恋、ときどき晴れ

主に『吉祥寺恋色デイズ』の茶倉譲二の妄想小説

話数が多くなった小説は順次、インデックスにまとめてます。

『さよなら』

2014-08-20 09:45:35 | ハル君ルートで茶倉譲二

譲二さんルートとの混乱を避けるため、ヒロインの名前は佐々木美緒とします。


☆☆☆☆☆
 好きになったヒロインに迷わず告白し、実力行使にでてしまう男らしい譲二さん。
 ただやっかいなのは、ヒロインが好きなのは譲二さんではなく、別の男の人だった。そう…、たとえばハル君。


☆☆☆☆☆
茶倉譲二: 喫茶クロフネのマスター
身長:183cm 体重:70kg

☆☆☆☆☆

『交際宣言』の続き



『さよなら』その1


〈美緒〉
 タコ公園のベンチに2人並んで座る。

春樹「…」

美緒「ハル君、ごめんね…。」

春樹「謝ることはないだろ…。もしかして、佐々木も俺のことが好きなんじゃないかと俺が勝手に思っていただけだから…。」

 私は小さく呟いた。

美緒「ハル君のことが好き」

春樹「え?」

美緒「ごめんなさい。今のは忘れて」

春樹「どういうこと? 佐々木はジョージさんが好きだから付き合うことにしたんじゃないの?」

美緒「今は譲二さんのことも好き」

 私の目から涙が溢れてくる。

春樹「佐々木…、泣くなよ。もう泣くな」

美緒「ごめんなさい。ハル君。今はハル君のことも譲二さんのことも同じくらい好きなの」

春樹「それなら…、俺にもまだ挽回の目はあるの?」

(ああ、いけない。また、ハル君に期待させるようなことを言ってしまった)

 私は流れる涙を飲み込んだ。

美緒「ううん。もう譲二さんと、って決めたことだから…」

春樹「それは…後戻りできないことなの?」

美緒「私…、譲二さんともう…」

 声が震える。ハル君はその一言で、全てを理解したらしかった。

春樹「佐々木、もうそれ以上言わなくていいよ…。もう言わなくていい…」

 ハル君が私を抱きしめる。温かいハル君の胸。ハル君の匂い。この優しい腕に抱きしめられるのは、これが最後なんだ…。


☆☆☆☆☆

『さよなら』その2


〈美緒〉
 ハル君に抱きしめられているうちに、私の気持ちは高ぶる。私はそっと囁いた。

美緒「ハル君。一つだけお願いを聞いて?」

春樹「なに?」

美緒「ハル君にキスして欲しい…」

春樹「…」

 ハル君は何も言わず私の頬を両手で持って上向かせた。

 私たちはじっと見つめ合う。ハル君の優しい目。

春樹「俺がキスしたら、佐々木はもう泣かない?」

美緒「うん。我慢する」

春樹「じゃあ、目をつぶって」

 私が目をつぶると、ハル君はそっと唇にキスしてくれた。

 一度触れると、それは何度も繰り返し、ついにハル君の舌が唇を割って入って来た。私はそれに応えた。

 長い長いキス。(ハル君、大好き。私はずっと、ハル君とこんな風にキスしたかったんだ…)


☆☆☆☆☆

 ハル君はクロフネまで送ってくれた。私は「いいよ」って言ったけど。

春樹「この前みたいに変なヤツに襲われたら困るだろ?ジョージさんにも申し訳ないから…」

 やっぱりハル君はそうやって、みんなに気を遣うのねと思った。
 でも、ハル君に送ってもらうのはやっぱり嬉しかった。

 別れる前、ハル君は唇にそっとキスしてくれた。



☆☆☆☆☆


最初ハル君との別れの場面では、抱きしめ合うだけでした。
 
でも、何度も手を加えるうちにキスもするようになりました。(;^ω^A
 
それが遠因となって、この後の話も転がり始めることになります。
 
☆☆☆☆☆

『さよなら』その3

〈譲二〉

 美緒が帰ってくるまでの時間は30分くらいだったろうか。

 その間、俺はじりじりとして待っていた。


 話し声が聞こえる。

美緒「ただいま」

譲二「おかえり」

 俺は美緒をすぐに抱きしめた。

譲二「ハルに…、ちゃんと伝えられた?」

美緒「うん…。好きだってことも伝えたよ」

譲二「え?」

 心臓が止まりそうになる。

美緒「譲二さんのことも同じくらい好きだってことも。それにもう私たちは普通の関係じゃないってことも」

 そこまで伝えてくれたのか。

譲二「…そっか。ハルは納得してくれたの?」

美緒「うん…。」

譲二「辛かったね。ごめんね」

美緒「…」

 美緒がしがみついてきた。

 美緒の顎を持って上向かせるとキスをした。

最初は軽く、でも止まらなくなって、深く深くキスをしてまう。

美緒も積極的に応えてくれた。


☆☆☆☆☆

 その夜はいつにも増して、激しく愛し合った。

 美緒の目からは絶えず涙が溢れて来て、俺は口づけで吸い取った。

美緒「私を…むちゃくちゃにして…」

 美緒の大胆な言葉に驚いた。

美緒「…ハル君のことを…忘れさせて」

 そうか。美緒はハルのことを忘れようともがいているのか。
 …俺のために。

 美緒を強く抱きしめた。

 美緒は自分だけのものだと信じたかった。

譲二「美緒は俺だけのものだ…」

  きっと、ハルに別れの言葉を告げたとき、2人は抱き合ったに違いない。いや、それだけじゃなくキスだって。

 頭に思い浮かぶそんな想像をふるい落としたくて、いつもより乱暴に美緒を扱ってしまった。

☆☆☆☆☆

『さよなら』その3

〈譲二〉
 翌朝、目が覚めると美緒はあどけない顔でまだ寝ていた。

 あまりに可愛らしくて、髪を優しくなでる。

 「う…うん」と可愛い声をあげて、美緒が目を開けた。

譲二「おはよう」

美緒「おはようございます」

譲二「体は大丈夫?」

美緒「え?」

譲二「えっと…その、昨夜は…結構ハードにやっちゃったからさ…」

 昨夜のことを思い出したのか、美緒の顔が赤らむ。

美緒「大丈夫。 …でも少しけだるいかな」

譲二「俺も少しけだるい」

 2人で顔を見合わせて笑う。どちらからともなく、唇を求め合った。

譲二「ねえ、美緒…。ずっと俺の側にいてくれる?」

美緒「うん」

譲二「ハルのこと…好きなままでいいから。」

美緒「…」

譲二「無理に忘れようとしなくてもいいから」

美緒「…ずっと好きかもしれないよ?」

譲二「…うん」

美緒「一生かも…」

 俺は自分に言い聞かせるように言った。

譲二「…俺は美緒さえ側にいてくれたら…それでいいから」

美緒「…私って譲二さんに甘えてばかりだね」

譲二「甘えてくれる美緒が可愛くて、愛しい」

 俺は美緒のおでこにそっと口づけた。

 そうだ。美緒がたとえハルを好きなままでも、俺の側にずっといて欲しい。

 美緒がハルを忘れようとして、悲しんだり苦しんだりするのに俺は耐えられない。

 ハルを好きな美緒をまるごと愛せるような男に、俺はなりたい。


『さよなら』おわり

☆☆☆☆☆

続きは『じーじ』です。




最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。