲む華やかな光景。私の総理番同期で親友の時事通信・鈴木利明記者の姿も見えます。





 この姿をすばやく見て取って、マイクで議員名を呼び出し、運転手に伝えるのも衛視の仕事。しかも野田さんなら「野田毅先生」ですが、閣僚なら「総務大臣」、委員長なら「予算委員長」と役職も覚えています。つまり、480人の衆議院議員と、242人の参議院議員の顔と名前が一致していなければできない仕事です。








 夜の国会議事堂・・・さすがNHK映像取材部というきれいな映像です。



 国民のみなさまの絶対的な判断で、総選挙で多くの議員が入れ替わりました。そして、新しい内閣ができました。その顔と名前、役職名を参議院議員も含めて覚えなければなりません。そこで、お手製の「単語帳」を夜警中もぺらぺらめくって勉強です。













 こうやって衛視が通常国会にむけて勉強しているのに、国会法も知らないような議員が大量に存在したことは残念なことでした。今度の任期ではそんなことないだろうし、落選中の民主党総支部長は戸別訪問だけでなく、一から国会法を勉強してほしいところです。

 最近では閉会中も国会見学が増えているようです。



 




 この子どもたちのためにも「社会保障と税の一体化改革」は公明党、自民党、民主党の3党で進めていかなければならないし、今を生きる世代のために、民主党、日本維新の会、みんなの党の3党も懸命にしっかりと政府をチェックしなければいけません。

 衆議院規則第5条には「議員は、召集詔書に指定された期日に、各議院に集会しなければならない。」とあります。召集日に欠席する議員は応召延期届を出さないと、「未応召議員」として衆議院公報に載ります。このため、当日は出席議員の名刺を集めるのも大事な仕事です。その準備のために、正玄関に机が用意され、松が飾られました。








 さあいよいよ、第183回通常国会の幕開けです!

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